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8年前のスペイン沖重油流出事故 今なお残る痕跡
5月10日16時27分配信 CNN.co.jpムシーア(CNN)
2002年にスペイン沖で起きた史上最大規模とされる重油流出事故は、8年経った現在も地元地域の住民や生態系に深刻な被害を及ぼしているようだ。
2002年11月、スペイン北西部ガリシア地方沖でバハマ船籍の重油タンカー「プレステージ」号が暴風雨に見舞われ座礁、船体の亀裂から大量の重油が流出した。
スペイン政府は沿岸部への被害を食い止めるため、タグボートで沈没船を沖合にえい航するよう命じた。
だがその数日後、船体が二つに折れて海底に沈没。
重油が海に流れ出し、数百万ガロンに上る重油が沿岸地域に打ち上げられた。
このプレステージ号の沈没は、史上最大規模の重油流出事故のひとつとされている。
10万人以上ものボランティアが油膜の除去作業に追われた。
スペイン政府および欧州連合がこの除去作業に費やした費用は数十億ドルに達したという。
世界自然保護基金(WWF)によると、事故による環境汚染で推定25万羽に上る海鳥が被害を受けた。
さらに、ガリシア地方沖沿岸の漁業は重油汚染のために操業停止に追い込まれた。
地元住民らは事故から8年後の今もなお沿岸にタールの塊などが漂着すると言う。
漁業はその後再開され、現在の水揚げ量は事故発生以前のレベルにまで回復しているが、地元で漁業を営むある男性は
「問題は経済面だけではない。地域の生態系、とりわけ地元住民の健康への被害が深刻だ」と語る。
スペインのラ・ラグーナ大学は、2006年に同事故の影響に関する調査結果を発表している。
これによると、油膜の除去作業を行ったボランティアには、血液細胞に受けた遺伝子損傷のレベルが増加していることが判明した。
また、タバコ喫煙者と同様の高レベルの重金属が検出されたという。
この調査は、油膜除去の際着用していたフェースマスクなどの装備が不十分で、空気中を漂う汚染物質を十分防ぐことができなかったと結論づけている。
別の調査では、ガリシア地方沖沿岸に生息する甲殻類の遺伝子に変異が起きたことが明らかになっている。