09/05/07 10:20:39
つい先程まで身もすくむ程ような冷たさだった背も、今は火照った身体には丁度良い染み渡る冷たさになった。
息を吐くたびに重ねられる口付けに、俄雨は息絶え絶えになりながらも、雷光からの施しを受ける。
唇を舐められ、何度か唇を合わせた後に、そっと下唇を噛まれ、次には唇の間を割って口内をあまねく嘗め尽くされる。くちゅくちゅと僅かに響く水音に隠し通せないほど顔を赤らめ、既に力が抜けて立つ事も難しくなっている。
それでもどうにか立っていられるのは、押さえつけられるように雷光が抱き締めてくれているのと、股下に割り込まれた太腿の所為。
おそらくだいぶ体重をかけてしまっているが、その事に気をとられている暇などもはや無い。
背後ろにある、冷たい鉄板一枚を隔てた向こうは、マンションの渡り通路なのだ。
それなりにドアの厚みはあるにしろ、聞こえないという保証はない。むしろ、つい先程、お隣の人が外出していく足音が聞こえたということは、こちらの音が漏れる可能性も大なのに。
声を抑える自信がない。
口を押さえたくても、雷光の口付けはまだ続いている。気まぐれに漏れ聞こえる自分の声に羞恥を覚え、それでもなるべく声は抑える事に集中しようとしていたのに、そんなことはお見通しとばかりに、すぐに咎められてしまう。
「どうしたの、俄雨?いつもみたいに可愛く啼いて?」
ようやく離れていった唇が俄雨の耳元でささやく言葉に、僅かに首を振った。
だって、そんなの雷光さんにしか聞かれないとしても恥ずかしすぎるのに。
「・・そう」
自分のお願いに否定する俄雨にとても残念そうに呟いた雷光は、俄雨の股の間に差し込んでいた足を更に密着させるように擦り寄せた。今まで触れもしなかった弱い所を刺激され、その不意打ちに俄雨はたまらず声を上げた。
「ぁ・・っ」