02/03/16 16:47
>>134
そういうふうにも言えなくもない。
ただ島尾の場合は「自他共に認める」というものがない。
自身が精神病みのひ弱な学生士官であって、厳然とした社会性と
うまく折り合いをつけている部下たちに圧倒され続けたと島尾は記述するが、
実は、彼は温厚で信頼の於ける上官であったと、後日部下であった
人たちは語っている。
なにか我々にはわからないものを見ていたが故に彼の感覚は
常にずれてしまう。
言葉にならないものを言葉で包むことによって表現しようとした
島尾は確かに「私」小説作家かもしれないが、それは
所謂「私小説」とは違うものだと私は思う。