ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3]at BUN
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3] - 暇つぶし2ch243:名無し物書き@推敲中?
10/07/04 08:45:32
 前年の秋に、婚約者であった武家の若君を亡くした私に、国王陛下は歓蘭王国への
輿入れをお命じになった。国を跨いだ王族同士の婚儀は、普通であればもっと幼い
うちに約定を交わし、政治的な駆け引きの上で行われるものであるが、この様に
あわただしい形での結婚など近年聞いたことがない。
 だが、国境を接する朱羅女王国が隣の螺旛王国と結び、軍事的に強固な体勢を作るに
至り、かねてより脅威を感じていた国王は、朱羅、螺旛、蕪藍の三国地帯を北より
にらむ歓蘭王国との同盟は渡りに船であったのだろう。もし、我が国の北方の国境線が
朱羅女王国より脅かされることがあれば、北方より歓蘭王国が螺旛王国を牽制し、
螺旛よりの支援を削ぐことが叶う。
 亡くなった若君とて政略で結ばれた縁である。二、三度、詩歌の宴などの席で言葉を
交わした間柄であるからそれなりの情もあるが、それは切り替えのきかぬほど深い
縁でもなかった。そういった形だけの対面の席では、個人として深く語り合う場さえ
無かったのだから。
 すでに十六才であった私は、国王よりの御命に従わぬ理由など無いが、ただ
思われるのは、王妃として立つことの重責と、言葉の違う国での馴れぬ暮らしの事である。
 だが、それも数年で馴染めよう。
 私は、御命を謹んで拝した。


 お姫様ものファンタジーの冒頭部でございます。



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