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諫早、二審も開門命令 漁業被害を認定、福岡高裁判決
2010年12月7日 朝刊
有明海の漁業不振は国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防閉め切りが原因だとして、海に面する4県の漁業者らが国に堤防の撤去や排水門の開門などを求めた訴訟の控訴審判決で、
福岡高裁は6日、一審佐賀地裁判決に続き、南北排水門を5年間常時開放するよう命じた。
判決理由で古賀寛裁判長は、堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を認め「漁業行使権の侵害状態は違法だ」と判断。
「生活基盤に関わる漁業行使権が高度の侵害を受けているのに対し、堤防の防災機能は限定的。営農に必要不可欠ともいえない」と述べ、やむを得ない場合以外は常時開放するべきだとした。
国側は上告するかどうか検討するが、一審判決後も開門調査実施の判断を先送りにしてきた政府に、早急な決断を求める声が高まるのは必至。
半世紀をかけた巨大プロジェクトは大きな岐路に立たされた。
判決は、堤防閉め切り後に漁獲量が減少する要因が複数生じたとして、有明海のうち諫早湾と周辺海域に限定して被害との因果関係を認定。
「調査のため、一定の期限付きで開門を認めるのが相当」として期間を5年とし、防災機能などの代替工事のため3年間猶予した。
国側は一貫して事業と漁業被害の因果関係を否定。開門すれば、防災機能が低下するほか、調整池に海水が入って農業用水が確保できないなど甚大な損害が出ると主張したが、
古賀裁判長は「現時点で、常時開門することで過大な費用を要する事実は認められない」としたほか、営農地に塩害が生じるとの主張も「立証されていない」としていずれも退けた。
控訴審では、一審で因果関係が否定され控訴した漁業者9人も、新たに被害が認定された。
2008年6月の一審判決は、原告約50人について因果関係を認定し、常時開門を命令。中・長期の開門調査を実施することも付言していた。
国は、一審判決後に開始した環境影響評価(アセスメント)の中間報告がまとまる来春以降、開門調査実施の可否を判断するとの見通しを示している。