10/07/24 22:22:38
後方で戦いを見守っていたリーダーは、不意を衝かれたらしく僅かにうろたえた。が、直ぐに武器を構えて臨戦体勢を整える。
リーダーは長剣を両手で持って鋭い突きを放った。
―速い!
完全には躱しきれず、下腹部を浅く切られる。リーダーは突き終わった状態から、剣の向きを変え、アニスを逆袈裟に切り上げようとした。
咄嗟に転がる。部下のシリアがショートソードを振り下ろすのが見えた。さらに転がり何とか避けると、再びリーダーの突きが襲ってきた。
アニスが立ち上がるのと殆ど同時だった。棒を使って軌道を逸らした。
その後もリーダーは連続で突きを放ってくる。必死で攻撃を捌きながら、ふとアニスは違和感を覚えた。
―何でこのシリアは突きばかりしてくるんだろ。
一度だけ逆袈裟にしようとした以外は、単調な攻撃ばかりだった。その理由を見極めようと、アニスは仔細に敵を観察する。
すると、その理由は簡単な事だった。左目が潰れているからである。片目では上手く距離感が掴めないのだ。だから、距離感に左右されない攻撃をしてくる。
勝機が見えた気がした。どんなに凄い攻撃でも、先に動きが分かっていれば防御は容易だ。そして敵には弱点がある。
アニスは部下のシリアを牽制しておいてから、リーダーに向かって跳躍した。
敵は串刺しにしようと剣を突き出してくる。予想通りの攻撃。彼女は余裕をもって躱し、剣は虚しく空を貫く。
アニスは渾身の力で棒を振り下ろした。敵は直ぐに剣を戻して受ける構えだ。木の棒が長剣に激突した。手が痺れるような衝撃。棒が真ん中から真っ二つになる。
―まだ!
彼女は右足で敵の下腹部を蹴りつける。左腕で受け止められた。だが、これは最初から計算のうち。どのみち、アニスの体格では体術でダメージを望めない。
刹那、彼女の左手が素早く一閃した。銀色の残照が消えた後、赤い液体が迸る。アニスが左手に持った短剣で喉を切り裂いたのだ。
噴水のように血を吹き上がらせながら、群れのリーダーは地面に倒れた。
アニスは手許の短剣を見る。さっき倒したシリアの物を拾っておいたのだ。思いがけず、命を救われた。
戦闘描写苦手です
一応相手は二匹で知恵のある魔物みたいなものです
途中からですが分かりづらい点はありますか?