11/08/08 01:03:54.92
で、そのあとも
>我々の一生などは露の命であるにすぎず、その我々が絶対不変の制度だの永遠の幸福を云々し
>未来に対して約束するなどチョコザイ千万なナンセンスにすぎない。無限又永遠の時間に対して、
>その人間の進化に対して、恐るべき冒涜ではないか。
などと、いいたい放題いうのだが、さすがに言い過ぎとおもって
>我々の為しうることは、ただ少しずつ良くなれということで、人間の堕落の限界も、実は案外、
>その程度でしか有り得ない。
という具合に話を締めにかかるわけだ。この「良くなる」というのが、何が良くなるのを意味するのか
それは簡単には把握できないと思われる。社会制度の漸進的進歩か、個人の倫理的陶冶か、いままで
あらゆる道徳的価値をさんざんひっくり返しまくったあげく、あらわれたこの「良くなる」にどのような
内容がありうるのか、安吾自身、そのような可能性の余地を、既にほぼ抹殺しているようにも思われる。
このような展開は、破滅型、自己破壊の情熱に駆られた文学者にふさわしい弁証法だと俺はおもうなあ。