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名張事件の奥西死刑囚が85歳に 無実訴え半世紀
2011年1月15日 朝刊
三重県名張市で1961年3月、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件で、72年に死刑確定後、再審請求中の奥西勝死刑囚が14日、85歳になった。
「時間との闘い」の中、再審を認めるか否かの司法判断はいつ出されるのか。
審理を名古屋高裁に差し戻した昨年4月の最高裁決定から9カ月。
高裁は昨年中に事件当時の鑑定の再実施を決定するとみられたが、条件設定や鑑定人選びが難航している。
事件当時の三重県衛生研究所による鑑定では、現場の飲み残しのぶどう酒から、奥西死刑囚が犯行で使ったと自白した農薬「ニッカリンT」に含まれているはずの不純物が検出されなかった。
比較のため同研究所がぶどう酒にニッカリンTを混ぜた溶液の検査では、不純物が検出された。
再鑑定はこの食い違いの理由を明らかにするのが目的だが、事件当時の鑑定は1960~70年代に使われた古い手法。
気温や湿度の影響もあり、再現は簡単ではない。
再鑑定を実施しても、再審開始の必要性を判断できる明白な結果が出る保証はない。3月で事件発生から半世紀。
弁護団の平松清志事務局長は14日、名古屋市内で「奥西さんの命は永遠ではない」と訴えた。