10/07/25 00:04:02
初めてよろしくですが、お願いします。
生まれた。
しっぽを動かしてみた。
うん、いいね、と思った。
耳も動かしてみる。
すると今まで聞こえないものが聞こえた。
…だけど
足で立とうとすると、どうしても上手く立てなかった。
指の先まで力を入れて踏ん張っても、全く…。
そのうち「言葉」が私を言い当てた。
「目の見えない犬」
目の見えない犬、…目の見えない犬?
私は見えている。言葉が分かるんだ。
その言葉は私を括りつけようとしているだけで。
それからというもの、私は自分自身に目を向けた。
記憶の一番古い景色を思い出す。
よく子供に追いかけられ私は何かにぶつかりながら走って、
いろんな声を聞いた。
一つはおもちゃを貰ったようなはしゃぎ声
二つはおもちゃが壊れてしまったかのような声
三つはおもちゃを捨てるときのような声だ。
今は、硬い台の上で横たわっている。
走れなくなってから随分とここに居ることが増えた。
もう、悪あがきなんてしない。
「目の見えない犬」は私ではないと私は知っている。
生まれてから今までの記憶は
この目に焼き付いているんだ。
死んだ。