09/09/08 02:03:21 Whi9AKaF
その年の4月には『霧島小夜美』を殺害した。催淫剤と偽って彼女に睡眠薬を飲ませた智也は、鉛管で撲殺し、パン切りナイフで喉を切り裂き、挙げ句に屍姦を試みた。
うまく行かなかったようだが、恰も「屍姦がしたかったから殺した」かのようだ。いったい何を考えているのやら。常人の理解の枠を越えている。
その後、酔った勢いで小夜美殺しを自慢した智也は、『宇和島真紅』という前科者のじいさんに弱みを握られ、強盗の片棒を担がされることになる。
5月末には体育教師の『城ヶ崎龍次』を、8月には担任の『伊東政三』を鉛管で撲殺。しかし、宇和島じいさんの愛人の『サガミ食品女社長』殺しは失敗に終わり、彼女の通報により遂にお縄となるのだった。
かくして稀代の空想家にして殺人鬼、三上智也は、少なくとも20年は釈放してはならない旨の勧告付きで、終身刑を宣告された。
空想する時間がたっぷり与えられたというわけだ。一方、共犯者の宇和島真紅には7年の懲役刑が下された。
127:伊波健傳
09/09/08 02:05:43 Whi9AKaF
槇島昭武著『関東古戦録』には、大金持ちのボンボンによるこんな身勝手な殺人事件が紹介されている。
20**年10月20日、藤川の劇団『バスケット』女優をしていた飛世巴(18)が行方不明になった。同僚によれば、前日の深夜1時頃、稽古を終えた彼女が大型セダンに乗り込むのを見たのが最後だという。
ほどなくして、砂漠の道路脇にナンバープレートを外されたキャデラックのセダンが乗り捨てられているのが発見された。ドアには衝突痕が、助手席には血痕がある。事件に巻き込まれた可能性が高い。
調査の結果、このキャデラックはレンタカーで、借り主の名は伊波健。新婚の妻と共に藤川に投宿し、巴が行方不明になったその日にチェックアウトしている。しかも、その日に夫妻は再びキャデラックを借りていた。
足取りを洗うと、夫妻は藤川に来る前に足柄地区の牧場に2週間ほど滞在していることが判明した。どうやらこの牧場を買い取る交渉をしていたようだ。
その目的が不謹慎で、ここを『スワッピング・マニアの隠れ社交場』にして、東京の金持ち連中を呼び寄せて商売することを考えていたらしい。伊波はオーナーに「今は手持ちの資金はないが、近い将来に都合がつく」と説明している。
彼は足柄滞在中に拳銃も購入している。
128:伊波健傳
09/09/08 02:06:59 Whi9AKaF
1ケ月後、伊波の足取りがようやく掴めた。取り調べに応じた彼は飛世巴の殺害を認めた。その動機はトンデモないものだった。
彼は牧場の買収資金の捻出に苦慮していた。堅物の父親がスワッピング・クラブ建設の金を出してくれる筈がない。そこで、熱海にいる叔父さんに眼をつけた。
叔父さんが死ねば僕にもかなりの遺産が入る筈だ。よし。もうこれしかない。叔父さんを殺そう。でも、僕に人が殺せるかなあ。不安だなあ。
自信が持てなかった彼は、まず予行演習のために人を殺してみることにした。
飛世巴と親しくなった彼は、仕事が終わったら夜の藤川の観光案内をしてくれないかと彼女を誘った。普段はそんな話には乗らないが、男の妻も同席していたので誘いに乗った。
1時間ほど観光して、妻を部屋に戻し、伊波は一人で巴を家まで送った。その途中でズドン。20キロ離れた砂漠に遺体を遺棄し、衣服を剥ぎ取り、性犯罪に見せかけた。
どうしようもない男である。法廷では、自白は権利の通告がなかったから証拠には出来ないだの、責任無能力だのとさんざん足掻いた挙句、終身刑に処された。
129:河合・小津傳
09/09/08 02:10:06 Whi9AKaF
極めて興味深い事件であるが、手元の資料が少ない。ネットで検索してみたが、掲載しているサイトはほとんどない。
やっと見つけても、手元の資料と同じ内容だったりするので埒が明かない。どうも、この事件については「触れてはいけないこと」になっているような気がする。それほどに特殊な事件ではある。
千羽谷のボンクラ大学生『河合春人』と『小津修二』の二人が逮捕されたのは20xx年3月3日のことである。神奈川西部の藤川近郊のディスコで、ピエロ姿でガソリンを撒いているところを逮捕されたのである。
なにすんねんっちゅう話だ。火をつけられたらエライこっちゃ。その時、この店では400人もの若い衆が踊り惚けていたのである。
やがて警察は、河合の部屋でテロ組織「洗心党」の犯行声明文を発見した。かくして、神奈川西部を震撼させていた連続テロ犯「洗心党」のメンバーが彼らであることが判明した。
130:河合・小津傳
09/09/08 02:12:13 Whi9AKaF
テロ組織「洗心党」による最初の犯行は20**年8月に遡る。自動車に火を放ち、車内にいたジャンキーを焼き殺したのである。
次に、藤川のパチンコ店の従業員が刺殺された。
続いて、千羽谷のウェイターが刺殺された。彼はゲイだった。34箇所もの刺し傷があった。めった刺しだ。
澄空では風俗嬢が斧で殺され、二人の坊主がハンマーで頭蓋を砕かれた。
そして、桜峰では路上で眠っていたヒッチハイカーが焼き殺された。
林鐘寺の坊主殺しは最も残虐である。彼はゲイだった。額には釘が打ち込まれ、経典が吊るされていた。
小田原ではポルノ映画館に放火した。5人のドすけべえが焼け死んだ。
一方、茅ヶ崎でもディスコが放火され、1人が死亡、40人が重傷を負った。これも「洗心党」の仕業と見られている。
131:河合・小津傳
09/09/08 02:14:55 Whi9AKaF
以上から判る通り、「洗心党」の被害者はジャンキーにゲイ、風俗嬢、ドすけべえ、パチンコ店従業員と臑に疵持つ者ばかり。
つまり「洗心党」にとっては、一連の犯行は「処刑」だったのである。現場には常に犯行声明の「檄文」が残されていた。「洗心党」の署名に始まり、大塩のシンボルである六分儀のマークと血判。
「我々は大塩中斎先生最後の門弟である」
「先生の教えを裏切り、良知を破壊する者に死を」
と、えらい幼稚なことが書かれてありましたとさ。
何が悲しゅうて大塩平八郎の残党がオカマを殺して回らなアカンねん。
20**年12月から翌年1月まで続けられた公判の結果、河合と小津の二人は27件の殺人容疑のうち10件について有罪を宣告され、懲役30年の刑を云い渡された。
死刑を免れたのは、ま、ぶっちゃけた話が、何らかのキチガイであろうことが認められたからである。
さて、ここからが問題である。
この二人が今どうしているかというと.....。
なんと娑婆にいるんです。
この二人、お父上がお金持ちの、上流階級に属する方々なのです。おぼっちゃまなのです。「開放拘禁」という優遇措置を得て、「定期的な出頭」以外はほとんどフリー。
この事件が今日、ほとんど語られることがないのは、どうもこのあたりに原因があるように思える。
なお、事実上「お咎めなし」のこのおぼっちゃまがたは、
「警察のスケープゴートにされた」
と吹聴して回っているそうだが、彼らが逮捕されてからは「洗心党」の事件は一度も起きていない。
132:名無しくん、、、好きです。。。
09/09/08 02:17:32 cQXnpdwB
しつこいよ、視聴率悪いから打ち切り。
次回作にご期待ください。