09/04/19 12:05:07 lPGdJ52q0
~コスティキャンのゲーム論の雰囲気の項より~
「モノポリー」は、不動産業をリアルに扱ったゲームだ。そうだろう?
いやいや、違う。もちろん違うとも。そんなことを言ったら、不動産屋に笑
われてしまう。建築ローン、不動産組合とその活動、当局の監査員への贈賄、
そういったものをルール化しなければ、不動産業をリアルに扱ったゲームとは
呼べない。
「モノポリー」は、実際の不動産業とは何の関係もないのだ。お望みなら、
このゲームのルールをそのままにして、ボードやコマやカードの記述を変える
だけで、例えば宇宙探検ゲームにすることも出来るだろう。
こうしてでき上がる宇宙探検ゲームが、実際の宇宙探検をリアルに表してい
ること、ちょうど元の「モノポリー」が実際の不動産業をリアルに表している
のに勝るとも劣らない。
実際のところ、「モノポリー」は抽象的なゲームであり、何も具体的なもの
をシミュレートしているわけではないのだ。しかし、このゲームでは、わざと
不動産業の雰囲気を出すために、土地の名前、家やホテルの形をしたプラスチ
ックのコマ、紙幣といったものを小道具として使っている。そして、これこそ
が「モノポリー」を魅力的にしている要素なのである。
ゲームにおいて雰囲気は非常に大切である。
Lawrence Harris の「アクシス&アライズ」は、第2次世界大戦を正確にシ
ミュレートしているとはとても言えない。しかし、雰囲気はどうだ。ところ狭
しと並べられるプラスチックの戦闘機、戦艦、戦車。盛り上がるダイス振り。
眼下に繰り広げられる戦場。このゲームの魅力は、ほとんど全て雰囲気という
点にある。
あるいはChadwickの「スペース1899」を取り上げてみよう。
これは、バローズの冒険活劇、パルプフィクションの興奮、キップリングの
ビクトリア時代を混ぜこぜにして味わってもらおうというRPGだが、ルール
を読む限りどうしてもそういう感じはしない。システムはよく出来ているし、
背景世界設定は細かいのに、どういうわけか雰囲気が出てないのだ。このため、
このRPGは失敗作に終わっている。
このように、ゲームに心ひかれる魅力を与える上で、雰囲気作り、細かい設
定、よいセンスといった要素は馬鹿にできない。これらがゲームの本質には何
の関係もないとしてもだ。
~このスレにいるリアリティ認定厨に捧ぐ~