ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3]at BUN
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3] - 暇つぶし2ch142:名無し物書き@推敲中?
10/06/21 11:18:47
 黒い森の奥深く。
 昼間なのにランタンを手に提げ、固い地面を踏みしめ、僕は生い茂る木々の間を進んでいた。
 あちらこちらでは巨大な歯車が顔を覗かせ、うなるような低音とともに回転している。
「こんなところに……」
 そう小さく呟いた声も、歯車の音で簡単にかき消されてしまう。
 こんなところに永遠なんてものがあるのだろうか?
 
 『永遠の国』
 
 そう呼ばれるこの国は、人々が『永遠』を求めて作り出した機械仕掛けの国だった。全てが人の
手によって作られ、見せ掛けの永遠を与えられた国。
 ここはそんな国のはずれにある、永遠に成り損ねた森だった。
 簡単に言えばここは、永遠の失敗作。
 しかし、失敗作といってもそれなりの永遠の形は存在していて、その証拠にこの森の歯車は数千
年の時を経た今でも、こうしてギシギシ回り続けていた。
 こんなところから始めて、よくあれほどの国を作り上げたものだ。
 そんなことを考えながら、立ち止まって辺りを見回す。いくら草を掻き分け目を凝らしても、見
えるのは草木と、その後ろから顔を覗かせる歯車だけ。足元の地面は、動物も、虫一匹さえもいな
いため、硬くなってしまっている。そんな地面から生えているのは、本物に限りなく似せた模造品
の草。上を見上げても、同じく模造品の木の葉が全てを覆い隠していて、微かな光も通さなかった。
 この森も、きっと初めは明るい森だったのだろう。けれども今では、草木が際限なく成長を続け
て全てを覆い隠し、結果、黒い森と呼ばれる誰一人近づかないような場所になってしまった。
 あの永遠の国が出来上がる過程であるこの森を見ると、永遠なんてものはどこにも存在しないの
ではないかとさえ思えてくる。
 僕が誰も近寄らないこの森にやってきたのは、人々が自慢げに語る永遠というものに、微かな違
和感を持ったからだった。



短編の始めの一部ですが、よろしくおねがいします!


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