10/12/15 23:30:03
主人公の中年男は会社をリストラされ消費者金融に手を出し借金で
首が回らなくなったので自殺しようとする。ビルの屋上から飛び降りようとしたところ、
「ビリー・ジーンのときのマイケル・ジャクソンのような」黒いハットをかぶった黒服の
若い男に寸前で阻止される。男は膨大なネットワークと高度な医療技術をもつ
裏社会の臓器提供グループの一員で、対価として高額な報酬を田舎の両親に
送ることを条件に、主人公は男と死後の臓器提供の契約を結ぶ。
グループのひみつビルに案内された主人公は詳細な診断を受け、
骨の一本にいたるまでの肉体の全てについて綿密に査定される。
カネと命と人間の生きる意志について考える。両親向けにダミーの死体を作り、
自らの死を偽装する過程でひとりの美少女と出会う。少女は生まれつき心臓が悪く、
やっと提供者が見つかったので数日後に心臓の移植手術を受ける予定だという。
自分の心臓がこの少女に使われるのなら良いかなと主人公は考える。
手術台の上で主人公は目覚める。すでに心臓は摘出されており、
大掛かりな人工心臓を接続された状態で、しかしまだ生きていた。
本来目覚めるはずではなかったが、麻酔の手違いがあったのだと説明を受ける。
上半身を起こすためのベッドのハンドルを人工心臓にはめ込んでみると
あつらえ向きにぴったりとはまって手回し式の携帯人工心臓となり、
ベッドから起き上がって動けるようになった。手術前に出会った少女と再会する。
移植手術は成功し、少女はもうすぐ退院できる。
いなくなった自分を探す関係者を避けて主人公と少女は病院内の隠れ家に逃げこむ。
少女に心臓のハンドルを回してもらいながら(回すのをやめると即座に死ぬ)、
主人公は少女の膝の上で少し眠る。少女と会話をする。
血液型を確認すると、少女の心臓が自分から抜き出されたものであることは
間違いなかった。契約を履行するため主人公は手術台に戻る。少女には自分は詐欺師で、
適当なことを言って気を引きたかったのだと嘘をつく。
自分の死と引き換えに心臓の提供を受けられたのだと、少女に伝えたくはなかった。
騙されていたと思い少女は泣く。