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水俣経験、水銀規制で存在感示したい日本 実は輸出国
2011年1月15日15時0分
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途上国を中心に汚染の広がりが懸念される水銀。
その工業利用や、大気への排出を規制する新条約の交渉委員会が24日から千葉県で始まる。
水俣病問題をきっかけに脱水銀が進んだ日本は、条約を「水俣条約」と名付けたいと意気込む。
だが、日本は水銀の輸出国。
NGOは「輸出された水銀が違法ルートに流れ、汚染につながっている恐れがある」と批判、政府の対応が問われている。
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束になった蛍光灯を1本ずつ手に取り、従業員が破砕機に入れていく。
北海道北見市、標高700メートルの山中にある野村興産イトムカ鉱業所。
自治体で分別回収された使用済み蛍光灯や古い乾電池が、全国からここに集められる。
水銀を取り除いた蛍光灯や乾電池はガラスや鉄に生まれ変わり、除いた年間約15トンの水銀も再利用される。
安藤直樹所長は「条約ができれば、水銀をどううまく使い、管理するかが問われる。日本のリサイクル技術は重要性を増す」と胸を張る。
かつて、ここは東洋一と言われた水銀鉱山だった。高度成長期、水銀は塩化ビニール工業などで大きな需要があった。
閉山し、リサイクル工場になったのは、水俣病問題がきっかけだ。
水銀は有害な物質で、大量に取り込むと中毒性の神経症状などを引き起こす。
水俣病の原因は工場の排水中のメチル水銀で、汚染された魚を食べた住民が発症した。
1968年に水俣病を公害病認定した政府は、73年、企業に水銀利用からの転換を通達。
企業は代替技術の開発を進めた。64年に約2500トンあった国内需要は、05年には約10トンに激減。
日本は今や世界に類を見ない「脱水銀国」だ。
水俣病の経験から生まれた技術を世界に発信し、削減に貢献したい―。
政府は途上国への技術協力を前面に掲げて交渉をリードし、「水俣条約」を実現したい考えだ。