10/12/13 21:23:07
352 名前:名刺は切らしておりまして :2010/12/13(月) 21:07:30 ID:2tsR4loA
■中野剛志 『自由貿易の罠―覚醒する保護主義』 2009年、青土社
URLリンク(www.amazon.co.jp)
この罠に嵌ったままなら窮乏化
実際に、自由貿易パラダイムから保護貿易パラダイムへの大転回の予兆は、すでに現われはじめている(・・・)
クルーグマンは言う。「保護主義について良いことを言ういかなる理論も間違っているなどと言わないでもらいたい。それは神学であって、経済学ではない。」 本文より
相変わらずの切れ味スルドイ分析, 2009/12/16 By じゃが~
金融危機以降、各国が保護貿易主義を警戒している。それが世界恐慌を生み、第2次世界大戦の引き金になったという説があるからだ。対して著者は、自由主義を検証することにより、通説とは逆に保護主義が金融危機を救うとの説を展開する。
まず、自由主義こそが賃金向上を阻み、世界的なデフレ、そして今回の金融恐慌の原因であると説く。逆にこの時期の保護主義は内需を拡大させ、他国の外需をも引き上げる。保護貿易でなければ、財政出動は単に海外への資本流出に終わってしまう。
これは、製造業移転や様々なサービス業のオフショアなどで賃金が下がり続けた先進国や、大規模な財政出動が海外に流出するだけの米国の現状を端的に表している。自由主義の罠である。
また、社会民主的な政府でないと自由貿易で不利益を被った人を救えない。グローバリズムには大きな政府による国内への積極的な関与が必要なのである。
自由主義を絶対視する主張には根本の仮定に無理があるし、自由主義者は政府を信用していないから、放任的な自由主義に走る傾向がある。ある程度の保護主義が自国の文化や生活様式の自由を守ることは十分納得がいく主張である。