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「すべて真夜中の恋人たち」
津原泰水「赤い竪琴」や川上弘美「センセイの鞄」からの盗用が目立つが、
オリジナルには遠く及ばない。近年まれに見る駄作。
三本めを飲みはじめるなり酩酊を意識し、この状態なら話せるという奇妙な確信がわいた。
番号は指が覚えてしまった。-略-
「日記の鑑定、どうなったか気になってしまって」
嘘をつきながら、私は自分の呂律がまわらないことを発見していた。なんたる失態。
津原泰水「赤い竪琴」2005年刊行・p.130
酔いが覚めてしまったときのためにバッグには日本酒をいれた新しい魔法瓶を持っ
てきてはいたけれど、今日は飲み足す必要はないみたいだった。-略-
「眩しいですねえ」
「貧しい?」
「まぶしい」とわたしはひとつひとつをしっかりとおおきく発音して言った。
「まぶしい、です」
川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」p.69
想い人と話す前に飲酒せずにはいられず、その挙句、呂律が回らなくなるという
展開に至るまで酷似している。極めて悪質な挑発的盗用と言わざるをえない。
作品の質については言わずもがな。複雑巧緻な構成と芸術的香気溢れる「赤い竪琴」
と、ありきたりで拙劣な構成・特定の読者層に対する媚びとメロドラマ的安直さに
満ち満ちた「すべて真夜中の恋人たち」を比べてみるがいい。
まともに小説が読める人間であれば一読瞭然だろう。