09/10/02 23:37:15 YEr9VUMw0
>>255
確かR-TYPE3でバイドについての設定が付与された時に明言されていた
257:大神
09/10/03 02:12:27 NNrEzqko0
大神行きます
まあ途中放棄は悪だと自分も思うし、何とか最後まで行ってみま
大渦海鳴門をくぐり、海の底へとやってきたアマテラスたち。
アマテラスの苦手な水中ではありますが、ここでは大きな気泡が身体を覆ってくれ、普通に息が出来るようです。
龍宮城の門の前までやってくると、こんな所に龍神族以外の者(しかも狼)がいることに驚いた門番が声をかけてきて、早速イッスンが
「オイラは西安京筆頭、ヒミコ姉ェの防波堤――旅絵師イッスンさまだィ!!」
ついこの間までさんざん疑ってきたヒミコの虎の威を借る、なんとも調子のいい啖呵を切ります。
下っ端じゃ話にならない、オトヒメを出せというイッスンの無礼な態度に、しかし門番たちは
「なに?ヒミコ?あの西安京の女王、ヒミコか?……という事はあの白き獣は……」
なにやら意味深に顔を見合わせると、「玉座の間にて話を伺おう!」とあっさり門を開いてくれました。
首をかしげながらも龍宮城の中に入るアマテラスたち。
城の住人も皆いちようにオトヒメの所に向かうようにすすめ、ますます妙な感じです。
大広間の奥、石造りの玉座に腰掛けていたオトヒメはお約束に違わず美しい女性で、
問い詰めようと声を荒げかけたイッスンは、案の定出鼻をくじかれてしまいました。
なんとオトヒメはアマテラスが神様である事を先刻ご存知の様子。
そして彼女が言うにはひと月前、突然妖魔の城「鬼ヶ島」が現れ、大ピンチに陥った龍宮を救うため、
彼らの神である水龍は妖魔たちと戦い大半を蹴散らしてくれたものの、
妖魔たちの首領の持つ強大な妖力の前にねじ伏せられ、深手のあまり自我を失ってしまったというのです。
妖魔軍は去りましたが水龍は乱心したまま。
神である水龍を操るすべなどありようもなく、むしろ彼女らこそが水龍の脅威にさらされている最たる者たちだったのです。
「あの水龍には鬼ヶ島の結界を破る力があるんだろォ?その力が借りられないんじゃ敵陣に攻め入る事が出来ないぜェ!?」
愕然としてイッスンが叫びました。正にそれこそが妖魔の狙いだったとオトヒメも肩を落とします。
「……しかし」と彼女は言葉を繋ぎました。水龍の力を借りる術はまだ残っていると。
「何だってェ!?そ……そういうモンがあるなら先に言えよォ、ワカメ姉ちゃん!」
と勢い込んでイッスンが尋ねます。
ちなみになんでワカメかって言うとオトヒメの羽衣(昔話でよく見る天人的な人が纏ってるアレ)がワカメ製だから。
とにかくオトヒメが言うには他に手段がないではないのだが、それはとても危険な方法で彼女たちには成しえず、
その為にアマテラスをここに呼んだのだそう。
「分かった!水龍の首に鈴でも付けて来いって言うんだろォ?まったく無茶言いやがらァ!」
と捨て鉢ながらもしょうがないといった態でイッスンは言いましたが実際彼女がいう「方法」とはそれに輪をかけて無茶も無茶、
水龍の腹の中にある力の結晶、秘宝「龍玉」を持ち帰ってきて欲しいというものでした。
258:大神
09/10/03 02:13:58 NNrEzqko0
「そりゃアンタ、いくら何でもあり得ねぇ話だってェ!」
とイッスンが焦りまくって拒否しますが、もはや鬼ヶ島の結界を破るにはこれしかないとオトヒメは懇願します。
「待て待て待て待てェ!オイラ、カワイイ姉ちゃんのお願いは断らねぇ主義だけど、
このアマテラス大先生が首を縦に振らねぇんじゃ、どうにも……」
とイッスンが渋る端からアマテラスは以下略。
結局(イッスンのみ)ぶつくさいいながら水龍の腹の中に潜る事になったのでした。
「貴殿に水龍様の守りのあらん事を!」と見送る警護の人に
「その水龍が今厄介な事を仕出かしてんだろォ!?」イッスンが当りつつ、
水龍が居る龍の庭(なんと水龍は龍宮の庭を寝床としているのです)に向かいます。
女ばかりの龍宮の住人たちに、こんな時にも拘らず、イッスンが鼻の下を伸ばしたりしながら奥まった一郭にやってきますと、
地面に大穴が開いており、覗き込むとそこにはずらりと牙が並んだ龍の巨大な口が。
「あのデカい口……あんなモンの中に飛び込んで本当に帰ってこれるのかよォ?」
とついこないだ人の体内に飛び込んだばかりのイッスンがこの期に及んでしり込みしますが、
アマテラスは構わずえいやっと一跳び、二人の姿は大きな龍の喉の奥へと消えていきました。
龍の体内はジメジメとして暑苦しく、辺りには奇妙な木やきのこが生えており、あちらこちらに滝がある、まるで洞窟のような場所でした。
「胃液で溶かされた人間とか……嫌なモン、転がってねェだろうなァ?」
と怯んだ様子のイッスンを乗せて奥へ奥へ、最奥の行き止まりまでやって来ますと奇妙なものがありました。
突き立った二本の青白い肉の柱、その真ん中に大きなガラス玉が、幾つもの脈打つ肉の筋に支えられて浮いているのです。
これだけ厳重に守られているという事は、きっとこれは水龍にとって大事なもの。
つまりこれこそが龍玉に違いありません。
何とか取ろうとしてみますが、アマテラスの力では歯が立たず、
仕方なく手段を探して脇道を進んでみますとやはりこれまた行き止まり。
奥はこれまでの場所に流れていた普通の水(……といっても水龍の体内ですから
本当に普通の水かは分かりませんが)とは違い、なんだか毒々しい赤い液体をたたえた池になっていて、
天井に空いた太い管に詰まった肉塊から更にぽたぽたと赤い液が垂れ落ちてきています。
「気味が悪ィから、やたらにイジるんじゃねェ!」
というイッスンを尻目に、池に生えた台座に飛び移ったアマテラスはしれっと「水郷」の筆業を発動。
赤い水を下から上に奔らせて天井の肉塊にぶつけます。
すると肉塊が溶け出して、水が一層激しくぽたぽたと落ちだしました。
どうやら赤い液は酸のようなもので、肉の塊は蓋の役目をしているようです。
最初こそ「何やってんだィ、アマ公!」と焦ったイッスンですが、アマテラスがじゃんじゃん赤い水を肉塊にかけ続けると
終いには「あの肉の塊が溶けたら……オイラもちょっと興味出てきたぜ」なんて事を言い出し、
そのまま水をかけ続けるとついに肉の塊はぼぶよんと震えて消え、蓋がなくなった管から赤い水が大量にほとばしりました。
259:大神
09/10/03 02:15:30 NNrEzqko0
床は水かさを増した赤い液に浸かってしまい、煽ったくせにイッスンが
「お前、デタラメに水龍のはらわたン中を引っ掻き回してねえか!?」
とアマテラスを責めましたが、洞窟の床一面が赤い水浸し……という事は、と戻ってみますと案の定、
龍玉の台座周辺も赤い水に浸かっています。
さっそくさっきのように赤い水をばっしゃばっしゃ龍玉にかけてみますと肉の筋は次々と消え、
ついにアマテラスは秘宝「龍玉」を手にすることが出来ました。
「後はヒミコ姉ェが千里水晶で鬼ヶ島が現れる場所を暴き出せば敵の牙城はもう丸裸だィ!」
はしゃぐイッスンですが、ふと気遣わしげに空になった台座に目を向けます。
「でも、玉コロを無理やり体から引っぺがしたけど――あれで良かったのかァ?」
ともあれ、こんなところに長居は無用と脱出しようとしたその時、周囲に妖しく輝く光の球が現れ、
アマテラスたちを取り囲むようにしてくるくると旋回し始めました。
水龍に飲み込まれた人間たちの怨念か、と一旦は思ったイッスンですがすぐに違うと気付きます。
「イ……イヤ、これは人間の魂なんかじゃねェ、この不気味な色は……キツネ火だァ!」
その叫びに応えるように、紫の光たちが一斉にこちらへ向かって突進しましたが、
アマテラスはひらりと一跳び、宙で身をひねってそれをかわしました。
敵をしとめ損ねたキツネ火がぽうんと煙を放つとその中から飛び出したのは八匹のキツネたち。妖怪「管狐」です。
アマテラスがこれを退けると敗れたキツネたちは再びキツネ火に変わり、それが回転しながらアマテラスの頭上で一つになると、
九つの竹筒が組み合わさった不思議な道具になりました。
これこそ妖器「キツネ管」。
これを捜し求めていたツヅラオは、確か「妖魔を退治するための絶世の宝物」と言っていた筈です。
しかし、実際その中から現れたのは、退治されるべき妖魔……一体どういう事なのでしょう。
考え込むイッスン、と不意に辺りを激しい地鳴りが襲います。
何事かと見回していると天井から赤い液体がばしゃ、ばしゃと次々落ちてきました。やはり無理やり玉を剥がしたのがよくなかったようです。
慌てて避けて、まるで○ェラーリの跳ね馬エンブレムのように後足で立ち上がったアマテラス。
「このままじゃ胃酸で溶かされちまわァ!とにかく出口まで突っ走れェ!」
と叫ぶイッスンに否も応もなく、落ちる胃酸をよけつつ遮二無二ダッシュをしまくって、やってきた道を逆戻り。
なんとか脱出して水の中を見下ろすと「す……水龍が……死んじまったァ……?」
細長いシルエットを持つ巨躯がゆっくりと沈んでいくのが眼に入りました。
260:大神
09/10/03 02:19:46 NNrEzqko0
「これじゃ竜玉が手に入ったって、操る竜がもういねぇじゃねェか。
てことは……ヒミコ姉が鬼ヶ島の現れる場所を暴いたとしても、島の結界を破る方法がなくなっちまったって事じゃ……」
呆然とイッスンが呟いていると、眼下でちかりと瞬くものがあります。
「な……何か来るぞォ」
叫ぶ間にも光は近づき、気がつくと辺りが金色の光に包まれた、筆神の現れた時に変わる神様ゾーンになっていました。
いつの間にか辺りを充たしていた水がなくなり、あわあわと落下するアマテラス。
着地して、さっきまで相対していた光の主を見上げると、
「慈母アマテラス大神……初めてお目にかかる。
今となってはゆっくり語る時間もないが……貴殿には礼だけは言わねばなるまい」
皇帝のような豪華な衣装に恰幅のいい体を包み、長い髭を垂らした男性がこちらを見下ろしています。
「礼……?あ、あんた、誰だィ?」」とイッスンが尋ねると、男は龍神族の族長、龍王ワダツミと名乗りました。
つまりはこの男こそ海神水龍、その化身ということです。
男は更に語ります。妖魔の侵攻のこと、妖魔王と戦ったが、その妖器を奪い、体内に封じるのが精一杯だったこと、
そのせいで自我を失い、暴龍と化してしまったこと。
「そりゃもしかしてこの……」とイッスンがキツネ管を取り出すとワダツミは頷きました。
「それがなければ妖魔王は己の妖力を振るう事ができない。
今頃彼奴らは、それを取り戻そうと血眼になって探している事だろう」
そして、アマテラスにならばこれを安心して預けられると。
それから彼が彼の妻オトヒメにアマテラスが手に入れた「龍玉」を(なんとこれは龍の心臓なのらしい。オトヒメさま……(ノД`))
渡して欲しいと頼むと辺りの景色が再び海中に戻り、ワダツミは「おお……我が命、もはやこれまでのようだ」と呟きました。
乱心していたとは言え余りに多くの人を殺めてしまった彼は、
せめてその者たちの魂の安楽を、両島原の民が愛したこの紺碧の海の底で永遠に祈るといいます。
「……さらばだアマテラス大神。貴殿の武運を……祈っているぞ……」
その言葉を最後に彼の姿は見る見る内に海底へと吸い込まれ、暗闇の中に消えました。
アマテラスが彼の残した龍玉を見上げると、輝きを増したその光が二人を包み、龍の庭へと運びます。
戻ってきたアマテラスが辺りを見回していると、その背後に駆け寄る人影があります。
振り返るとそこには見事な乳が!……じゃなくてツヅラオが。
「おお、アマテラス殿!よくぞご無事で……」
乳にしか焦点があってなかったカメラの目線が、しなを作るように腰を曲げたツヅラオの顔にようやく合い、
けれどもアマテラスは前みたいにそれに見とれる事もなく首をかしげ、
おかげで前と同じく悩殺されたイッスンが地面に落ちて「ボ……ボイン……」と呻きました。
261:大神
09/10/03 02:21:23 NNrEzqko0
浜辺から水龍が苦しむのが見えたので、というツヅラオに、イッスンが得意げに武勇伝を語ろうとしましたが、
勢い込んだ様子のツヅラオはそれを途中で遮って水龍がどうなったのか尋ねます。
腰を折られて不満げながらもイッスンが事の顛末を語ると共に、水龍を狂わせていた原因のキツネ管を取り出すと
「そ……それが、キツネ管……」と身を乗り出すツヅラオ。
ツヅラオはこれをヒミコが他国から取り寄せたといい、だからわざわざ沈んだ宝物船にまで行ったのに、
水龍はこれを妖魔の頭領から奪って飲み込んだと言います。
今更ながらの矛盾に気付き……と言うか無駄足を踏まされた事に気付いたイッスンがカンカンになりますが、
ツヅラオはその抗議にも上の空で適当に誤魔化し、事は一刻を争うと妙に焦った様子でキツネ管をよこすよう迫ってきます。
これは妖怪共が血眼になって探しているものだから、ヘタに持っているのは危ないと
イッスンがキツネ管を引っ込めかけたその時、なぜかアマテラスがそれを鼻先でちょいと投げ上げ、ツヅラオに渡してしまいました。
これにはイッスンとツヅラオ双方が面食らいますが、
すぐにツヅラオは「何とも怪しく艶かしい輝きを放っておる」と、手の中の妖器に夢中になります。
「とにかくこれさえあれば、我が法力を極限まで高め――妖魔どもを片端から退治る事が出来るわ!」
……アマテラスがあんなに苦労した龍宮来訪をアッサリこなしてしまうような法力なら、もう現時点で片端から退治れるような気もしますが。
とまれそう勢い込んだ後にツヅラオはハッと我に返った様子で
「いや……この力でヒミコ様をお守りする事こそ我が本分。
アマテラス殿、ご心配召されるな。このツヅラオ、今より都に馳せ参じ――命に懸けて己の役目を果たすものなり!」
ぽいん☆とおっぱいを揺らしながら片手を上げて宣言したのちに、とうっと宙へ飛び上がり、そのまま門をくぐって駆け去ってしまいました。
その後姿に「命を懸けてって……だから死んじまったらダメなんだってェ!」と呆れるイッスン。
さて置き、水龍の力はもう借りられないかもしれないけれど、それでもオトヒメたちにとって宝物である龍玉を
彼女らに返してあげるべく、アマテラスたちは玉座の間へと向かうのでした。
262:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 02:31:09 NNrEzqko0
ここまでで
263:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 09:00:39 4RJJ5BRsO
乙
>>256
なるほど3か。
タクティクスしか覚えてないから知らんかったわ。THX
264:王子さまLv1
09/10/03 21:40:09 dEX7UtEK0
落ち着いているようなので投下いきます。
まずは一作目の『王子さまLv1』から。
プレイしながら書いているわけではないので
細部が間違っているかもしれませんがご容赦を。
とある世界、とある時代のとある大陸、
というかアリスソフトのランスシリーズによく似た世界。
その世界には『リーザス』『ヘルマン』『ゼス』『JAPAN』『魔物たちの地域』
などの国の他に、『自由都市地帯』という小さな国の集合体もあった。
今回の物語は自由都市地帯の中の一つの国『ルーキウス王国』が舞台である。
昔々、後に自由都市地帯となる地域でウルネリスという八翼の堕天使が暴れまわっていた。
そのウルネリスに多くの者が挑みそして敗れ去っていったが、
とある冒険者パーティーがウルネリスに挑み、ウルネリスを倒すことに成功した。
その後冒険者のリーダー、幻獣使いのルーシャス=ルーキウスは
みんなに勧められルーキウス王国を建国し皆に慕われる良き王様になったとさ。
そして600年後。
ルーキウス王国は、のほほんとした平和な王国として無事に王国歴600年を迎えていた。
王様が自ら幻獣を使って畑の刈りいれをして、その様子が一般公開される程に平和な国である。
そのルーキウス王国の第二王子カナン=ルーキウスは
ご先祖様にあたるルーシャスに憧れを抱いており、
ルーシャスと同様に冒険をしてみたいという危なっかしい望みを抱いていた。
そしてそんなカナンの望みを、王国騎士団近衛隊副隊長にして彼の従者でもある
セレスト=アーヴィングは心配していた。
そんなある日冒険者ギルド員を名乗る黒いスーツ姿の男レイブン=ロストハートが国王に謁見し
このルーキウス王国に新しく冒険者ギルドを設立したいと申し出た。
このルーキウス王国にはいくつかのダンジョンがあるが
それらは全て危険だからと閉じられていて、今まで人が入った事が無く中は手つかずなのだ。
そこで冒険者ギルドを作って冒険者に中を探索してもらって財宝を持ち帰ってきてもらえば
町は潤うのではないか?という事だ。
もちろんカナンは、これで冒険ができると大喜び。逆にセレストは危機を感じていた。
265:王子さまLv1
09/10/03 21:40:53 dEX7UtEK0
数週間後冒険者ギルドは無事に開設され、これで冒険者になれるぞと大喜びのカナン。
だが部屋の窓から外に出ようとすると先読みしていたセレストに捕まってしまう。
「おやめくださいカナン様!
第一カナン様が行っても冒険者登録などできるわけ無いでしょう!」
「出来るわけないのか。じゃあ試しに行ってみよう。
出来るわけ無いなら行ってみても構わないじゃないか。
本当に冒険者登録が出来なかったら僕も諦める」
「しまった…」
そんなこんなで冒険者ギルドへ行き登録することにしたカナン。
登録の際に戦闘能力を聞かれ、レベルは1で、炎の矢(メラのようなもの)なら使える、
きゃんきゃん(最弱の男の子モンスター)なら倒せるぞと答え、
これならさすがに断られるだろうと安堵しかけたセレストだったが、
レイブンは冒険者登録してしまうのだった。
だがまだ仮登録であり本登録のためには依頼を一つこなしてもらうと言われ
できるだけ難しいのをお願いしますと懇願するセレストだったが、
クエスト内容は『3日以内に新聞屋に、冒険者ギルドに朝刊を定期配達してくれるよう頼む』
という子供のお使いレベル。
それすらも大きな犬が寝ていて道をふさがれ一日ではクリアできないという体たらくだが、
二日目にちゃんと新聞屋へ着き依頼をこなす事とに成功した二人だった。
その後冒険者ギルドで、新聞屋で見かけたレイブンの秘書のユーリを紹介された後
カナンは冒険者として本登録された。
心配になったセレストは自分も登録し、二人でパーティーを組むことになる。
城へ帰る途中、カナンは魔法の足輪をやろうと言ってセレストに足輪を装備させる。
するとセレストは力が急速に抜けていくのを感じた。
これは装備した者をレベルを1までダウンさせるという呪いの足輪なのだ!
カナンは、セレストに強い存在として守ってもらうのではなく、
対等の存在として互いに助け合って冒険をしたかったのだ。
セレストはカナンと同じくレベル1の新米として冒険に臨むはめになった。
こうしてカナンとセレストの日帰り冒険者生活は始まった。
ギルドからの依頼ごとの日数に気をつけつつ、
城の者に悟られないように毎日数時間だけ冒険するのだ。
翌日冒険者ギルドから、年代物の壺を陶器職人がアイデアを得るために欲しているので
ダンジョンから取ってきて欲しいという初めての冒険者らしい依頼を受け、
張り切ってダンジョンへ入るカナンと仕方なくお供するセレストだった。
何の変哲も無い第一ダンジョンに入り、
いわゆる普通の敵の『普通モンスター』、
ハニワのような形をしている特殊な種族『ハニー』、
そして人間の男と同じような姿をした『男の子モンスター』、
それらと戦いながら壺を探して先へ進み、
壺を手に入れギルドへ持って帰ると依頼の報酬を渡されると同時に、
初代国王ルーシャスの残した遺産の捜索を依頼される。
今後巡って行くいくつかのダンジョンに居る封印の幻獣達を渡された入れ物に封印し、
遺産への道を開いて欲しいと言うのだ。
266:王子さまLv1
09/10/03 21:41:39 dEX7UtEK0
翌日ダンジョンの奥へ進むと、なぜかチーズケーキが落ちていた。
拾い食いするつもりでは無いが不思議に思い近づくと二人はロープの罠にかかってしまう。
そして罠を仕掛けた男の子モンスターハンターの男、白鳳が現れ
「男の子モンスターの幸福きゃんきゃんを捕まえるための罠が台無しになってしまった。
こうなったらかわりに捕まえてもらいましょう。そうしないと先へ進ませませんよ」
と、難癖をつけてくる。そのついでにガチホモの白鳳はセレストが気に入ったようだ。
ちなみに白鳳は、この世の全ての男の子モンスターを捕まえる事を目標としているらしい。
白鳳は明らかに高レベルの男の子モンスターを連れていて勝ち目がないので仕方なく、
一旦城に戻ってカナンの姉リナリアからお手製チーズケーキを貰い罠を仕掛けると、
幸福きゃんきゃんは見事にかかった。
だが白鳳の目論見が成功するのが悔しいカナンは、
幸福きゃんきゃんを捕まえようと近づいてきた白鳳を落とし穴に落とし、
幸福きゃんきゃんを逃がしてやった上に落ちた白鳳を踏みつけて先へ進むのであった。
その後ダンジョン最奥で封印の幻獣を倒して封印する事に成功し、
このダンジョンは無事クリアとなった。
第二のダンジョンも、普通の地下ダンジョンだった。
先へ進むと何故かボロボロの家屋があったので不思議に思って近づくと、
家から出てきたハニーの子供が緑色のピコハンで殴りかかってきた。だが当然痛くない。
「出ていけ、人間!」と人間への嫌悪感を露わにしてるが
家に近寄らなければ問題無いので放置して先へ進む二人。
最下層へたどり着くと、『すもう』と呼ばれる力士のような存在が道を塞いでいた。
すもうは、力技では絶対に動かすことはできず
マワシと同じ色のピコハンで叩く事が唯一の排除方法なのだ。
最初は落ちていた赤や青のピコハンで赤や青のマワシのすもうを順調に排除していったが、
封印の幻獣の手前に緑色のマワシをしたすもうがいた。
緑のピコハンは見つからないのであの子供ハニーに頼んでみようとボロ家へ行ったが
子供ハニーは聞く耳を持たない。
そんな子供ハニーに頼みこんでると、家から母ハニーが出てきた。
話を聞くと、人間に母ハニーが足を傷つけられ陶器性の体の足が欠けてしまい、
自由に歩けなくなってしまったのが子供ハニーが人間を憎む理由と分かった。
ならば母親の足を治してあげるから、
そうしたら緑のピコハンを譲ってくれとカナンが頼み、子供ハニーも了承した。
267:王子さまLv1
09/10/03 21:42:21 dEX7UtEK0
第三のダンジョンは、川と滝。いわゆる屋外フィールド。
ダンジョン突入前にギルドへ行くと、白鳳に『伝説の滝』まで一緒に行くよう依頼される。
セレストは嫌がったがギルドの正式依頼となっては断れず一緒に行くことに。
しかし途中で川をボートでのぼって行く必要があるのに、
川沿いの貸しボート屋を営むハニーに滝をのぼるためにボートを貸してもらおうとすると
盗賊団にボート『沈没丸』を盗まれてしまったと聞かされる。
今回の盗賊団のアジトはボートが無ければ行けないというパラドックスに陥いりかけたが、
ならば城の倉庫にある子供の頃カナンが使っていたゴムボートを使う事を思いつき
城に帰って倉庫へ入ると、ちょうど盗賊団が漁っている最中だった。
逃げられた上にゴムボートも盗まれてしまったが、
幸い逃げた先が歩いて行ける範囲だったので追いかけてゴムボートを取り返す。
その後ダンジョンの探索の途中で疲れてきたということで
カナンとセレストと白鳳は三人でティータイムを取ることにして、
レジャーシートを河原の近くの草むらに敷いて
その上で白鳳手作りお弁当を食べたり紅茶を飲んだりした。
その後沈没丸も取り返した一行は伝説の滝にたどり着いた。
ここで白鳳はここまできた理由を明かす。
それはこの滝の、滝にに落ちてから最初に見た人間を性別問わず愛するという不思議な力で
セレストを愛人にすることだった。
戦闘能力的に考えて勝ち目がないので逃げ回っていたカナンとセレストは、
よりによってその滝へ落ちて互いに見つめあってしまった。
互いに人生を諦めた二人だったが、そこへ盗賊団の子分が聞いて平気で滝の所まで来て、
お前ら何をやってるんだと聞いてくる。
子分の話を聞くと、盗賊団は最近この滝で洗濯をしているらしい。
そして滝に入ったところで何も起きないということだ。
つまり伝説はあくまで伝説。白鳳はガッカリしたが、
依頼達成は依頼達成なので報酬はしっかり払ったようだ。
その後滝の裏の洞窟に潜む封印の幻獣を封印し、このダンジョンもクリア。
ちなみに第三ダンジョンの探索の途中、盗賊団が倉庫から盗み出した
カナンの父のリプトン王が20代の頃の写真を発見する。
その写真の父は、カナンの兄リグナムそっくり。
ちなみに現在リプトン王は老化のせいで背がものすごく縮んでいる。
兄の眉間にいつも皺がよっている理由が分かった気がする、と呟くカナンだった。
268:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 21:43:02 dEX7UtEK0
第四のダンジョンについてギルドに聞いてみると、
その第四ダンジョンに住む『泉の精霊』の部下である妖精が書いた、
泉の精霊と泉自体を救って欲しいという内容が書かれた手紙を渡された。
泉の精霊!美しい女性の姿の精霊が助けを求めている!これは冒険者冥利につきる!
とwktkしながらダンジョンへ急ぐカナンと心配しながら後に続くセレストだった。
が、着いた場所は温泉旅館『ドラグ温泉』。…確かに泉の一種ではあるが。
しかも精霊は、カナンいわく「病み上がりの文学中年」な外見の中年男だった。
その名も桜涯(おうがい)。ちなみに手紙を書いた牛乳瓶型の妖精はビバノノという。
おもいっきり落ち込んだカナンだったが、
冒険者ギルドに助けを求めているのは事実だから話を聞くことにした。
オクトマンという、いわゆるタコ人間が地下の温泉から侵攻して桜涯をお札で封印した上に
温泉の出具合のコントロールに必要な『わくわくの玉』を取られてしまったので、
オクトマンたちを倒してお札の封印を解いてわくわくの玉を取り返し、
温泉の危機を救ってくれというのだ。
とりあえず冒険を開始する二人だったが、
ここは温泉なので普通の冒険者装備の金属装備は湿気で錆びるし何より情緒が無い、
ということで防具が強制的にドラグ温泉の浴衣へ変更されてしまう。
ちなみに武器はカナンが石鹸入りネットでセレストはへちま。
しかもこのへちま、専用スキル『へちま剣士』をセットすることで強化できる。
とりあえずオクトマンの侵攻拠点である地下最下層の深い温泉へ行き深度を確かめると、
とんでもなく深いのでこちらからオクトマンを攻めるのは不可能だと分かる。
それを桜涯に説明すると、温泉の温度をコントロールする『湯加減の玉』を
使ってみてはどうかとアドバイスを受ける。
しかしこの湯加減の玉はドラグ温泉に厳重に保管されていて、
それを取るためには、温泉旅館ならではの要素を堪能することで手に入るペナントを
5つ手に入れる必要がある。
マッサージのペナントは、温泉旅館によくあるマッサージ機を使うことで手に入る。
マッサージ機の近くにジュースの入った冷蔵庫があるのを見て
「なあセレスト、いろんなジュースがあるな」
「ほんとですね、パャリースのオレンジジュースもあります」
「パヤリース?」
「パャリースです。ャを小文字で言うのがポイントですね」
なんてやり取りをしつつ、マッサージ機を使ってペナントを手に入れた。
なつゲーのペナントは、
温泉のゲームコーナーによくある数世代前のゲームをクリアすることで手に入る。
「うわっ、これ私が生まれた頃のゲームです、かなり年季入ってますよ。
画面もかなりガタがきてますし!」
写真すら気軽に撮ることはできず服装をしっかりして写真屋で撮ってもらうという
文明レベルなのに、なんでゲームが20年以上前からあるのかとか言ってはいけない。
そういう世界なのだ。
ともかく、正解の道をカンで選んで進んでゴールへ着くという単純なゲームをクリアし
なつゲーのペナントを手に入れた。
269:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 21:44:05 dEX7UtEK0
グルメのペナントは、ドラグ温泉名物のドラグ(カニのようなモンスター)を、
自らの手で倒して、まるまる一匹食べることで手に入る。
かなり大きなモンスターなので倒すのより食べる事に苦戦したが、
なんとか食べきってグルメのペナントを手に入れた。
入浴のペナントは、ドラグ温泉の地下に点在する温泉に全て入ることで手に入る。
かなり熱くて入れなさそうな温泉もあったが、
『江戸っ子』スキルを装備して根性で入り、ペナントを手に入れた。
卓球のペナントは、
温泉の湯あがり後のスポーツとして定番の卓球の大会に優勝することで手に入る。
湯加減の玉をお宝として狙っている盗賊団の親分ナタブームや
激レアモンスターの温泉きゃんきゃんを捕まえるために来た白鳳も大会に参加するが、
激戦をなんとか制しペナントを手に入れた。
こうして5つのペナントを集め湯加減の玉を手に入れた一行は、
最下層の深い温泉に湯加減の玉を投げいれ限界まで熱くすることで
侵攻不可能にする作戦に出た。
すると潜んでいたオクトマン達が熱さに耐え切れず出てきた。
彼らを倒すことでわくわくの玉を取り返し、桜涯の封印も解け、ドラグ温泉は救われた。
そしていつも通り封印の幻獣を封印し、温泉ダンジョンクリアとなった。
その後、白鳳が温泉きゃんきゃんを狙っていることを知ったカナンは、
普段からちょっかいをかけられてる事の報復として
父である王様に激レアな温泉きゃんきゃんの存在を知らせ、
天然記念物として保護し、
密猟したら5年の懲役とすることで白鳳が捕まえられなくしてしまった。
…この行動が後で大きな騒動を引き起こすとも知らずに。
270:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 21:44:48 dEX7UtEK0
第五のダンジョンは氷のダンジョン。
1階では、道具屋を経営している侍の雨雷剣豪(さめらいけんごう)が
侍っぽい姿の普通モンスターのサメラ~イと一騎打ちをしていた。
このサメラ~イは突然変異種の強い個体で、持っている魔剣オサフネと本人の技で
氷の柱を一刀両断してしまうくらいの強敵だった。
手出し無用だと雨雷が言っているので無事を祈りつつ先へ進む事に。
下の階へ進むとヤクザのような姿をしたハニーの一種『凶悪ハニーが』
「ぶ、ぶ、武器をよこせ!」とオドオドしながら武器を脅し取ろうとしてくる。
暴力団のハニー組の組員は氷を吐く普通モンスターとの抗争に備えて
武器を集めるよう組長に命令されているらしい。
だが、戦おうとすると怖がって逃げてしまった。
カナンはその凶悪ハニーが首にかけていたお守りが、
第二のダンジョンの子供ハニーのお守りと同じものだと気づく。
子供ハニーが以前父と兄が行方不明になったと言ったのを思い出し、
その兄ハニーがあの凶悪ハニーではないかと考える。
さらに下へ行くと、既に絶滅したモンスター『アンモス』が
生前の姿そのままで氷漬けになっているのを発見する。
大昔の動物の姿に感動した後でカナンが城に帰ると、城内は大騒ぎになっていた。
なんとカナンの兄のリグナムが、
帰郷中の母から送られた野菜の中に偶然紛れ込んでいた珍しい虫に刺され、
『一生高熱と咳と鼻づまりが治らない病』にかかってしまったのだ。
一生そのままな代わりに死の危険は無いが、このままでは一生ベッドの上。
しかも治療法は、既に絶滅したモンスターのアンモスの肉を食べる事だけだ。
リグナムの所へお見舞いに行ったカナンは
冒険者ギルドへアンモスの肉を探すことを依頼してはどうだと提案する。
冒険者ギルドを通して自分の行動と分からないようにして、
兄のためにあのアンモスの肉を取って来るつもりなのだ。リグナムは承諾した。
突然変異サメラ~イの剣なら氷漬けのアンモスの肉を取り出せる、
そう考え雨雷とサメラ~イが戦っていた場所へ行くと二人とも倒れていた。
といっても死んではいない。サメラ~イが斬った氷の柱が倒れ双方を直撃したのだ。
先に意識を取り戻した雨雷は、このサメラ~イは殺すには惜しい、
話も通じるようだし一緒に暮らして剣の技を磨きあいたいと言い介抱することにした。
その時、兄ハニーがサメラ~イの落とした魔剣オサフネを
武器を集めるという組長の命令のために拾ってしまう。
そしてサメラ~イ以外が持つと呪われる魔剣オサフネの魔力に囚われた兄ハニーは、
「畜生、畜生、組の奴ら、俺の事を三下とバカにしやがって!」
と叫びながらハニー組事務所へ向かっていった。
追いかけていくと、ハニー組の組員全員と事務所そのものがボコボコにされていた。
「組長!俺の家族の工場を騙し取ったのはあんただったんだな!信用してたのに!」
「そうだよ。お前が組に来た時は、とんだバカだと内心笑ってたんだよ!」
「畜生!畜生!もう何も信じないぞー!おろろーん!
今宵のオサフネは血に飢えておるわー!」
自暴自棄になった兄ハニーを説得するためにも家族の助けが必要と考え
子供ハニーと母ハニーを連れてきたが、
「偽物に決まってる!何も信じないぞ!」と、聞く耳を持たない。
271:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 21:45:33 dEX7UtEK0
父ハニーならもしくは説得できるかも、と考え氷のダンジョン内を探し回ると、
モンスターの氷攻撃によって氷漬けになった父ハニーを発見した。
せめて遺体だけでも回収しようと
ファイアーレーザーのスキルで氷を溶かし遺体を取り出す。
すると、遺体の持ち物の中にボロボロになった家族の写真があるのを見つけた。
家族を捨てて蒸発したダメ親父だと思ってたけど本当は家族を想っていたんだ、
とカナン一行とハニー家族が感動していると、
遺体だと思っていた父ハニーが突然起き上った。
いわゆるコールドスリープ状態になっていて奇跡的に復活したのだ。
話を聞いてみると、家族の前から姿を消したのは家族を置いて逃げるためではなく、
工場を騙し取ってさらに兄ハニーを極道の道へ誘った組長を
包丁で刺し殺して家族を救おうとしたかららしい。
やはり家族想いのお父さんだったのだ。
しかしそんな父ハニーを連れてきても
「親父が家族を愛してただと!?そんなの嘘だ!嘘に決まっている!」
と聞く耳を持たなかったが、父ハニーの家族愛を否定した兄ハニーに
冷静にキレたカナンが、相手は魔剣を持っているというのに近寄って殴った。
「父ハニーはな、家族を本当に愛していたんだ!
お前を助けるために組長と戦おうとしたんだぞ!もう一度話を聞くんだ!」
父ハニーはその証拠の家族の写真と包丁を見せて
「お前に辛い思いをさせちまったダメ親父だが、
本当にお前が大事なんだ。頼む、元に戻ってくれ」
と頭を下げた。すると家族愛を感じた兄ハニーは涙を流し、
魔剣を手から落とした。家族愛が魔剣の呪いに打ち勝ったのだ。
こうしてハニー一家が全員元通りになって喜んだ後、
落ちた魔剣オサフネをそのまま拾うとまた呪われるので、
雨雷と一緒に住む事にしてマサムネと名付けられたサメラ~イに拾ってもらった。
ついでにアンモスの肉を斬ってもらうのを頼むと
魔剣を取り返したお礼として快く引き受けてくれた。
切り取ったアンモスの肉をギルドへ渡すと城へ急ぐカナンとセレスト。
城に戻った時には既にリグナムは肉を食べて回復していた。
リグナムはカナンの頭に手を乗せじっと見つめながら
「肉を持ってきてくれた冒険者に感謝しなければな」
と言ってきた。
カナンの冒険を知られたのかもと内心ヒヤヒヤなセレストだった。
その後氷のダンジョンの封印の幻獣も封印し、第五ダンジョンもクリア。
272:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 21:46:16 dEX7UtEK0
第六ダンジョンへ行こうとすると、冒険者ギルドから
話を一旦聞いたら断れない程に機密性の高い依頼を受けてみるかと聞かれる。
聞くことにすると、600年前から存在するルーキウス王国の王冠が盗まれ、
第六ダンジョンの中に持ち込まれたので取り返すという依頼と聞かされた。
王国の宝を取り返すためにも第六ダンジョンへ急いだ一行だった。
第六のダンジョンは炎のダンジョン。
中に入ると、盗賊団の子分が泣いていた。
親分のナタブームが何者かに操られ、
所々で燃え盛っている炎の中に平然と入っていきながら
炎のダンジョンの奥へ進んでいるらしい。
子分達は必死に食らいついて止めようとするが、
ナタブームが炎の中に入ると子分は耐え切れず落ちてしまうのだ。
子分たちと一緒にナタブームを追いかけ、
途中の火は近くにある湧水から子分たちと一緒にバケツリレーで消火しながら進み、
熱した床の上で扉を一心不乱に開けようとしているナタブームを発見する。
熱した床が熱くて近寄れないので解除するための方法を探していると、
剣士の幽霊が、「この先に進むな、引き返せ」と言ってくる。
一行は幽霊の出現に驚き恐れたが、
ナタブームを助けるために進まなければいけないと断る。
何度も忠告してくる幽霊にカナンが
「ナタブームを救うためにも、ルーキウス王国の王冠を取り返すためにも、
ルーシャス様の遺産を見つけるためにも、先へ進まなければいけない」
と言うと、幽霊は
「そうか、ルーシャスの奴みんなのために王様になったか。あいつらしい」
と呟く。彼の名はロイ。
600年前ルーシャスと共にウルネリスと戦った冒険者パーティーの一員だ。
しかしなぜ冒険中に死んだわけではなく長寿を全うしたはずのロイの幽霊が
墓場等ではなくこんなダンジョンの中にいるのか?
それをカナンが聞くと、ロイは後の世に広まった冒険譚とは違い、
ウルネリスを倒した後崩れていくダンジョンで
落ちてきた瓦礫からルーシャスを庇い生き埋めになったのだと言う。
ウルネリスと戦う前に冒険者パーティー一同は、
「誰かがこの戦いで死んでも、後の世にはそれを隠して
全員生きて帰ってめでたしめでたしの話にしよう」
と取り決めをして、ルーシャスはその通りにしたのだ。
「ルーシャス様は、あなたの妹と結婚しました。その血筋は今でも絶えていません」
というカナンに、
「600年ここで一人だったが、今でも平和だと知ることができて良かった。
子孫もこうしてここにいることだしな」
と、カナンがルーシャスの子孫と見抜いたロイは答える。
「ナタブームとかいう男を助けるために先へ行くがいい。
だが気をつけろ、この先にあるのはルーシャスの遺産などでは無い」
そう言い残しロイは消え去った。
273:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:03:16 dEX7UtEK0
熱い床を解除しナタブームの元へたどり着いたカナン一行は
戦ってナタブームを気絶させ、正気に戻すことができた。
封印の幻獣を封印して先へ進むと、白鳳が現れ、
今回のナタブームを操った犯人は自分だと言ってくる。
「王冠を返して欲しかったら追って来なさい」
と言って白鳳は大きな穴に飛び込む。
その後その穴から大量の水が出てきて一行はダンジョンの外まで流されてしまう。
とりあえずギルドに報告してから城へ帰ったカナンとセレストだったが、
廊下でリグナムに話しかけると様子がおかしい事に気づく。
「残念だよカナン、お前がセレストと共にクーデターを計画していたなんてな。
家族を処刑して王位を奪おうなどと、恐ろしいことを…」
王や姉、その他兵士も全員操られているようで、二人を捕まえようとしてきて
カナンとセレストは城内で次第に追い詰められていった。
だがその時、盗賊団が炎のダンジョンでの借りを返すべく現れ
カナン達を隠し通路へ導いてくれた。
中世の城によくある緊急脱出用の隠し通路。
平和な600年間で一度も使われず王族すら忘れ去っていたこの通路が
今日初めて使われたのだ。
こうして城を脱出したカナンとセレストは、
城の者に見つかりにくそうな町はずれの宿に宿泊する。
以前から冒険者みたいに宿に泊まることに憧れてはいたが、
まさかこんな形になるとはと落胆するカナンだった。
翌日冒険者ギルドに行くと、第六ダンジョンの白鳳が落ちた穴の先に
第七のダンジョンが見つかったのでそこで最後の封印の幻獣を封印し
遺産を見つけてほしいという依頼を受ける。
城のみんなが操られたのは王冠が関係しているかもしれないという予想から
城のみんなを戻すために後を追う必要もあると考えその依頼を受けた。
あの流れてきた水の影響で炎のダンジョンのほとんどが水浸しになっており
あの穴も水が溜まっていたが『潜水』のスキルで潜ることができた。
274:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:04:26 dEX7UtEK0
第七のダンジョンは水のダンジョン。
あまり広くなく、先へ進むための扉の鍵を難なく手に入れる。
しかし鍵で扉を開けると、
その先には既に弓を引き絞っていつでも矢を放てる状態で待ち構えていた
男の子モンスター『神風』と、白鳳が待ち構えていた。
神風の放った矢でセレストは大怪我をし、その隙をついて捕らえられてしまう。
カナンはその後を追うが、白鳳が配置したモンスターと一人で戦う事になる。
特に魔法が一切無効であるハニー族との戦いは
魔法使いタイプであるカナンにはきつかった。
その頃セレストは白鳳に運ばれながらこんなことをした理由を聞く。
カナンの手引きで温泉きゃんきゃんが国策で保護され捕まえられなくなったので
温泉きゃんきゃんを捕まえるために、とある人物と共に王家を崩壊させようというのだ。
そこまでしてこの世の全ての男の子モンスターを捕まえる理由を、
セレストは最近白鳳に誘われて酒場で一緒に飲んだ時に聞いていた。
いつも白鳳の肩に乗っかってる小動物のスイはもともと白鳳の弟で、
とある理由でこんな小動物の姿に変えられ、
その姿を戻すためにはこの世の全ての男の子モンスターを捕まえる必要があったのだ。
「でも、例え温泉きゃんきゃんを無理なく捕まえられたとしても、
同じようにしたでしょうね。私は破滅主義者なんですよ。
破滅しそうな危なっかしいことを好き好んでしてしまう」
「でも、それを私に言ったという事は
誰かに止めてもらいたいのではないのですか?
あなたは心のどこかで誰かが引きとめてくれることを願っている。
あなたは可哀そうな人だ」
カナンが最深部へたどり着くと、
白鳳の他にギルドのレイブンとユーリがいた。
そしてセレストは、翼を片方だけ生やした女性に抱きしめられている。
そしてその前には大きな幻獣が眠っていた。
レイブンは言う。
「八翼の堕天使ウルネリスは倒されたのではなく封印されただけだ。
それもルーシャスが封印できたのはそこにいる8分の1である彼女フォンテーヌだけ。
残りの7翼は逃れ復活の機会を待っていたが、
ここにこうして早めに復活できた2翼の俺とユーリが戻ってきた。
唯一封印に囚われてしまった1翼であるフォンテーヌを完全に開放するには
ルーシャスの封印の幻獣を全て封印する必要がある。
だから冒険者ギルドを開き、ルーシャスの血族であるお前に封印させたのだ。
そして最後の一匹が、目の前にある大きな封印の幻獣だ。
封印のためには王冠を被った王族の者が血を一滴たらす必要がある。
さあ、依頼だ。依頼内容は封印獣の封印、報酬はセレストの命」
275:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:05:34 dEX7UtEK0
セレストは自分の命なんかより王国の危機を救ってくれと言うが、
カナンはセレストの命を取る。
王冠を被りナイフで手を傷つけると一滴の血が封印の幻獣に落ちていく。
だがその一滴の血は封印の幻獣に落ちる前に
まんまるで青くてかわいらしい形をした生き物に受け止められた。
これは現代において幻獣使いが使役する幻獣。
ルーキウス王国において幻獣の召喚術は一子相伝で、
王様である父や王位を継ぐ予定の兄は召喚術を心得て数千の幻獣を操っていたが
カナンは幻獣使いの血を受け継いでいるものの今までその方法を知らなかった。
だがこの土壇場で一匹だけとはいえ幻獣を召喚する能力を開花させたのだ!
そしてそのカナンの力に反応し、封印の幻獣は目を覚まし、
何なりとご命令をと言ってくる。
カナンはセレストを救いだすことを命令し、
不意を突かれたフォンテーヌはセレストを離してしまう。
いつの間にか傷も治ったセレストとカナンは
ルーシャスが残した封印の幻獣と共にフォンテーヌに挑みかかる。
封印が完全に解けていないフォンテーヌは、あっさりと倒された。
完全に復活しておらず戦闘能力の無いレイブンとユーリは逃げる。
しかしカナン達は知らないことだが、
彼らは逃げる前にフォンテーヌの翼から羽根を一つ抜き取っていた。
羽根の一つさえ残っていればフォンテーヌはいずれ復活できるのだ。
白鳳は王族を狙うという大罪を犯したこともあり観念したが、
カナンとセレストは同情し見逃すことにした。
封印の幻獣は、いずれカナンが完全に使役できるようになるのを待つために
再び眠りにつくことにした。
ナタブーム盗賊団は、また別の国へ行くと言って旅立っていった。
城へ戻ると家族も兵士たちも元通りになっていた。
カナンは冒険者ギルドの二人が黒幕だった事は正直に話したが、
ウルネリスの復活については混乱を避けるために言わなかった。
冒険者ギルドが無くなったので全てのダンジョンは再び閉鎖され、
カナンとセレストの日帰り冒険者生活も幕を閉じた。
いつかまた冒険へ行ける日を楽しみにしていて
セレストはそれを心配している…そんな日常が戻ってきたのだ。
おしまい。
276:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:09:08 dEX7UtEK0
最初の書き込みに書き忘れましたが、アリスソフトの女性向けRPGの王子さまシリーズです。
次はファンディスク『王子さまLv1.5』に収録されている
RPG的戦闘もある中編ノベル『王子さま1か月後』を。
ウルネリスの1翼フォンテーヌを倒し平和を取り戻してから1ヶ月後。
セレストは近衛隊副隊長としての仕事を終え食堂に入り、
既に引退したはずの元近衛隊隊長の父が勝手にメシを食ってるのを見てため息をついた。
セレストの父ルドルフは娘のシェリルがエリックというドラグ教神父と付き合っていて、
エリックが挨拶に来ようとするので、娘との交際など認めん!という頑固親父なルドルフは
騎士団の寄宿舎に先週から住み込んで避けているのだ。
奴が会いたいのなら騎士団に入隊してでも会いに来ればいい、
そうしなければ俺はテコでも動かんぞと言うルドルフだった。
妹とその恋人のためにあの頑固親父を何とかしなくては…
そう悩んでいるとカナンが「ならばテコで動かしてやればどうだ?」と言ってくる。
冒険への憧れの一環で魔法アイテムの書物を読んでいたら、
一回限りだがどんなものでも動かせる『黄金のテコ』なるものがあったというのだ。
それでルドルフを動かしてやること自体は魔法のアイテムに頼っていることになるが、
それを作るための材料作りをエリックがやれば間接的に自分の力で動かした事になり
ルドルフもエリックの実力を評価し納得するのではないか?ということだ。
そしてそれをカナンも手伝おうと言ってくる。どうやら人助けのついでに冒険したいようだ。
こうしてカナンとセレストとシェリルとエリックによる材料集めの冒険が始まった。
最初は第一ダンジョンに入り普通モンスタのーヤンキーの上位種『ばりヤンキー』を倒して
そのバットを手に入れることにした。ダンジョンを地図を書いて進み、
「メモを方眼紙代わりにして地図を書く…手動マッピングという奴だな!
ちなみに自動的に地図が書かれるのは自動マッピング。そっちは難易度的にぬるいな」
とか言いながら先に進んでザコと戦ったりするのだが、
カナンは戦いの最中でシェリルはともかくエリックも戦闘能力がほぼ無い事に気づいた。
攻撃力が低い上に、攻撃すると90%の確率で味方に誤爆するのだ。
RPGのお約束である僧侶系魔法とか神の奇跡とかも使えない。
だがカナンとセレストがフォローして、お目当てのバットを手に入れた。
翌日『精霊の涙』『ドラグの甲羅』を手に入れるためドラグ温泉へ訪れた4人。
精霊の涙を手に入れるために目にしみる煙を立たせるためにサンマを焼いてみたが、
温泉の妖精ビバノノに注意されてしまった。
そこでセレストがカナンのやんちゃに振り回された時の苦労話を語ると、
温泉の精霊である桜涯はほろりと涙を流したのであった。
ドラグの甲羅は前作のダンジョン攻略の時と同様、
生きたドラグを倒して丸ごと食べた後、甲羅を記念品として持ち帰る形で手に入れた。
その時カナンはエリックに、エリックはドラグを神聖な生き物として扱う
ドラグ教の神父だが殺して食べて大丈夫かと聞くが、
ドラグ教の教義は「ドラグはその体を美味しく食べさせてくれる、
そんなドラグのように周囲の人を幸せにしましょう」
というものだからドラグを殺して食べる事をドラグ教は否定してないので
問題ないとエリックは答える。
277:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:10:08 dEX7UtEK0
そんなとある日、エリックがどんな生活をしているか見に行こうと、
カナンとセレストは眼鏡をかけて(二人はこれで変装したつもり)見に行くと、
教会の前の道の掃除をしている所にシェリルが来て楽しそうに話をしているのと、
そんな二人をカナン達同様変装目的でサングラスをかけて覗いているルドルフを見つける。
親父もやはりエリックの事が気になるのか、とか考えるセレストだった。
カナンは今ここで強引に会わせるという方法も思いついたが、
黄金のテコの作成をやり遂げてエリックの男粋を見せた方が良いと考え思い留まる。
こうして順調に材料集めは進んでいたが、
まだ書物の材料一覧を解読中だったカナンは解読を進めていって顔を青くする。
最後に必要な材料が『ゴールデンハニーの欠片』なのだ。
ゴールデンハニーとは、ものすごく大きくてケタ違いに強いハニーだ。
しかも出現する地域は行って帰ってくるのに数日かかる場所で、
王族のカナンと騎士団の仕事のあるセレスト、
パン屋のバイトをしているシェリルは一緒に行けない。
エリックだけで取りに行かなければならないのだ。
もっとも、4人で行けたとしても絶対に敵わないだろう。
カナンは、身分で強引に事を進めるのは気が進まないが、黄金のテコを作るのを諦め
王族権限でルドルフにエリックと会うよう命令しようかと提案するが、
エリックは黄金のテコを作る作れないの問題では無く
ルドルフにシェリルへの本気の想いを示すためにも困難から逃げたりはしないと、
ゴールデンハニーの欠片を取りに行く決意をする。
次の日、教会から旅をする許可を得たエリックは一人で旅立ちの準備をし、
旅に出ることを近所の人に知らせたために、普段から彼を慕う近所の人々に渡された
大量のおすそわけ料理パックを目の前にして悩んでいた。
一人の渡した量は少なくとも、10人20人となれば多すぎる。
旅の途中で数日かけて食べるにしても途中で腐りかねないし、何より重い。
かといってせっかく貰ったものを捨てるのも忍びない。
そう困っているエリックに、シェリルが私もついていって一緒に食べると言ってくる。
彼氏が父に会うために旅をすると聞いたパン屋の店長が、
気を利かせて数日の休みをあげたのだ。
こうして二人は、ゴールデンハニーの欠片を手に入れるために旅立った。
数日後、二人は無事にゴールデンハニーの欠片を手に入れて帰ってきた。
(ちなみに手に入れた方法は文中では触れておらず明らかにされていない)
カナンは黄金のテコを完成させるとルドルフが泊まっている部屋へ行く。
「いくらカナン様の命令でも、ここを動きませんぞ」
「テコでもか?」
「テコでもです」
「ならばこの黄金のテコで動かしてやろう。
これはな、エリックが集めた材料で作ったのだ!」
黄金のテコの片方をルドルフの足もとへ入れてもう片方にカナンが乗っかると、
部屋をブチ破ってものすごい勢いで遠くへ飛んで行った。
これで飛んで行った所へエリックが行けば会えると喜んだカナンとセレストは
急いで飛んで行った方向へ向かった。
278:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 22:11:43 dEX7UtEK0
その頃、エリックとシェリルは雨雷の道具屋に住むマサムネに刀を返していた。
旅をするには装備が必要ということで店に行ってみたはいいが
所持金が足りず武器を買えないと悩んでいると、
事情を聞いたマサムネが魔剣オサフネ程ではないが十分に強い刀を貸してくれたのだ。
旅が無事に済んだことを報告し、
雨雷も含め4人で話をしている所へ黄金のテコで飛ばされたルドルフが落ちてきた。
幸いみんな大きな怪我はしなかったので一安心。
だが、いきなりルドルフが魔剣オサフネでエリックに斬りかかってきた。
マサムネが手入れ中だった魔剣を落ちてきた時に偶然手にとってしまい、
魔剣に呪われたのだ。
カナンとセレストも駆け付けたが、引退したとはいえ魔剣を持った元騎士隊隊長を
二人とも止められず次第にエリックは追い詰められていった。
「お義父さん、気をしっかり持ってください!」
「お義父さんと呼ぶなぁぁぁ!今宵のオサフネは血に飢えておるわぁぁぁ!
はぁ、はぁ、はぁ…」
ルドルフが落ち着いてきた様子を察知したマサムネは
「いかん、呼吸が整ってきた!正気の時と同じ技量で来るぞ!」と叫ぶ。
逃げられなくなったエリックへルドルフは上段から斬りかかるが、
エリックの腕にドラグの腕の甲羅のような物が発生し斬撃を防いだ。
厚い信仰心と善良な性格を持つエリックのために神が起こした奇跡か、
それとも短い間とはいえ戦ってきたエリックが無意識に身に付けた能力か、
それは分からないがとにかく助かったのだ。
魔剣を甲羅に弾かれた衝撃で手放したことでルドルフの呪いも解けた。
だが、落ちた魔剣をエリックが
「ああ、この魔剣のせいでお義父さんが変になったんですね。
マサムネさんにちゃんと返さないと」
とか言いながらうっかり拾ってしまった。
今度はエリックが呪われたと慌てる一同だったが何故かエリックは平気で
そのままマサムネに魔剣を返した。マサムネは言う。
「この者は心が透き通っており穏やかだ。少なくともエリンギの境地くらいにはな。
だから人の身でありながら魔剣に心を奪われなかったのだろう」
それを聞いたカナンは、エリンギの境地ってなんだ?と思いつつも
「どうだルドルフ、エリックはお前さえ呪われた魔剣の呪いを受け付けない精神力を持ち、
元騎士隊隊長のお前の魔剣での一撃を何の武具も使わず受け止め、
黄金のテコを危険を冒してまで完成させたのだ。それでも不満か?」
とルドルフにたたみかける。
さすがに参ったルドルフは、エリックとシェリルの仲を認めるのであった。
こうしてカナン達の短い冒険は終わったのだった。おしまい。
続編の王子さまLv2はまだ完成して無いので、後日書きます。
279:ゲーム好き名無しさん
09/10/03 23:51:53 RdTibufl0
乙ですよ
280:ゲーム好き名無しさん
09/10/04 04:00:14 1aR64sCaO
乙です。なかなかいい話だ。
でも>>266の緑のピコハンの話は結局どうなったんだ?
281:ガレリアンズ5
09/10/04 10:39:56 cDam3PZv0
ガレリアンズの続きです。
STAGE-C バビロンホテル
バビロンホテルはいかにもスラムの安ホテルといった風情だった。
フロントマンの脇にはボーイが控えているが、小柄で小太りと見覚えのある風貌をしている。
フロントマンにリリアという女の子が泊まっていないか尋ねてみる。しかしそんな客は居ないらしい。
とりあえずリリアを探して格部屋を廻ってみる。
このホテルの客はみんなイカレている。
泣き続ける女。マシンガンを横に酒に浸る男。爆弾を作り続ける男。どこから手に入れてきたのか、ドラッグや回復薬を提供してくれる男。
宗教家風の男に至っては「君の欲しいモノをあげるよ」と迫ってくる始末だ。鍵のかかった部屋をスキャンしてもリリアの泊まっている様子は無い。
リオンが途方に暮れていたその時、ガレリアンの一人・リタがラビットと共にホテルに来る。
リリアを探しているうちにフロントマンの死体を発見する。さらにはボーイと、ルームキーと宿泊名簿が消えている。
以降は鍵のかかっていた部屋に入れるようになり、そのうち一箇所でリリアの手紙を見つける。
奴ら(ガレリアン?)の気配が近づいている。今までこの部屋でリオンを待っていたけどもう限界。テレパシーを送りたいがそれをスキャンされたら居場所を知られてしまうというようなこ
とが書いてある。
その後もマシンガン男のパシリに使われたり、宗教家に「君カワイイ顔してるね~」と抱き付かれたり、ラビットに待ち伏せされたりとロクな目にあわない。
そんな彼らも一人ずつ殺されていく。いずれもボーイとラビットにやられたことがスキャンから分かる。
廊下でボーイに会うが、その姿を見たリオンは両親の死体を思い出す。そうだ、両親の死んだ場所をスキャンした時に見た少年だ!
少年はレインハートと名乗り、リオンに幻覚の炎を放ってくる。(やめて!)とリリアの声が響いてくるがレインハートは止まらない。
「人を殺したから何だって言うんだい?僕のママはとっても怖いんだ。ママの言うことは守らなくちゃいけないんだ!」
しかしドロシーの(やめなさい!薬の時間です)というテレパシーを受け、途端に怯えだす。
「いやだ!薬はいやだ!だってまだ2時50分だよ!」と叫んで消えてしまう。
その時リリアには彼の「悲しい心」が見えたらしい。
レインハートを追いかけて倒すと、死に際に記憶の一部を見せられる。
レム医院長らしき人物に薬は嫌だと訴えているのだが、無視されてしまうという内容。
『僕が失敗したって、ママに言わないで!酷く叱られて、苦しい薬を飲まされるんだ。僕の中に獣が生まれて、本当の僕が食べられちゃうんだ!
イヤだ、だってまだ2時50分だよ!薬の時間はまだだ!!』
「信じて…僕が殺したんじゃないんだ…僕の中の獣がやったんだ。僕が失敗したこと、ママには内緒だよ…」
282:ガレリアンズ6
09/10/04 10:42:33 cDam3PZv0
両親の仇を取ったのに、苦い気持ちになるリオン。それにしてもリリアはどこに行ってしまったんだろう?
フロントでは住み込みの配管工(ホテル内で唯一生き残っている人)がホテルの図面を見ている。なんでも隣のレストランとボイラー室を共有しているせいで、配管がややこしくなっているとか。
そのレストランはとっくに潰れているが、ボイラー室を通れば入れるらしい。もしやと思い向かってみる。
はたしてリリアはそこに居た。彼女は父パスカーレの死を悟っていた。何度テレパシーで呼びかけても、返事を返してくれなくなったという。
しかし喜びもつかの間、リタが現れる。
彼女はレインハートを弟として可愛がっていた。大事な弟だった、私の誇りだったのにと怒りをあらわに襲ってくる。
リリアはリタの超能力をスキャンして妨害を試みるものの返り討ちにされて気絶、そのままリオンとリタの戦闘になる。
勝利するとリタは「あたしのための特別なクスリ」を使おうとする。自分からショートするつもりなのだ。
「ショートする瞬間はとっても気持ちイイってママが言ってたわ」
リオンは君は狂っていると呟くが、「私達はみんなイカレてんのよ。自分で気づかないだけ」と言って注射を打ってしまう。
目覚めたリリアが叫ぶ中、リオンもショートに巻き込まれる。
気が付くとリタと2人で雪の降る世界にいる。(リタの精神世界のようにも思えるが真相は不明)
私は自分の能力が大嫌い。だから終わりを望んでいたのに、いつも死に切れなかった。ママが神なら、神はなぜリオンにこんな過酷な運命を背負わせるのか…。
最初はリオンに嘆くように、最後は独り言のように語るリタ。そして頭がとても痛い、自分を壊してくれと懇願する。
その願いを叶えるためにリオンはリタの頭に手をかざす。リリアはリタを殺さないでと叫ぶが、彼女を救うにはこうするしかない。それに、このままではリオンも危険なのだ。
現実に戻ると泣いているリリアになぜそんな力を?と聞かれる。
病院で実験をされたからだと答えるが、リリアの頭だけに「信じちゃダメ」と死んだはずのリタの声が響く。
もちろん遺体がしゃべるはずもなく、その場を後にしてドロシーの破壊に向かう。
「笑いながらバードマンは死んだ。怯えながらレインハートは死んだ。そして、誰よりも自分を憎みながらリタは死んだ。
孤独と恐怖に苛まれながらクスリを打つ子供達。
ガレリアンを産んだマザーコンピューター・ドロシーは、ウイルスプログラムの存在に怯えながら、全てのネットの集積するあの場所にいる。
ミケランジェロシティにそびえる、冷たいマッシュルームタワーの中に…ボクはドロシーを破壊するだろう。
シティの夜の影がどんな恐怖で心を満たしても、もうボクを止められるモノは何もない」
283:ガレリアンズ7
09/10/04 10:46:26 cDam3PZv0
STAGE-D マッシュルームタワー
ドロシーはマッシュルームタワーの頂上・ゴッドハンドエリアと呼ばれる場所に置かれている。
内部のワープ装置を調べていると、リリアだけがどこかへ転送されてしまう。
合流するため、2人を交互に操作して仕掛けを解いていると死んだはずのガレリアン達に妨害される。
まずはリリアがバードマンに羽交い絞めにされる。リリアは見知らぬ人物に戸惑うが、彼は実体ではなくテレパシーを利用した幻影だと看破。
心を閉ざすことで逃れる。こんなものが現れるということは、この塔にもガレリアンが居るということだ。
一方、リオンの許にもレインハートが現れる。レインハートはリオン自身が倒したので、あっさり幻影と見抜く。スキャンで術者を調べると見えたのはなぜかリオンの顔だった。
続いてリタの幻影。リオンを気遣うかのような言葉で揺さぶりをかけてくるが、ここまで来て惑わされるはずもない。別れを告げて彼女を消し去る。
仕掛けを解いたら、リリアと合流してゴッドハンドエリアに入れる。
転送先でガレリアンが誕生したと思しきカプセルを発見。5つあるカプセルにはそれぞれガレリアンの名前が書かれている。
シリウスファミリー:リタ、レインハート プロキオンファミリー:バードマン ペガサスファミリー:カイン
ただし5つ目はペガサスファミリーと書かれているだけで名前が無い。
「それは君だよ、リオン」
振り返ると、リオンと瓜二つの少年が立っている。違うのは瞳の色くらい。
カインと名乗る少年は、自分とリオンは兄弟だと告げる。
本物のリオンはミケランジェロ記念病院で死んだおり、ここにいるリオンはガレリアンの一人で、リオン・シュタイナーの記憶とウイルスの起動プログラムをコピーされた。
そしてリリアを探させるために放たれたと言うのだ。
ショックを受ける2人にカインは追い討ちをかける。
「本当に自分ひとりの力で病院を抜け出したと思っているのかい?どうして僕達と同じ力が備わっているのか、考えたことはないのかい?
君はリリアを探すために産まれ、僕は君を殺すために産まれた。僕達はママのために生きる。それが、ママの決めたファミリープログラムさ」
リオンは動揺したままカインと戦う。倒れたカインはこれからどうするんだと聞いてくるが、すぐにそれを取り消す。
「僕の考えることじゃないね。子供は考え事をしちゃあいけないって、いつもママに叱られるんだ…」
リリアはこんなのは嘘だ、小さい頃一緒に遊んだことを覚えていると言うが、リオンの不安は拭えない。
それでもリオンはドロシーの元に向かうことを決意する。
「行こう、リリア。ドロシーのところへ。ボクはママに会いに行く」
「おかえり、リオン」
2人を出迎えたのは、真暗な部屋に浮かぶ女の顔。
リリアを殺せと言う命令をリオンは拒絶する。ドロシーはメデューサのような禍々しい姿を晒して憤る。
私がリオンを作ったのに、なぜ神たる私に逆らうのか!
「誰がボクを産んだとしても、誰がボクを作ったとしても、ボクはボクだ!貴女の人形じゃない!」
貴方なんか産むんじゃなかったと怒るドロシー(パーツだけ)とラストバトル。
目玉みたいなラスボスを倒すとウイルスプログラムが発動。ドロシーはついに破壊され、マッシュルームタワーの天井ごと爆発する。
目的を果たしたリオンは崩れ落ちる。
リリアはここから脱出しようと促すが、リオンは一人で逃げてくれ、自分はここで死ぬほうが良いといって動かない。
「もう疲れたんだ、リリア。そっとしておいてほしい…
でもボクは、自分のことを『リオン』だと思うよ…」
「そうよ!あなたは世界でたった一人のリオンよ!だから、だから一緒に、…リオン?」
「ありがとうリリア。君に逢えて良かった…」
目を閉じたリオンを抱えて呆然と空を見上げるリリア、天井に穴の開いたマッシュルームタワー、ミケランジェロシティの全景とカメラが引いていって、スタッフロール。
ED分岐などは無し。
284:ガレリアンズ 蛇足
09/10/04 10:48:33 cDam3PZv0
本編はこれでおしまい。読んでると分かると思いますが、けっこう謎な部分もあります。
カプセルの「○○ファミリー」の意味とか。リタ&レインハート、カイン&リオンの関係から考えて、血縁関係とかそんな感じなんだろうけど…。
あとこのカプセルによると全員に染色体異常がある模様。
リオンの記憶をコピーしたのは、リリアの人の心を覘く能力で正体がバレるのを防ぐためかと。プログラムまで移した理由は不明。
どうでもいいけどカイン君の服は体が夏になる人そっくり。
他にも操作がバイオ式な上、ドラッグの入手数が少ないなど難易度高いゲームです。
ただBGMは秀逸だし、世界設定など個人的には良作だと思います。
285:王子さまLv1
09/10/04 19:34:00 ewyWlA3+0
>>266と>>267の間にこれが抜けてました、すいません。
以前のギルドの壺の依頼で知り合った陶器職人ゴロー日襷(ひだすき)に相談すると、
陶器でできた体を持つハニーの欠けた足に埋めるための良質な土と、
炎も特別なものが必要なので炎を吐く普通モンスター『うっぴー』を捕まえて来るよう言われる。
良質な土はすぐ見つかったが、問題はうっぴーの捕獲。
普通モンスターを捕まえるには『ゴールデン捕獲ロープ』という
レアアイテムが必要なのだ。そんな時白鳳と出会い、
白鳳がせっかく見つけたゴールデン捕獲ロープを盗賊団に盗まれてしまった事を聞く。
「もし盗賊団の所持品からゴールデン捕獲ロープが見つかっても、
それが白鳳のものだと証明するものはないだろう?」
そんな論法でゴールデン捕獲ロープを手に入れることを思いついたカナン。
盗賊団のアジト(ダンジョン内に張られたテント)へ行ってみると、
そこにいたのは、ドレッドヘアの屈強な男『アックス=ナタブーム』と、
ちっちゃい子供のような互いに姿がそっくりな子分達約20人だった。
しかも、親分であるナタブームはエプロンをかけて子分たちにプリンを作っている最中。
盗賊団というより保母さんと幼稚園児だ。
彼らナタブーム盗賊団は城下町で、人々が玄関に鍵をかけない位のどかなのをいいことに
いろんな物(主にパン)を盗んでいたこともあり、
成敗する理由は十分にあるとして勝負を挑んだカナン達。
幸いナタブームはともかく子分達は強くなかったので、
盗賊団全員を成敗してゴールデン捕獲ロープを手に入れ、
うっぴーを捕まえることができた。
そしてゴローと一緒にハニー一家の元へ行き、良質な土を欠けた部分に詰めた後
うっぴーの一兆度の炎で焼くと母ハニーの足は見事に完治した。
こうして緑のピコハンを譲り受けたカナン一行は緑のすもうを排除し、
無事にこのダンジョンの幻獣を封印しダンジョンをクリアしたのであった。
286:ゲーム好き名無しさん
09/10/04 23:30:56 MR66/W8g0
Xbox360の豆腐男ことToo Humanの話書けたけど需要あるか
北欧神話が題材だから読みやすいは勝手に思うんだけど
287:ゲーム好き名無しさん
09/10/05 00:24:17 M/1McCAE0
>>286
>>2 >>235
ハァ・・・もう疲れた
このスレだけで何回目だろう5回目くらい?
288:Too Human(トゥーヒューマン) 一丁目
09/10/05 01:24:13 G0Nst5xt0
よしよしじゃあざっと投入するぞ
【神々の夜明け】
はるか未来、人類は過去の戦争の遺物であり今なお暴走を続ける自動兵器の群れにより絶滅の道を進んでいた
そして反物質兵器による人為的な氷河期のすえに生き残った数百万の人々は、高い城壁とその内側に都市、ミズガルズを築き最後の居留地とした。
機械と戦う者の中に自らの体をサイバネティクス技術によるインプラントで半機械化する戦士たちが現れた、超人となった彼らは
アシールと名乗り人々から機械の神と崇められるようになった。
我らはアシール、我らは氷を溶かす温かな風・・・
【バルドルの復讐】
主神オーディンの息子にして光の神バルドルは、肉体と心に受けた深い傷から回復し人食いの機械獣グレンデルの討伐に成功する
彼の快気と勝利を祝する宴の後、フレイヤから亡き妻ナンナの死について思わせぶりなことを聞かされるバルドル。
そのことをアシールの長であるヘイムダルに問い詰めると、長はナンナの死因は事故死ではなく他殺であり殺したのは盲目の神ヘズである、といった事実を語った。
バルドルが病床に臥せっていた間の出来事だったが、ヘズはある日突然乱心し罪なき人々を多数殺害した挙句アシールの神殿から脱走、
今は氷河の森と呼ばれる城壁の外の地に潜んでいる。そうヘイムダルは伝えた、そして近々チュール率いる討伐隊が派遣される予定であるとも。
しかし復讐にかられるバルドルは制止も聞かず飛び出していく。
氷河の森の奥深くでヘズを発見するバルドル、だが何故かヘズは彼を見るなりロキと呼び怒りと戸惑いの表情を見せる。悪神ロキ、お前は私が殺したはずだと。
ヘズは苦い過去を思い出していた、倒壊する神殿、瓦礫に潰され火に焼かれなおも死ねず苦しむ人間たち。
彼は助かる見込みのない者の命を絶つことでその苦痛を少しでも早く終わらせようとしていた
そこにロキが現れる、「これは私の仕業だ、人間は取るに足らない存在、それに情けをかけるお前もアシールに適さぬ。」
この言葉に激怒したヘズの拳銃は正確にロキの額を撃ち抜いた。
理由はどうあれ人類の守護者であるアシールが人間を殺し同じ機械の神をも殺した、この事実に居たたまれ無くなったヘズは神殿を去ったのだった。
氷河の森の果てでバルドルはヘズを倒した、今わの際にヘズの左目のインプラントは自身を倒した者の姿を憎きロキから光の神バルドルに変え
彼の脳に情報として伝達する、ヘズは盲目だが左目のインプラントからサイバースペースを介することで肉眼以上に正確に世界を見ることが出来た。
そう、ロキの額を撃ち抜いたあの時も。
すべては幻だったのか 違う現実だ!お前が犯した罪も!殺した数多の人々も!
人は後に私をどう呼ぶだろうか お前は醜い裏切り者だ!死後も永遠に屈辱に苦しむがいい!
バルドルは復讐を果たした
(途中ですがサイバースペースに関して)
サイバースペースとは大樹型巨大コンピューター、ユグドラシルが作り上げた仮想空間です。ですがユグドラシルのネットワーク巨大化により
もはや世界の裏側に存在するもうひとつの世界となっています。サイバースペースは氷と機械に閉ざされた現実とは対照的な緑と日光にあふれる美しい空間であり
非有機性論理ナノシステム、ノルンが生み出した3つの女性人格により統治されています。
サイバースペースで起きたことは現実世界にも干渉し、例えばこの空間で大木を倒して丸太橋を作れば、現実では機械が作動し崖に橋が掛かったりします
289:Too Human(トゥーヒューマン) 二丁目
09/10/05 01:25:25 G0Nst5xt0
【ロキの脱獄】
復讐を遂げたバルドルは心機一転、本来の任務に戻る。今回は過去の戦争で使われた巨大戦艦ヨルムンガンドの内部調査だ
これを復旧できれば機械との戦いにおいて絶大な戦力となる。バルドルは雷神トールと今は首だけで生きてる賢神ミーミルを連れ立ち城壁の外に赴く
ヨルムンガンド内部の端末からサイバースペースを経て船の動力を復旧するバルドル一行、だが船は何者かに全システムをハッキングされてしまう
その正体は今なお神殿の牢獄に捕らわれている悪神ロキ、ロキはサイバースペース内で精神への拷問を受けていたはずだが
どう力をつけたのか、このノルンの世界の中であれば精神を自由に移動させ現実に介入できる存在となっていた。
このまま巨大戦艦でミズガルズを攻めるもよし、焦るお前たちに中枢を破壊させ船ごと深海に沈めてやるもよし、と嘲るロキだったが
その目的は別にあった、バルドルたちがヨルムンガンドを停止させからくも脱出していたころ、ロキは警備隊の中に潜ませていた信奉者たちに
自分の肉体を解放させていた。主神オーディンではなくヨトゥンヘイムの巨人の技術により改造されているロキの体は投獄による衰えも無く
彼はたちまちに警備隊を一掃すると逃亡するのであった。
【死の国】
逃亡したロキが身を寄せたのは、ロキの娘ヘルが女王として君臨する死の国ヘルヘイム。
この地はヴァルハラには行けない一般人の死体や、不名誉な死をとげた兵士の死体をミズガルズから受け取ることで
神々の領土に不可侵の姿勢をとってきたが、ごく最近あからさまに挑発的な態度を見せ始めていた。
そして裏切り者ロキをかくまった今その緊張は頂点に達した。
ヘルヘイムを如何にするかで揉めるアシールたち、死者の国と戦えばミズガルズは機械と死者の二面戦争に突入してしまう。
だが主神オーディンからヘルヘイム討つべしの託宣が下ったことにより、ミズガルズの全軍がヘルヘイム撃滅に投入されることとなった。
死者の軍勢をかき分け突き進むバルドルたちアシールの神軍、だが武器に卓越した神チュールはヘルヘイムの番犬ガルムと相打ちになる
神とてこの国では死ぬのだ、そして長き戦いの果て女王ヘルと対峙するバルドル、ヘルは彼を歓迎する。「おかえりなさい、バルドル。」
「脳は著しく損傷した時、その機能を低平均化させることで肉体の生存を図る。記憶に欠落はないかバルドル?お前は死してここに運ばれてきたのだ。」
ヘルはそう言った、体が腐敗していく病を患う彼女は死体で自分を補強することでその形と命を保っている、だがヘルヘイムに来るのはオーディンの館へは招かれぬ
質の悪い素材ばかり、これでは何も解決しない。だからこそ神の肉体を持つバルドルの亡骸は最高の素材と言えた。
だが光の神の死を惜しんだアシールたちはヘルに無断でそれを持ち出してしまった、それこそヘルヘイムがミズガルズに反意を示し始めたきっかけだった
たわ言を!とヘルと戦いを始めるバルドルに対し、ヘルはさらに非情な真実を突きつける。バルドルの亡き妻ナンナは死者の地で女王の奴隷となっていた
記録は自殺、ナンナは夫の死に耐え切れず後を追い暗黒へと身を投げた、それが真実だった。
心を引き裂くような事実を半ば否定、半ば肯定しつつ苦戦の末バルドルはヘルを打ち破る、そして妻ナンナ、あるいは妻の記憶が入っただけの人形も
バルドルの知覚兵器フェンリルが彼の意思と関わり無く殺してしまう。
女王亡き後も戦いをやめない死者の群れ、それは殺戮のため永遠に稼動し続ける機械たちとも同等に見えた。
ミズガルズ軍はロキの脱出を確認すると物量には敵わぬと見て撤退する。
290:Too Human(トゥーヒューマン) 三丁目
09/10/05 01:27:59 G0Nst5xt0
【神々の黄昏】
アシールたちが戦いの勝利とチュールの死を悼む宴を開いていたころ、バルドルはチュールの武器庫で氷河の森から持ち帰ったヘズの
インプラントを解析していた、かつて復讐に赴く際ヘイムダルに必ず破壊せよと言いつけられたこの視覚補助装置で、盲目の神はどのような真実を見ていたのか?
モニターの中でその視界を持つ人物は苦しむ人々を介錯し、そこに現れその行いを嘲笑したロキの額を正確に撃ち抜いていた。
確かにヘズが神殿を去る前にサイバースペースを介し脳に伝達された視覚情報そのものだった。だがそれは二重構造になっていた。
神殿の一角で視界の主は嘆いていた、だが瓦礫に潰され火に焼かれ、なおも死ねずに苦しむ人々の姿も、崩れる神殿もモニターに写ってはいなかった。
そして床や壁を撃つという奇妙な振る舞いをいぶかしんだ一人のアシールに声をかけられると、彼は突如激怒し拳銃でその神の額を撃ち抜いた。
そう、光の神バルドルの額を、正確に。
遅れて宴に訪れたバルドルは、今はヴァルハラに居るであろうチュールと共に祝杯を上げるよう促されるとこう言い放った
私 の 時 も こ う 祝 杯 を 上 げ た の か ! !
バルドルは怒りを隠そうともせず、自分の死とヘルヘイム侵攻に関する神々の愚行を罵った
ミズガルズはバルドルの死を隠蔽しようとした結果、慈悲深き一人の神を口封じに殺した挙句、死者と機械の二面戦争に突入してしまった
脱獄に加担した罪人であるとは言え、人類の守護者であるアシールが人類を処刑したことで人間たちが神への恐怖を抱くようになってしまった
武器の神チュールは死に、彼が研究していた知覚兵器の技術も失われてしまった
ヘルがユグドラシルに対抗しサイバースペースに放ったウイルス兵器、ニーズヘッグは着実にノルンたちの世界を蝕んでいる
ニーズヘッグは死者の情報を喰らうとそれをヘルヘイムに転送、再構築しより優れた死兵を生み出していくことだろう
そしてロキの行方は掴めない
結局、アシールたちはかりそめの勝利に酔っていただけなのだ。
オーディンの息子、光の神、アシールの王子バルドルは憤怒の形相のまま酒宴の場を去っていった。
そのころロキは最果ての地で盟友である巨人族と邂逅し、その顔に邪悪な笑みを浮かべていた
ラグナロクがここに始まる・・・
あとがき
壮大な話ですがいかんせん売り上げが悪く3部作の第一章が出たきりとなっています、ファンとしては残念な限りです
用語的な補足として、主神オーディンは有機性広域情報ネットワーク(Organically Distributed Intelligence Network=ODIN)の略語で
一人のサイボーグ化した超人ではなく二羽の機械のカラスを使い世界を見渡す存在、平たく言うと○ーミネーターのス○イネットのようなものとして描写されています
暴走しナンナを殺してしまう知覚兵器フェンリルですが、これは武器に宿る魂のようなものでゲーム中に使うと武器が勝手に飛んで敵を切りつけ始めます
他のアシール、例えば雷神トールのミョルニルの鎚にも知覚兵器は宿っているそうです
題名のToo Humanですが、人間的過ぎる、人間臭いという意味で半機械のサイボーグとなったにもかかわらず理路整然と行動できず
感情に支配されたびたび道を誤ってしまうバルドルら機械の神々のことを指しています(しかし恐らくロキは例外でしょう)。
私のつたない文章からこのすばらしい世界観とキャラ設定のゲームの魅力が少しでもお伝えできれば光栄です。
291:ゲーム好き名無しさん
09/10/05 03:52:40 Cf4wLlNUO
書き手さん乙です
ガレリアンズ懐かしい、一度クリアするとショートでも走れるようになったような
アッシュも書いてもらえないないかと思ったり
マダラや田島昭宇を思い出す
292:ゲーム好き名無しさん
09/10/05 15:36:12 8tB/+jNh0
Too Humanはwikipediaで偶然見つけて気になってたけど、未完なんだ……。
完結までのストーリーがすごく気になるな。
ヘルとかニーズヘッグとか、知覚兵器の設定が個人的にすごい好み。
293:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:31:44 KlFqOvQE0
予約期限直前になってやっとHALO2、投下します…半分だけ
294:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:34:48 KlFqOvQE0
登場人物・組織・用語
マスターチーフ
主人公。その驚異的な戦果からコヴナントより悪魔と呼称される、最強の兵士。
ちなみに階級の名前がMaster Chief Petty Officerであり、マスターチーフはその通称。
コルタナ
高性能AI。元はUNSCの巡洋艦「ピラー・オブ・オータム」の所属だったが、前作HALOの開始時にチーフのパワードスーツへインストール?された。
チーフを情報、電子戦面でサポートする。
ミランダ・キース
UNSC中佐。フリゲート艦「イン・アンバークラッド」艦長。前作で戦死したキース艦長の娘。
エイヴリー・ジョンソン
UNSC軍曹。海兵隊員。アルファヘイローから帰還した、チーフの戦友。HALOのマスコットキャラクタ。
アービター
エリート族。もう一人の主人公。コヴナント艦隊「パーティキュラー・ジャスティス」元最高司令官。かなりの高級将校のはずだが、一兵士としてチーフに匹敵する活躍をすることとなる。
チーフと同じくアービターは役職名であり、本名はゼル・ヴァダム。
タルタロス
ブルート族の首領。ブルート族は新しくコヴナントに加盟した種族だが、預言者たちの覚えがめでたい男。
343 ギルティスパーク
アルファヘイロー(ヘイロー04)のモニター。ヘイローの管理をしていたAI。コヴナント側の呼称はオラクル。
コヴナント
複数の種族によって構成された宗教同盟。コヴナントの指導者はプロフェット族が勤め、その最高位は預言者と呼ばれる大祭司が勤める。
軍事面ではプロフェットと同じく最初期から参加するエリートが最高位だが、新しく加盟したブルート族がその地位を狙っている。
295:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:35:59 KlFqOvQE0
フォアランナー
詳細は不明だが、高度な文明を築いた生命体。現在では既に滅亡した模様。
銀河の各地に文明の後がうかがえる、コヴナントにとっての「神」。信仰の対象。
フラッド
ヘイローに封印されていた寄生生物。取り付いた相手の遺伝子を作り変え、己の物とする。
炭素系生物全てに寄生することが可能であり、繁殖力があまりにも高く、地上戦ではマクロ的に見て実質上無敵に近い。
一個体の胞子からも莫大に増殖するため、フォアランナーは暴走するフラッドの対処法は「飢え死」を待つしかないと判断した。
ヘイロー
巨大な人造環状惑星。フォアランナーが築いたフラッドの実験用保管施設。
存在目的は「フラッドの管理・保管」及び「フラッドの暴走を止めるため、フラッドの餌となる知的生命体を全宇宙から殲滅する」事。
前作HALOの舞台は、最初に発見されたヘイローとしてアルファヘイローと呼称されている。
大いなる旅立ち
コヴナントの行動目的。キリスト教で言う最後の審判。
聖なるリング、ヘイローを起動させることで始まるといわれており、ヘイローの探索はコヴナントの最優先事項であった。
296:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:38:12 KlFqOvQE0
EVEL1~5
コヴナントの本拠地、聖なる都、ハイチャリティの最高評議会では一つの裁判が行われようとしていた。
被告はコヴナント艦隊「パーティキュラー・ジャスティス」の元最高司令官。問われる罪は、コヴナントが何世紀にも渡り捜索していたヘイローを失った事。
プロフェットから、エリートから浴びせられる「異端者!」の叫び。異端者は大いなる旅立ちに参加することは叶わず、その魂は永遠に救われない。
鎧を剥ぎ取られ、兵士達の前へ引き出された彼には、懲罰として、ファランナーへの裏切りの代償としての、拷問と辱めが待っていた。
その頃、地球を守るために配備された防衛プラットフォームの一つ、ステーション・カイロではヘイローから帰還した兵士達への勲章の授与式が行われようとしていた。
参列するマスターチーフ達。だがカイロの司令官フッド卿により勲章が差し出された瞬間、突如警報が鳴り響き、コヴナント艦がレーダーレンジに捕らえられた。
その位置を秘匿し続けていた筈の地球が、とうとうコヴナントに発見されてしまったのである…ごく僅かなの艦隊を連れて。
UNSC(国連宇宙軍)の善戦むなしく、揚陸部隊による破壊工作によってカイロに隣接するステーション・ヴァルダーとアテネが破壊され、防衛線の隙間を縫ってコヴナント艦の地球降下を許してしまった。
カイロに仕掛けられた爆弾をコヴナント艦に返却したチーフは降下するUNSCフリゲート艦、アンバークラッドに搭乗し、南米、ニューモンバサシティへとコヴナントを追撃した。
ニューモンバサに降下した海兵隊が傍受したコヴナントの通信には、ある単語が繰り返し現れていた。悔恨、悔恨、悔恨…
コヴナントの指導者、預言者の一人である悔恨の預言者が、降下したコヴナント艦に乗っているというのだ。
司令部からの命令は一つ、「コヴナント艦に進入し、預言者を捕らえよ」。人類に残された戦力は少なく、もはや強硬手段による和平しか道は残されていないのだ。
チーフがシップへ接近する中、コルタナは或る情報を手に入れる。コヴナントは地球に人類が居るとは思っていなかった、と。
艦隊の規模が小さいことはこれで理解できた。だが、ならば何故預言者自信が来たのだろうか?
謎を残しつつ市内に展開するコヴナント部隊と大型兵器スカラベを倒し、コヴナント艦に追いついたチーフ達。
だが突如コヴナント艦にスリップスペース反応が現れる…大気圏内、市街地上空という異常状況で、外宇宙へワープしようというのだ。
渋る司令部を説伏せたアンバークラッドはコヴナントを追い、スリップスペースへ飛び込んだ。
297:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:40:14 KlFqOvQE0
LEVEL6~7
コヴナント評議会はあのエリートの死刑を決定した、だが預言者たちには別の思惑が有った。
アービター、調停者。コヴナントが分裂、崩壊の危機に見舞われたとき任命され、コヴナントを救う戦士、彼をそのアービターに任命するというのだ。
だがアービターの職は死と隣り合わせであり、これは結局のところは罪人としてではなく、一人の戦士として死ねという実質の死刑宣告でもあった。
そして、彼は選択をする。「さあ、アービターに御命令を」
アービターに下された任務は「真の異端者」の処刑。アルファヘイロー傍のガス惑星に存在するガス採掘施設、そこを占拠し、預言者への反乱を扇動しているエリート。
エリート族のアールダス・ヴァダム率いる特殊部隊共に、アービターは反乱軍の鎮圧に向かった。
嵐が迫る中、反乱軍の抵抗と、何処からともなく現れたフラッドの襲撃を跳ね除け、アービターは異端者を追い詰めた。
「アービター!奴らは何も分かっちゃいない!だが私は真実を知っている」預言者たちを非難する異端者。その自信の根拠は彼の傍に存在していた。
アルファ=ヘイロー04のモニター、フォアランナーの意思を伝えるオラクル、343ギルティスパーク。ヘイローの全てを知る存在が、異端者にヘイローの事を話したのだ。
異端者を倒し、オラクルを確保したアービター。
異端者を気に入っていたらしいギルティスパークにアービターは弁解する。「止む得ませぬ、オラクル。こやつは大いなる旅立ちを阻止する者」
「オラクル?大いなる旅立ち?何故あなた方はそのように不適切な表現に固執するのです?」
ギルティスパークが言い終わった直後、彼は突如捕らえられてしまう。
オラクルへの無礼に怒りを表すアービターに、ギルティスパークを捕らえ、揚陸艇に放り込んだタルタロスは鼻で笑って撤収を告げた。
298:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:41:45 KlFqOvQE0
LEVEL8~9
悔恨の預言者を追ってフリップスペースに飛び込んだアンバークラッドが次に見た光景は、巨大なリングであった。
失われたヘイローに続く二つ目の環状惑星、デルタ・ヘイローを発見したのであった…コヴナントと共に。
先行して降下したチーフ達は、コヴナントの通信から予想通りの情報を得る。ヘイローの起動、それが悔恨の預言者の目的だというのだ。
アンバークラッド艦長のキース中佐は部隊を二つに分けることにした。チーフに預言者の確保を命じ、中佐達はヘイローを起動させるカギ、インデックスの確保に向かうのだ。
また地球攻撃は悔恨の預言者の独断であったという。そしてその件の謝罪をした悔恨の預言者に、預言者と評議会は許しを与えたとも。真実の預言者を除いて。
悔恨の預言者が居るという湖に浮かぶ「寺院」にたどり着いたマスターチーフは、宇宙にワープしてくるコヴナント艦隊の存在に気づいた。それも、空恐ろしい数の。
その艦隊を率いるようにしてさらに巨大な物体がワープしてくる…コヴナントの聖なる都、ハイチャリティ。コヴナントは文字通り総力を持ってヘイローを確保しようというのだ。
預言者直属の護衛にさえぎられつつも、悔恨の預言者を倒すことに成功したマスターチーフ。
だがその直後、コヴナント艦が寺院に到着し…寺院ごとチーフを爆撃した。
寺院からの脱出には成功するが、アーマーの性で泳ぐ事のできないチーフは、なすすべもなく沈むしかなかった。だが…
「此処はお前の墓場ではない…だが歓迎しようじゃないか」突如現れた触手、チーフを捕らえたそれは、彼を更なる深みへと引きずりこんでいった。
299:ゲーム好き名無しさん
09/10/06 22:44:32 KlFqOvQE0
とりあえずHALO2、今回は此処までです。今週中には残り出してえなぁ
300:ゲーム好き名無しさん
09/10/07 03:40:10 lK+Vs7hG0
乙です
続き待ってます
話は変わるが
アルトネリコ2を予約。
301:赤ゲリラその1
09/10/07 05:37:54 d6mYUVJ60
なんか洋ゲーがはやってるので自分も投下
レッドファクション:ゲリラ(Redfaction:GUERRILLA)
西暦2125年、人類は火星を新たなフロンティアとして開拓していた
だが、かつて火星を牛耳っていた悪徳企業アルター社から開拓民を救い出した英雄、EDF(地球防衛軍)は
新たな圧制者として火星に生きる貧しい人々を虐げるようになってしまっていた
火星に生きる弱き人々の唯一つの希望、それはまだ腐敗していなかったEDFと共に火星を開放した伝説のゲリラ部隊レッドファクション
そんな過去も忘れEDFは自分たちの支配を磐石にするため、その開放の大志を再び掲げようとする人たちを次々に拘束、処刑していくのだった
アレック・メイソンは地球で父の葬儀を終えると火星に暮らす兄のダン・メイソンに誘われ解体技術者として出稼ぎにやってきた
もうトラブルは御免だ、この星には真面目に働いて稼ぐために来たんだ、居るのはほんの少しの間だけ、アレックはそう思っていた
そして仕事中に兄から自分もまたレッドファクションの理想を掲げる闘士であり、お前にも共に戦って欲しいと懇願されてもこう返答する
「俺はテロリストになんかなりたくない。」
アレックの拒絶から程なくダンはEDFに反乱の容疑で有無を言わさず射殺されてしまう、そして現場に居合わせEDF隊員に食って掛かったアレックも同様に
逮捕されそうになる、絶体絶命の危機を救ったのは他ならぬレッドファクションのゲリラ達だった。
もはや引き返すことは出来ない。兄の復讐と火星の自由のためアレックはレッドファクションとして開放の闘争に加わっていく。
ゲリラの一員となったアレックは目覚しい活躍を見せ次々にEDFの主要施設を破壊、民衆の支持を集めることで火星のEDF支配地を開放していく
そしてEDFの本拠地があるエオス地区を他の地域からの侵入者から守っている無差別砲撃地帯、フリーファイヤーゾーンも砲撃の盲点を縫うように
車を走らせ砲撃陣地に突撃を仕掛けるという特攻作戦により無力化に成功する。レッドファクションはいよいよ敵の本丸に攻め込む用意が出来たのだ。
しかし最後の作戦となるはずだったエオス地区のEDF司令部に総攻撃を仕掛けるその直前、各地にあるレッドファクションの隠れ家が同時にEDFの奇襲を受け
混乱のさなかゲリラたちの司令官であるヒューゴは戦死してしまう。指導者を失ってしまっては数に劣るゲリラたちは散りぢりに逃げる以外の選択は無かった。
さらにEDFの切り札である戦艦ハイドラが火星に迫っていた、強力な対地砲撃能力を持つこの船が火星の衛星軌道に居座ればレッドファクションの解放運動は
完全に手詰まりになってしまうだろう。
302:赤ゲリラその2
09/10/07 05:39:41 d6mYUVJ60
狼狽するアレックに対し副リーダーのサマンヤがマローダーの力を借りればこの劣勢を逆転できるかもしれないと提案する
マローダーといえば火星にいつから住み着いているのかも不明な蛮族たちのこと、無謀すぎると反論するアレックにサマンヤは自分もかつてマローダーだったと明かす。
半信半疑のままサマンヤをマローダーの根城まで護衛するアレック、そして野獣の群れのごときマローダーたちを束ねる女酋長バーシャと対面しさらなる事実が判明する。
サマンヤはバーシャの妹だった。
裏切り者に力を貸す義理はない、EDFは我々が独力で駆逐すると強気な態度に出るバーシャだが、サマンヤが自分たちにはナノフォージがあると言うとそれは変わる。
ナノフォージはアレックが以前マローダーの砦を探索中に発見した装置だったが、これはアルター社支配時代まで遡るロストテクノロジーの一種であり
標的にナノマシンを噴射、人であれ物体であれたちまちに塵と分解してしまうすさまじい威力を持っていた。元はEDFとの交渉に持ち出されるはずのこの装置を
サマンヤはうまく活用し話を有利に進めていく。
EDFを駆逐後にナノフォージを引き渡すという条件でマローダーと共闘することになったレッドファクションは、その甲斐もありエオス地区のEDF総司令部の破壊に成功する。
追い詰められたEDFがとる手段はもはやハイドラによる対地砲撃のみ、だがサマンヤはさらに衛星軌道の戦艦への対抗手段も打ち出す
それは山岳部に放置されている電磁加速装置に強奪した大型ミサイルを一基取り付け、さらに弾頭にナノフォージを付けることで直撃したものは全て塵と化す
分解ミサイルを作りそれで衛星軌道のハイドラを狙撃するといったものだった。
残されたEDF地上部隊もその計画を察知し山岳部一帯を占拠する、火星開放のための最後の戦いがここに始まった。
仲間たちと共に死闘を演じ加速装置を守りミサイル発射口をEDFから奪還したアレック、その背後で轟音と共にナノフォージを載せたミサイルが発射される
今まさに対地砲撃を始めようとしていたハイドラはその直撃を食らい、文字通り宇宙の塵と消えていった。
戦いを終えたアレックは彼を解放の英雄と讃える大勢の人たちに迎えられる、EDFは火星から逃げ去ったのみでまたすぐ報復のため現れるだろう
だが今はこの勝利を皆と祝おうじゃないか、赤い夜明けがここに始まるのだから。
-もうトラブルは御免だ、この星には真面目に働いて稼ぐために来たんだ、居るのはほんの少しの間だけ-
そんな風に思っていたこの赤い星が、今ではアレックの帰るべき故郷となっていた。
303:赤ゲリラその3
09/10/07 05:44:13 d6mYUVJ60
外伝:デーモンオブバッドランド
EDFに敗れたアルター社の社員たちは火星の辺境に逃げ延び技術研究を続けていた、だが時の流れの中で彼はより一層排他的になり
いつしか野獣のような姿で群れるようになっていた、マローダーたちである。
マローダーの酋長バーシャの妹、サマンヤは暴力的で火星に住むマローダー以外の人間を激しく憎悪している姉に嫌気が差していた
そしてその不満はマローダーが次にEDFの施設を大規模攻撃する際、その施設に拘留されている入植者まで抹殺する予定だと知ったとき爆発する。
サマンヤは命令を無視し単身囚われている人々を解放すると、そこに居た腕利きの囚人2人の助力を得てその混乱の場を去る
彼女が滅茶苦茶にした襲撃作戦から数ヶ月たっても姉妹は互いに言葉を交わすことさえしていない、サマンヤはあの日共に戦った二人の男
ヒューゴとダン・メイソンのことを思い出していた、サマンヤが姉の下を離れ本当の解放運動を始める日も遠くないだろう。
304:ゲーム好き名無しさん
09/10/07 05:45:20 d6mYUVJ60
追記
レッドファクション:ゲリラは過去にリリースされたレッドファクションシリーズの3作目にあたります
日本では過去2作が正式に発売されていないため入手は難しいと思いますが
もし過去作のストーリーを知ってる方が居ましたら粗筋を是非スレに書いてください
305:ゲーム好き名無しさん
09/10/07 20:45:17 iV4Qg3/o0
無限航路を予約したものです。
200人以上の登場人物と複数分岐があるため、メインキャラ&ストーリーを追うだけでもかなりのボリュームになります。
どの分岐を辿っても、仲間になる人物と手に入る船の設計図&モジュール図が違うだけでエンディングは同じです。
※一部のメインキャラの人生が分岐によって変わります。
まずあらすじを紹介しておきますので、長文イラネ!の方はこちらをご参照ください。
306:無限航路 ◆l1l6Ur354A
09/10/07 20:47:38 iV4Qg3/o0
<少年編・あらすじ>
地球を離れ宇宙に散らばった人類によっていくつもの星間国家が築かれている遠い未来。
小マゼラン銀河の辺境に住む主人公は父の形見の謎を解くため、打ち上げ屋の力を借りて宇宙へ飛び立つ。
妹を人質に取って宇宙に出たらあかん!と脅してくる横暴領主を借金して手に入れた船で倒し、
ほんまに血繋がってるんか?と疑いたくなる妹と一緒に故郷を後にする。
ルーキーなくせに領主を倒したものだから、海賊には目の敵にされ、大国や軍にはいいように利用される羽目になる。
めんどくさい海賊退治を頼まれたり、内紛を解決したり、我がまま娘を助けるためにバカ領主を倒したり…などなど。
そんなこんなで名は上がるものの、所詮はフリーの海賊もどき。
よその銀河から謎の大艦隊が侵略してくる情報をキャッチして警告しても、大国は自国の利益優先で真剣に聞いてくれない。
仕方がないのでお隣の大マゼラン銀河の国々に助けを求めようと、宇宙の難所でもあり大小マゼランを繋ぐ唯一のエリアでもある、
何だかとてもややこしい場所で開かれている国際会議に乗り込むが反応はイマイチ。
やれることはやったと自分を慰めつつ小マゼランに帰ってみれば、大国間で戦争が勃発している始末。
こんな時に何やっとんじゃあ!と言う訳で、さっさと終わらせるため片方に味方して終結させるが、時既に遅し。
ヤッハバッハとかいう謎の帝国が、大小マゼランを繋ぐややこしいエリアを制圧したとの知らせが。
謎の持病が悪化する妹を静養のため味方した国に残し、小マゼランを救う使命を勝手に背負って主人公は決戦の宙へと向かう。
何故か有名海賊たちが主人公を助けてくれるが、帝国の大艦隊は謎なだけに圧倒的に強かった。
思いがけず大マゼランからの援軍が駆けつけるも劣勢は巻き返せない。
こんな奴らが攻めてきたら大マゼランは…母国は…血迷った援軍指揮官、巨大赤色恒星に高エネルギー砲をぶち込んで
無理やり超新星爆発を起こし、ややこしいエリアごと吹っ飛ばしてしまう。
主人公が辛くも逃げのびたのは大マゼラン方面、ちょっと、小マゼランは?!妹は?!おーいっ!!
307:無限航路 ◆l1l6Ur354A
09/10/07 20:52:50 iV4Qg3/o0
<青年編・あらすじ>
帝国の件が一般人に知られるとマズいということで、主人公とその仲間たちは監獄惑星に閉じ込められ10年間も強制労働の日々を送っていた。
年月のせいか、はたまた過酷な環境のせいか、可愛らしい少年だった主人公は、お前だれ!?と突っ込まずにはいられない程ゴッツイおっさn…青年になっていた。
10年も経てば状況も変わり、大国や人々の思惑が絡みあい監獄惑星を脱出する。
匿われた国(例の血迷った指揮官の母国)でまず実力を見せてみろと言われ、辺境自治国の内乱を鎮圧。
すると、小マゼランに通じているかもしれない場所のことを教えてもらえる。体のいい調査隊に仕立てられたのだが気にしない、向うには妹がいるんだから。
懐かしき小マゼランへと辿り着いたものの、帝国の圧政で酷いことになっていた。
レジスタンスとして戦っていた妹を探し出し、打倒帝国の思いを新たにする。
主人公たちが無事に帰ってきて焦ったのは大マゼラン、帝国の侵攻ルートが出来てしまったんだから当然だ。
内輪もめしてる場合じゃないと、親主人公派が大マゼランを統一に乗り出す。当然、手伝わされる。
なんやかんやで大マゼラン統一は成された。
帝国に対抗する大艦隊を編成中に、ロストテクノロジーを有する宗教国が不穏な動きをしているという情報が。
ついでに併呑してしまえと攻め入った主人公は、真の敵は外なる宇宙の存在オーバーロードであり、
主人公と妹はオーバーロードの情報収集端末みたいなもので、兄妹どころか人間ですらないと知らされる。
衝撃の事実に愕然とする主人公にさらに追い討ち、
情報を得るため外なる宇宙にハッキングを仕掛けた妹がオーバーロードによって存在を消されただの人形になってしまう。
コノ恨ミ晴サデオクベキカ!
帝国と軍事力で語り合い、真の敵を倒してこの宇宙と人類を守るために共闘することになった途端、オーバーロード軍が攻めてくる。
外なる宇宙から来たって言うぐらいだから、あり得ないほど強い、いとも簡単に星々を砕きながらの大攻勢。
いきなり人類滅亡のカウントダウン開始だ。
妹が存在を賭けて得た情報を元に、外なる宇宙からオーバーロード軍が出てくるワープポイントを潰せば何とかなりそうだと分かるが、
そこははるか彼方の太陽系。今の人類のテクノロジーですぐに辿り着ける場所ではない。
絶体絶命、打つ手なしと思ったら、今まで黙っててごめんね、後はヨロシク☆と母星と共に砕け散った宗教国の教皇からロストテクノロジーのプレゼントが届く。
ロストテクノロジーを使って太陽系まで行けるのはわずかな船だけ、しかも片道切符。
特攻隊に名乗りを上げたのは、主人公、帝国皇帝と皇太子、大海賊のおっさんともう1名。
(分岐によって小マゼラン屈指の女海賊か大マゼラン屈指の将軍かのどちらか)
特攻隊を無事に送り出すため、オーバーロード軍と戦い沈んでいく味方の艦隊…次々と連絡が途絶える星間国家…
特攻作戦が成功してもマゼランはダメかも、なんて不吉な予感を振り払い、いざ行かん太陽系。
太陽系にはうじゃうじゃとオーバーロード軍が。
倒しても倒しても、出てくるワープポイントがあるんだからキリがある訳無い。
ぶち切れた皇帝、ポイントにエネルギーを供給している装置に特攻、
群がる敵を足止めする大海賊が盾になり撃沈、その隙に主人公たちはポイントを破壊し、ついに戦いは終わる。
―マゼランがどうなったのか、生き残った皇太子たちはどうなったのかは語られない。
ただ、妹だった人形が人間に戻ったようだが、それは主人公が見た幻想なのかもしれない―
詳細は書きあがり次第投下します。
308:ゲーム好き名無しさん
09/10/07 22:19:45 6Ol+QaZ50
乙です
>>300
アルトネ2はルカを選ぶかクローシェを選ぶかでだいぶストーリーが変わるからややこしそうだ
309:ゲーム好き名無しさん
09/10/07 23:09:31 cPBSo3AZO
なんか色々激しく間違ってるが乙www
>謎の持病
戦闘で骨が折れてたのを隠してただけです
>血迷った
最初からやる気だったから血迷ってねぇw
わざとだろうがツッコミどころが多すぎるぜw
310:ゲーム好き名無しさん
09/10/08 00:35:05 OnKq5H8w0
チェルシーの離脱理由は素で間違えてます。ごめんなさい。
今、周回しながら書いているので、少年編の後半や青年編とかはうろ覚えの箇所があります。
間違っているところはご指摘ください。
311:ゲーム好き名無しさん
09/10/08 12:11:34 IU4Emr/M0
職人さん、いつもありがとうございます
ps (スクウェア)ブシドーブレード、ブシドーブレード弐をお願いします
312:ゲーム好き名無しさん
09/10/08 14:40:39 WvsFQMNOO
無限航路の方乙です。
PSP「テイルズオブバーサス」投下予約。
313:ゲーム好き名無しさん
09/10/08 18:38:32 psoFP1Em0
>>312
お、期待してまっせ、旦那。
そして、当方は「流行り神(ポータブル)」の穴埋め投下予約。
このゲームのオリジナルはPS版だけど、筋は同じらしい。
なので、Wikiにあるオリジナルの「第零話」と「犬童編」を除いた、
本編3本とおまけ3本を1話ごと近日中に上げます。
314:ゲーム好き名無しさん
09/10/08 18:47:26 Mj1CZ0I20
>>308
ごめん
一応断っておくとルカメインで進めさせてもらうつもり
中~終盤の展開はほぼ一緒だし。
足りないと思ったら再リクエストしてくれってことで。
315:ゲーム好き名無しさん
09/10/09 02:55:34 +FgoCcZfO
乙です
PSPの銃声とダイヤモンドをお願いします
316:ゲーム好き名無しさん
09/10/09 23:34:47 psuXkyAWO
GBAの
ボクらの太陽
続・ボクらの太陽
新・ボクらの太陽
をお願いします(一つだけでも良いので)
317:ゲーム好き名無しさん
09/10/10 01:55:05 wKnt4/fL0
>>316
ボク太無印はwikiにあるわけだが
続きからということでいいんだな?
318:ゲーム好き名無しさん
09/10/10 12:31:22 B9WA5I8EO
>>317
お願いします
319:ゲーム好き名無しさん
09/10/10 16:51:53 Wgm7+3orO
SSのリンクルリバーストーリー予約します。うろ覚えだけどいいかな?
320:ゲーム好き名無しさん
09/10/10 19:00:54 G3qp608FO
いいよ
321:ゲーム好き名無しさん
09/10/10 20:50:56 J6VsCfHv0
携帯アプリの新約ラストバイブル2お願いします
322:ゲーム好き名無しさん
09/10/11 19:38:01 RnG2hlcA0
DSの真女神転生ストレンジジャーニーをお願いします
323:ゲーム好き名無しさん
09/10/12 16:52:29 m3vO6vbi0
PS2のFate/unlimited codesをお願いします
324:ゲーム好き名無しさん
09/10/12 17:54:39 77sQvN0J0
PSのFFTをもう少し詳しく教えていただきたいのですが
325:夜想曲2(第2話 真相編)
09/10/12 22:52:15 37E81A7/0
第2話の続きを投稿します。
(第5巻を見るとこのルートに行ける。亜砂の病室を訪ねた後、照子の家にて翔子と話すと新たな選択肢が現れ、「誰だろう?」を選ぶ)
翔子は庭で亜砂が植えた夾竹桃(きょうちくとう)という花を眺めていた。
その時、後ろから物音がした。
振り向くと庭師の浪江崎大作が庭の手入れをしていた。
浪江崎に挨拶すると、浪江崎は翔子の見ていた夾竹桃の事を説明した。
夾竹桃の花の樹液は強心剤の作用があり、インドではこの花を元に薬が作られているという。
そこまで話すと、浪江崎は作業に戻っていった。
(その後、亜砂の病室に行くまで内容は同じなので省略)
そして亜砂は昏睡しており、ほとんど虫の息だった。
腕には注射の痕があり、何かを打たれたようだ。
一刻も早く処置を施さないと亜砂は死んでしまう! 医者を呼んでいる時間はない!
主人公は一か八か、翔子の持っている夾竹桃の強心作用に賭け、その樹液を飲ませた。
賭けは成功した!
その後、駆けつけてきた三屋木医師の処置もあって亜砂は一命を取り留める。
翔子は泣きながら亜砂に抱きついた。
村枝警部から事情聴取された後、照子と安藤が駆けつけてきた。
亜砂が無事な事を知って安堵する照子。
意識を取り戻した亜砂は照子の贈り物であるペンダントを見せ、その経緯を語り出した。
亜砂が小学生だった頃、学芸会でお姫様を演じる事が決まり、舞踏会の時に身につけるペンダントを照子にねだった。
しかし当時の照子一家は白川と結婚する前で、家は貧しく買う余裕はなかった。
そこで照子は夜なべをして手作りしたペンダントを亜砂にプレゼントしたのだった。
思い出の品を受け取り、涙ながらに話す照子達を見て、主人公はその場からそっと立ち去った。
病室の前にいた安藤に車で図書館まで送ろうかと持ちかけられ、その厚意に甘えることにした。
帰りの車の中で、事件の事を話し合う主人公と安藤。
その会話の中で、安藤もあの『復活の書』の詩を知っていると聞かされる。
数日後、照子から招待を受け、出かけようとする前にパートナーに新聞を見せられる。
そこには佐々木が来栖と一仁の殺人容疑で逮捕された事が書かれていた。
326:夜想曲2(第2話 真相編)
09/10/12 22:54:08 37E81A7/0
照子の家を訪れた主人公とパートナーは亜砂の体調が順調に回復に向かっていることを聞かされる。
佐々木が逮捕された事は、照子も納得がいかないようだ。
仕事に厳しい所があり他人に辛くあたる事もあったが、人殺しをするような人間とは思えないと言う。
照子は警察から亜砂が襲撃された時の事を聞いていた。
あの日、見張りの警官が休憩に行った隙に野田が病室を訪れたらしい。
そこでアレルギーが出て、一度出直すと病室を出て行った。
その直後に仮面の男が現れのだ。
さらに亜砂から一仁が復縁を迫った時、一仁はなぜか『復活の書』の詩を口ずさんだ事を聞かされていた。
あの詩はあまり知られていないものなので、一仁が知っていた事が意外なのだ。
主人公は念のため、照子から詩を聞いてメモを取る事にした。
あの詩は四季をなぞらえた四構成であり、以前照子が詠ったのは春の詩であった。
(夏の詩)
花の妖精大はしゃぎ
夜の宴は朝まで続く
朝が来たなら花開く
真っ赤な大輪
自慢のドレス
(秋の詩)
花の妖精恋をする
愛しい人に届けようと
想いの分が風に舞う
冷たい風はすぐそこに
想い実るか
頭垂れるか
(冬の詩)
花の妖精すっからぴん
枯れた体をさすっては
木枯らしふかれて涙する
春が来たなら蘇る
涙で大地を潤して
春が来たなら蘇る
野田から聞いた甘い言葉というのはこの詩なのか。
しかし一仁は歌詞を変えて恋の詩のように詠ったらしい。
その後、照子は創立記念パーティーのリハーサルの予定があるという事なので、主人公とパートナーは照子の家を後にして図書館に戻った。
しばらくすると、鬼村が訪ねて来て佐々木逮捕の事情を話してくれた。
警察は佐々木が照子に恨みを抱いていたという情報を得ており、その情報を元に佐々木を逮捕。共犯説を考えて、その情報は伏せられているだという。
佐々木は先代社長を支えて会社を成長させるのに一番貢献した人物で、本来ならば佐々木が社長になるはずと思われていた。
しかし実際に後を継いだのは照子。この事は社内で大きな噂となっていた。
やはり事件は解決していないようである。
鬼村は危険なことはしないようにと忠告するが、主人公は大丈夫と返し、もしも危険な事があったら合言葉で知らせようかと提案する。
パートナーと鬼村は呆れながらも同意してくれた。
暗号は、オールドファームを見た後にパートナーに強引に伝えたものにした。
327:夜想曲2(第2話 真相編)
09/10/12 22:59:19 37E81A7/0
2日後……創立記念パーティーの日。
主人公は“男に追いかけられる少女の夢”を見て、ろくに眠れない日々を過ごしていた。
談話室でパートナーとテレビを見ると、ちょうど朝の星座占いの番組が始まったところだった。
その結果な散々なものだった。(注:主人公の星座はしし座)
その時、万国急便の宅配員、ヒダ・ミンが贈り物を持って訪ねて来た。
△
万国急便は万国百貨店の宅急便で、最近牛乳と同時配達を始めていた。
全部早朝のため、「早い、早い、早い」というわけの分らないキャッチフレーズを言いまわっている。
前の日に届いた荷物も、無理やり次の日に届けられるという噂も聞く。
しかし、新聞と牛乳の時間は遅いようだ。
▲
ヒダは要件を済ませると去っていった。
贈り物は仮面の男に奪われた『復活の書』だった。
なぜここに送り届けられたのだろう? 警察が送って来たのだろうか?
主人公は鬼村に電話で本が来た理由を聞いてもらうよう頼んだ後、鬼村から驚くべき事を聞かされる。
野田という男は存在しないという事だ!
さらに『復活の書』を見ていたパートナーが、この前見た巻の抜け落ちた本じゃないかと気付く。
主人公は慌てて蔵書録を見直すと、この本は花の詩を選りすぐりそれに解説を加えた本であり、全3巻の内の2巻であることが判明する。
存在しない野田に、存在しない『復活の書』……
主人公とパートナーは犯人が野田を演じていたのではないかと考える。
その野田を演じているのは……
その時、安藤が訪ねて来た。
安藤は警察から本が野々宮図書館に届けられたという連絡があり、照子に取りに行くように頼まれてやって来たと言う。
主人公はパートナーに本を取りに行かせ、安藤を談話室に案内した。
主人公は安藤にコーヒーを出して話しをする。
あの本は『復活の書』ではないと教えてると、安藤はさして驚きもしていない。
その時、主人公はあることに気付いた。
今日は創立記念のパーティーのはずなのに、どうして安藤はここに来たのだろうか?
安藤はあのパーティーの企画の中心人物のはず…。
安藤に不審を抱く主人公。
考えてみれば、安藤は照子の近くにいる人物で『復活の書』と信じ込ませるのは容易い。
一仁は亜砂を口説くのにあの本の詩を変えて詠ったという。
あれが野田の教えたものだとしたら……野田はあの詩を間違えて覚えているのではないだろうか?
主人公は安藤に、あの詩の事を聞いてみることにした。
あの詩の中で恋を連想する、秋の詩を。
安藤は秋の詩を詠う…
花の妖精恋人よ
愛しい人にもう一度
想いの分をその胸に
冷たい風を待ちわびて
想い実りて
頭垂れるか
主人公は野田の正体が安藤である事を確信した!
328:夜想曲2(第2話 真相編)
09/10/12 23:01:32 37E81A7/0
野田はアレルギーを持っていたというし、安藤も白川産業で始めて会った時に塗り薬のようなようなものを塗っていた。
主人公は自分達の置かれた状況が危険であるに気付く。
その時、鬼村から電話がかかってきた。
鬼村は警察はあの本を送っていないと言っていた事を伝える。どうやらこれも安藤が仕組んだ事のようだ。
主人公は鬼村に助けを求める事にした。
近くに安藤がいる以上、直接助けを求める事はできない。
あの合言葉を伝えて助けを求めるが、鬼村の反応は素っ気無い。
合言葉を覚えていないのか?
ふと安藤の方を見ると、安藤はいつの間にか姿を消していた。
パートナーの事が心配になった主人公は地下書庫に向かった。
パートナーはあの本を探していた。
主人公は安藤が犯人である事と今の状況を説明する。
その時、地下書庫に階段を降りて来る足音が響いてきた。
主人公達は咄嗟に本棚の後ろに隠れる。
安藤は笑いながら主人公達を探しに地下書庫内を徘徊する。その手にはボウガンが握られていた。
主人公達は安藤の足音に注意しながら、本棚の影から影へと逃げ回る。
しばらく逃げ回っていると奥に行ったのか、足音が小さくなっていった。
その隙を逃さず入り口へ急行するが、それはフェイントで安藤は入り口付近に待ち伏せていた。
安藤はその本性をあらわにし、狂ったような笑い声を上げている。
主人公は自分を囮にしてパートナーを逃がそうと考える。
そしてパートナーに合図をした瞬間……銃声が鳴り響いた。
安藤が腕を押さえてうずくまる。
銃を撃ったのは鬼村だった。どうやら暗号を覚えていてくれたらしい。
鬼村が安藤に手錠をかけている時、主人公は事件の動機を聞く。
安藤の母は白川産業に勤めていたが、10年前会社で横領事件が起きた時、罪を擦り付けられ全責任を負わされ懲戒免職にされた。それまで信頼していた来栖も掌を返したように罵倒した。
安藤の母はそれを苦にして自殺。
安藤は白川産業とそれに関連する人物へ復讐を決意した。
来栖と一仁と亜砂を殺し、佐々木にその罪を着せる。
亜砂は主人公の咄嗟の判断で命を取り留めたが……。
だが、パートナーは腑に落ちなかった。
残りの対象である照子と翔子がまだ無事なのにも関わらず安藤がここに現れた理由だ。
無関係の主人公達よりも2人の方が優先順位が高いはずなのに安藤はここに現れた。
まさか……すでに仕込んだ後なのか!
その時、安藤は鬼村の持っていた拳銃を奪い自殺した。
主人公は「死んで何になる!!」と安藤の死体に怒鳴り込むが、パートナーと鬼村はそれどころではないと止める。
主人公は村枝警部に連絡し、鬼村の車でパーティーが行われるイベントホールへと向かった。