09/09/26 03:00:16 it+gOIAG
「懐かしい臭いがするから来てみりゃあ、なんだおめぇら」
「お主はっ!」
影達がにわかに色めき立つ。
「生きていたのか」
「信じられぬ」
「激震のミザル様に反旗を翻し、たしかに粛正されたはず」
「ぐふふ、ミザル様に弓引くたぁ、広ぇ世界にゃ骨のある俺様がいたもんだ」
ディストラは、影たちの正体を知った。「修羅」と呼ばれる、極めて攻撃的な戦闘種族だ。
しかし、重震のマグナスの発言を聞く限り、ソーディアンによってやって来た彼らとは
別の世界の住人らしい。
「なるほど、裏にはお主がいたか」
「貴奴のごとき臆病者が、たったひとりで抜けるとは、解せぬと思っていたのだ」
「ふん?」
重震のマグナスのタラコ唇がぴくりと動いた。上着を脱ぎ捨てて、巨大な拳を鳴らし始める。
「聞いたとおりだ、姉ちゃん。
こいつぁ俺様のケンカだ。引っ込んでてくんな」
「しかしお客様、奥様が」
「残業だっていっとかぁ」
巨体に似合わぬ俊敏さで、重震のマグナスが修羅たちに突撃していった。接触するや、
分厚い手の平で秒間何十発もの猛烈な張り手を放つ。修羅たちが紙くずのように吹き飛び、
路地の壁に叩きつけられていく。標的が倒れ込むその前に、巨体がふわりと宙に浮いた。
そして、勢いよく落下する。
アスファルトで舗装された地面が、ずぅんと揺れたようだった。
「巨霊奔烈。てめぇらんとこのミザル様や修羅王様は、こいつを破れたのか?」
むっくりと起き上がる重震のマグナスの足元では、三人の修羅が手足を異常な方向に曲げて潰れていた。
「散れ、散れッ!」
闇の中から声が飛ぶ。修羅たちの気配が素早く動き始めた。前方、後方、民家の屋根、
雑居ビルの壁、全方位から重震のマグナスを取り囲む。
「ゆけッ!」
無数の殺気が重震のマグナスに襲いかかる。一撃離脱戦法だ。クナイが、シノビ刀が、
クサリ分銅が、重震のマグナスを次々とかすめていく。通り過ぎたかと思うと、別方向
から次の一手が来る。
一撃一撃の傷は浅い。しかし、早い。そして数が多すぎる。脇汗が目立つ重震のマグナス
のワイシャツに次々と裂き傷が作られる。
「何発でもどうぞぉ?」
重震のマグナスは一歩も動かなかった。防御の姿勢すら取らない。野太い両腕をいっぱいに
広げて、己の頑強さを誇示するように修羅たちに向かう。
101:それも名無しだ
09/09/26 03:02:05 it+gOIAG
「笑止ッ!」
一人の修羅が跳ねるような動きでマグナスに迫った。両手にクナイを握っている。膨れた
腹に刃先を突き立てたかと思うと、全身を勢いよく回転させ始めた。まるでドリルだ。
重震のマグナスの顔に初めて苦痛の色が浮かんだ。回転する2本のクナイは分厚い腹の
肉を巻き込みながら、さらに奥へと突き進んでいく。
闇の中に、どす黒い血が大量に飛び散った。
タラコ唇から血を滴らせ、重震のマグナスが膝を着く。
「愚か者め。激震のミザル様に反逆した時点で、
お主の倒しかたなど全修羅の知るところ」
「ぐふふ、どうやら、本格的に別人みてえだな。
俺様の知ってるミザル様は、そんなに賢かなかった」
「お主はおなじだ。我らが知るように、愚鈍な肉マンジュウでしかない」
鈍く光るクナイがマグナスの眉間目指して突き下ろされる。
硬い音がして、その刃先が折れ飛んだ。
「お客様に、これ以上の狼藉は許しません」
重震のマグナスを背に隠し、ディストラは両手でモップを構えて修羅たちの前に立ちはだかった。
「馬鹿、姉ちゃん、引っ込んでろって」
「メイドはご主人様に尽くすもの。そして店員はお客様に尽くすものです」
「気が触れたか、女ッ!」
クナイを投げ捨て、修羅がシノビ刀を構える。
ディストラは滑らせるように左足を一歩前に進めた。修羅の喉元目がけてモップの柄を
突き込む。すぐさま引くや、今度は修羅のモモを打ち据える。右足を深く踏み込みながら
モップを反転させた。ヘッド部分で修羅の顔面を潰す。
「怯むなッ!」
決して響かない声と同時に、また無数の気配が発生した。一秒たりともひとつどころに
留まらず、ディストラを取り囲み始める。
背後から殺気が来る。ディストラは振り返りもせずにモップの柄を後ろに突き込んだ。
正面に立つ修羅は、すでにクナイの投擲姿勢に入ってた。
「あのような長物が、このような場所で役に立つはずがない」
この路地の幅は2メートルと少し。モップを振りまわせば、逆にこちらの動きを止めて
しまうことになる。修羅たちはそう考えているらしい。
「私には年季というものがございます」
ディストラは前方の修羅目がけてモップを突き込んだ。修羅がわずかに半身をズラす。
モップの先端が空を突いた。修羅がせせら笑いながらクナイを持つ手を振り下ろそうとする。
その寸前だった。ディストラは勢いよくモップを手元に引き戻していた。T字型をした
モップは修羅の延髄を正確に捉えていた。クナイをぽとりと落として、修羅が前のめりに
倒れる。
槍の基本動作は、突く、斬る、叩く、払う、そして引くだ。鎌首状の先端は、一度の
攻撃に二度の殺傷機会を与えてくれる。そしてディストラは、何年にも渡って鎌状の
武器を使い続けてきた。
102:それも名無しだ
09/09/26 03:04:25 it+gOIAG
「お退きください。騒ぎを大きくしたくはありません」
「屈辱を受けたまま生き延びることなど、修羅には許されぬ」
「業の深いことです」
野生動物のような息を吐きながら、修羅たちが来る。
ディストラは視覚センサーの精度を上げた。モップの柄をまっすぐに構え、踏み込むと
同時に突く。左斜め前から振り落とされたシノビ刀を柄で受け止め、次の瞬間気管を
横殴りに潰す。肘を折り曲げ、背後を突く。アンダースローのような格好で手裏剣を投げよう
とする修羅の足元をモップで払い、間髪入れずに上段から打ち据える。
がっきと、モップの動きに抵抗が加わった。柄に鎖分銅が巻き付いている。覆面の下で
薄ら笑いを浮かべる修羅の顔を見据えながら、ディストラはぐいと腕を引いた。たたらを
踏みながら近づいてくる修羅に肩からぶち当たる。と同時に、相手の分銅を握りしめて
眉間を打ち据えた。
「そこまでだ」
静かな声が闇夜に漂う。
ひとりの修羅が、重震のマグナスの喉元にクナイを押し当てていた。
「卑劣です」
「我ら修羅にとっては勝利こそがすべて。過程も手段もどうでもいい」
「相変わらず頭悪ぃな、修羅は」
タラコ唇から血を流しながら重震のマグナスは不敵に笑う。
「黙れ、抜け修羅がッ!」
「抜けた覚えもねえんだけどよ。おう、姉ちゃん、構うこたぁねえよ」
「そういうわけには参りません」
「おいおい姉ちゃん、それじゃ、姉ちゃん俺様に惚れてるみてえじゃねか。
よしてくんな。俺様にゃあ母ちゃんとガキどもがいるんだ」
「しかし」
「いいから、スカート押さえてろっていってんだよ!」
腹の傷からおびただしい血をこぼしながら、重震のマグナスが立ち上がった。クナイ
が喉に突き刺さることに構いもせず、前方の修羅を抱きすくめる。
突如閃光が迸った。火薬、そして人の肉が焦げる臭いがディストラの嗅覚センサーを刺激する。
もうもうと煙が立ちこめる中で、重震のマグナスは凄絶な微笑みを浮かべて立っていた。
ワイシャツの胸元に大穴があき、露出した胸板は真っ黒に焦げている。その足元では、
黒焦げになった修羅が転がっていた。
「巨霊焚天衝。てめぇらのいうとおり、修羅にとっちゃ勝利がすべてだ。
過程も手段も、てめぇの身よりもよ」
サマースーツで営業まわりをしている間にも、胸の中に火薬を仕込んでいたのか。
ディストラは歴戦の修羅が持つ苛烈さに舌を巻いていた。
「どうよ、邪魔者は消したぜ」
「ご配慮、痛み入ります」
103:それも名無しだ
09/09/26 03:06:02 it+gOIAG
残るはひとり。重震のマグナスの背後で手裏剣を構えている修羅だ。
ディストラは足を前方に滑らせると、モップの柄でアスファルトを突いた。見た目よりも
かなり重い体重に、柄がぎりぎりとしなる。エナメル靴のつま先で地面を蹴る。棒高跳び
の要領で空中高くへと跳ぶ。
修羅から放たれた手裏剣が肩に突き刺さる。損害は軽微。気にすることはない。ディストラ
は膝を抱えて空中で一回転した。
ストッキングに包まれた脚を、ぴんと伸ばす。その延長線上には、覆面をかぶった修羅の
姿があった。
「ご無礼」
質量と加速度を乗せた蹴りを、修羅の顔面に突き立てる。
鈍い音がした。修羅の首は明らかに可動域を越え、顔が陥没して鼻がなくなってしまっている。
それでも修羅は、すぐに倒れはしなかった。よたよたと歩きながら、血まみれの
唇の両端をぎゅうと吊り上げる。
「フルヒップの・・・・・・ショーツ・・・・・・白い・・・・・・フリルが・・・・・・たっぷりと」
ぐいと、修羅は片方の拳を天に向かって突き上げた。
「我が修羅に、一片の悔いなし」
実に満足そうな顔をして、その修羅は立ったまま絶命した。
◆
遠くから、パトカーのサイレンが聞こえる。
ここに来るかもしれない。死屍累々と修羅たちが横たわる路地裏で、ディストラはそう考えた。
上半身を傷だらけにした重震のマグナスが、のそのそと這うように動いている。
「姉ちゃん、早く行きな。ここにいたら面倒なことになるぜ」
「しかし、それでは重震のマグナス様が」
「地球に帰化したわけじゃねえ。私闘も乱闘も、修羅界じゃ合法だ」
「しかし、あなたの世界とは」
重震のマグナスは答えず、血溜まりの中からスーツの上着を拾い上げた。うつ伏せに
倒れていた修羅にかぶせる。あれは、最初に現れた禿頭の修羅だろうか。
あの男は修羅を抜けた、といわれていた。逃亡のためにユウキ・ジェグナンに助けを
求めに来たのかもしれない。自分がもっと上手く対応していたら、みすみす死なせる
ようなことはなかった。
「そちらの方は」
「悪ぃ。こいつの顔は、見ねえでやってくれ。
誰にも素顔を知られてねえってことが、
修羅神に選ばれなかったこいつの、たったひとつの誇りだった。
こいつぁ俺様の知ってるあいつとは別人かもしれねえけど、その誇りだけは守ってやりてえ」
「重震のマグナス様」
104:それも名無しだ
09/09/26 03:07:35 it+gOIAG
しゅるりと音をさせて、ディストラは胸元のリボンネクタイをほどいた。
「目を、閉じていてください」
ブラウスのボタンをひとつひとつ外していく。脇の下から手を差し入れ、ブラジャーの
ホックを外した。わずかな開放感を伴って、重量のある乳房が外気に触れた。闇の中でも
白く映える半球形の先端は、奇妙な熱を帯び始めている。
「テトラクテュス・グラマトン」
静かに唱える。真っ暗な空から薄い緑色をした光のカーテンがさぁっと舞い降りた。
スーツをかけられた男を中心に、いくつもの魔法陣が空中に浮かび上がる。魔法陣は
くるくると回転しながら、あたりの空間を歪め始めた。
「さあ、虚無に還りなさい」
本来、アイン・ソフ・オウルは超高速回転によって時間逆行を起こし、目標の時空連続体
を破壊、その存在そのものを消滅させる超時空兵器だ。
それが、こんなにも優しい使い方が出来るものなのか。自分でやっておきながらディストラ
は驚きと感動を禁じ得なかった。
スーツを被された禿頭の修羅が、血まみれで倒れている修羅たちが、雑居ビルの壁に
飛び散った血糊が、音もなく消えていく。
乳房の先端に穏やかな熱を感じながら、ディストラの心はざわついていた。
修羅たちは恐ろしい敵だった。単純な戦闘能力以上に、その存在がディストラには
恐ろしかった。彼らは、戦士というよりも武器そのものだった。戦うために産まれ、
戦って死んでいくことに疑問ひとつ持っていない。
たったひとつの目的を追求して作られた武器は美しい。そういう意味で、修羅たち
は純粋で美しかった。
自分はどうだ。戦うために作られて、いまは紅茶の淹れ方を勉強している。清掃
用具であるモップを武器に使うようなものだ。歪んでいるのは、修羅たちではなく
自分なのかもしれない。
「なあ、姉ちゃん」
「あ、もう目を開けられて大丈夫ですよ」
重震のマグナスは分厚いまぶたをぴったりと閉じたまま、広い背中をディストラに向ける。
「衣擦れの音ってなぁ、色っぺえもんだな。
今夜は、母ちゃん可愛がってやっか」
重震のマグナスはのしのしと足音をさせて路地裏から出て行く。
パトカーのサイレンは近づいてきそうもなかった。
105:それも名無しだ
09/09/26 03:08:41 it+gOIAG
◆
バランガ家の茶の間には、いつも大量の洗濯物が山積みにされる。
畳の上に正座をした膝の上で洗濯物をてきぱきと畳みながら、クォヴレー・ゴードン
は胡乱げな目をディストラに向けた。
「えっと、ほら、これ、なにか感じません?」
もう小一時間ほど、ディストラはクォヴレーの横で正座をくずしてギャザースカート
の生地を擦り合わせ続けていた。
レスポンスはいっさいない。クォヴレーは黙々と洗濯物の山を切り崩していくだけだ。
いまは、アラド・バランガのパンツを4つに折りたたんでいる。
「ほら、ほら、衣擦れですよ」
「生地が傷むぞ」
「生地とかなんとかじゃなくてぇ!」
「どこか傷んでいるのか?」
「傷んでなんかいませんよ! むしろ傷めてくださいよ! 傷物にしてくださいよ!
主におヘソの下あたりを!」
「ここか?」
ぴたりと、白い手の平がディストラの下腹部にあてがわれた。低い体温が布地越しに
伝わってくる。ディストラは思わず背筋を伸ばし言葉を飲み込んだ。
「特に、傷んでいるようには感じないが」
自分のご主人様は唐変木だ。ディストラが何度も確かめてきた認識をもう一枚塗り重ねた。
それでも、自分はご主人様にお仕えし続けるだろう。
なぜなら、クォヴレー・ゴードンにご奉仕し続けることこそがディストラにとって
最大の喜びだからだ。
だからいつか美味しい紅茶を淹れて差し上げようと、ディストラは今まで何度も似た
ようなことを考えてきたのであった。
106:それも名無しだ
09/09/26 12:28:38 S/2wq6Ov
久々に綺麗めなディス姉を見た気がする。ありがたやありがたや
やっぱディス姉はかわいいなぁ
107:それも名無しだ
09/09/26 13:00:22 pHUnEoiv
ディス姉、戦うときは相手や町を壊さないよう細心の注意を払ってるんだろうなw
108:それも名無しだ
09/09/26 21:02:08 B1iNGHYo
GJです
>ご主人様に喜んでいただけなければ、悦ばせていただくことができないではないか
やっぱりそれが目的か駄メイド
やっとパンツを履くことを覚えたか駄メイド
109:それも名無しだ
09/09/27 21:30:51 EFdzdYj4
画像ログ上げた。
違うとこで拾ったのが混じってるかもしれないけど。
URLリンク(u3.getuploader.com)
URLリンク(u3.getuploader.com)
110:それも名無しだ
09/09/27 21:59:52 PNMwz4d4
>>109
GJです
結構見たこと無いのがあるなあ
ギャルゲってちょっとしたシナリオとかも作られてて、当時携帯しか持って無くて
結局見ることができなくてすごい悔しかったな
111:それも名無しだ
09/09/27 22:59:53 tYe9Df/f
ギャルゲ絵のルナ様が大変お美しい…
あと咲美も実にディモールト良い
112:それも名無しだ
09/09/28 00:14:09 wvYYoWqU
~SASUKE視聴中~
【イェーガー家】
ヴィレアム「頼む、頑張ってくれ新世代!
いつまでも上の世代に大きい顔させないって、実力で証明してくれっ!」
キャクトラ「友よ、他人に想いを託してしまうのはどうだろう」
ヴィレアム「そんなことないよ! K-1だってセームからバダの時代に移ろうとしてるし!」
キャクトラ「セームはファイトスタイルが地味だからコミッショナーに喜ばれていないと聞く」
ヴィレアム「ボクシングのホヅミだって着々とファンを増やしてるって聞くし!」
キャクトラ「やはり地味だから人気ないそうだ、ホヅミ」
ジダイハ カエラレナカッターッ!
キャクトラ「ああ、惜しいところまでいったのに」
ヴィレアム「なんだよ! 経験積んでて、実力もあるってことが、そんなに偉いのかよぉっ!」
キャクトラ「取りあえずこんなところでテレビ観てる人間よりは讃えられると思う、友よ」
【グレーデン家】
ミズル「興味ないな、こういうの。マーくんに借りた『カムイ外伝』でも読んでよ~っと」
デスピニス「いけませんよ、そんな、人の業の深さを語る作品、中学生には早過ぎます」
マキネ「考えてみりゃあさ、
昔は『風雲タケシ城』なんかで毎週似たようなことやってたんだから、偉いもんだよね」
ランディ「バブル期のころのこと話したって仕方ないだろ」
マキネ「ところでさ、ギャルソネっているじゃん?」
ランディ「いない、聞きたくない」
マキネ「やっぱさ、細くて、まぁ可愛い部類の顔して大食らいってとこが受けたんだと思うんだよね」
ランディ「大食いのひとなんて、案外みんな細いもんじゃないか」
マキネ「ぶくぶくに太ってるくせに異様に身体能力高いデブって、なんかカッコよくない?」
ランディ「カッコよくない。見ててイラッとする」
マキネ「しかも、太ってるくせに変にイケメンだったりしたら、超人気でない!?」
ランディ「絶対出ない。よくわかんない社会的地位のひとのエッセイで、
『見ていて不快にしかならない醜悪な肉塊』とか書かれそう」
マキネ「自信持ちなよ! ランディ、わりとイケメンだって!」
ランディ「いっさい自信持てねえよ!」
【ゾンボルト家 道場】
ラン「見てみ、ミスティリカちゃん。
なにもかも投げ打って障害に立ち向かうこの人らは、愚直やけど素晴らしいと思わんか」
ミスティリカ「もちろん。
もう30過ぎてて家庭も子供もいるのに
「お父さん仕事辞めてSASUKEに専念するよ!」なんていわれちゃったときの奥さんの気持ちと、
(稼ぎもなく筋トレばっかりしてるのに性欲だけはしっかりある自分に家庭を持つ資格はあるのか?)
って自問自答し始めちゃうお父さんの気持ちを考えると、
最高にメガネ曇るわ」
ラン「あんたはホンマ、どうしたらエエの?」
113:それも名無しだ
09/09/28 01:48:09 lqlqccQW
【バランガ家 居間】
テレビ『銀河連合安全保障理事会において、
バルマーのアルマナ・ティクヴァー陛下は
ティプラー・シリンダーを始め、ディーン・レヴ、ディス・レヴ等と呼称される
一連の次元兵器の廃絶を宣言しました』
ディストラ「はいっ!?」
テレビ『これに対し、地球側のニブハル・ムブハル外務官は、
宇宙で唯一ディーンの火の被害にあった星の人間として、
アルマナ陛下の決断に深く共感し強力を惜しまないと』
ディストラ「ご主人様ぁ~!
私、消されます! 政治的なパワーで消されようとしてます!
次元兵器が消されたら、私はどうなっちゃうんですか!
わたしのコクピットシート、もうご主人様のお尻のカタチになっちゃってりゅのにぃ~!」
クォヴレー「もうこの世界では大きな戦争が起きそうな気配もないし、
大きすぎる力は捨てていった方がいいだろう」
ディストラ「うぁ~ん! おなじです!
お仕えに上がったばかりの私に、『なんか怪しいから封印しとけ』って言い放って
軽やかに量産型νガンダムなんかに乗り始めたときと、
ご主人様はなにも変わっちゃいません!」
クォヴレー「心配するな。その件なら、昨日アルマナからメールで伝えられている」
ディストラ「メール交換してるんですか! その口ぶりは、わりと日常的にメールしてますね!」
クォヴレー「お前のことは、アルマナの方から手を打ってもらっている」
ディストラ「え~、そりゃあ助かるんならありがたいことですけどもぉ、
私的にはぁ、なんていうかぁ、恋敵から塩送られたっていうかぁ。
きゃっ、恋敵っていうのは違うんですよ、言葉の綾っていうか願望っていうか」
ガラッ
キャリコ「お邪魔しまーす。どうしたクォヴレー、
急に量子波動エンジン1基まわして欲しいなんて」
クォヴレー「ああ、アルマナが次元絡みの兵器は撤廃したいというから」
キャリコ「なるほど、それで、そこの元ヴァルク・ベンちゃんを元のヴァルク・ベンに戻すってことか」
ディストラ「エンジンですよねえ! エンジン換えるだけですよねえ!
ここからいきなりヴァルク・ベンまでバージョンダウンするって、
人型機動兵器的にかなりプライド傷つくんですけども!」
クォヴレー「ヴァルク・ベンも悪い機体ではなかった」
キャリコ「だよなあ、カスタムの幅とかけっこう広いし」
クォヴレー「大した調整もなしに飛び乗っても動いてくれる信頼性の高さがいい」
キャリコ「あ、今さあ、ヴァルク・ベン好きでツーリングサークル作ってるんだけど、お前もどう?」
ディストラ「クルマ好きのオッサン同士みたいな会話してるーっ!」
114:それも名無しだ
09/09/28 01:49:59 lqlqccQW
キャリコ「でもさ、この子をヴァルク・ベンまでデチューンすることは決まってるとしても」
ディストラ「決まってません。デチューン前提で話を進めないでください」
キャリコ「その間タイムダイバーの仕事はどうするんだ?
休むんなら、ちょうど来週サークルで磐梯山ツーリングするんだけど」
ディストラ「どんだけツーリングしたいんですか!」
クォヴレー「問題ない。代わりは手配済みだ。じきに届く」
ずうぅぅぅぅぅぅぅん
ディストラ「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
キャリコ「お~、量産型νガンダムだ」
ヴィレアム「これは大変いい機体だった。
攻守共にバランスが取れ、なによりも出力が安定している」
ディストラ「わぁぁぁ~ん! なんですか、それは!
攻守のバランスはともかく、出力の安定しなさっぷりでは定評がある私へのあてつけですか!
騙されちゃダメです、そのコは怖い機動兵器です。
核融合炉積んでるんですよ! 青っぽい機体色して、飛んだ人類を焼く憎しみの火ですよ!」
キャリコ「なに? ヴァルク16号ちゃんは量産型νガンダムにトラウマでもあるの?」
ディストラ「ヴァルク・ベン呼ばわりをやめてください!」
キャリコ「量産型νガンダムのエンジンもさあ、新型のエコ量子波動エンジンに換えちゃえば?
今だったらエコポイント付くし」
クォヴレー「エコポイントか」
ディストラ「エコポイントがそんなに重要ですか、私よりも!」
【バランガ家 台所】
ディストラ(フー、フー、落ち着きましょう、落ち着くのよディストラ。
落ち着いて、負の無限力を輪廻させるのよ。
ディス・レヴを外されれば、機動兵器として破格の戦闘能力を失う。
無力で、男性の腕力に抗うことの出来ないただの女になるのよ。
よし、いいわよディストラ。気分が明るくなってきた。
私はメイド、ただのメイドになるの。
朝はご主人様にお茶をお出しして、お昼のためにお弁当をお渡しして、
ご帰宅までに美味しい晩ご飯をたっぷり用意しておくの。
そして夜は、この身を尽くして精一杯のご奉仕をして差し上げるのよ。
いったい、なんの不満があるっていうの?
そう、さしあたっては・・・・・・!)
115:それも名無しだ
09/09/28 01:51:28 lqlqccQW
ゼオラ「あら、ディストラさん、どうしたの?」
ディストラ「えっ、そのぅ、晩ご飯の準備をしちゃったりなんか」
ゼオラ「あらあら、そんなのいいのに。
私がやるから、ディストラさんは居間でテレビでも観ていて」
ディストラ「いえっ、お世話になってるのに、そんなわけには。
それに、そのぅ、私、メイドですし」
ゼオラ「でも、いつも並行世界のお仕事で疲れてるでしょう」
ディストラ「疲れてません。まったく疲れてません! ですから居間には」
ゼオラ「ディストラさん」
ディストラ(ハッ! これは、この、ゼオラさんの目は!
主婦だ! 台所は主婦の戦場、余人が立ち入ることを許さないと宣言する主婦の目だ!
私は、立ち入ってはいけない領域に足を踏み入れてしまった!)
ゼオラ「ディストラさん?」
ディストラ「申し訳ありません、私、わたし!」
ゼオラ「ディストラさぁ~ん?」
ゼラド「あれ、お姉ちゃんが出てったみたいだけど」
ゼオラ「うん、料理しようとしてたみたいなんだけど、
またまな板ごと切られちゃ敵わないと思って止めたのよ。
なんだか思い詰めてたみたいだし、悪いこといっちゃったかしら」
【学校】
ディストラ(ネガティブになっちゃダメよディストラ。
いま出来ないことは、明日できればいい!
だって私は自分を信じているもの!
自分を信じて『夢』を追いかけていれば、夢はいつか叶うもの!
だからジェグナンさんのところに紅茶を教わりに行ったんだし、
でも考えてみたらその前に『竜巻亭』をやんわり追い出されたし。
そうよ、練習、練習よ。
多くを積み重ねる、筋力を、疾さを、持久力を、経験を!
すべては、メイドの務めを果たすため・・・・・・っ!)
【翌日 学校】
ゼラド「え~! 調理実習、中止なんですかぁ?」
ラミア「ああ、なんだかわからないが、調理室が空間ごとすっぽり消滅していてな」
ルアフ「こんな事件があっちゃ、例の次元兵器撤廃法案は早めに制定されちゃいそうだねえ」
ゼラド「お姉ちゃん、昨日帰ってこなかったけど、どこ行っちゃったんだろう?」
116:それも名無しだ
09/09/28 03:10:41 YgE0H6Hp
ええと…落ちは無し?
117:それも名無しだ
09/09/28 03:33:45 lqlqccQW
【ヘルモーズ】
アルマナ「まったく、私がたまたま、公務を割いて深夜の校舎を徘徊し、
日々ルナが生活している場の空気や、ルナが日々座っている椅子の匂いが香っていなければ、
どうなっていたことか」
ディストラ「深夜にたまたまいったいなにをしていたのかはさておき、ご迷惑をおかしました、ぐすっ」
アルマナ「なにを泣いているんですか?」
ディストラ「だって、だって、次元兵器が撤廃でアルマナ様がチェンジチェンジで、
私はビーフストロガノフ作ろうとしたら調理室を消滅させるようなダメな機動メイドで」
アルマナ「なぜよりにもよってビーフストロガノフをチョイスしたのかはともかく、
ディストラさん、私はべつに、あなたを政治的に消そうと思って次元兵器撤廃を宣言したわけではありません」
ディストラ「だってだって、ご主人様はアルマナ様はメールのやりとりを。
おそらく引くくらいのデコメびっしりで」
アルマナ「クォヴレーが意外にデコメを駆使してくる点はともかく、
我がバルマーは復興当初、ほかに売るものがなかったため、
仕方なくディーン・レヴの劣化版を量産して各国家に売っていました。
ところがそれが、いつの間にか国家間の緊張を産み出す原因になってしまったのです。
私の目的は、不要な緊張を捨て去り、より友愛に満ちた銀河連邦を構築するためです。
どこの国家にも所属していないあなたをどうこうする権利など持ち合わせていません」
ディストラ「そんな、申し訳ありません。私、アルマナ様のそんな深いお考えもわからず」
アルマナ「あなたには、引き続きクォヴレーに仕えてもらいます」
ディストラ「はい! この身の全性能をかけて!」
アルマナ「具体的には、機体色が微妙なオレンジ色で、
ツイン・ホイール・バスターが必殺技な状態で」
ディストラ「それ、ヴァルク・ベンじゃないですか!」
118:それも名無しだ
09/09/28 07:52:18 apUD+6oc
クォヴレーはデコメ駆使してんのかよwww
意外というか予想通りというか……
119:それも名無しだ
09/09/28 08:53:16 VXnpYp/d
ミスティリカ「ゼフィア先輩、今日、着けてないんです」
ゼフィア「・・・・・・なんの話だ」
ミスティリカ「コンタクトレンズ」
ゼフィア「メガネをかけているなら必要ないだろう」
ミスティリカ「そんなことありません。
コンタクトレンズの上からさらにメガネをかけて、
(ウフフ、あなた偉そうに鼻の上に乗ってるけど、
視覚補助具としてまったく役に立ってないから。
むしろ私の視界を歪ませてるから。
ああ、メガネの視覚補助具としての存在価値を踏みにじるわたしって、なんて最低の屑なのかしら)
って考えると、最高にメガネ曇りませんか?」
ゼフィア「・・・・・・今日ほど、メガネを哀れだと思ったことはない!」
120:それも名無しだ
09/09/29 05:10:50 9FvR3JPP
実家に帰る途中の紫雲統亜に
一枚の手紙が届きます。
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その内容は・・・
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/ 子豚はよしなさい / / /
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【月面 紫雲家】
統亜「あ~あ、こりゃお兄ちゃん、怒ってるのかなあ。べつにいいけど。
ねえ、ミャーちゃんはどう思う?」
芽夜「やれといわれてもやる気になりません」
統亜「ミャーちゃん、やっぱり家から出てないのね?」
芽夜「トーアちゃんはいくらでも外に出たらいいじゃないですか。
陽の光に耐えられない、私に代わって」
統亜「皮膚病かなにかにかかってるみたいにいうものじゃないよ。
ミャーちゃんはただの引きこもりじゃない」
芽夜「寝ても覚めても紫雲家末子。自分が好きじゃないの」
統亜「ミャーちゃんミャーちゃん、
ミャーちゃんはなんで戦いに巻き込まれたばっかの頃のお父さんに似ちゃったの?」
121:それも名無しだ
09/09/29 05:13:15 9FvR3JPP
芽夜「もしも願いひとつだけ敵うなら、ずっと布団の中で寝ていたい。場所は自宅に限る」
統亜「ミャーちゃん、ミャーちゃん! 外に出ようよぉ! 外にはステキなこといっぱいあるよぉ!」
芽夜「検索を始めましょう」
統亜「ミャーちゃん、またパソコンばっかやって」
芽夜「トーアちゃん、あなたがランディ・ゼノサキスを『ランちゃん』と呼ぶことには問題があります」
統亜「ミャーちゃんはちっとも家から出ないのに、なんでなんでも知ってるのかなぁ」
芽夜「『ランちゃん』という呼称はすでにOG町に在住しているラン・ドバンと被る可能性があります」
統亜「えっと、ランちゃんがダメなら、なんて呼べばいいんだろう。
ランディさん・・・・・・、とか?
きゃっ! やだやだ、恥ずかしい! まだ付き合ってるわけじゃないのに!
あれ、でも、ほっぺにチュウはカウントしていいっていってたし、
そしたらあたし、遠恋中なのかな。
でもでも、告白してオッケーとかそういう工程はさんでないし、ええと、ええと」
芽夜「トーアちゃんはあまり頭を動かさないでください。どうせバカなんだから」
統亜「ミャーちゃんはまた、そうやってヒドいこという~!」
芽夜「検索の結果、ランディ・ゼノサキスを『ランちゃん』と呼ぶことに大した問題はないようです。
ラン・ドバンの方は、ちゃん付けされるような性格でも年齢でもないことが判明しました」
統亜「ミャーちゃん、一面識もない相手にそういうこというのはよくないと思うよ」
芽夜「さらにいえば、ランディ・ゼノサキスは試合直後で意志朦朧としており、
トーアちゃんがうかつにチュウしたことなんて覚えていない可能性があります」
統亜「えぇ! そりゃあたしだって、テンション上がってうっかりしちゃったとこあるけど、
覚えられてないって、それキツいなあ。
どうしたらいいんだろ。また、チュウし直しに行くとか?
でもでも、月からわざわざチュウだけしに来る女ってすごく重いような感じするし、
そしたら遊園地とか行った方がいいような気がするけど、
ランちゃんドナルドダック嫌いみたいだったし、あ、またランちゃんて呼んじゃった」
芽夜「半分力貸しましょうか、義姉」
統亜「や、力貸すとかじゃなくて、まずミャーちゃんが家から出ようよ」
芽夜「根性なしかもしれない。それでいいけど」
統亜「取りあえずさ、これ観ようよ!」
芽夜「なんです?」
統亜「『ミリオン・ダラー・ベイビー』のDVD!
ランちゃんが送ってくれたの!」
芽夜「好きにすればいいんです。どうせトーアちゃんは途中で寝るから」
統亜「うぅ~ん。ミャーちゃんはどうして、そう引きこもる方引きこもる方に考えるんだろ
122:それも名無しだ
09/09/29 22:30:04 Yo3GPvKP
イングレッタ「さぁ、貴方の罪を数えなさい」
アストラ「お嬢、急に何を言いだすのだ?」
イングレッタ「ただ言ってみただけよ」
シュウヤ「さぁ、貴女の下着を数えるのです」
クリス「シュ、シュウヤ?」
シュウヤ「はっ!?私は何を?」
レイナ「あんたは自分が食べたパンの数を覚えてるの?」
ゼラド「655350枚だよ」
レイナ「えっ!?」
ゼラド「リョーユー、ヤマザキ、トランドール、ジャムおじさんのパン工場。どれもs」
レイナ「ごめん、もういいわ」
ゼフィア「さぁ、俺の名前を言ってみろ」
ミスティリカ「貴方の名前はゼフィア=ゾンボルト。この学園の3年生です。
第二世代の中ではトップクラスの実力を持ちながら肝心な所で力を発揮できないいわゆるヘタレですね
最近では名前の無い雑魚キャラが暴れない為に黒星ばかり積み重ねているヤムチャな人です」
ゼフィア「くっ・・・」
ミスティリカ(こうして先輩の怨みを買う事で凌辱フラグを建てる。この先の展開を妄想するだけで眼鏡が曇るわ)
123:それも名無しだ
09/09/30 05:47:35 P6TxUXuv
【OG学園 校門】
ラン「ふぅ、なんやセンセに呼ばれて来たけども、なんの用やろ。
またハザリア坊がなんかやらかしたんかなぁ」
ゼフィア「ンもォ! ダメじゃない、ランちゃん!」
ラン「は、ランちゃん? どないしてん、ゼフィアちゃん、急に」
ゼフィア「ガッコに入るときはァ、ちゃんと制服着てないとォ!
ゼフィア、プンプンだぞォ!」
ラン「・・・・・・ゼフィアちゃん、ほんまどないしてん。なんか不幸なことでもあったん?」
ゼフィア「ホラホラぁ、早く制服着てェ~」
ラン「あっ、やめっ、ちょっと待ち、離しッ!」
ビシッ
ラン(なんや? 鉄球が、1ミリ隔ててゼフィアちゃんに届いてへん?
バリアー? でもなんでゼフィアちゃんがそないなモン)
ゼフィア「ンもォ! ランちゃんたらヤッバーン!」
ラン(そして、ゼフィアちゃんのこの有様はいったいどういうことなん?)
ゼフィア「モンクがあるなら、スパロボバトルで勝負するのよォ!」
ラン「は?」
【職員室】
ラミア「よく来てくれた、ラン・ドバン」
ルアフ「具体的にいうと、
黒一色に襟元に白いラインが2本入ったきりで、それだけにエンジ色スカーフが映える、
若干古いデザインのセーラー服を着ての参上、三つ指突いてお出迎えするよ」
ヒューゴ「年齢的にギリギリなのに、よく着てくれた」
アクア「大丈夫よ、いける、まだいけるわ!」
ラン「主にセーラー服着たことについてのお礼になっとるやないですか!」
ルアフ「いやもう、あとは三つ編みでもしてくれたら、思わず『センパイ』って呼びかねないよ」
ラン「これ、どないなっとりますのん!?
なんや、スパロボバトルとかいうゲームで負けたら、着らんではおれんような気分になって!」
ラミア「そう、まさに話はそのことなのだ」
ルアフ「スパロボバトルのことは知ってるね?」
ラン「はぁ、なんや、軍の指揮官養成用シミュレーターをゲーム用に改造したやつですやろ?
道ばたで小学生の子らがやっとるの、よう見かけますわ」
ラミア「そのスパロボバトルが、現在このOG学園で大流行している」
ルアフ「しかも、通常のスパロボバトルとはちょっと違うんだ」
ヒューゴ「プレーヤーがコスト15の枠内でユニットを組んで対戦するっていう点はおんなじなんだけどな」
アクア「敗者は軽い洗脳状態になって、勝者に絶対服従してしまうの。
完全に自我を失うわけじゃないし、
たとえば誰かに『死ね』とか『殺せ』っていう命令をしても無効なんだけど」
ラミア「無効どころか、プレーヤーは未知のテクノロジーで厳重に保護されている。
素手、刃物、銃器、あらゆる攻撃はバリアで弾かれてしまう」
ラン「はぁ、そらまた」
124:それも名無しだ
09/09/30 05:49:47 P6TxUXuv
ゼフィア「ンもォ、センセーたち、話長ぁ~い!」
ラン「それで、ゼフィアちゃんのこの有り様は、一体どないなってますのん」
ルアフ「さあ、どっかでスパロボバトルに負けたんじゃないの?」
ヒューゴ「今朝にはもうあの状態だった」
アクア「あそこまで人格が変わる例もほかにはないんだけど」
ラミア「あるいは、上連雀の呪いか」
ルアフ「学園はまさにスパロボバトル戦国時代」
ヒューゴ「授業なんて誰も聞きやしないっすよ」
アクア「そのへんでも軽い洗脳状態が働いてるみたいで、
生徒たちはなによりもスパロボバトルを優先してしまうの」
ラミア「武力で無理矢理制圧しようにも、バリアーに阻まれて手が出せない」
ルアフ「生徒たちに言うこと聞かせるためにはスパロボバトルで勝つしかないんだ。
でも、悲しいかな僕はゲームボーイなんて、
ロマンシングとか付いてない『SaGa』シリーズしか知らない!」
ヒューゴ「俺も、『アレサ』シリーズが限界っす!」
アクア「ご免なさい、『ONI』シリーズのシリーズ展開が残念で本当にご免なさい!」
ラミア「私に至っては、『カエルの為に鐘は鳴る』しか知らない」
ラン「全部DSやなくてゲームボーイやし!
ルアフ先生はともかく、
ほかのお三方はもうちょっと最近の携帯ハードに触れてへんとおかしかないですか!?」
ルアフ「僕ら年寄りにスパロボバトルは無理なんだ」
ラミア「そこで、まだ洗脳に侵されておらず、そこそこ脳ミソの若い者を呼んだのだ」
ラン「ちょ、待ってくださいな!
ウチかて、スパロボバトルなんて名前しか知らんかったし、現についさっき負けたばっかやし!」
ゼフィア「ランちゃん、がんば!
ゼフィアが教えてあげるからァ!」
ラミア「この状況をどうにかしないことには、風紀委員長は永遠にあのままだぞ」
ラン「うぅ、それは、凄くイヤや」
ルアフ「じゃ、話は決まったね」
ヒューゴ「スパロボバトル用のBASEは持ってるか?」
アクア「ユニットは通信センターのガチャガチャで買うの。
間違って購買部に行っちゃダメよ?」
ルアフ「そして、私からは強化パーツ『ASH TO ASH』を授けよう」
ラン「やっぱり、少なくともゲームボーイアドバンスは知ってるんやないですか!」
【グラウンド】
ラン「ユニットは、なんやガチャガチャで買うゆうとったけど、通信センターってどこにあるんやろ」
ゼフィア「グラウンドを突っ切った先のォ、微妙に目立たない場所よォ」
ラン「ゼフィアちゃん、あんま喋らんでくれる?」
ズシャッ!
タカヤ「くっ」
克夜「諦めたまえタッちゃん。テッカマン軍団のいない君に勝ち目はない」
マーズ「おれらァー、ユニットの特性知り尽くしてっかんね」
ミスティリカ「さぁ、大人しく体育用具入れ場に入っていなさい」
125:それも名無しだ
09/09/30 05:51:59 P6TxUXuv
ドンドンドン!
タカヤ『出せ! ここから出してくれっ!』
マーズ「わりーね、おにーさん。その命令はきけねーよ。
このジョーキョーは明らかにイジョーだよ。
ぜってーバッグにやべーのがいる。
ロボット三原則のこともあっけど、おれぁーおにーさんを傷付けたくねーんだ」
レタス『わたくしをタカヤさんとおなじ場所に幽閉することに、なんの意味があるんですの!?』
マーズ「ん~、メーレーにゃー優先度ってモンがあってさ。
なんか、そこに金髪おねーさんと一緒に閉じこめといたほーが、
おにーさんにとってシアワセなんだって電子頭脳が判断してんの。
モンクはアシモフ先生にゆってよね」
レタス『タカヤさんが血迷って、わたくしを出血させるような行為に及んだらどう責任を取ってくれますの!?』
マーズ「ん~? バリアーあっから、血ぃー出るよーなこたぁーねーと思うよ」
レタス『そういうことではなくて!』
マーズ「ん? ん? よくわかんねーよ」
克夜「子供ロボくん、君にもいまにわかる日が来るよ。
痛みから始まる幸せもあるということをね」
タカヤ『克夜! 子供にしょうもないことを吹き込むな!」
マーズ「三歳にもなってねー身ぃにゃームツカしーハナシだな。
まー、とにかく、コトが終わるまで大人しくしてなって」
レタス『事を終わらされてたまりますか!』
ミスティリカ(ウフフ、善人面した男性が、密閉された暗闇の中でどんな獣性を露わにするか。
その後どんな自己嫌悪に陥るか、
こんなこと考えてメガネ曇らせるわたしって、やっぱり最低な屑ね!)
マーズ「ん~、銀コイン3枚か。
いったい、あと何回ガチャガチャまわしゃービッグボルフォッグおじちゃんが出てくんのかなー」
克夜「取りあえずこれで遠慮する相手はいなくなった。
あとは、スパロボバトルを通じてフラグを立て続けるのみ。
あそこまでヒロインに囲まれておいて逃げ出しエンドなんて半端な真似、僕はやらないよ」
ミスティリカ「さっさと次に行きましょう。次は武道場よ」
ラン「あんたら、なにしとんの」
マーズ「あ、日焼けおねーさんだ」
克夜「そのセーラー服、ギリギリですよ」
ミスティリカ「あぁっ、ゼフィアせんぱぁ~い!」
ゼフィア「ひゃあん! ランちゃん、あの子こわぁ~い!」
ラン「やめてしがみつかんでウチが怖い」
ミスティリカ「イヤだ! これはいったいどういうことなの!?
生真面目な人間が陵辱行為に及んで自己嫌悪に浸る様がメガネ曇るんじゃない!
こんなゼフィア先輩、陵辱されるに値しないわ!」
克夜「めんどくさい変態だなあ、君」
ラン「そこまで驚いとるとこ見ると、あんたがゼフィアちゃんになんかしたんやなさそうやな。
なあ、ゼフィアちゃんを元に戻すために、あんたらも力を貸してくれんか?」
126:それも名無しだ
09/09/30 05:54:03 P6TxUXuv
マーズ「ん~、どーしよーか。おれはどっちでもいーよ」
克夜「いけませんよランさん。
僕たちが組んでいるのは、一重にこの異常な状況を打破するためです。
でなければこの変態陵辱メガネと行動を共にするはずはないじゃないですか。
スパロボバトルに採用されているユニットの特性を熟知している僕たちと違って、あなたは武人だ。
ゲームには向いていません」
ラン「たしかに、そうやけど」
ミスティリカ「いいからさっさとやり合いましょうよ。
ランさんには、セーラー服よりもっと素晴らしく陵辱的な服の方が似合うわ」
マーズ「いひひひひひ! ふんじゃー行くか!
ニンゲン傷付ける心配もねーで、ガチのケンカできんだ。
おれにとっちゃーこんな機会はメッタにねーんでねーっ!」
ラン「不憫やいうたら不憫な子や!」
マーズ「いったれ超龍神! 再動! 自爆!」
ラン「なぁっ!?」
マーズ「いひひ! ツトメは果たしたぜ紫雲サン、あとは頼まぁー」
克夜「任せたまえ。天のゼオライマー!
お父さんたちを震え上がらせた力を示せ!」
ミスティリカ「ウフフ、かのアリア・アドヴァンスを陵辱し尽くした『最低勇者レクイエム』!
少し違うとはいえ、なんて最低な勇者の屑っぷりなのかしら!」
ラン(アカン! マーズちゃんの開幕自爆でこっちのHPは撃墜寸前!
しかも控えてるのがゼオライマーやと!
こっちは、初期選択でもらったギル・ギアとシン・オブ・フライデイだけやのに!)
ゼフィア「ランちゃぁん!」
ラン「ゼフィアちゃんは向こうに避難しとり!」
ゼフィア「スパロボバトルはァ、単純なユニット性能で決まるものじゃないのよォ!
相手のAP消費を見極めて攻撃を仕掛けてェ!」
ラン「そうか!」
克夜「天のゼオライマー! メイオウ攻撃!」
ラン「スマン! シン・オブ・フライデイ、アンタを犠牲にする!」
克夜「ムッ!」
ラン「そしてギル・ギア! メガプラズマキャノン、行ったってぇーっ!」
バチッ
克夜「ふふ、さすがだ、ラン・ドバンさん。
僕の中で、『攻略したい年上の御婦人』ランキング3位に位置しているだけのことはある」
ラン「むしろ、上位2名は誰やの」
ミスティリカ「やれやれ、使えない屑どもでしたわ。
しょせん、JはGBAレベル止まり、
WはDS参入のためのテストタイプでしかないってことかしら」
克夜「なにをいってるんだ、売上低いくせに」
マーズ「あんたとこのゴリョーシン、人気ねーぞ」
127:それも名無しだ
09/09/30 05:55:30 P6TxUXuv
ラン「それで、あんたは見とるだけか?」
ミスティリカ「ノイズが去るのを待っていただけですよ。
さあ、ランさん。BASEを構えてください。
心ゆくまで、陵辱仕合ましょう!」
※ミスティリカ ユニット※
コスモダイバー
ボスボロット
ボン太くん
パンサー
ドーベック
ラン「コスト1ばっかやないのぉーっ!」
ミスティリカ(あぁ、一枚一枚皮膚を削がれていくようなこの感覚! じれったさ!
こんなことにメガネを曇らせるわたしって、なんて最低の屑なのかしら!)
ラン「試合に勝って勝負で負けた気分でいっぱいや!」
ガンッ! ガンッ!
ラン「タカヤはん、大丈夫か?」
タカヤ「あぁ、ありがとうございます」
レタス「助かりました」
ラン「ウチらはこれから、学園がどないしてこんなんなっとるのか原因を突き止める。
あんたらはどうする?」
タカヤ「ああ、じゃ、俺たちは救助活動に向かいます。
ゲームが下手で学園内で立場なくなってるひとたちが、どこかに隠れてると思うから」
ラン「よし、なんかわかったら、連絡よろしゅう!」
タカヤ「あっ、ちょっと待ってください」
パシッ
タカヤ「強化アイテム『最後の審判者』、父さんの戸棚にあったんです。
きっと役に立つから、持っていってください」
ラン「おおきに」
克夜「これも、持っていってください。
強化パーツ『ヒロイントリオ』。これて、ハーレムの夢を」
ラン「そないな夢をウチにたくして、どないせえっちゅうの」
マーズ「あー、おれぁーなんも渡せねーや。
でも、この借りはいつか返すからよ」
ラン「取りあえず、そこの陵辱フェチが妙なことせんように見張っといてくれる?」
マーズ「あいよ。おれたちだって、学園のヘーワのために戦ったんだ」
128:それも名無しだ
09/09/30 05:57:27 P6TxUXuv
【校舎内 廊下】
ラン「せや、タカヤはんがいうとったように、まだ正気を保っとるモンがおるはずや!
校内放送で呼びかければエエ」
ゼフィア「そんな目立つことしたらァ、妨害が入るかもよォ!」
ラン「かめへん、敵をおびき出せて、一石二鳥や! 放送室はどこ!?」
ゼフィア「4階、生徒会室のォ、隣よォ」
ラン「さよか。ルナ姫が健在なら、なんか行動起こしとるはずや。
なんもないっちゅうことは、もう姫さんの身になんかあったってことか。
護衛としても、急がなアカン!」
ラーナ「止まってください」
ランル「生徒会室には近づけさせんちゃ」
咲美「いや、近づけさせてもいいんじゃないかしら」
ランル「生徒会室は、わちらが占拠するちゃ!」
ラーナ「そして、いまこそサッキー咲美さんを生徒会長として擁立します」
咲美「やめて! そんなこと、誰も望んでない!」
ランル「そんなことなか! サッキーしゃんは中等部でバリ尊敬ばされちょおよ!」
ラーナ「まったくの常人でありながら正々堂々とルナ姫に対抗した様は、
まさにギリシア神話のイカロスに例えられています」
咲美「死ぬよね! イカロス、太陽に近づき過ぎて死ぬよね!」
ランル「一部では『蝋翼勇者』と書いてイカロスと読まれてるちゃ!」
咲美「そんな厨二要素いらない!」
ラン「あんたらは、正気なん? ちゃうのん?」
ラーナ「いたって正気です」
ランル「だいたい、地球のガッコなんに異星人が生徒会長やっちょおのはよくなかよ」
ラーナ「中学生に高等部の生徒会長をやらせるのも問題です」
ランル「なにより!
『めだかボックス!』が『バクマン。』的にダメとされちょるバトル方面に行きよった以上、
もはや超人的な生徒会長は不要ちゃ!」
ラーナ「そこいくと、サッキー咲美さんほどの適任者はいません」
咲美「ランさん、助けてぇ~」
ラン「もはや会話は通じんか。やっぱ、スパロボバトルしかないようやな」
ラーナ「お舐めじゃありませんよ。
サッキー咲美さんのSDスピリット指数は一〇〇〇です」
咲美「SDスピリット指数とかないから!」
ランル「さあ、サッキー咲美しゃん。
ウルトラキラーはわちが担当するから、得意のガンキラーでやっちまうちゃ!」
ラーナ「ライダーキラーはわたしにお任せください」
ラン「間違っとるよ! あんたら、ゲーム間違っとるよ!」
ヴィレアム「悪いが、横槍を入れさせていただく!」
ラン「ヴィレアムはん!」
ヴィレアム「俺の前髪が告げている。
ガンダムキラー、ウルトラキラー、ライダーキラー。
それは、俺が倒すべき名前だ!」
咲美「間違いっぱなしじゃない!」
129:それも名無しだ
09/09/30 05:58:48 P6TxUXuv
ヴィレアム「ランさん、これを!」
ラン「これは」
ヴィレアム「強化パーツ『果て無き探求心』。いま、そこの女子中学生からスリ取った!」
ラーナ「むか。女子中学生のスカートのポッケになんてことを」
ヴィレアム「闘争心が芽生えたか。なら、来い!」
ラン「スマン、ヴィレアムはん!」
ヴィレアム「生徒会室へ! あいつを止めてくれ!」
【放送室】
ラン「よし、鍵はかかってないようやね」
ガチャ
ユウカ「あなたがいないとイヤイヤっていえるわがまま~♪」
ラン「ユウカ、はん?」
ユウカ「キングジェイダー、変形、ジェイアーク」
ばっしゃぁぁぁああぁぁぁんっ!」
ラン「わぷっ! なんや! いきなし水が!」
ユウカ「変形による地形変化、ビギナー相手には鉄板のテクニックよ」
どしーん!
ラン「なんや、落とし穴? ここ。地下?」
ゼフィア「ひゃうん!」
ラン「ゼフィアちゃん、あんま悲鳴とか出さんといて」
ゼフィア「あわわ、ランちゃんランちゃん、あれぇ~!」
ラン「ルナ姫に、ルル、キャクトラ?
なんやの? なんでこの子らが、冷凍カプセルに入れられとんの?」
ハザリア「おっと、そのカプセルには触れんでもらおう」
ラン「ハザリア坊? まさかあんたが!?」
ハザリア「スパロボバトルのルールによると、人体への攻撃はバリアーで阻まれるとされておる。
いままで実験を重ねてみたが、衣服を破ることなども出来ぬ。
バリアーの有効範囲は、人体表皮から1センチ前後であると推測できる。
すると、その範囲以外のからの攻撃は?
たとえば、相手の足場を破壊するような行為は?
推測は実証された。
貴様が、ナンブたちを閉じこめていた小屋の扉を破壊したことが確信に繋がった。
誉めてつかわそう。貴様は優秀な駒だ」
ラン「姫さんたちをどうする気や!」
ハザリア「どうもせん。この馬鹿げた状況が終わるまで、眠ってもらうだけだ。
邪魔をするようなら、貴様もそこで氷漬けだ」
ゼフィア「ランちゃぁん」
ハザリア「チッ、見るに耐えんな。
そこの気が触れた筋肉ダルマも氷漬けにすれば、あるいは正気に戻るかもしれんぞ」
130:それも名無しだ
09/09/30 06:00:16 P6TxUXuv
ラン「それで、あんたはどうする気や。
まさか、一人でスパロボバトルを勝ち残る気か!?」
ハザリア「フハハハハハ! 見くびるな!」
ラン「たしかにあんたはゲームとか得意な子やったけども」
ハザリア「バカらしい。相手のルールで戦わないことは、ゲーム理論の基本だ。
指揮官養成用だ?
兵糧や退路の確保もせず、ただ戦うだけの人間を育成するカリキュラムになんの意味がある。
俺は支配者だ。より、上からものを見ぬといかぬ。
戦術が戦略に勝ることはない。
愚民共を扇動して誘導して確保して、逆らう者は氷漬け、従う者は戦列に加える。
俺のやることはそれだけだ。さて、貴様はどうする」
ラン「ハザリア坊、あんたはたぶん、いま正常な状態やない」
ハザリア「語るな。武しか能のない貴様に、なにが出来る。
混乱を治めるのは、民主主義でもなければ暴力でもない。
有無をいわせぬ、強力な支配者だ。地球の歴史を学べばわかるだろう」
ラン「あんたかて、シヴァー宰相のことは知っとるはずや!」
ハザリア「お祖父さまはやり方を間違えた。
単独で地球人どもに立ち向かうべきではなかったのだ。
もっとも、お祖父さまに生き残る意志はなかったようだがな」
ラン「祖父とおなじ道を歩むか、ハザリア・カイツッ!」
???「それで、お前の使用ユニットはなんだ」
ハザリア「なんだ、貴様、話を聞いていなかったのか?
俺はスパロボバトルなどという現場レベルのシミュレーターなどに付き合わぬ」
マリ「そうか、でも、この場では付き合ってもらうぞ」
ハザリア「貴様ッ!」
マリ「真ゲッター3! ブレンパワード! 水中でこいつを駆逐しろ!」
ばしゃあぁぁぁぁぁんっ!
ハザリア「ぐぅ」
マリ「ランさん、これを」
ラン「強化パーツ『荒ぶる星神』。
わたしにはもう、誰が正しくて間違ってるのかわからない。
学校の外から来た、あなたに判断して欲しい」
131:それも名無しだ
09/09/30 06:02:32 P6TxUXuv
【生徒会室】
ゼラド「あっ、ランさん、いらっしゃい」
ラン「ゼラド・・・・・・ちゃん?」
ゼラド「うん、わたしだよ」
ラン「ここは生徒会室や。ルナ姫は、どないしてん」
ゼラド「えっと、ハザリアくんが、安全な場所に移しとくっていうから、任せといたけど」
ラン「あんたは、なんでここにおるん?」
ゼラド「う~んと、隣に放送室もあるし、サーバーなんかもあるし、
学園内の情報握るのに、ここが最適だからかな。
ハザリアくんの受け売りもあるんだけどね」
ラン「学園内にスパロボバトルを流行らせたのは、あんたなんか」
ゼラド「そうだよ」
ラン「いったい、どないして」
ゼラド「えっと、まずレイナに教えて、それからクリハとかアイミちゃんとかルナちゃんとか。
けっこうあっという間に広まったよ。
やっぱり、スパロボバトルって面白いもんね」
ラン「相手を軽く洗脳するようなものやって知っとっても、そないなことをいうんか!」
ゼラド「怖い顔をしないでよランさん。
わたしね、ずっと考えてきたの。
どうしてお兄ちゃんはいつも留守がちなんだろ?
それは、並行世界で争いがなくならないからなんだよ。
なんでみんなケンカするんだろう。なんでどこの世界にも戦争があるんだろう。
ジャンケンかなにかで決めたらいいのに」
ラン「それで、スパロボバトルか」
ゼラド「うん。誰にも怪我させる心配ないし、めいっぱい頭使っての結果なら、みんな納得するでしょ?
みんな、世界中、ううん、並行世界中のみんながこうすればいいと思わない?
スパロボバトルで決めるなら、戦争なんか起こらない。誰も傷つかない。
お兄ちゃんだってずっと家にいる。わたしと一緒にいる。
最高でしょう!?」
ラン「ゼラドちゃん」
ゼラド「ねえ、ランさんはいいひとだよね? 人を傷付けるのなんて、よくないと思うよね?」
ラン「せやな」
ゼラド「じゃあ、わたしの考えに賛同してくれるよね?」
ラン「せん」
ゼラド「え?」
ラン「ゼラドちゃん。あんたのいうことは、たぶん正しいし、もの凄く優しい。
でも、でもな、世の中には、血ぃ流し合わな、分かりあえん人間もおるんや。
アホらしいし、汚らしいし、浅ましい!
せやけど、ほとんどの人間はそうなんや。
ゼラドちゃん、あんたほどいい子は、この世にほとんどおらんのや!」
ゼラド「残念だよ、ランさん。
ランさんのいうことって、まるで悪役みたいなんだもの」
ラン「なら、正義の味方として、ウチを倒し。
たぶん、ウチはあんたに勝てん。元々ゲームなんて得意でもなんでもあらへんかったしな。
でもなゼラドちゃん。あたしは敗北しても、絶対にあんたに屈服せん」
ゼラド「やめてよ。そんな乱暴な目つき、ランさんにして欲しくない」
ラン「正義の味方っちゅうのは、そういう痛みも背負うもんや」
ゼラド「悲しいよ、ランさん」
ラン「さあ、きぃや」
???「いや」
ラン「え?」
132:それも名無しだ
09/09/30 06:04:21 P6TxUXuv
ゼフィア「ちぇえぇぇぇぇぇすとぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
ラン「なっ!?」
ゼラド「・・・・・・なんで? バリアーがあるのに」
ゼフィア「アドレナリンの発生による血管収縮、瞳孔散大、血圧上昇などをBASEが感知して、
バリアーを形成するまでのタイムラグは約1msec。
0.1msec、つまり1万分の1秒、雲燿の位まで剣を高めれば、打ち込むことは不可能ではない」
ゼラド「・・・・・・そっか、頭がおかしくなったフリしてたのは」
ゼフィア「データ収集の時間を稼ぐためだ。
犠牲になった生徒たちには、合わせる顔もない」
ゼラド「・・・・・・なんだ、ゼフィア先輩だ。ただの、ゼフィア先輩だ」
【放課後】
マーズ「うぇ~ん、何度ガチャガチャやっても、ビッグボルフォッグおじちゃんが出ねーよー」
タカヤ「もう諦めろよ。出てないんだよ、ビッグボルフォッグ」
レタス「あなたの叔父さんがビッグボルフォッグだという情報も、おそらくガセネタですしね」
ハザリア「俺は自分の判断が間違っておったとは思わぬ。
ゆえに反省もせぬし、謝罪もせぬ」
マリ「ああ、うるさいうるさい、だいたいお前は、重要なことほどひとに相談しないで行動するからめんどくさい」
ユウカ「言葉じゃなくても伝えられそうな想い それだけを信じてた不器用なほど~♪」
ラーナ「え、ガンキラーとガンダムキラーって違うものだったんですか?」
ヴィレアム「ああ。『超戦士ガンダム野郎』に登場したガンキラーが
『ウルトラマンA』に登場したエースキラーのような外見だったのに対し、
『ガンダムキラー』はZZガンダムにサザビーのファンネルをくっ付けたような赤い機体だ」
ランル「なんということちゃ! コミックボンボンのバッグナンバーなんて、今さら手に入らんし」
咲美「ガンキラーの情報どうでもいいから!」
ゼラド「でも、やっぱりケンカはよくないと思うよ」
ルナ「ああ、わかっている。
しかしゼラドの考えが実現させるには、長い長い時間がかかる」
ミスティリカ「ゼフィアせんぱぁ~い!」
ゼフィア「取りあえずメガネを拭いなさい」
ラン「ゼフィアちゃん」
ゼフィア「みっともないところを見せました」
ラン「ウフフッ、ゼフィアちゃんは、やっぱりサムライなんやね」
ゼフィア「ふがいないことに、ほかの手段を考えつかなかっただけです」
ラン「名を捨てて実を取るんは、サムライの生き様やろ?」
ゼフィア「実を、取れたのでしょうか」
ラン「実というんは、もぎ取るもんやないの?」
ゼフィア「ところで、そのセーラー服はいつまで着ているのですか」
ラン「さて、いつまでやろな。着せた本人に訊かな」
ゼフィア「・・・・・・ゴホッ」
133:それも名無しだ
09/09/30 16:14:58 Ndwctb2i
ラン姉さんかっこいいな
流石ただのフリーターじゃない
134:それも名無しだ
09/09/30 19:55:05 WBXDRbvh
>>113
仲良いなこのパルシェム兄弟
ディストラさん、自分を信じて『夢』を追いかけていれば、夢はいつか叶うって言ってた人の恋は最終的に叶いませんでしたよね
>>123
ゼフィア先輩が活躍したの初めて見た
スパロボ学園買いたくなってきた
135:それも名無しだ
09/09/30 22:43:09 bFlL+Dxt
ランさんはどうやら校門でセーラー服ナマ着替えを強要された模様
136:それも名無しだ
09/10/01 03:19:42 5icN+G4A
だから若干態度が攻撃的なのかw>生着替え
137:それも名無しだ
09/10/02 02:23:51 Lvt9nZ3H
各人のユニット
ゼラド:ストライクノワール中心(久保に似てるし)
ヴィレアム:コンパチブルカイザー中心(親父に押し付けられた)
キャクトラ:ストフリとか隠者とか(歌姫の騎士団だし)
スレイチェル:キングダリウス(性別を超越してるし)
ミナト:ランスタッグ、レインボージャーク、大空魔竜のアイドルデッキ
克夜:ゴーダンナーとかナデシコとかでハーレムデッキ
マーズ:ガオガイガー系(ビッグボルフォッグおじちゃんが見つからない)
ミスティリカ:バイオヴォルケーノ、ライキング、マークゼクス(コメント不能)
タカヤ:オーガン一本で行くのは難しい
咲美:ダリア・オブ・ウェンズデイ(いくらファサリナさん使ったって咲き乱れないもんは咲き乱れない)
138:それも名無しだ
09/10/03 23:38:48 yHlmTK9x
な、生着替え
誰かイラストにしてくれ!
つうかラン姉さんのイラスト見た事ない(汗)
139:それも名無しだ
09/10/04 00:14:42 mS1hO06K
なんかあったよな、ラン姉さんがノレンくぐってるようなイラスト
140:それも名無しだ
09/10/04 00:53:49 fRqFphJT
>>138
おいおい相手はバルマーの大貴族だぞ?
ちゃんとアルマナ様に許可もらえよ
141:それも名無しだ
09/10/04 07:14:04 xOvsuQHz
アルマナ「愚問な・・・・さぁラン!言ってあげなさい!!」
ラン「せや!ウチは心に決めた人の前でしか生着替えはせぇへんd・・・・ハッ!!?」
アルマナ『(・∀・)ニヤニヤ』
ミスティリカ「因みに私は心に決めた人からしか凌辱されたくありません!その為、まだ処女です」
ラン&アルマナ「「どっから湧いた?」」
142:それも名無しだ
09/10/05 21:24:54 p1FiaFuQ
>>112
競技化されたSASUKEではなく
おバカな一般人参加型エンターテインメントだった風雲たけし城が大好きな俺は異端
143:それも名無しだ
09/10/06 03:12:53 jvHrdX65
カッ
ヴィレアム「残りのカードはいらない。なぜなら、俺自身がジョーカーだからだ」
レラ「・・・・・・」
イングレッタ「は?」
キャクトラ「友よ、それはひょっとして、面白いと思っているのか?」
ヴィレアム「なんか、スンマセン。申し訳ありませんでした」
ブオォォォォン
ヴィレアム(俺たちバンドメンバーはいま、ハコネへの一泊旅行に向かっている。
それというのも、このバンドの結束がお世辞にもいいとは)
レラ「・・・・・・」
キャクトラ「おっと、ワイルドドロー4ですか。
さすがレラ殿はニュータイプだけあって、読みが鋭い」
イングレッタ「フフフ、果たしてそうかしら。デッドエンドシュート」
キャクトラ「うへえ、UNOですかぁ」
ヴィレアム(ていうか、なんかメンバーの中で俺が浮いてるような気がするんだ。
おかしいよな?
俺が組んだバンドだよな? 俺がバンドリーダーだよな? 俺が浮いてるっておかしいよな?
ともかく、メンバー間の意思伝達をクリアーにすれば、
いつの間にかワカメタルになってた俺のバンドを、本来の純愛ポップスに戻すことも)
【温泉宿 温泉】
ヴィレアム「いいか、キャクトラ。
だいたい若い母さんは常に張り詰めていて、まるで世界の安定かなんかを守ってるみたいじゃないか」
キャクトラ「世界の安定を守っているのではないだろうか」
ヴィレアム「いつもそんなふうだから、反動でワカメタルなんて音楽やらせたがるんだよ。
だから是非とも、この旅行で穏やかな気分になってもらってだな」
キャクトラ「友はひょっとして、ワカメタルがイヤだったのか?」
ヴィレアム「お前こそひょっとして、俺とバンド組んだ当初のこと忘れてるんじゃないのか?」
144:それも名無しだ
09/10/06 03:15:07 jvHrdX65
~あれー、イングレッタちゃんだー
~妙なところで会うわね。
~お主! なぜこのようなところにおる!?
~男の人に誘われて、宿泊中よ。
~ふ、不潔な!
ヴィレアム「なぁ、気のせいか、女湯の方からゼラドの声が聞こえるんだけど」
キャクトラ「気のせいか、私には姫様のお声が聞こえる」
ヴィレアム「しかも、若い母さんがいらんこといっているような気がする」
キャクトラ「しかし、嘘は言っていない」
ヴィレアム「マズいだろぉ! 見ようによっちゃ、お泊まりダブルデートだぞ!」
キャクトラ「不潔なことをいってもらっては困る!
我々とレラ殿、イングレッタ殿はワカメタル的なソウルで繋がり合ったメイトであり!」
ヴィレアム「第三者はそう見てくれないっていうんだよ!」
【温泉宿 座敷】
アラド「これ、追加注文とか出来るのかな。
すんませーん、とりあえずトリカラ10皿ーっ!」
ゼオラ「あなた、よしなさいよ。せっかく子供たちがプレゼントしてくれた旅行なのに」
ゼラド「好きにしてくれていいよ。そのためにわたしとルナちゃんで貯金したんだから!」
アオラ「どうせ俺は一文も出してませんよーだ」
ルナ「お父様、どうかおくつろぎください」
クォヴレー「なにか、悪いような気がするな」
イングレッタ「これ、梅干しとか付けられるのかしら」
レラ「・・・・・・」
ルナ「それで、お主らはなぜおるのだ!」
ゼラド「わたしが呼んだんだよ。みんな一緒な方が楽しいでしょ?」
【座敷の外】
ヴィレアム(いいか? 合図と同時に座敷に乗り込んで、とにかく騒ぎ倒すんだ)
キャクトラ(わかった。サプライズライブというわけだな)
ヴィレアム(バカッ、どさくさに紛れて若い母さんとレラを連れ出すんだよ)
キャクトラ(それでは今回の旅行の主旨が)
ヴィレアム(お前はルナに誤解されて平気なのか!?)
キャクトラ(それは困る)
145:それも名無しだ
09/10/06 03:16:22 jvHrdX65
SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ!
ヴィレアム「昨日はガチャガチャまわしたぜ! 明日はコスト6でやってやる!
I am wakamest straight out of hell!」
ルナ「何事だっ!?」
ゼラド「きゃあっ! なによあのバンド、こんなとこまで!」
アオラ「ヴィレカイザーさんだぁーっ!
ヴィレカイザーさんが慰労とILLを間違えてハコネにご降臨なされたーっ!」
アラド「へえ、最近の旅館は凝った演出するんだな」
ゼオラ「元気のいい歌い手さんねえ」
ヴィレアム「SOUSHITSU~! SOUSHITSUせよ! 負債はバンダイナムコゲームズにくれてやーっれ!」
ガシッ
イングレッタ(なによ)
ヴィレアム(若い母さん、はやくこっちへ!)
イングレッタ(イヤよ。まだカニカマボコを食べていないわ)
ヴィレアム(旅館まで来て、なんでわざわざカニカマボコを食べたがるんだ!?)
ルナ「お下がりくださいお父様! あれは、なにやら危険なアミノ酸の臭いがいたします!」
クォヴレー(あれは、ヴィレアムではないのか?)
イングラム(あぁっ! あいつ! なにグレちゃんの手ぇ握ってるんだ!?)
クォヴレー(お前はいいから成仏していろ)
イングラム(どうやらまだ教育が足りないようだな。久保、身体貸せ!)
フコダイン! フコダイン! ワカメから抽出フコダイン! フコダインでガン治療!
ゼラド「また出たーっ!」
アオラ「うぉーっ! あれは、かつてヴィレカイザーさんに破れるまで
ブラックワカメタルの帝王の名を欲しいままにしてきた、
イングラム・ワカメ・フォーゲットだぁーっ!」
ヴィレアム(あれは! だいぶ前に倒したはずのイングラム・ワカメ・フォーゲット!)
イングラム(再教育してやる、この生ゆでワカメが!)
スチャッ!
アオラ「出たぁーっ! 元祖ワカメタルの帝王による、タケノコとフキの煮物だぁーっ!」
ゼラド「そんな、旬のタケノコとフキに、ワカメをからめてこうもシンプルかつ奥深い味にするなんて」
アラド「へえ、きょうびの板前さんはああいうパフォーマンスやるのか」
ゼオラ「元気のいい板前さんねえ」
ルナ「おや、お父様はどこに?」
146:それも名無しだ
09/10/06 03:17:34 jvHrdX65
キャクトラ(友よ、騒ぎが大きくなるのはまずい。ここは速やかに退却を)
ヴィレアム(今さらなにしに出てきやがった、あの茹で損ないがぁーっ!)
キャクトラ(友よ?)
ヴィレアム(いまやワカメシーンを支配してる旨味成分がなんなのか、じっくりに煮立ててやる!)
スチャッ!
アオラ「あぁーっと! これは、ヴィレカイザーさんみずからの手によるワカメの三つ葉汁だぁーっ!」
ゼオラ「あら、よくダシを取ってあるのね」
アラド「俺はもっと片栗粉入れてもらいたかったけどな」
ゼラド「うん、ちょっと、塩味が薄いかな。
なんていうか、作ってる人の性格が透けて見えてるような」
アオラ「批評だぁーっ! うちとこの父さんと姉ちゃんが、ワカメタルの頂上をマジ批評だぁーっ!」
ルナ「それより、あんな厚塗りで料理などしたら不衛生ではないだろうか」
キャクトラ(友よ、撤退しなくていいのか、友よ!)
ヴィレアム(いいからマグロを調達しろ! マグロとワカメの中華ソース和えを作るんだ!)
イングレッタ「フフフ」
キャクトラ(しかし友よ! ハコネで中華風の味付けとはいかがなものだろうか!)
ヴィレアム(クソッ! レパートリーが少ない!
やっぱり、『竜巻亭』でバイトしたり休んだりしてたのがマズかったのか!?)
クォヴレー(おい、いい加減にしろ)
イングラム(くそっ、腕の動きが鈍い! 久保の小脳からほじくり出した経験記憶を元にしてるからか!)
クォヴレー(他人の小脳頼りで勝負をしようとするな)
イングラム(頑張れ! 久保の小脳もっと頑張れ!)
SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ! SOUSHITSUせよ!
フコダイン! フコダイン! ワカメから抽出フコダイン! フコダインでガン治療!
アオラ「うぉーっ! ヴィレカイザーさん手ずからのワカメの豚肉巻き煮だぁーっ!」
ゼオラ「あら、この帆立貝入り海藻サラダはサッパリしていていいわね」
アラド「ところでこのひとたち、ワカメ料理以外作らないのか?」
ゼラド「なんで、騒ぎながらお料理するんだろう?」
ルナ「お父様? お父様ー、どこに行かれましたかー?」
ヴィレアム(クソッ! このワカメのカリカリ揚げを最後に、もうレパートリーは残っていない!)
イングラム(フフフ、デッドエンドわかめの味噌マヨ和え!)
147:それも名無しだ
09/10/06 03:18:22 jvHrdX65
キャクトラ(いけない! このままでは、友はワカメタル帝王の称号を返上しなくてはならなくなる!)
レラ(・・・・・・)
キャクトラ(レラ殿?)
レラ(・・・・・・ビット)
ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ! ビュンッ!
ゼラド「これは!」
アラド「お豆だぁーっ! ヴィレカイザーさんのワカメのカリカリ揚げに、
オールレンジからお豆が打ち込まれているぅーっ!」
ゼオラ「あらあら、水煮した大豆と冷凍大豆を3:2の割合で投入なんて、なかなか繊細な組み合わせね」
アラド「カリカリとフニャフニャとコリコリがミックスされて、なんともいえない歯ごたえだ!」
アオラ「そして料理が盛りつけられているのはぁーっ!」
アクセル「なんだなっ!」
ゼラド「きゃあっ!」
アオラ「ニュータイプ至上主義の豚だぁーっ!」
ルナ「なにをやっているのだ、アクセル用務員」
アオラ「これはまさに、ニュータイプくずれの修羅場盛りだぁーっ!」
ゼラド「もう、最低!」
アラド「最近の旅館はいろいろやるんだなあ」
ゼオラ「うふふ、懐かしいわねえ、ニュータイプなんて」
アラド「ああ、ニュータイプのみんなにも、もうずいぶん会ってないなあ」
ゼラド「どうしてお父さんたちはそんなリアクションなのぉーっ!?」
148:それも名無しだ
09/10/06 03:19:23 jvHrdX65
【旅館 焼きワカメの間】
アクセル「なんとか難を逃れたようだな、これがな」
ヴィレアム「なぜいるんだアクセル用務員」
キャクトラ「友よ、行きのクルマを運転してくれていたのはアクセル用務員だぞ」
レラ「・・・・・・!」
キャクトラ「そんなことより友よ、
『サプライズライブやるなら事前に話せ、段取りとか困るじゃないか』
と、レラ殿はいたくご立腹だ」
ヴィレアム「不測の事態だったんだよ!」
ヴィレアム「そもそも若い母さんがノコノコとゼラドたちの座敷に行くから!」
キャクトラ「しかし、速やかに退散すればいいものを、
なぜかワカメタル料理を次々と作り始めたのは友だ」
イングレッタ「フフフ、それでこそ、わたしが見出した芽ワカメよ」
ヴィレアム「あ、あれは違う! 断じて違う! ついだよ、つい!」
アクセル「どうやら、旅を通じて重要なアミノ酸を抽出したようだな、ニュータイプ技能を上まわるような」
ヴィレアム「いいからあんた、服着ろよ!」
イングレッタ「さあ、杯を取りなさい。
今宵、新たなワカメタルの狼煙が上がるわ」
レラ「・・・・・・!」
キャクトラ「は! 是非もありません!」
ヴィレアム「俺、いつになったらラヴソング歌えるんだよーっ!?」
【駐車場】
ディストラ「くしゅん! ああ、旅館から楽しそうな声が聞こえていますね、ぐずっ!」
149:それも名無しだ
09/10/06 10:15:12 LIlU4Awk
GJです
ワカメタルはメタルよりもわかめの比重の方が大きいのか
奥が深すぎるぜワカメタル
相変わらず自動車扱いだぜディストラさん
150:それも名無しだ
09/10/06 17:53:48 gvjlPJau
人格を持つ乗り物というからには
ディストラさんはプリウスかセダンか何かにTransformしてもらわんと
151:それも名無しだ
09/10/06 19:05:13 91qpUQ3h
そうか、こないだ俺がオカマ掘っちゃったプリウスの正体はディストラ姉さんだったんだな。
向こうのドライバーさんはやけに紳士的だったし。
152:それも名無しだ
09/10/06 20:48:38 uIzvat1M
ギゴガゴゴ
ディストラさん「私にいい考えがあります」
153:それも名無しだ
09/10/06 22:10:52 7t5t5aPC
>>150
キャデラックにデビルというディストラさんにピッタリな車があるわけだが
154:それも名無しだ
09/10/06 22:57:45 v+eGfER/
ナイト2000なディストラさんを連想してしまった
155:それも名無しだ
09/10/06 23:01:46 Ly/0llvR
>>153
ゼオラ「まぁ、いけないわディストラさん!
そんな高級車はうちに不相応です! 子供たちに贅沢を教えないでください!」
ディストラ「えへ、すいまんせん、高級車ですいません、えへへ」
ゼラド「お姉ちゃんは高級車っていわれると嬉しいのかなぁ」
156:それも名無しだ
09/10/07 07:04:17 Q56nuBz0
って言うか、起動兵器(しかも最強クラス)を
個人で所有してる(実際は久保のだが)って時点で
どんな高級車よりも贅沢だと思うんだが……。
まぁ一般家庭とはかなり価値観がズレてそうだがな。
157:それも名無しだ
09/10/07 08:23:43 Puu4MWyd
キャデラック・デビル→キャデラックと言えばピンクキャデラック・デビルは悪魔→ピンクは淫乱
つまりそういう事か
158:それも名無しだ
09/10/08 01:06:24 EOJMakFu
●
最低の屑を自認するミスティリカ・レックスは、「24時間常に軽くアヘ顔」を心がけている。
「ミスティリカさん、その、にへらにへら笑いながらカクテルを作るのをやめてくださいまし」
「あらレタス先輩、カクテルには作るひとのハートがこもるものなんですよ」
「カクテルになにを混入するつもりなんですの?」
OG町の裏通りにあるカジノバーの中だった。抑えられた照明の下で、背広姿のビジネスマン
や、いかにも自由業者風な男達がウロウロしている。そこかしこから唸り声や歓声が起こ
っていた。そんな店内をじっと見つめているのは、ダークスーツで決めた体格のいい男たちだ。
少し前から、ミスティリカはこのカジノバーでウェイトレスとしてアルバイトをしていた。
「あなたは一応未成年なのだから、
カクテルなど作ってくれるなと店長にいわれたばかりなのを忘れたんですの?」
「あら先輩、お客様の評判は」
「同級生に向かって先輩と呼ぶのは、なにかのイヤミなんですの?」
ディーラー姿のレタス・シングウジがアヘ声の似合いそうな声でぷりぷりと小言をいう。
「業界じゃ先輩じゃないですか」
「なんの業界ですの」
「バイト先に決まってるじゃないですか」
「それはたしかに、そうですけれども」
「それに、わたしの見立てでは、
レタス先輩はOG学園でもっともイイ感じのアヘ声を出すに違い有りません。
敬語を使わざるを得ません」
「そんな屈辱的な敬意の払われ方は生まれて初めてでしてよ!」
「いいから、ちょっとアヘ声出してみてくれませんか?」
「そんなもの、人前で出したことはありません!」
「きゃっ、人目に付かないところでは出してるんですね」
「あなた、アトリームに帰ってくださらなくて?」
「いやだ先輩、アトリームはとっくに滅びて、わたしは単なる地球生まれの地球育ちですよ」
「ですから、かつてアトリームがあった宇宙空間に」
「もう、先輩ったら冗談ばっかり」
レタス・シングウジはまたぷりぷりと小言を続けるが、その声は相変わらずアヘ声が似合いそうだった。
159:それも名無しだ
09/10/08 01:07:30 EOJMakFu
●
ミスティリカは現在、OG町内のマンションで一人暮らしをしている。
それというのも、ここ最近実家にシェルディアとレムのルージュ姉妹がよく遊びに
来るようになったからだ。シェルディアは、昔アンジェリカの父ミストのことが好きだった
らしい。あくまで昔のことで、現在のシェルディアの心中は誰にもわからない。しかし、
昔から嫉妬深い性格をしていたらしいミスティリカの母アンジェリカの心中が穏やかで
ないことは子供でもわかった。
アンジェリカの気持ちなどお構いなしにルージュ姉妹は遊びに来るし、父ミストは
(もう妻子がいるのにこんな気持ちになる俺に人の親たる価値はあるのか?)と廊下で
愚痴っているし、母アンジェリカは(今さら夫のことを信じられない私ってなんて最低の
屑なのかしら)と呟きつつも日に日に殺伐とした目つきになっていた。
子はカスガイというが、カスガイたる自分がこの状況で家を出たら、レックス家はどんな
ことになるのかしら。そんなことを考えるといてもたってもいられず、ミスティリカは
単身OG町への引っ越しを決めたのだった。
今度里帰りするときには、肌の色が違う弟か妹か、もしくは腹あたりの風通しがやけに
よくなった父に会えるかもしれない。
(ああ、自分の家庭の崩壊を面白がるなんて、わたしってなんて最低の屑なのかしら)
そんなことを考えると、ミスティリカのメガネはまた曇るのであった。
●
カジノバーでのアルバイトは夜10時に終わる。
もちろんカジノバーは深夜過ぎまで営業しているが、いくらアヘ声が上手いとはいえ
レタスもミスティリカも未成年なのだから、深夜まで働かせることは出来ないそうだ。
「だから、アヘ声なんて出しませんし、そもそもアヘ声とはなんのことやらわかりませんし!」
「またまた、レタス先輩は」
「その、にへらにへらした笑いをやめてくださらないかといっているんです!」
「じゃあ先輩、明日また学校で」
「宇宙空間に投げ出されてしまえばいいのに!」
レタス・シングウジは相変わらずアヘ声がしっくりしそうな声を上げて、ミスティリカ
とは別方向に歩いていった。
ここ最近、ミスティリカはいたく気分がよかった。
転校先がよかったのだろう。素敵な出会いもあった。ミスティリカのメガネは連日
曇りっぱなしだった。やはり、事前に調べたブログで「ヘンな学校」と紹介されていた
ところを選んでよかった。
「おい、あいつ」
「そうだよ」
「間違いねぇ」
「おい」
夜道の影から、男たちの囁く声がした。ばたばたと統制の取れていない足音が近づいて
きて、ミスティリカを取り囲んだ。街灯は遠く、周囲の民家はすべて明かりを落としている。
160:それも名無しだ
09/10/08 01:08:59 EOJMakFu
4人、いや5人いる。学校の制服らしき、白いワイシャツとスラックスという服装だった。
運動部なのだろう。肩や腿の筋肉が分厚く盛り上がり、服の布地を押し上げている。
手を抜いた筋肉だ、とミスティリカはそう思う。
筋肉には白筋と赤筋という種類がある。短時間のトレーニングで手っ取り早く身に付けた
ものが白筋で、長時間じっくりと鍛えることで作られるものが赤筋だ。赤身魚と白身魚で
考えればわかりやすい。白身魚はちょろちょろと泳ぎ回り、赤身魚は悠然と泳ぐ。
ミスティリカが好むのは、長時間自分の肉体をいじめ抜いた結果作り上げられる、
鋭くしなやかな赤筋だし、そういう筋肉を作り上げる人格だった。
「お前、OG学園の生徒だろ」
「この間、剣道大会に出てた」
「叫んでたよな」
「陵辱、されたいんだって?」
男達が着ている制服はOG学園のものではない。なぜ自分を知っているのだろう。そういえば
先日、ゼフィア・ゾンボルトが出場した剣道の大会にくっ着いて行って、「あぁ、ゼフィア先輩
スゴい! 来て! 陵辱すればいいじゃない! メチャクチャにすればいいじゃない!」と叫び
続けて会場からつまみ出されたが、そんなものは些細なことだ。
「好きなんだろ? 陵辱」
「してやるよ」
「グチャグチャにさあ」
「来いよ、ほら」
ごつごつしていて、指毛の生えた手がミスティリカの胸元に迫る。
ミスティリカは男の腕をかわし、ついと一歩前に出た。腰に手を伸ばす。カクテルの
飾り付けに使うフルーツを切るためのペティ・ナイフを抜き出した。すぐ目の前には
野太い首がある。ミスティリカはペティ・ナイフを持ち上げた。白膨れした首に突き立てる。
「え?」
男がたたらを踏む。ぎょろりと目玉を動かして、自分の首筋を見る。それでも、自分の
身になにが起こったのか理解出来ないらしい。
前斜角筋と中斜角筋の間、動脈や神経の隙間をすり抜けて、刃先は気道にも食堂にも達
していない。ナイフが栓になって、出血はほとんどない。痛みすらない。にも関わらず、
首には間違いなくナイフが突き立てられている。こんな状態に陥るのは、生まれて初めて
に違いない。
「ぎゃああぁぁっ!」
男が喚いて首筋に手を伸ばそうとする。その手首を、ミスティリカははっしとつかんだ。
「あらダメよ。せっかく綺麗に挿入したのに、下手に動かしたら、無様なことになるわよ」
「ひぃ、ひぃぃっ!」
「てめぇ、なにしやがった!」
後ろから肩をつかまれる。ミスティリカは、今度はアイスピックを抜き出して、指の股に
突き刺した。汚らしい悲鳴が起こる。
「あぁ、メガネ透けるわ」
161:それも名無しだ
09/10/08 01:10:35 EOJMakFu
ミスティリカは生真面目な男性が好きだった。正確にいえば、自分を生真面目な人間
だと思いながら獣欲に抗えず、ことに及んだ後になってから果てしのない自己嫌悪の
沼地に没してしまうような、そういう危うい人物が大好きだった。高潔ぶっている人物
が他人を汚し、その実自分自身の人格を陵辱している様は、想像するだけでメガネが曇る。
この男達は違う。生真面目でもなければ高潔でもない。
「ねえ、痛い? 痛くないでしょう。死んじゃうと思う? でもね、死なないのよ。
わたしが、ほら、こうやって、きちんと栓をしてあげているから」
首からペティ・ナイフを生やした男の頬に手を当てて、その顔を覗き込む。血走った
目の中に、レタス・シングウジがいうところの「にへらにへらした笑顔」が映り込んだ。
「殺してしまうかもしれない、でも殺しはしない。
殺されてしまうかもしれない、でも生かしてくれるに違いない。
嗜虐側と被虐側はね、そういうギリギリの信頼関係で結ばれているの。
わかる? とても大切な相手だからこそ、自分自身を刻み込みたい。
とっても大切な相手だからこそ、どこまでも身を任せたい。
ねえ、わかる?
メガネが曇るでしょう? 頭蓋骨の中で、ドーパミンがじゃぶじゃぶ音をたてるでしょう?」
うっとりと語るミスティリカの説明を聞いているのかいないのか、男は目を白黒させ
て息を荒げるだけだ。
「腰を振って、出したいだけ出すというなら、そんなものは獣とおなじよ。
わたしは獣が好きなわけじゃないの。
人間様でありながら獣の欲に負けてしまうような、最低の屑が大好きなの。
理性と獣欲の狭間、信頼と、不安と、痛みと、快楽。
ギリギリのせめぎ合いがあるからこそ、人間と人間との繋がりじゃない?
そうは思わない? ねえ」
「なにいってるんだよ、なにいってるんだよぉ、お前ぇ」
男が涙と鼻水とヨダレをぼたぼたと落とす。つくづくメガネを透けさせる男だ。
「おい、こいつヤベぇぞ」
「早く病院に連れてってくれよぉ!」
「付き合ってられっか!」
「行くぞ、おい」
男達があたふたと踵を返そうとする。
ミスティリカはくるりと振り返って、アイスピックを投げつけた。スニーカーを地面に
縫いつけられ、男達がつんのめる。
「なんだよぉ!」
「お前、なんなんだよぉ!」
ミスティリカはへっぴり腰で突き出された尻に手を伸ばし、ベルトをぐいとつかんだ。
「わたしのお父さんね、地球防衛軍なんです。
いまさら怪獣や宇宙人が攻めてくるわけでもないのに、
わざわざ連合軍とは別の組織を作る必要があるのかっていうニュース、聞いたことあるでしょう?
関係者の娘が問題起こしたなんて知られたら、困るんですよ」
162:それも名無しだ
09/10/08 01:11:49 EOJMakFu
「わ、わかったよ!」
「いわねえ、いわねえから!」
「お、男だ。男にやられたっていうよ」
「でもそれって、根本的な信用には値しませんよね?」
ミスティリカは腰から新たなペティ・ナイフを引き抜いた。手の中でくるくるとまわしながら
男のベルトを切断する。スラックスが下着もろともずり落ち、黒ずんだ尻が闇夜の中にさら
け出された。
「こう見えてわたし、地球人じゃないし、猜疑心が強いんです」
「い、いわねえ、いわねえって!」
「やめろよ、それ、なに持ってるんだよ!」
「なにするつもりだよぉ!」
「あら知らないの? マドラーって、かき混ぜるための道具なのよ」
「あ、あぁ、アーッ!」
ミスティリカはマドラーでもって根本的に存分にかきまわした。
●
汚物でてらてらと光るマドラーを月明かりに照らし、ミスティリカはゆったりと微笑んだ。
メガネが曇っていて、お月様の形がよくわからない。
明日は早めに学校に行こう。ゼフィア先輩は、どんな声で鳴いてくれるだろう。
(ああ、わたしって、なんて最低の屑なのかしら)
163:それも名無しだ
09/10/08 01:40:04 zoR3bhmU
ゼフィア女運悪すぎるwwwwwww
親父も女房以外はほとんど死なせてるし
母親もアードラーだのイーグレットだのミタールだの
ろくな知り合いいないし
お払いいくレベルだなこりゃ
164:それも名無しだ
09/10/08 20:53:33 nvh1sGhL
いいのかなあ
こんなすごい奴全年齢板に置いといていいのかなあ
>>163
ソフィアお母さんにだってドリル学の権威エリ・アンザイ博士とかまともな知り合いはいるよ
ゼフィアはお払いに行くべきだと思うけど
165:それも名無しだ
09/10/08 22:29:59 zoR3bhmU
お払いに行ったらククルんとこだったとか、
更に事態が悪化しそうだが。>ゼフィア
ディス姉に悪霊たべてもらうとか?
166:それも名無しだ
09/10/08 22:41:15 BRRDudk6
いっそのことゼフィアは物凄い年上を嫁にしたらイグニッションの呪いは解けると思うよ
安西先生とかミッテ先生とかシャナ姫様とか
167:それも名無しだ
09/10/08 23:02:02 NVEO+Aq2
もうアクア先生とくっつけちゃえば良くね?
168:それも名無しだ
09/10/08 23:39:07 XrUOTnJr
周りからアクア先生よりも年上に見られてしまうゼフィアさんじゅうはっさい
169:それも名無しだ
09/10/08 23:59:45 jR/ovXls
ゼフィア「妙な話を広めるな!アクア先生が最近俺に対して挙動不審になってるぞ!」
レモン「いいじゃない、あんた好きなんでしょ?年上」
ゼフィア「想い人が年上なことと年上なら誰でも良いことは違う!」
170:それも名無しだ
09/10/09 01:03:44 qeeTt7MZ
その日彼女はやってきた。
午後の昼下がり、ぼつぼつ下校するものも絶えた頃。
校門で相棒のキャクトラを待っていたヴィレアム・イェーガーはかばんを落とし、
同じく近くで無言だったレラがなぜか口笛を吹き、
ゼラド・シュヴァイツァーとアイミ・ダグラスはそれぞれへたり込んだ。
まとうは名門お嬢様学校聖ミカエル女学院のセーラー服、校章からみるに三年、
身長は165センチ程度、優美な体つきにも関わらず豊満な胸、
紫がかった銀髪が長く腰まで伸びている。
色白のかんばせに、やさしい切れ長の瞳。色は紫。
後にみなが語ったところでは究極完全至高美少女としか言いよう
のない美貌をもつ少女は、なよやかな足取りでゼオラに近づいた。
「忙しいところ、ごめんなさい。
もしよかったら、ゼフィア・ゾンボルトという方がどこにいるか
教えていただけませんか?」
「ゼフィア先輩ですか?」
ゼラドはあわてて立ち上がるとぱたぱたと埃を払った。「この時間ですと、
たぶん風紀委員会室にいると思いますけど」
「ありがとうございます。その風紀委員会室って、私が入ってもいいのでしょうか?」
「え、あ、どうだろ、アイミ」
「それこそゼフィア先輩にきけば…って風紀委員室か。
携帯で呼び出し……だめだ、あの人校内だと電源切ってる」
「じゃ、私、ひとっぱしり行ってくるよ!」
親切なのはゼラドの美徳だ。走り出す後姿に、少女が声をかけた。
「あのう、よかったら、この手紙を渡していただけますか?」
「あ、はい、手紙ですね!もっていきます!」
ヴィレアム・イェーガーは持ち上げたかばんを再びをおっことした。
「なにそれ手紙って校門に女の子が来て手紙って」
手紙という言葉にヴィレアムはゲシュタルト崩壊を起こしかけた。
「そう、そこにいちゃいけない存在よ、彼女は」
「若いかあさん!いつからそこに!」
「時空のゆがみ…に良く似た存在を追いかけてきたのよ」
「ちょっとまった。校門で武器取り出すのはやめようよ若いかあさん!」
171:それも名無しだ
09/10/09 01:36:19 nrHbFWgZ
ゼフィア・ゾンボルトは眉間に皴を寄せていた。もっともいつものことである。
「それで、その人今校門でまってるんですけど」
「承知した。手紙、ご苦労だったなゼラド」
「なんかいいにおいしますねえ。なんですかこの香り」
「伽羅と…五箇所ににおいがついてるな。
伽羅、伽羅、真南蛮、佐曾羅、寸聞多羅」
「きゃーらーきゃーらーまなばんさそらーすもんたらーって、お経ですか先輩」
「あのな。香道でいう香木のことだ。
五つあって、初め二つが同じにおい、他が全部違う。
これは源氏香でいうところの『葵』!
しかも六国五味のうち甘さだけがない」
「あの、先輩、日本語でお願いします」
「……これは俺への挑戦状と見た!」
ゼラドは盛大にずっこけた。
いくらゼラドだって、女の子が香りつきの手紙を出すのに挑戦状とは思わない。
「……せめて開けて読んであげましょうよ」
「うむ。ゼフィア・ゾンボルト様、筆跡も見事だな。
なになに。
是非一目お会いしたく、筆をとりました。
どうかおめもじ許していただきたく、お願いいたしあげます。かしこ」
ゼフィアの眼に水が吹き零れてきたのを見てゼラドは声を上げた。
「あ、あの先輩っっっっ?どうしたんですか泣いたりして!」
「いや……このところ、まともな人間とかまともな手紙なんぞ見た覚えがなくてな、
俺に関わりあいたい奴で人の心が判る人間もいるのかと思ったらなんか泣けてきて…」
「……いろいろな出会いがあるのはいいことだと思いますよ?」
「悪縁ならいっそないほうがマシだ!」魂の叫びである。
「よし、この好敵手に会いにいこう、ゼラド。校門だったな」
「だから好敵手じゃなくて女性ですってば!」
「武道の道に男女なし。正々堂々と立ち会うまで」
「あーもー先輩ってばー!」
学園校門。
物見高い連中が、帰宅した奴までメールや携帯で連絡もらってすっとんできたらしい。
美少女を一目みたものたちが腰抜かしたのはいいとして、
その場でファンクラブ、親衛隊まで出来たのはすさまじいとしかいいようがない。
その人だかりの仲を書き分けてやってくるはゼフィア・ゾンボルト、校則違反の白い学ランを翻し、老け顔をさらに苦々しくしてその手には艶光りした木刀がある。
どうみても一昔前の不良だ。しかも留年クラスの。
「俺にようがあるというのは、貴殿か」
美少女はゆっくりと微笑んだ。
桜の花が一斉に咲き誇り蝶が舞う、そんな笑顔であった。
「はい。我が名は……」
銀の琴奏でるように響く声が優しく響く。その白い手がゆるりと動く。
「我が名はルウォーダ、ルウォーダ・ユミル!
ゾンボルトを断つ、剣なりっっっ!」
ひらりとはためくは名門女子校のセーラー服のスカート!
ちらりと見ゆるは白い股間の布地!水色のボーダー入り!
「う……うぉぉぉっ!」
思わずゼフィアがのけぞる、その隙をルウォーダは見過ごさなかった。
「隙ありぃぃぃっっっっ!」
「待ちなさいっ!」
イングレッタが銃で白刃をはじく。「あなたはここにいてはいけない存在。
ましてや、生身の人間に手出しなどっ!」
スカートから日本刀を出したルウォーダは儚く笑う。
「そう。私はウォーダン・ユミルとククルの怨念から生まれた存在。いうなれば怨霊」
「ちょっとまてなんでその怨霊が俺に仇なすんだ!」
ゼフィアの当然の疑問は、ルウォーダの残酷な答えを与えられた。
「それは」
どこからか飛んできた季節外れの桜の花びらよけながら絶世の美少女は言う。
「あなたがゾンボルト家最弱の存在だから」
172:それも名無しだ
09/10/09 01:37:37 nrHbFWgZ
「うるさい黙れそして聞け俺は確かにそうかもしれんが周りが…
って母さんに負けるほどじゃないぞ俺は!」
「先輩、わりと情けないです、その主張」
ゼラドの突っ込みにゼフィアは頭を下げた。
「まあ確かに母さんに喧嘩売られるよりましだが。
そういうことならこのゼフィア・ゾンボルト、容赦はせん!
正々堂々かかってくるがいい!」
「正気なのあなた?凡人の身で怨霊に対抗するなんて、無理もいいところよ!」
「一々凡人凡人いうな!こい、ルウォーダ!」
少女は笑う。
セーラー服の胸元に、白い指かけてずらせば、それより白いブラジャーが見える。
ゼフィアは盛大に鼻血を吹いてぶったおれた。
「ね?あなたでは、私に勝てないの。
だから……」
一々桜が舞う。
「私と、一緒に逝きましょう」
「駄目だ駄目だ駄目だぁあああ!そんな堅物筋肉男と一緒だなんて!」
いつの間にかきていたミナトがほえた。冷静に突込みがはいる。
「落ち着けカノウ。あれは怨霊だぞ。
行き先はたぶんあの世だ」
「あんな美女なら地獄におちてもかまわないっっっ!」
ハザリア・カイツですらあきれるということはある。今がその時だった。
「く……正々堂々というのに卑怯な手を!」
「だって、私、どうしても」
またしても舞う桜。スタッフの皆様ご苦労さまです。
「あなたと死にたいのだもの」
漫画でいえば見開きレベルで迫るルウォーダ。
その時、明るい声がした。
「あ、こんなところにいたんですかー!
遅いから迎えにきちゃいましたよー!」
世界、いやおそらく、多重次元最強の対悪霊兵器。
メイドの姿をしたディストラは明るく笑った。
「あ、おねえちゃん。今ね、ちょっと……」
ルウォーダの姿は、どこにもなかった。
「…どうかしたんですか?いまここに悪霊がいたんでお掃除しといたんですけど」
にっこり笑うメイドディストラ。
「……うん、えーと、こんなときどうすればいいのかな」
「笑えばいいんですよ」
「……」
かくて、怨念から生まれた存在、ルウォーダ・ユミルは葬られた。
しかし親がうらみを買ってる相手はムラタとかアードラーとか一杯いる。
ゼフィア・ゾンボルトの災難は、収まりそうにもなかった。
173:それも名無しだ
09/10/09 03:08:03 1VAhK0/g
重震のマグナス「そういやお前の親父よ、せっかく斬艦刀破って、ぶっちめようと思ったのに、
なんかテキトーな剣でビシビシ打ってきてよ。
正直、ちょっと傷ついたんだぜ、あのとき」
ゼフィア「そんなことを俺にいわれても」
重震のマグナス「ま、昔の話さ。チョコバナナパフェでも食おうぜ」
ゼフィア「重震のマグナス氏、甘いものは控えた方が」
174:それも名無しだ
09/10/09 07:29:16 VCbhgiE4
ガーディアンズ・ソードが数打ち物扱いされとるwww
175:それも名無しだ
09/10/09 17:53:03 +ckAxNcJ
レモン「ゼフィアって金的対策で色んな所を鍛えてるらしいわよ」
ミスティリカ「つまりアレまでムキムキでビキビキだと?」
レモン「きっとアレだけじゃなくあんなモノまでガチガチよ」
ゼフィア「貴様ら何の話をしている?」
レモン「主に股間をガードするフトモモと打たれても耐えられる精神力よ」
ゼフィア「そうか、ならかまわん」
ミスティリカ「なん・・・ですって・・・!!?」
176:それも名無しだ
09/10/09 18:04:44 v7bHE1Sl
なるほど
先輩はナニをアレされても
『やりやがった!許さんッ!!』と思って倒れるタイプなわけか
177:それも名無しだ
09/10/09 19:11:11 P9BDFmwK
先輩は骨掛けは使えるんだろうか
178:それも名無しだ
09/10/10 01:05:54 AiWi4FA0
>>161
エーデル「なんという淫猥な・・・」
シュラン「うむ、こいつは変態だ!」
レーベン「やっぱり女って生き物は屑だな!!」
ツィーネ「く、首筋がゾクゾクしないね!」
ジエー「うひょっ!!なんたるMの深遠」
カイメラ一同「こういう奴をキチガイというんだな!」
179:それも名無しだ
09/10/12 04:00:28 sBA0/QX3
◆
ドイツ中部の風は、もう冷たかった。
寂しい光景だった。泥を固めたような灰色の地面の上に、やはり灰色をした空が広がっ
ている。草の類はほとんど生えておらず、遠くに痩せた木々がぽつぽつと見えるだけだ。
まさに寒村という言葉がふさわしい。
「ハザリア・カイツ?」
後ろからの声に、ゆっくりと振り返る。脚はがに股に、背中は猫背に丸め、首をもたげる
ような姿勢で、広い肩幅を揺すりながらアゴを軽くしゃくる。指先だけは、どう動かせば
いいのかわからなかった。
「俺を呼んだのか」
「え、へえ」
後ろにいたのは、いかにも田舎の農夫然とした中年男性だった。
「そうか。俺はハザリア・カイツというのか」
「なにをおっしゃっておられるので?」
「どうも、記憶がハッキリせぬ。そうか、俺はハザリア・カイツか」
「あのぅ、今までどちらに?」
「それもわからぬ。気が付けば、ここに立っておった」
「あなた様は、お連れ様と一緒に私共の村を訪れたのでございます。
先週の金曜から姿が見えないと、騒ぎになっていたのですよ」
「連れだと」
「お身内の方だと聞いております」
「俺は旅行者か」
「いえ、2年か3年に一度、おいでになります。
この度は、久しぶりのご滞在でした」
「なるほど」
「さあさ、小屋に戻りましょう。皆様ご心配されております」
「それで、お前は何者だ」
「え、へえ。普段小屋を預からせていただいております、妖機械獣ドラゴΩ1と申します」
「なるほど、連れて行け」
それきりなにも喋らず、手をポケットの中に突っ込む。
妖機械獣ドラゴΩ1と名乗った男は、少し怪訝そうな顔をしながら先に立って歩き始める。
180:それも名無しだ
09/10/12 04:01:29 sBA0/QX3
◆
ログハウスと呼ぶには少々小振りな小屋だった。後ろには、ろくに葉を茂らせていない
カシノキの森がある。
ドアを開くと、パチパチと薪の爆ぜる音がした。早くも暖炉に火を入れているらしい。
「あら兄上、生きておられたのですか」
灰色がかった髪を頭の両側で縛って垂らした少女が出迎える。こちらよりも頭ひとつ半
以上背が低く、細い身体に長袖のシャツとプリーツスカートを着ている。
「お前は俺の妹か」
「なにをおっしゃっておいでです?」
「ハザリア様は、ご記憶に混乱がおありのようなんです」
ドラゴΩ1の説明に、灰色の髪をした少女はクスリと微笑んだ。
「あら、それはご愁傷様。お初にお目にかかります、わたくし、あなたの妹のルルですわ」
「迷惑な話だ」
「本来なら、昨日にはOG町に戻っていたはずなのですよ」
奥のドアが開いて、ひと組の男女が現れた。夕餉の匂いがリビングに漂う。どうやら、
奥のキッチンで食事の支度をしていたらしい。
1人は小柄な少女だった。といっても、ルルよりもわずかに背が高い。そして、ルルの
灰色に比べると光沢を帯びた銀髪の持ち主だった。ゆるくウェーブのかかった髪を、頭の
後ろで複雑に結い上げている。体格に比べてふくよかな胸が目を惹いた。
もう1人は長身の青年だった。よく鍛えられた、しなやかな体格をしている。青みが
かった髪は清潔にまとめられていた。銀髪の少女の半歩後ろで片手を胸に添えてぴしりと
姿勢良く立つ様は執事かなにかのように見える。
「これ、妹よ」
「まあ、なんでしょう兄上」
「あの夫婦も、俺の親類か」
「まあ、兄上、恐れ多いこと!」
ルルが口に手を当てて笑い始める。
「あれなるは我らが祖国バルマーの国家元首、
アルマナ・ティクヴァー女王陛下のご息女、ルナ・ティクヴァー様。
従いますはバルシェム同士の間に生まれた息子、キャクトラ・マクレディですわ」
「身内ではないのか」
「まあ、身内といったら身内のようなものではないんですの?」
「夫婦ではないのか」
「それは、わたくしの口からはちょっと」
「なにをくだらない話をしておる!」
「さ、ささっ、ハザリア様、こちらに座って食事にしてください。冷えたでしょう」
ルナ・ティクヴァーはむくれてぷいと後ろを向き、キャクトラ・マクレディはなぜか
いそいそとした様子で椅子を引く。
「親類というより、オカンだな、この男は」
「お主が手間をかけさせるからだ!」
ルナ・ティクヴァーがその生まれに似合わない怒鳴り声を出した。
181:それも名無しだ
09/10/12 04:02:34 sBA0/QX3
◆
ジャガイモとソーセージで構成された典型的なドイツ料理を平らげていると、またドアが
開いて誰か入ってきた。えんじ色のワンピースを着て、長い髪をソバージュにした少女だった。
「ハザリア様が帰って来たんですって?」
「妹よ、あれも俺の親戚か」
「まあ兄上。そう、誰でも彼でも親戚にするものではございません」
「あたしを覚えてないの?」
「記憶に混乱があるそうなんですの」
「まあ残念」
ビューナス・メデューサと自己紹介して、少女はスカートの端をつまんでちょこんと
お辞儀をした。どうやら、地元の娘らしい。
「それでハザリア様、碑文の謎は解けたのかい?」
「なんだそれは」
「あら兄上、そんなことも忘れてしまったんですの?」
「そこの暖炉の上にある碑文のことだ。お主が妙に興味を示していた」
ルナが示す方向を見ると、確かに文字盤のようなものが暖炉の上に置かれていた。書か
れているのは、ドイツ語でもなければ英語でもない。ましてや日本語でもないが、なぜか
読むことが出来る。
懐かしき ブロッケン山を 目指す者よ
いかに従い 魔女を求めよ
月曜日の試験 森の番人を逆さまに吊せ
火曜日の試験 紙の花を匂い立たせろ
水曜日の試験 2頭の馬を走らせてはならない
木曜日の試験 ボーリングでひとを丸める
金曜日の試験 魔法を使ってはならない
土曜日の試験 紛い物の前で証を立てよ
アブラクサスがなく頃に 小さな魔女は踊り始める
「あら、やっぱり読めるんですのね」
ルルはさして驚いているふうではない。
「なんだ、魔女を求めるというのは」
「この村に眠る魔女、トーラー様のことさ」
ビューナスが誇らしげに胸を反らせた。
トーラーという単語に、ざわりと胸が騒ぐ。
文字盤に書かれていたのはヘブライ語だった。トーラーとは、ヘブライ語でモーセ五書
を指す。遠い宇宙の果ての異星に比べれば、ドイツの片田舎にあってもおかしな言葉ではない。
182:それも名無しだ
09/10/12 04:03:28 sBA0/QX3
「興味深い話だ」
声が震えないように注意する。
「なにも面白いことではない。惑星ラクスにあったプロトカルチャーの遺跡とおなじだ。
かつて、この村に我らが母星のものと思われる品物があったというだけだ」
ルナが退屈そうに説明する。
「それは、どこにある」
「とうの昔に回収して、いまは母星の宝物殿の中だ。
地球連邦軍にはドイツ出身者が多いし、なにしろ名前がずばり『トーラー』だからな」
「では、なぜいまだにこの村を訪れる」
「そんなことも覚えていないのか。お母さまがこの村を気に入っておられるのだ。
だから今回も、お母さまとお父様、キャクトラのご両親と共に訪れたのだろう」
「陛下とクォヴレー殿、それから私の両親はもう帰国しましたが」
「最高権力者は女王ではなかったのか。夫はなにをしておる」
「不愉快なことを訊くな!」
「わたくし共の両親は最初からいらしていませんわ。昔、何度も来ていますもの」
「お主も小さいころ、よく連れてこられただろう」
「覚えておらぬ」
「私は初めて来るのですが」
「ああ、最後に来たのは、わたしたちが10歳ごろのことか。
あのころ、キャクトラはまだ我々に仕えていなかったからな」
ルナの言葉に、キャクトラはどこか寂しそうな顔を見せる。
「ええ、名産品といえば薪くらいしかないこの村に、バルマーご一行様は貴重な観光客さ」
ビューナスがやや訛ったドイツ語で語る。
「でも、それだけさ。もうこの村に特別な品物はない。品物はね」
つかつかと近づいてきて、ビューナスはにたりと笑った。機械獣に取り憑かれた光子力
の女神を思わせる、妖気漂う笑顔だった。
「ハザリア様、あんたはすぐに帰った方がいい」
「なにをいう」
「魔女トーラー様は、眠りを妨げられることがお嫌いさ。
次は記憶喪失じゃ済まないよ」
「魔女が実在するとでもいいたいのか」
きひひ、とビューナスは異様な声を漏らす。
「"い"るよ。魔女トーラー様は、間違いなくこの村で眠ってる」
「面白いではないか」
ルルの皿からソーセージをひとつつまみ、階段を昇っていこうとする。
「まあ兄上!」
「妹は、兄が舐められて平気なのか」
「では」
ざっ、と室内にいた者がいっせいに顔を上げる。ルルが、ルナが、キャクトラが、
ビューナスが、瞬きもせずにじっと目線を注いでくる。各々の表情はひどくわかりにくい。
心配しているようにも見えるし、敵意か憎悪か、それとも単に迷惑がっているだけなのか、
そのすべてに感じられる。
183:それも名無しだ
09/10/12 04:04:45 sBA0/QX3
ハザリア・カイツは金曜日に失踪した。自発的に行方を眩ませたのか、でなければ何者
かに消されたかだ。その何者かとは、誰なのか。動機はなんだ。手段はなんだ。現場は
どこだ。具体的な時間はいつだ。
階段を半ばまで上がって、リビングを見下ろす。ここにいる身内たちの誰かが、ハザリア・
カイツを失踪させたのかもしれない。
もしくは、ハザリア・カイツは魔女の怒りに触れ、魔女の罰を受けたのかもしれない。
すきま風が吹き込む。薄っぺらな天井越しに、カラスがギャアギャアと鳴く声が聞こえた。
魔女は存在するのか、しないのか。
◆
朝の空気は一際冷たい。寒々しい森の中にいるとなおさらだ。
「あら、やはりここに」
小さな足音とともに、ルル・カイツが現れる。
「兄上の探検好きは昔からですもの。
止められるものでないことくらい、ルルはよぉく存じておりますわ。
さぁさ、ずずいと奥に向かって、謎をお解きなさいませ」
ルルがおどけたふうに片腕を腰の前に当て、軽く頭を下げる。キャクトラの真似をして
いるふうにも見えた。
ごつごつした地面の上に、一ヶ所細長く盛り上がったところがある。
小石をひとつ拾い、前方に向かって投げる。
ばちんと音がして、2メートル近い竹竿が地面から起き上がった、先端には網のような
ものがぶら下がっている。
「チッ」
ルルは舌打ちを隠そうともしなかった。
「やはり、お前か」
「やっぱり、兄上は引っかかってくださらないんですのね」
すたすたと歩いていって、ルルはローファーのつま先で竹竿を蹴飛ばした。
「ねえ、兄上、覚えておいでですの?」
「覚えておらぬ」
「そうでしょうね。兄上はそういう方ですから」
ため息をついて、ルルがこちらを見上げる。
「わたくし、幼いころは病弱だったでしょう」
「そうだったか」
「そうですわ。外を好き勝手にほっつき歩いている兄上と違って、わたくしはいつもベッドの中。
だからわたくしは、幼くして厭世観に取り憑かれておりました。
なんてつまらない人生でしょう、さっさと終わればいいのにと。
そうしたら兄上がおっしゃったんじゃないですの。
退屈しのぎに自分の命を狙ってみろと」
184:それも名無しだ
09/10/12 04:05:45 sBA0/QX3
「狙ったのか」
「狙いましたわ。けっこう本気で。そのための手段も学びました。
しかし兄上はいまも生きておられます。
つまりわたくしは、10年以上も失敗し続けたということでしょう」
「いまは病弱には見えぬな」
「病気のことなど、いつの間にか忘れておりました」
「病魔の方がお前に愛想を尽かしたのだろう」
ルルが通ったあとを伝って、竹竿に辿り着く。見渡す限り、ここにはカシノキしか生
えていない。竹竿は、ルルがわざわざよそから取り寄せたのだろう。ご苦労なことだ。
「妹よ」
ルルの肩に手を載せて、少しだけ力を加える。
「兄上?」
「動くな」
手の中の小石を、また前方に向かって投げた。
空気を切る音が無数に起こる。地面から籠のようなものが飛び出したかと思うと、
四方から木の枝を削って作ったような矢が放たれた。あっというまに籠がハリネズミになる。
「これは、わたくしではありませんわ」
ルルの顔は青ざめていた。
「『月曜日の試験 森の番人を逆さまに吊せ』、これのことか」
「まさか、誰かが本当に兄上を」
「お前は、魔女が実在すると思うか?」
ルルはきょとんとして、それからあっさりと頷いた。
「いるんじゃないんですの?
バルマー戦役以前に念動力者の類がいれば、魔女か悪魔と呼ばれていても不思議はありませんわ」
「念動力者といっても、あれはT-LINKの類がなければ少しカンのいい人間止まりだ。
そんなものが魔女と呼べるだろうか」
「では兄上は、本当に魔法を使う魔女がいたと?」
「魔法はともかく、根性の曲がった人間はいただろう」
「あら、そうですわ。ほら、地底世界に錬金術や魔法使いがいるという話なら」
「それこそありえない」
踵を返し、ログハウスに戻る。
◆
ログハウスに入ると花の香りがした。
見ると、テーブルの上に花瓶が置かれ、そこに花が生けられている。ユリ科の植物の
ようだった。いや、本物ではなかった。紙の質感を持っている。造花か。
『火曜日の試験 紙の花を匂い立たせる』。碑文の一節が頭の中によみがえる。
「おい、これを飾り付けたのは誰だ」
「え、さあ。そういう典雅なことをなさるのは、姫様ではないでしょうか」
なにか大きな荷物を抱えたキャクトラがにこやかに応える。