10/09/28 12:29:32 pMP8HCV9
「多分はじめまして」
大学の講義が早めに終わったので、学食で少し早い昼飯を食べていたら、後ろから「久しぶり~! 元気にしてた~?」と声をかけられた。
何事かと振り向くと、見たことのない綺麗な女性が笑顔で俺に手を振っていた。
なんということだ。こんな美人が同じ大学に通っていたのか。
しかし俺は彼女のことは知らない。
「ええと……失礼ですけど、どちら様ですか?」
「えー? うっそ! 私のこと覚えてないの?」
「はあ。多分はじめまし……でえ!!」
襟を思いっきり引っ張られた。
「私のことを忘れたなんてありえない! 多分記憶を消されたんだわ!」
そう言って彼女は俺の手首を掴み、強引にどこかへ連れて行こうとした。
「あだだだだ!! ちょ! どこ連れてく気っすか?」
「司令部に決まってるでしょ!!」
「司令部ぅ?」
「そうよ! 『対エメラウス星人撃退対策司令部』!」
「なにそれ!」
すると、突如地面が競り上がり、簡易トイレのようなシェルターが現れた。
中に連れて行かれると「司令部」と汚い字で書かれた小スペースがあり、真ん中に見知らぬおっさんが座っている。
「おー! よく来たな、武田隊員! 元気にしてたか」
もう、なにがなにやらわからない。
二人の視線を感じる中、俺は「多分、はじめまして」とひねり出すのがやっとだった。
「最後の三分間」