10/05/04 10:03:17
すみません何か行がごっちゃになった。
季節はずれの大雪かと、最初はそんな風に思いました。
その日も私はいつもの時間に目を覚まし、いつものように中庭へ面した障子を開け、ついと空を見上げました。
朝一番に天気を観るのは私の癖のようなもので、物心ついたころからこの日課だけは欠かしたことがございま
せん。『観る』といってもそう大層なことではなく、ただ、けさは日の光が眩しいだとか雲が重たいだとかそん
なことを思うくらいで、せいぜい日記を付ける際に役に立つ位の、まあその程度のものでございます。
おや、少し脱線。今は私の取るに足らぬ習慣など、どうでもよいのです。話を元へ戻しましょう。
とにかく空を見上げた私は、ふわふわと落ちてくる白い切片を、まず雪であると認識しました。それ以外に虚
空から舞い降りる白いものなど心当たりが無かったからです。
しかし、少し後、それが過ちであることに気が付いたのです。
そよ吹く風にくるりと流され我が胸元へ降り立った小さきものは、布地へ伝わる温もりで果てることもなく、
風に遊ばれ右往左往しておりました。
揺れ動く白い一片を摘み上げ、顔の高さまで持ち上げると、私は誰へともなく呟きました。