10/03/10 18:44:54
>>686
文字に起こしてみた
蒼早苗というトンボがいる。空を飛ぶ姿はさながら
星流のようで、とても美しい。オスもメスも共に頭部と胸部が翠玉
石のように鮮やかな緑色をしている。その色彩から他種類との区別
は容易にできる。日本にいるトンボの中で最も美しい部類に入ると
俺は思う。俺が始めてこのトンボを見たのは小学四年生の夏。長野
のとある綺麗な川で美しく羽を広げて飛ぶ二匹(多分オスとその
嫁であろう)のトンボを見た。以来、俺は蒼早苗に取り憑かれた。
トンボの魅力の一つに、あの独特の飛び方がある。蝶や蜂等とは
異なった飛び方、前にしか進まずに、後退しない飛び方。これは私
論だが、だからこそトンボは美しいと感じるのだと思う。戦国武士
は、決して退却しない飛び方をするトンボを、戦に勝てる縁起虫と
認識して、武具の装飾等にトンボ模様を好んで使用した。そんな厳
めしく、神々しいトンボは、俺の憧れの存在だ。俺もトンボのよう
な人間になりたい。そんな俺はいつもやる気だけがとんぼ返りして
いる。