【割腹自殺】●●三島由紀夫2●●【肉体改造】at BOOKS
【割腹自殺】●●三島由紀夫2●●【肉体改造】 - 暇つぶし2ch596:無名草子さん
10/06/06 11:13:02
あれはいつどういうときに勃発しているかと言いますと、元禄時代ですので、およそ享楽と歓楽の世です。
元禄の世の中は黄金万能主義で拝金万能主義の世の中だと。太平楽で一切戦争から離れて、元禄のデタラメかつ
狂乱の文化を謳歌していた時代に、突如として江戸に腹を斬らなければならない人たちが四十何人も出た
驚くべき事件が出来したと言っている。蘇峰はこれを大正時代の今日に東京丸の内へ虎が飛び出すよりも
驚くべき事件だと言っている。
つまり日本国民に潜在している尚武の気性は、歴史的にいよいよ危機になってくると必ず実践として噴出する
というわけです。山路愛山も福本日南も、歴代の近代ヒストリアンは皆同じです。
まさにその伝で三島由紀夫さんが身を捨てて、戦後の昭和元禄みたいな世の中に警鐘を鳴らしてくれたわけです。

杉原志啓「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

597:無名草子さん
10/06/06 11:13:37
確かに表面上はどんどん悪くなっていると思います。たとえば北朝鮮の拉致問題とか、憲法改正問題を含め
何一つ手を付けられない。その背後には日本国民の国家意識の問題がありますね。
たとえば有事法制を作った。北朝鮮で不審船の侵入事件がありましたが、あのときに自衛隊法八十二条で
海上警備行動を発動しようとしましたが、最初は巡視船でやっていて自衛隊はなかなか出ない。私が教えを受けた
坂本多加雄先生に言わせると内閣がもたもたしていたからだと言う。ではなんでもたもたするのかと言うと、
一般国民のなかにそういう構えができていないからです。しかし日本国民は健全だから必ず目覚めると常に
一貫しておっしゃっていました。私もそう信じています。三島さんのような人が、まさに昭和元禄の頃に
突如としてああいう行動を噴出させたようにです。

杉原志啓「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

598:無名草子さん
10/06/06 11:14:04
私はどんどん駄目になって遂に破滅に至る、日本が溶解するとは思っていません。近代以前もそうですけれども、
歴史を勉強しているうちに、そんなに捨てたものではないだろうと思うようになりました。
むしろこれから真の三島のような人がまた出てくるであろう。本当の危機のときに必ず日本人は英雄を生み出すと
山路愛山も徳富蘇峰も言っています。そちらのほうに私は賭けたいと思っています。
そもそも日本を溶解に導いているのは、むしろ政治家や知識人といったエリート層です。戦前も戦後も
そのパターンで、大衆国家日本の庶民の常識こそ信じたいのです。そしてそこから英雄が出現するだろうと。

杉原志啓「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

599:無名草子さん
10/06/10 00:04:51
戦後の日本人に大きな魂を残したのは、三島由紀夫と神風特攻です。これも実はフランス人がそう言っているんです。
ベルナール・ミローが『神風』という本を書いていまして、「特攻の精神は、千年のときを貫いて人間の
高貴さを示している」と1970年代に書いています。戦後の日本人に対して特攻隊と三島の死が非常に大きな
力と言いますか、日本精神の原点は何かということを教えてくれた気がします。
憲法の問題ですが、アメリカが作って翻訳された「たかが成文憲法」です。しかしこのたかが成文憲法を戦後
60年近く押し戴いている日本は一体なんなんだというのが私の今の正直な感想です。自民党がこうなったのも
当然だと思います。

富岡幸一郎「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

600:無名草子さん
10/06/10 00:05:25
三島が45年の11月25日に、自民党政権はもはや火中の栗を拾わない、すなわち憲法改正をしなくても
政権は維持できる。このことにどうして自衛隊の諸君は気がついてくれなかったんだと言っています。
そういう意味で、政治論ですけれども、たかが成文憲法を変えられない我々の問題も感じます。
あと二年のうちにということがどういう意味かと考えると、三島没後の72年にあれほど対立していた米中が
手を結びました。つまりあの瞬間に日本の憲法改正も、自衛隊が国軍になる日もなくなった。あるいはその
チャンスが失われかけた大きな危機だったのではないか。今はそれと同じ状況だと思います。スケールは違いますが、
同じ事態が出来している。アメリカと中国が経済同盟を結んで日本をスルーしていく。民主党政権の外交は全く
機能しておりません。

富岡幸一郎「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

601:無名草子さん
10/06/13 00:27:48
何年も前から檄文のなかにあった二年後というのが気になっていて、一体なんなんだろうとずっと考えていました。
あるとき気づいたんですが、一つは米中接近がありますね。もう一つは沖縄返還です。昭和47年に沖縄返還が
行われることは決まっていて、そのときにどういうかたちで返還されるのか。それによって日本という国家が
相変わらず独立できないまま半独立国家として、アメリカの永久占領が限りなく続いていくことを三島は見抜いていた。
彼が45年の生涯で書いたものの全てが、今の21世紀の私たちに突き刺さってくる問題ばかりを書いている。
それが天才の所以なんでしょうけれども、認識と行動の問題もつくづく考えさせられます。二元論に自分を
追い込んでいって、ラディカリズムがニヒリズムを克服するという方法論をとったのではないかと私は解釈しています。

西村幸祐「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

602:無名草子さん
10/06/13 00:28:20
(中略)
三島は現実的な問題も、十分捉えていたわけです。二年後に自衛隊はアメリカの傭兵になってしまうと
1970年の時点で言い切っていたのは、米中接近と沖縄返還のことを、すでに視野に入れていたということです。
(中略)
最近よく話題になる核のシェアリングの問題がありますけれども、そういったことも三島さんは考えていた。
それは日本の核戦略はどういうものになるのかと、40年前の時点で考えられ得る現実的なこともちゃんと
提起していた。国土を守るほうの自衛隊を、国軍として成立させることで、日米安保体制下のなかでの日本の
自主防衛をどうしていくかを、40年前のあの制約のなかで考えていたことは素晴らしい慧眼だと思います。

西村幸祐「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

603:無名草子さん
10/06/17 10:48:16
三島さんの檄文を読んでみますと、説明は少ないんですけれども、「アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を
守ることを喜ばないのは自明である」という文章があります。最後の部分で「今こそわれわれは生命尊重以上の
価値の所在を諸君の目に見せてやる」という有名な科白ですね。「それは自由でも民主主義でもない」と書いている。
これは普遍化のし過ぎかもしれませんけれども、先ほど富岡さんが言った特攻隊問題とも関係ありますが、
あえて分かりやすく言えば、三島さんは特攻世代です。帰されましたけれども、三島さんの頭のなかに、はっきりと
日本の特攻はアメリカ軍と闘ったんだという、当たり前のことが当然のこととして残っている。別に反米とか
なんかではないんです。三島さんの文学その他で、ほとんどアメリカのことなんて歯牙にもかけられていない。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

604:無名草子さん
10/06/17 10:48:36
逆読みをすると、アメリカなんかは、とてもではないけれども、文学者なり文学者の感性、美意識その他から言って、
自分たちがまともにそれを受け入れるべき存在ではないということが、三島さんにとってはおそらく自明のことだった。
したがって、アメリカが日本の自主独立を喜ぶわけがない。もっと言うとアメリカの自由民主主義は、まともに
受け取る必要のない価値観だと。僕自身が別の径路で誠にそのように思っているんです。
アメリカは元々文明の本質論として左翼国家だとしか思われない。左翼の定義はフランス革命に見られたように、
分かりやすく言えば、自由平等、博愛=友愛等々の、言わば理想主義的な綺麗事で、歴史に対して大破壊を
起こしていくことによって、そこから進歩がもたらされるんだと考える者が、十八世紀の末に左側に座ったと
いうだけの理由で左翼と言われていた。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

605:無名草子さん
10/06/17 10:48:54
アメリカは元々歴史感覚が、ないとは申しませんが、乏しい国です。アメリカの場合は言ってみれば個人主義的な
方向において近代主義を実現しようという巨大な実験国家だくらいにしか思われない。歴史に巨大な実験を
仕掛けているという意味において左翼国家だと考えるのが、文明論の本道だと思う。冷戦構造の他方の雄である
ソ連その他はなんであったかと言うと、近代主義的なものの考え方を、集団主義的、社会主義的に実現しようとした。
(中略)そう考えたら日本列島の戦後は、アメリカ的なものを保守と見なし、ソ連的なものを革新と見なす
などという馬鹿げた思想の分類軸で、自分を位置づけたり他人を評したりすることが半世紀以上にわたって
行われれば、元は立派な国民、民族でも大概頭も痺れるし背骨も溶けるだろうとどうしても推測してしまう。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

606:無名草子さん
10/06/17 10:49:31
(中略)
平成に入って少しでも日本がよくなったかと言うと、構造改革論は簡単に言うとアメリカ的なやり方で日本社会を
抜本的に構造的に改革した。典型的人物で言えば小泉純一郎をクライマックスとして現れた構造改革論です。
それがぐちゃぐちゃになったら、今度は鳩山なる人物が出てきて、社会保障だ、弱者救済だとやる。
ソ連がないからアメリカしか残っていないのですが、アメリカのなかにある主流と反主流のシーソーゲームを
日本列島に映し直しているだけです。(中略)
アメリカ文明は歴史が乏しいが故に、結局個人民主主義と社会民主主義の間のシーソーゲームを繰り返すしか
ないのがアメリカ左翼国家の宿命です。もちろんアメリカを馬鹿にしているわけではないんです。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

607:無名草子さん
10/06/17 10:49:53
(中略)
日本人全体が仮に頭のてっぺんでアメリカ様、進歩主義と言っていたとしても、歴史の慣性がありますので、
戦前戦中を経験した世代はその進歩主義のやり方、自由民主主義のやり方のなかに否応もなく日本の国柄を半ば
無意識に引きずっていた。したがって戦後日本の自由民主党が作り出した平等福祉国家は、たとえば日本的経営を
見ればよく分かるように、日本的なやり方をなんとか組み込むことによって、アメリカに近い国を作ってきた。
ところが昭和が終わる頃から世代交代が起こった。お年寄りの大半はどんどん死んでいく。まだ生存中でも
年寄りよりも若い者のほうがいいという理由で世代交代が叫ばれ、政治だけではなく学界だろうが財界だろうが
全部戦後世代です。
こう見えて僕は昭和14年生まれです。小沢一郎は僕よりも年下です。大概自分を見れば
あいつらろくでなしだろうなということは分かります。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

608:無名草子さん
10/06/17 10:54:11
戦後に生まれたからろくでなしと言っているのではないんです。戦後は次々と歴史を蒸発させてきた。
昭和世代がとうとう第一線から退くにつれて、ほとんど歴史が蒸発してしまうのが昭和64年までだったと
分かれば、平成の御代は所詮戦後体制の確立であり、憲法体制の一層の実現である。ある種段階的な変化が
ありまして、それこそ日本の国柄を無意識にも引きずるという、昭和の時代の常識の、最後のかけらまでもが
砂漠に没してしまった。歴史なき、国民意識として言えば砂漠のようなところに、結局アメリカで行われてきた
自由民主主義と社会民主主義の間の極めて人工的なシーソーゲームを、この平成の21年間たっぷりやったし、
これからもやり続けるのであろう。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

609:無名草子さん
10/06/17 10:54:31
こんなことをやっていれば、結局のところわが民族は、アメリカの半ば無自覚の猿真似のうちにギッコンバッタンで
脳震盪を起こして、そのうちにぶっ倒れるのが落ちである。
三島礼賛をする気はないけれども、心持ちから言えば、三島さんの猿真似でもやって、いつ何時でも死ぬに
やぶさかではないぞというくらいの感じでいるべきです。三島さんが最後どうして自死できたかと言いますと、
本当に絶望していたのではないか。何に絶望していたかと言うと、馬鹿な文学者たちは、三島さんのことを
自分の文学の能力の限界に絶望したなんてアホなことを言っていますが、そうではなくて、日本人に絶望して
いたのではないか。あれからもう39年です。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

610:無名草子さん
10/06/17 10:54:51
全く希望がないとは言わないけれども、39年という凄まじい時間の持続を経て、我々がどれほど深々と砂漠の
なかに足を突っ込んでいるかを考えたら、そこで尚かつものを言うとしたら、日本人にはほとんど一切希望を
持つことができない。要するにこの社会はいずれどうしようもなく大脳震盪を起こして、周章狼狽、茫然自失に
陥るであろう。皆さんを励ます意味で言うと、何かある程度の覚悟と認識を持って、ある程度責任ある行動を
とろうとしたら、ほぼ負けを覚悟しないといけない。頑張ればいいことが起こるだろうなんていう生易しい
状況のなかにあるのではないと思います。逆に言うと、負けを覚悟しないとものを言う気がしません。
勝つだろうなんていう希望はどこを見渡したってないのに、「頑張れば勝ちますよ」と言うのは、最も人間を
疲れさせる励ましの言葉であって、高らかになんの希望もないのであるとにこやかに言うべきだし、本当に
そこまできていると思っています。

西部邁「第39回憂国忌『現代に蘇る三島由紀夫』」より

611:無名草子さん
10/07/01 12:28:26
『潮騒(しほさゐ)に、伊良虞(いらご)の島辺(しまへ)、漕ぐ舟に、
妹(いも)乗るらむか、荒き島廻(しまみ)を』

(さわさわと波がさわいでいる伊良虞の島のあたりを漕いでゆく舟に、
今ごろあの娘は乗っているのだろうか、潮の荒いあの島の廻りを。)

詠人 柿本人麻呂


三島由紀夫は、万葉集に歌われている伊良湖岬を歌ったこの歌から「潮騒」の題名をとりました。
この歌は、持統天皇が伊勢に旅された時に、都に残った柿本人麻呂が詠んだ歌です。

ちなみに、潮騒を万葉仮名で書くと『潮左為』です。

612:無名草子さん
10/07/15 19:56:19
 松本徹先生『三島由紀夫を読み解く』がNHKテキストに
  ラジオ第二放送で7月から9月放送のテキストです
****************************************

 NHKカルチャーラジオ『文学の世界』は、七月から九月が松本徹(文藝評論家、三島文学館館長、憂国忌発起人)が語りおろす「三島由紀夫を読み解く」である。
 放送日は七月から九月
 木曜日 午後八時半から九時
 再放送は
 金曜日 午前1015-1045

 なお写真十数葉を配した、松本先生執筆のテキストはNHKから出版されており、書店で買い求めることができる。
 NHKカルチャーラジオ 松本徹 『三島由紀夫を読み解く』(857円)

613:無名草子さん
10/07/26 11:54:39
小林:ぼくはあれを読んでね、素直に言うけどね、きみの中で恐るべきものがあるとすれば、きみの才能だね。
つまり、あの人は才能だけだっていうことを言うだろう。何かほかのものがないっていう、そういう才能ね、
そういう才能が、君の様に並はずれてあると、ありすぎると何かヘンな力が現れて来るんだよ。魔的なもんかな。
きみの才能は非常に過剰でね。一種魔的なものになっているんだよ。ぼくにはそれが魅力だった。あのコンコンとして
出てくるイメージの発明さ。他に、君はいらないでしょ。何んにも。

三島:ええ、何んにも。

小林秀雄との対談「美のかたち―『金閣寺』をめぐって」より

614:無名草子さん
10/07/26 11:54:57
小林:その才能さ。その才能の過剰だよ。これが面白い。面白いっていうのは、いい意味だよ。ぼくはだから
退屈しなかった、ちっとも。たしかに、きみは人を乗せた、乗せてどんどん運んでいったよ。そういうものの中に、
ぼくは力を認めたね。

小林秀雄との対談「美のかたち―『金閣寺』をめぐって」より

615:無名草子さん
10/07/27 08:17:52
次スレのタイトル
【ホモ】三島由紀夫【チビ】

616:無名草子さん
10/07/31 23:54:46
8/6(金) 17:45~18:00
NHK BS hiにて
三島由紀夫の自作朗読「サーカス」放送。
解説ドナルド・キーン


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