08/11/16 18:53:19 i4/Dym8t
現在移転についての議論が持ち上がっています。
本レス番号900(この場合、レス900を越えたら次のスレを立てる)、もしくは次のスレ(33)が立った瞬間からこのスレにおいて移転するか否かの多数決を取りたいと思います。
また、この多数決に参加できそうに無い方はこのスレのどこでも良いので、賛成か反対かをレスして下さい。
(例)
支援、移転に賛成。
--------テンプレは以上です--------
6:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 18:54:46 MGISEWIG
>>1
乙、ありがとうございます!
7:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 19:19:50 NvRkKGiP
1乙です。
8:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 19:27:43 lyKME22M
1乙っす
9:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 19:42:10 amHSoVE5
>>1乙!
10:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:49:02 PAVTxe14
1乙です。
では早速、前回の続きを投下させていただきます。
11:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:49:58 PAVTxe14
○シーン9『気持ちの問題』Bパート。
スザク達が中華連邦に旅立ってから一週間。
行政特区失敗についての後処理も山場を越えたと言って良かったが、相変わらずの忙しさではあった。
そんな中、ロイの元にある書類が持ち込まれた。
『黒の騎士団工作員捜索掃討作戦』
「……」
ロイは提出された書類をいつも通り短時間で速読した。そして、前に並んで微動だにせず、気をつけをしている男達に視線を向けた。
「君達の言いたい事は分かった」
執務机を挟んで立っていたのは全員、ロイより年上だった。
クラウディオ、デヴィッド、エドガー。三人ともダールトンの姓を持つ、グラストンナイツのメンバーだった。そして、今回の書類、いや、作戦を提案してきたのも彼らだった。
「この件について、ギルフォード卿は何と?」
ロイは行政特区では意見の相違から多少激しい口論をしたが、それでも信頼を置いている騎士の名前を出した。“説得”なら、彼らグラストンナイツを取りまとめており、ナナリー総督の方針にある程度の理解がある、そちらから攻めた方が早いと思ったのだ。
「ギルフォード卿は療養中です」
デヴィッドの答えに、ロイは表には出さなかったが胸中で嘆息した。
「そうですか……」
どうやらロイは早くない方の選択肢を取らなければいけないようだった。
「黒の騎士団のほとんどは中華連邦に亡命してしまいましたが、必ずまだ協力者が残っているはずです。そいつらを捕らえなければいけません」
と、エドガーが言葉と共に一歩前に出る。隣のデヴィッドもそれに習った。
「ぜひ、大規模なテロリスト捜索作戦の許可を」
「……」
クラウディオも無言で一歩前に出た。
机越しとはいえ、上背のある三人の騎士に詰め寄られて、ロイは軽い圧迫感を感じた。
(やれやれ……)
ロイは内心でため息をついた。そして三人の騎士の説得法を考える時間をとるために、再び報告書に目を落とした。
報告書の内容は検問設置を前提とした交通の封鎖はもちろん、情報、生活のあらゆるものに規制をかけ、それで潜伏している黒の騎士団工作員をあぶりだそうと言うものである。
(どうしたものかな、これは……)
このエリアから三人のラウンズが去った今、ロイはエリア11における軍の司令官的立場にあった。
12:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:53:28 PAVTxe14
総督であるナナリーからも、ある程度の裁量権を与えられており、ロイはやろうと思えば総督を通さず、軍主導の政治犯(黒の騎士団)の取締りを行う事ができる。
だが、もちろんロイはそんな事をするつもりは無かった。なぜなら、それをナナリーが望んでないからである。
「政治犯捜索は警察に任せればいい。軍人が会議と戦場以外にしゃしゃり出て、良い結果を生む事などそうは無いよ」
ロイの言葉に、血気盛んな青年たちはすぐに反応した。
「それでは、黒の騎士団の工作員をみすみす捨てておくとおっしゃるのですか!」
エドガーが更に迫ってきて、テーブルに手を置いた。
ロイは首を動かし、見上げる角度を調節した。
「だから、それは警察に任せればいい。それより、今度ナナリー総督が行う、イレブンの幼稚園訪問だけど、その時の護衛を君たちに―」
「話を逸らさないでいただきたい」
ロイの話題の切り替えは、赤毛の青年デヴィッドに遮られてしまった。彼は、口調は穏やかながらも、威圧的な視線をロイに浴びせた。
「ナイトオブゼロ様は、エリア11に黒の騎士団を存在させていても何とも思わないのですか?」
正直な所、ロイは極少数の黒の騎士団の工作員がこのエリア11にいる事について、その危機性を感じていない。なので、本心を言えばロイはデヴィットの言うように、その件については何とも思っていない。だが、とりあえず、口ではこう言うことにした。
「思うさ、もちろん不愉快だよ」
「なら」
「でも、軍主導で政治犯の取り締まりなどやったら、嫌でも市民の目に付き、不安を煽る……いや、それが不要とは言わないよ。でも現在の急務ではない。今は、混乱した民心を安定させる事が重要とされる時期ではないかな」
ロイは、ゴホンと咳をして間を置いた。
「そのために、ナナリー総督は以前にもましてマスコミに顔を出し、地域にも積極的に訪問し、民の慰撫に努めておられる。しかし、この作戦はそのナナリー総督の行動を無にしかねない危険なものだ。それを理解しているのか、君たちは?」
すると、エドガーが更に机の上に身を乗り出してきた。
「不穏分子を掃討する事こそ、民心を安心させる事に繋がります!」
13:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:55:31 PAVTxe14
ここで、ロイは初めて瞳に哀しみの色を乗せた。同じブリタニアの仲間ではあっても、彼らと、ナナリー総督の思想は大きく食い違っているのだというのを思い知らされた気がした。
「……君のその民心の中には、イレブンの人達が入っていないね」
「当たり前では無いですか! 我々は戦争の勝利者なのですよ!」
ロイは部下を、多少冷ややかに、そして悲しげに見つめた。
「ナナリー総督はそれを無くそうとしておられる。それが分からない君たちではないだろう?」
「平等と言っても、それはブリタニアとブリタニア人に利益がある上での平等であるべきです」
と、デヴィッドもエドガーに同意した。
「それに、今は緊急時です。どちらが優先されるべきかは、ナイトオブラウンズであるキャンベル卿にはご理解いただけるかと思いますが」
緊急時に無効とされる平等の何が平等なのか、ロイには分からなかった。
ロイは、分厚いレンズ越しの視線を三人に巡らせた。そして、諭すように言った。
「今、残念ながら民の心は、あのようなエンターテインメントを巻き起こしたゼロによって混乱している。そんな中、大規模な軍事行動を起こし、規制をかける事は無意味に民の不安や反発を巻き起こす可能性が高い」
一から十まで説明しなければいけない事に、ロイは軽く辟易した。
「それよりも、今は、イレブンを含めた民にこの地に残って正解だったと思わせる事が先決ではないのかな? 君たちだって、イレブンを含めた国民に反乱や不信の種を植え付けたいわけでもないだろう」
ロイは、あえて“イレブンを含めた民”の部分を強調した。これは、そもそもナナリー総督の治めるエリア11では大前提なのだ。
「物事には機会、そして順序というものがある。今はエリア11ではもはや大した力を持たない黒の騎士団に集中するより、国全体に目を向けるべきだ」
「それが消極的過ぎると言っているのです!」
「よせ」
興奮して銀髪の上官に詰め寄ろうエドガーを、クラウディオは手で制した。次いで、彼はその瞳で上官を見据えた。
「ではキャンベル卿。ならばせめて、その国全体に目を向けるという点を踏まえて、あなたが考える今後の私たちの指針と、予定をお聞かせ願いますか」
ロイは納得して頷き、淡々と三人に告げた。
14:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:57:31 PAVTxe14
「ナナリー総督のイレブンを含めた民心の慰撫、そのお手伝いだ。だから軍の仕事は今までと同じ、総督の護衛が中心になるね。それに、はっきり言っておくけど、僕は軍を総督の命令無しに動かすつもりはない」
ロイの言葉に、三人は明らかに落胆したようだった。
「あなたのやり方は、ブリタニアのやり方ではない! あなたは一体、何のためのラウンズで、裁量権を与えられた司令官で、軍人なのか!?」
エドガーが激しく机を叩いた。振動が走り、机上の小物が軽く飛んだ。
「……」
ロイは、その上司に対して棘のありすぎる言葉を黙って受け取った。その棘がナナリーではなく自分に向いている内は黙って受け取る事に決めていたからである。
その方がいいのである。ナナリーは今、軍人・文官の両方からその不満が集中しつつある身、ならばせめて軍人の不満ぐらい自分の下で留めるのも、ロイは自分の仕事だと思っていた。
それに、実力で上り詰めたスザクならともかく、単に気に入られた、という理由だけでラウンズになった自分の事に対しては色々思う所もあるだろう。言葉が少々陰湿なものになるのも無理は無いと思われた。
しかし、ロイのその沈黙は目の前の三人の眉間に溝を作らせるのには充分だった。
「なんとかおっしゃったらどうか!」
「いい加減にしろよお前達」
怒声に近い声が部屋に響き、青年士官三人と、その上司の少年は軽く肩を震わせた。
それ言ったのは堪忍袋の緒が切れたロイではなかった。ロイは至って冷静だった。
言ったのは、部屋に入ってきた一人の男だった。
長身で、金髪の髪。瞳は青く、ジノのような生粋のブリタニア人を思わせる青年だった。着ているのは黒い軍服でそれはグラストンナイツが好んで着用するものだった。
「アルフレッド!」
「久しぶりだなクラウディオ。それに、二人も」
アルフレッドと呼ばれた男は、金髪を手でかき上げ、兄弟達に一瞬微笑んで見せた。
「お前、もう怪我はいいのか?」
「いつまでも寝てはいられないだろエドガー。それより……」
と、アルフレッドは少々目を鋭くして兄弟を見渡した。
「お前達はどういうつもりだ?」
強い口調で兄弟に尋ねられた三人は、驚いて顔を見合わせた。
「どう、とはどういう事だ?」
15:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 19:59:33 PAVTxe14
「先ほどの問答の事だ。お前らも、軍人ならば、ナイトオブゼロ様のご指示に従え。ナナリー総督のご意志に照らし合わせてもこの方のおっしゃる事は的確だ」
話に出されたロイは、事の成り行きをキョトンとして見ていた。そんな上官を一瞥して、エドガーはアルフレッドに向き直った。
「アルフレッド……しかし」
「外見や評判だけで本質を見落とすな。父上がお嘆きになられるぞ」
「……」
三人はまた黙って顔を見合わせた。彼らにとって父の名は充分鎮静剤になり得たらしく、いつの間にか、その表情から先ほどまでの激情にも似た反発心は消えていた。
「……分かったよ」
やがて、クラウディオが敬礼をして踵を返した。他の二人もしぶしぶ無言でそれにならい、部屋から出て行った。
部屋にはそれを見送ったロイとアルフレッドが残された。
ロイは安堵に近い息を吐いた後、笑顔を作って立ち上がった。
「アルフレッド卿。助かったよ」
ロイは机を回り、アルフレッドの前に立った。
「それにしても久しぶりだね。君が助太刀にきてくれた、東ロシア戦線以来かな?」
すると、突然、彼はロイの前で跪いた。
「アルフレッド卿?」
ロイが驚いて尋ねると、アルフレッドは深々と頭を下げた。
「申し訳ありませんキャンベル卿。兄弟として恥ずかしい限りです。今後このような事は二度と無いように良く言い聞かせますので、どうかご容赦をいただけないでしょうか」
ロイは意外そうな顔をして、首を振った。そして、自分も膝を折り、金髪の若者の肩に手を置いた。
「何を言っているんだ。僕は彼らを罰したりなどはしない。僕にとって、意見の相違は歓迎すべき事だからね」
「真に恐ろしいのは集団の中に同じ認識を持った者しかいない事、ですか。相変わらずですねキャンベル卿」
アルフレッドは軽く笑って、立ち上がった。しかし、彼の顔がロイの上になると、その表情はいつの間にか真剣なものに戻っていた。
「しかし、上官であるあなたに対して暴言を吐いたのも事実、謝罪はさせていただくのは当然の事です。本当に申し訳ありませんでした」
「あっ、いや。それはスザクと違って、仕方がない所もあるだろうから」
ロイはハハっと乾いた笑い声を上げながら立ち上がった。
それを見て、アルフレッドは少し悲しげな表情を浮かべた。
16:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:01:31 PAVTxe14
「キャンベル卿。あの……あまり気になさらないで下さい」
「へっ」
「あなたは、ラウンズとしての実力を十二分にお持ちです。それは、一度でもあなたの指揮下に入った事のある騎士なら、誰でも分かる事です。ただ、その実力が枢木卿と違い、周りに認知されていないだけです」
「アルフレッド卿……」
「ご自身を卑下するのはお止め下さい」
言われて、ロイは照れくさくなって、頬をポリポリと掻いた。
「……ありがとう。君の言葉は深く心に刻んでおこう」
「はい、そうして下さい。それにしても、改めてお久しぶりですキャンベル卿。また会えて嬉しく思います」
「ああ、僕もだよ」
ロイはスッと手を差し出した。アルフレッドは迷い無くその手に自分の手を重ねた。
「東ロシア戦線では大変お世話になりました。あなたがいなければ、私は今頃東ロシアの土の下か、この間の黒の騎士団政治犯強奪事件の時に死んでいたでしょう」
「じゃあ、もしかして書き換えたプログラムは役にたったのかい?」
プログラムとは、東ロシア戦線の折、アルフレッドがロイの指揮下に入った時、ロイが命じて書き換えさせたKMFの緊急脱出プログラムの事である。
緊急脱出プログラムは緊急脱出用のイジェクション・シートを強制射出させるプログラムで、搭乗する騎士によってある程度任意に調節できるようになっている。
基本的に、操縦に慣れていない新人騎士は、機体がダメージを負えばすぐに強制脱出させるように設定し、ベテラン騎士はある程度ダメージを食らわない限り強制脱出プログラムが作動しないように設定する。
これは実に悪しき習慣と言うべきものだとロイは思っていた。つまり、ベテランの兵士は半壊しようが機体を自分の身を犠牲にしてでも持ち帰ってこいという事である。
まったくもって馬鹿馬鹿しい。機体より兵士の方が何十倍何千倍も貴重だというのに!
東ロシア戦線時のアルフレッドは、この悪しき習慣に素直に従い、自機“グロースター”に、ほとんど機体が全壊しなければプログラムが作動しないような設定を施していた。
そして、それを知ったロイは「僕の部隊には、機体が半壊しても脱出しないような特攻隊員はいらない!」と強い口調でその設定を直させたのである。
「はい、おかげさまで、あの紅蓮弐式の輻射波動を食らい、愛機を犠牲にしましたが、私は何とか生きています」
17:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:02:42 PAVTxe14
アルフレッドは苦い笑みを浮かべた。
ロイは「いや、それでいい」と、いかにも上官らしく頷いて見せた。
「生きていればまた戦えるからね。それで、今日から早速仕事に復帰するのかい? だったらよろしく頼むよ。また君には世話をかける事になるだろうけど」
「いえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします」
アルフレッドはまた律儀に敬礼した。
「では、私はナナリー総督の方へ挨拶に参りますので。“その後またこちらに戻ってまいります”」
「ああ。って、えっ? 戻ってくるの?」
「はい、これからキャンベル卿の“副官”として、精一杯務めさせていただきます。よろしくお願いいたします」
「副官?」
ロイは素っ頓狂な声で聞き返した。
「君が僕の副官?」
アルフレッドは不思議そうな顔をした。
「あれ、お聞きになっていないのですか?」
「いや、初耳だよ」
「はい、シュナイゼル殿下に頼まれました。私も喜んで引き受けたのですが……」
「シュナイゼル殿下が?」
ロイは驚いた。
確かに、シュナイゼル殿下には、副官というか補佐を回して欲しいという希望を伝えた事があり、近々派遣するとも言われていたが、それがアルフレッドだとは。
もちろん、ロイはこの人選に文句など無い。アルフレッドは優秀な人間だし、むしろ副官に留めておくのが惜しいぐらいの人物だ。だが、
「いや、待ってくれ」
ロイはすぐにはその人事に承知しかねた。
「それは嬉しいけど、君はグラストンナイツだろう? そっちの方はいいのかい?」
「グラストンナイツでも、その前に私はブリタニア軍人です。転属命令が出ればそれを受理するのは当然でしょう」
「まぁ、それはそうだけど……」
「それに、一つの部隊に拘っていては自分の視野が狭くなってしまいます。私の父も、時には自らコーネリア様の下を離れ、他の部隊で腕を磨き、見識を深める事があったと言います」
確かに、コーネリア皇女の専任騎士であるギルフォードと違い、アルフレッド達の父ダールトンは言い換えれば一介の軍人である。場合によっては転属し他の部隊でその辣腕を振るう機会もあったのかもしれない。
いや、息子であるアルフレッドがこう言うからにはあったのだろう。
「……ちなみに、君たちの取り纏めであるギルフォード卿は、今回の人事については何と?」
18:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:02:49 8AgNKODl
間に合うか?支援
19:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:04:36 PAVTxe14
「良く学ばせていただけ、と大賛成していただきました。あと、餞別代りにギルフォード卿が騎乗していた“グロースター”まで頂きました」
「そうか」
肝入りの部下を快く送り出してくれるという事は、それだけ腕を買われ、信頼されているという事だろう。ならば、その信頼には応えるべきだ、とロイは考えた。
「そういう事なら、僕からは何も言う事は無い。これからよろしく頼むよ“アルフレッド”」
「はっ」
アルフレッドは気をつけをして、また敬礼した。そして順序は逆になってしまったが、ナナリー総督に仕事復帰の報告に行くために、部屋を出て行った。
(それにしても、最初は僕の命令すら聞いてくれなかったあのアルフレッド卿が、僕の副官とはね……)
一人になった部屋で、ロイはそう内心で呟きながら苦笑し、執務机に座った。まだまだ今日中に片付けなければいけない事は山ほど残っていた。
仕事の量の多さに、ロイは憂鬱を通り越して笑いがこみ上げてきた。
(これは、アルフレッドに手伝ってもらったとしても、徹夜は確実だな……)
○
『日本を見ているのか?』
紅月カレンが斑鳩の甲板から、海を眺めていると、聞きなれた声が耳に届いた。
赤い髪を海の風に弄ばれながら、カレンは振り返る。そこには黒い仮面の男がいた。黒の騎士団のリーダー、ゼロである。
「ゼロ……」
ゼロは無言でカレンの隣まで歩いてくると、転落防止用の柵に手をかけた。そして、仮面越しにカレンと同じ方角に、空と海の境界線に視線を向けた。
『この方角は日本だからな』
ゼロは、水平線のはるか向こう。今いる中華連邦の宝来島より何千キロと離れた島国の名前を出した。そこはもちろん、ゼロ自身にとっても思い出深い場所だった。もちろん、ゼロの中身の人間にとってもだ。
『違うのか?』
更に問われた。カレンは、正直分からなかった。ただ海を見ていただけのつもりだが、言われてみれば無意識に日本を見ていたのかもしれないとも思えた。
「どうでしょうね。分かりません……」
『そうか』
ゼロはそれだけ言うと、また黙ってしまった。カレンもあえて言葉を続けようとは思わなかった。無言の会話というのも確かに存在するのである。
20:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:05:18 KawvlHdg
支援!
21:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:05:35 PAVTxe14
二人はしばらく海を見ていた。二人の目の前のカモメが何度も上昇、下降を繰り返す。やがて、一匹のカモメが海から魚を捕らえ、それを嘴に加えて舞い上がる。
『日本を離れた事、後悔してるのか?』
「……」
ある程度予想ができたゼロの言葉に、カレンはしばし考え込んだ。そして、静かに首を横に振った。
「いいえ、そんな事はありません。私は貴方の右腕。あなたのいる所が私の居場所です。後悔なんて―」
『今は二人きりだ』
その一言で、ゼロは分厚い主従の壁を取り除いた。この瞬間、二人の関係は黒の騎士団のリーダーとその部下ではなく、学園生活を共に過ごした友達になった。
カレンは静かに目を閉じた。そして、またしばし考えて、弱々しく息を出した。
「今なら、あなたの気持ちが少しは分かる気がする」
『何がだ』
「生まれ育った土地を離れるのは、一時的とはいえ寂しいものね」
日本。カレンにとって一言で言えば色々あった土地だった。生まれ、育ち、その中には様々な出会いがあった、そして、その出会いの数だけ思い出もあった。
兄や母と過ごし、友人と出会い、彼とも出会った。
しかし、今はその日本を離れ、カレンは中華連邦に亡命した身である。
『……そうか』
唐突に強い風が吹いた。カレンは再び髪が、ゼロは黒いマントが宙でなびいた。しかし、二人は微動だにせず、海を眺め続けていた。
「ねぇ、ルルーシュ」
『んっ』
「あなたは、どうやってこの感情から立ち直ったの?」
ゼロの祖国であるブリタニアは、ルルーシュを追い出した。追放した。彼にとっては憎むべき国なのかもしれないが、それでも、その国でも幸せはあった、とかつてルルーシュは語ってくれた事があった。
紅月カレンは黒の騎士団ではC.Cを含めて二人しか居ない、ルルーシュの過去を知る人物だった。
ゼロは、少しだけ仮面を前に傾けた。そして、呟くように告げた。
『一番大切なのは、土地とか思い出じゃないから』
「えっ」
『俺にとっては、大切だったのはブリタニアで過ごした母さんとナナリーとの思い出もそうだが、それ以上に、その人たち自身だからな。
22:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:07:36 KawvlHdg
支援
23:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:07:56 8AgNKODl
支援
24:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:08:21 PAVTxe14
確かに、国を出るときには一抹の寂しさはあった。だが、俺の隣にはナナリーがいた。だから、俺は寂しくなかった。どちらかと言えば、ナナリーに寂しい思いをさせないように必死だったな』
「そう……」
土地と思い出ではなく、人。
そうかもしれない、とカレンは漠然と思った。
―カレン、大丈夫だ。僕が付いてる。
そう言ってもらえれば。彼が傍にいて言ってもらえるなら、カレンはおそらくそれだけで安心できる。それだけで、寂しさなど感じなくなる。
(結局、最後はそこに行き着くのか)
ライさえいればいい。それで自分の世界は上手く回る。彼がいれば、日本だってきっと簡単に解放できる。彼がいればこの遠い中華連邦の地でも寂しくなんてない。彼がいれば、彼がいれば、彼がいてくれれば……。
一年前に比べて、自分の思考はえらく端的になったものだ、と思ってカレンはなんだか可笑しくなった。
そして、そう割り切るとカレンはなんだか元気が出てきた。そうだ、自分の進む道はどこの国にいようと一本道なのだ。
どこかにいるライを助けて、日本を解放する。それだけだ、そのために真っ直ぐ進めばいいのだ。
『カレン』
ゼロ、いや、ルルーシュはカレンの肩に優しく手を置いた。
『君が寂しいと感じているのなら、それは俺の責任だ。だから……』
そこまで聞いて、すでに立ち直っていたカレンは呆れた。この男はいつもそうだった。ライの事になると、責任だの俺が悪かっただの陰気な事この上ない。
カレンは、ルルーシュをもっと知りたかった。ライが親友とした男をもっと知りたかったのだ。そして同時に、ルルーシュから見たライも知りたかった。
しかし、一年前とは違い、ルルーシュはカレンに対して、どこと無く腫れ物を触るような接し方になった。そして、ライの事を語る時は、いつも遠慮がちな上、最後にはいつも「俺が悪かった」「俺の責任が」とか言い出す。
聞きたいのはそんな取り繕った言葉ではなく本心だ、と思うカレンだった。
カレンはルルーシュの手を払いのけた。そして、おそらく女性に拒絶される機会が少ないのが原因だと思うが、軽く驚いている彼の前で腕を組んで、言った。
「ねぇ、ルルーシュ。あなたって、結構卑怯よね」
『は?』
「そうやって、自分で卑下して、もしライを助けられなかった時の予防線を張ってる」
25:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:09:32 KawvlHdg
支援
26:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:11:22 PAVTxe14
『いや、そんな事は……』
「だってそうでしょ。親友を助けられなかった。というのより、責任を感じている人を助けられなかった、という方が気持ち的には楽だもの」
『……俺がそう考えているように見えるのか?』
「見える」
カレンは断言した。ゼロは力なく顔―仮面を下に向けた。
『ショックだ……』
本気で落ち込んだ様子の友達を見て、カレンは笑った。
「だったら、そう言うのはやめて。私は別にあなたに責任を取ってもらうために協力してるわけじゃないの。あなたが、私と同じく純粋にライを助けたいという気持ちを持っているから、私はあなたに協力するのよ」
カレンがゼロ=ルルーシュという裏切りの事実を知っても、二心無くゼロに仕え続けているのはそういう理由だった。
もし、ライの事が無ければ、きっとカレンは、「ルルーシュが自分が信頼したゼロに成りうるのか見極める」とか言い訳して、しぶしぶ彼の部下としてありつづけるか、完全に見限っていたに違いなかった。
ライを助けたい。その想いの共通こそがカレンにとって重要であり。それだけで、カレンがゼロに協力する理由に足りた。
『やれやれ……』
カレンの気持ちを察したのか、ゼロが嘆息混じりに仮面を上げる。
『俺はお前を勇気付けるつもりだったんだが。それが、いつの間にか俺が怒られていては世話が無い』
それを聞いて、カレンは拳を作り、人差し指を口に当ててクスクスと笑った。
「そうね、一応お礼は言うべきよね。ありがとう、慰めようとしてくれて」
『フン、勘違いするな』
ゼロの口調は皮肉っぽいものに変化した。
『お前は、親友の女だからな。ライを助け出した時、お前に元気が無くて、今まで俺が苛めていたと勘違いされたら困る。だから、ここは、それなりに優しくしておくべき所だと思っただけだ』
「うわ、ひっど~い。っていうか、実際そう思ってても、そんな事女性に言う?」
その時、カレンは形の良い眉をピクリと上げた。鍛え上げられた第六感的感覚が、何かを捕捉したのだ。
『どうした?』
ゼロが不審に思って尋ねると、いつの間にかカレンは零番隊隊長の顔になっていた。
「人が来ますゼロ。これは……多分神楽耶様です」
カレンが言うのと同時に、廊下を駆ける音が聞こえてきた。数秒後、一人の少女が重いドアを開けて甲板に現れた。
27:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:11:54 KawvlHdg
支援
28:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:13:33 PAVTxe14
「ゼロ様! こちらにいらしたのですね」
神楽耶は肩で息をしていた。その少女を確認したルルーシュは、再び心に仮面を被り、神楽耶に歩いて近寄った。
『どうされたのですか神楽耶様。そんなに慌てて』
神楽耶は数度息を付き、呼吸を整えた。そして、ゼロの前で手を組み、告げた。
「天子様が、天子様が」
神楽耶の口からカレンとゼロを驚愕させる事実が伝えられた。
天子の婚約を、二人はこの時初めて知った。
○
「なぁ、アーニャ。お前は一体何が気に入らないんだ?」
「別に」
中華連邦の高級なホテルの一室。結婚式当日まで割と暇なジノとアーニャは、私服姿で並んで座り、今流行のレーシングゲームに勤しんでいた。
二人とも会話を交わしながらも、顔を合わせず画面を凝視している。
ちなみに、この状態でかれこれ三時間になる。
「だってさ、お前明らかに不機嫌だろ。なんでだよ、スザクがナナリー総督のために残らなかったからか? それとも、ロイと離れ離れになったからか? ってうお!?」
トップを独走していたジノの自機が、ゴール直前でアーニャからのアイテム攻撃を受けてスピンしてしまった。その隣をアーニャの車がしたり顔で通っていき、
「はい、また私の勝ち」
「だーー! またゴール前で、抜かれたぁぁぁあ!」
ジノは髪を掻き毟って歯噛みした。画面上ではスピンの間に大きく順位を落としたジノのキャラクターががっくりと項垂れていた。
「ジノは無駄な動きが多い上に、常に一位を独占しようとするから、攻撃アイテムの脅威に晒されやすい。このゲームは中盤まで真ん中の順位を維持し、後半一気に巻き返すのが基本」
アーニャは淡々と解説した。事実、アーニャは先ほどからジノを交えた十人以上のインターネット対戦で三十戦無敗なので、言っている事に間違いは無い。
「いや~、そうは言うけどな。なんか嫌なんだよ、他人に前を走られるのは。ほら、“ブリタニアの疾風”である俺としてはさ」
その言葉に、アーニャは怪訝な顔で、首を傾げた。
「“ブリタニアの疾風”? 何それ、初耳」
「ん? 知らない? 俺の二つ名」
アーニャはしばし考え込んだが、思い当たるものは何も無かった。
29:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:14:14 dOzPJObu
支援
30:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:15:51 PAVTxe14
「……聞いた事ない」
アーニャは眉間に皺を寄せた。
「もしかしてそれ、自分で作った?」
「だって、ロイとスザクにだけあって、俺には無いって言うのもさみしいじゃないか」
それを聞いて、アーニャは、可哀想なものを見るような―というか実際、可哀想だと思った―目をジノに向けた。
「自分で作った二つ名とか……虚しくない?」
「言うな……」
ジノは一瞬泣きそうになった。しかし、彼は不屈の精神で立ち直った。
「さてアーニャ! もう一回だ!」
「望む所」
そして、二人はまたレースを始め、テレビ画面に凝視した。
レースの序盤、相変わらずジノが序盤から一位を走っており、後続からの強い攻撃アイテムの脅威に晒されている。
(男って、ほんとうに懲りない)
アーニャはそう内心で呟きながら、ジノのキャラクターに攻撃アイテムを放った。しかし、それは違うキャラに当たってしまった。
「なぁ、さっきの話なんだが」
ジノが肩を揺らし、コントローラのステックをガチャガチャと激しく動かしながら言った。アーニャは逆にコントローラーを最低限の動作で操りながら答えた。
「二つ名の事?」
会話しつつも、二人は画面から目を離さなかった。
「違う。それは忘れてくれ……お前の機嫌が悪い件だよ」
ジノのキャラは、上手い機動で敵からのアイテムをかわした。彼は「よし」と歯を出して笑った。
「ロイがいなくて寂しいのと、スザクが友達のナナリー総督のために残らなかったのが気に入らないのは分かるが、少しは機嫌直せよ。もう殿下のご結婚までそう時間も無い事だし、俺としては三人一丸となって護衛任務にあたりたいんだ」
「……別に、迷惑はかけてない」
「かけてるよ。お前、中華連邦にきてからずっとムスっとしてるじゃないか」
「私は元からそんな顔」
「その点にはおおいに同意する。だけどな」
ジノは勢い余って上半身をテレビ画面にグッと近づけた。その大柄な体躯に視界の一部を塞がれたアーニャは、迷惑そうな顔をして、座る位置をちょっと横にずらした。
「お前が不機嫌かどうか見破れない俺だと思ってるのか? それに、中華連邦に来てから、スザクとは必要最低限の事以外、一言も喋ってないじゃないか」
「……」
31:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:17:29 dOzPJObu
支援
32:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:17:49 KawvlHdg
支援
33:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:18:26 PAVTxe14
アーニャは無言で自機のスピードを速めた。レースは中盤。そろそろ、勝負をかけ始める頃合だった。
「とりあえず、スザクと仲直りしてくれないか? ってああ! 誰だ今、俺に赤甲羅ぶつけたのは!?」
ジノの自機の隣を、『ピザ大好きっ子』というハンドルネームのキャラが魔女のような人を小ばかにした笑顔を浮かべながら通過していった。
「あ~、またピザ子か! さっきもアイツにやられたな、くそ」
ジノは毒づいて、またレースに集中した。
「で、話を戻すけど、スザクと仲直りしてくれよ」
「別に、全部が全部スザクが原因で機嫌が悪いわけじゃない」
「じゃあ、何が原因なんだ」
レース終盤でアイテムを当てられたからか、ジノの声は苛立っていた。アーニャはその後ろから淡々と、自機が無敵になるアイテムを使用し、その後、車をジノと接触させた。ジノのキャラはコースから吹っ飛び、悲痛な叫び声を挙げながら谷底へ落下していった。
「うわ、また俺がビリじゃないか!」
ジノはまた頭を抱えて悔しがった。その隣で、『ピザ大好きっ子』を抜かしてゴールし、31回目の一位を獲得したアーニャは、コントローラーを操る手を止めてポツリと呟いた。
「女の子が好きでもない男と結婚するのは、見ていてあまり気持ちのいいものじゃない」
それは、アーニャから見て可哀想なもの以外の何物でも無かった。国を背負う者の宿命と言ってしまえばそれまでだが、少なくとも自分には絶対耐えられないと思えた。
何よりアーニャがそう強く思ったのは中華連邦到着後、すぐにラウンズ三人で天子に挨拶に伺ってからだった。そして、直に会ってアーニャは気付いた。というか感じ取った。自分とナナリーも持つ、女性が当たり前に抱く感情を、
―この人、他に好きな人がいる。
34:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:19:30 KawvlHdg
支援
35:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:19:35 dOzPJObu
支援
36:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:21:29 PAVTxe14
それからだ、アーニャの心に何かやるせない気持ちが巣食ったのは。
やっぱり、女の子に生まれた以上好きな男(ひと)と出会って、結婚して、子供を生んで、家庭を築いて、そして最後はその好きな人とほぼ同時に死にたいものだ。と、歳相応にアーニャは思うのだった。
いや、正確には思うようになったのだった。
「可哀想……とても」
アーニャは本心からそう思っていた。
「んあ、何か言ったか!?」
ジノが最下位ゴールの不機嫌さをそのまま表した顔でアーニャに言った。アーニャは更に不機嫌な顔をジノに向けてやった。
「別に」
「じゃあもう一回だ!」
「何がじゃあ、なのか分からないけど望む所」
そして、レースは32回目に突入した。
ロイとは違い、二人の夜は遊びで更けていった。
シーン9『気持ちの問題』Bパート終わり。Cパートに続く。
37:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
08/11/16 20:22:19 PAVTxe14
投下終了です。
支援感謝です。
ではでは~。
<連絡>
あと、申し訳ありません。今後は国家試験に集中するため、更新は二週間に一度程度になると思います。
38:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 20:32:45 KawvlHdg
>>37
GJ!
中華編の始まる前の一時という感じですね。
三陣営に分かれたそれぞれの話が実に興味深いなあと思いました。
アルフレッドが生き残れた理由もきちんと説明が付けられていて納得です。
あと、ジノ。対戦相手のピザ子は言うまでもなく魔女様ですねw
次回も楽しみにしております。ご無理のないように。
39:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 21:04:14 DPZPWCQd
>>37
GJ!アルフレッドがいかにしてロイを信頼するようになったかが細かく書かれていて納得です。
それぞれの心情やらが細かく描写されていて、すごいと思いました。
次回をお待ちしています。
40:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 21:30:21 QXew2GpB
>>37
GJ!
まさかアーニャが他人の色恋について反応するとは…ロイの影響は偉大ですね。
職務は別として、星刻やゼロが結婚妨害やったときは内心拍手喝采するんだろうか。
41:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/16 22:21:41 wf+ZDhd2
>>37
KOUSEI卿、GJでした!
アルフレッドがライを信頼し、生き残っている理由に納得でした。
ゼロとカレンの会話、ライを恋しく思う結構乙女なカレンとライのことに責任を感じている不器用なゼロがいいかんじでした。
アーニャとジノ……マ○カー!?
あるのか? この世界に!?
と、どうでもいい所に驚愕しました。
自分で付けた二つ名、痛いねw
やはりアーニャの感情がなかなか豊かになってるようですね。
国家試験、無理をしすぎずに頑張ってくださいね!
貴公の次の投下を全力を挙げて待っております!
42:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 01:35:29 Cf0jYNPO
>>37 GJ
ジノの二つ名wもとは金髪の英雄さんの双璧の方のやつですか。
43:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 01:55:54 0Ih4enO0
記憶が戻ってカレンとくっつくかハーレム化するかのどっちかなんだろうなぁ
44:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 08:05:04 dCGdTHkQ
>>37 相変わらずのGJ!各キャラの感情が丁寧に描かれていて素敵すぎます!
きっと、ルルーシュの友情とナナリーの優しさとスザクの勇気とアーニャの理解、そしてカレンの愛がライの記憶を呼び覚まし、みんなハッピーになることでしょう!
45:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 12:42:26 HlZWXcoH
>>43
皮肉かぼやきか当て擦りか知らんが感想じゃないのなら余所でやれ
46:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 22:27:12 NNIkMG8q
>>45
ここでやらないでどこでやるのかわからんが、不快なら相手にしなきゃいいのに
47:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 22:45:18 NSrki+rZ
煽りに反応すると付け上がるよ。
トーマス卿へ保管庫の現スレが30のままです修正した方が良いと思いますが。
48:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 22:46:35 NbBvPE8k
>>47
『良いと思いますが。』
てのはちょっと上から目線すぎやしないか?
あくまでもこっちは助けてもらってる側なわけなんだし
49:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/17 23:05:10 lF2gKBrY
そんな突っかかりなさんなって
穏やかにいこうよ
>>37
遅くなりましたがGJ
相変わらず文句のつけようがない出来ですな・・・感服です
もういっそ本編よりKOUSEI版のキャラ造詣の方が面白うわなにをするやめr
50:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 08:40:53 czqUARCz
貧弱な軍馬卿の『嬉しい報せも時と場所を選ぶ』が保管不全な気がします。
読み直してみたら、途中で文が飛んでおりますよ~……ここに書いてトーマス卿に届くのだろうか?
51:45
08/11/18 08:45:53 RgHiYq2e
>>46
だったらお前もスルーしてろよ。たちの悪さは明らかに>>43の方が上だろうが。
俺に突っかかってんなアホ
>>47
何が「反応すると付け上がる」だ。鼻膨らませて得意げに書き込んでんじゃねえよ。
お前こそ煽ってんじゃねえか。ブサオタはおとなしく自殺するか引きこもっとけ
52:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 09:24:25 FCUT2be9
荒らし乙
これが若さか・・・
53:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 12:57:57 r5sK+/6T
なんかこのスレも廃れてきたな・・・
54:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 13:10:23 /65mUqEY
荒らしもわくようになったしね
ゲームの新作とかでもこないと
55: ◆0rhUU6uqDE
08/11/18 19:24:02 QoaEucvn
現在、創作発表板の移転の是非についての議論を、避難所(仮)にまとめています。
議論自体をそこでやるかは未定ですが、それを含めて避難所(仮)で意見の交換をしていただけると有り難いです。
避難所(仮)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
携帯用
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
56:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 19:58:32 qUQMD4Vg
>>51
たちが悪いのは君だよ。まぁ、君みたいのは自覚ができないタイプばかりな上に指摘されると逆切れしかできないのだがな。
でも誰にも注意されないと調子に乗るだけだから言ってあげよう。
可哀相なお子様だね。それで人生楽しいか?
57:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 20:13:27 3Jo+keX1
荒らし(とそれと同等の発言をする者)はスルー汁
相手をする行為も荒らしです
58:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 20:29:03 gqexOVIm
自演だろ?
59:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/11/18 20:56:35 Jutq7zoZ
>>50
ここを含むいくつかのスレは私の常時監視対象ですのでご安心を。
作品の方は修正しておきました。ご報告ありがとうございました。
>>55
当方の意見を纏め次第、参加させていただきます。
60:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 21:58:04 vIn+Khcc
最近投下少ないね…
他ロボットアニメとロスカラのクロスでも解禁すればまた投下数増えるかな?
61:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:03:54 GB9rTgm5
他の作品のクロスですかー
意外と面白いかも知れませんねぇ
62:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:19:38 RwtGHsN5
でもクロスは読み手を選ぶしなあ
ギアスしかロボットアニメ見てない人は苦しいかもしれない
63:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:23:14 wGBPAUoM
最後に投下があったのが丸二日前だかんな~
こんな事初めてでしょ。やっぱり今の状態が解決しないと無理な空気なのかな?
64:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:29:52 +7paXx/q
誰でもこんな空気で投下したいとは思わないよ。
私だって、以前だったら空気変える為に投下したいと思ってたけど、今の現状じゃ投下どころか書く気さえ失せる。
65:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:33:21 EZC3ywfp
>>64
こんな奴もいるからなぁ
66:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 22:43:42 3SfzJv1A
初めまして。
コードギアスのSSに興味があったのでググっていたらここを見つけました!
保管庫にあるSS全部読みましたが、みなさん凄いですね。
文才の全く無い自分にはとても小説など書けないので、本当に凄いと思います!
これからは定期的にこのスレきて
投下される方がいたら積極的に支援していこうと思います!
67:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:02:44 27FOVjJ8 BE:1262445449-2BP(0)
最近忙しかったんで、投下できませんでした。
23時半から投下してもいいですか?
68:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:05:50 V+YMbyPp
最後までできるかわかりませんが、支援します
69:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:16:57 Jutq7zoZ
支援します
70:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:19:20 3SfzJv1A
支援
71:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:31:01 27FOVjJ8 BE:2209278097-2BP(0)
俺式ロスカラ続編~騎士団カレンルート~ 5話
一応シリアス系でタイトルどおり、騎士団カレンルートから特区日本の失敗ifからの続き。
R2で言うとだいたい7話目あたり。
今回は10レスくらい
72:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:31:20 V+YMbyPp
支援
73:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:31:46 27FOVjJ8 BE:420815243-2BP(0)
「……イ……ライ………おい、ライ!!」
はっと気がついた時、僕は残月のコクピットに座っていた。
周りには玉城と南が決して広くないコクピットの中で
僕に向かって懸命に声をかけてくれていたみたいだ。
「どうしたんだよライ、せっかくラウンズやっつけるチャンスだったのによ~」
「あ、うん。ごめんみんな。」
どうやら、あたりを見まわすと騎士団の母艦に収容されたところで、グレンがまだ戻ってきてない様子から推測すると、
気絶してからたいして時間が経ってはいないようだった。
「ったく。一年ぶりの再会がこんなんじゃぁ しっくりしないぜ」
と玉城は再会の喜びを込めて僕の背中をバシバシと叩いている。
そう言われ、初めて玉城と南の顔を見たのだ。
「あはは、そうだね 二人とも。ただいま。」
「まぁ本当は、俺たちがただいまって言う方なんだけどな。そっちも一年間ご苦労様。」
と南も笑いかけてくれる。
この二人はいち早く戦線を離脱したため、僕が発進してからこの船とすぐに合流できたらしい。
その後は暁を使い脱出ブロックの回収を手伝っていたのだろう。
「ねぇ、僕の機体を回収した時、ラウンズの機体と戦闘にならなかったの?」
とふと疑問に思ったことを聞いた。
「あぁ、あのデカブツもお前と同じように落ちててな、
そのデカブツを回収していた機体はな、俺が攻撃しようとしたら恐れをなして下がっていったんだ。
なんていうかさぁ、俺も戦場での戦いに慣れてきて ほら、プレッシャーっていうの?戦士の貫録っていうの?
お前みたいに、そういう威圧感を与えられるようになったんだぜっ、お前にも見せてやりたかったぜ~
帝国最強とか言われてるあいつらがしっぽまいて逃げていく様をよ~」
と肩を叩きながら、自信満々に高笑いする玉城。
南は思った通り肩をすくませ溜息をつき、相手をするなと目で伝えてきた。
もちろん、僕も最初の二行だけを聞いて後はほとんど聞き流していた事は言うまでもない。
74:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:31:49 Jutq7zoZ
支援
75:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:33:33 27FOVjJ8 BE:841630346-2BP(0)
それにしても、トリスタンのパイロットは僕に情けをかけたのだろうか。
それとも、動かない敵を倒しても意味がないという騎士のプライドから撃たなかったのか。
それに、なぜ あのモルドレットは僕を攻撃せず、一緒に落下していたのだろうか。
そもそも、あの頭痛は何だったのか…………
「なんにせよ助かったんだ。そんな難しい顔してないで、ここから出てみろよ。みんなが待ってるぞ。」
と南の言葉が僕の思考を遮った。
外にでると懐かしい顔ぶれが出迎えてくれた。
それぞれ、色々な事をおもいながら 僕がコクピットから顔を出すのを待っていたのだろう。
「みんなただいま。いろいろ心配かけたけど、僕はもう大丈夫だから。」
それぞれ思い思いにライという名前を呼んだり、戦闘隊長おかえり、といった声が飛び交った。
下に降りると男も女も関係なしにライを取り囲み、彼を引っ張りだこにしながらも先ほどの戦闘を褒めたたえてくれた。
負傷者は出たものの、死傷者が出ずに済んだのはライの発進時における判断とラウンズを引き付けてくれたおかげである。
人の群からぬけ、扇さんや藤堂さんたちに挨拶を交わし大袈裟ではないかと聞いたが、
それほど彼らにとって黒の騎士団の双璧と称されるエースの存在は心強いものなんだとここでも褒められてしまった。
久しぶりの仲間たちと懐かしい時間を過ごしていると、突然ハッチが開いた。
天井には大空がひろがり、心地良い風がドックに流れこんだ。
カレンが着艦するのだろう。
ゼロを抱えた紅蓮が少し離れた地点に着地した。
今回の作戦は総督 ナナリーの鹵獲であるがゼロと一緒にいる人の気配は全くない
76:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:34:17 Jutq7zoZ
支援
77:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:34:36 27FOVjJ8 BE:841630638-2BP(0)
どうやら、新総督の脱出は失敗したらしい。
おかげで、普段の彼のような威厳のある雰囲気はまるっきり感じる事ができない。
仮面の上からでも楽に感じとれる覇気の無さ。
団員たちもその雰囲気を感じたのか。
さっきまでの喧騒が一気になくなった。
「ゼロ、これからどうするんだ」
と扇さんがゼロに訪ねる。
しかしゼロは質問に反応することはなく、うつむいたままだった。
そこへC.C.がやってきた。
「今回の作戦の失敗でこいつも思う事があるのだろう。指示は追々だすだろうから、それまで横須賀湾で潜伏だ」
と指示を出し、ゼロを連れて部屋に戻っていった。
正体を知る僕らも彼を訪れようとしたが、今は何をいっても聞く状態じなゃいとC.C.に言われて部屋を後にしたが、彼と話をする事はその後もなかった。
ゼロと連絡がとれなくなってから今日で2日目。
今日の夜には隠れていた横須賀を離れなければならない。
僕とカレンは未だにルルーシュを探していた。
カレンはゲットー、僕は租界を中心に手分けして探していたが見つからない。
思いつく場所を手当たりしだい探したのだが、どこにも見つからず
最後まで 行くかどうか迷っていた学園に足を延ばしてみる事にした。
幸い、修学旅行の期間だったので、学園には人の気配はなくクラブハウスには簡単に入ることができた。
しかしながら、人の気配がないのはルルーシュの部屋も同じで、部屋の中もがらんとしていた。
78:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:35:46 27FOVjJ8 BE:1052037465-2BP(0)
「ここでもないか…」
学園といっても、この部屋だけが彼の居場所ではない。
部屋を出てルルーシュがよく授業をサボったり考えごとをするときに行っていた屋上を探してみる事にした。
が、となりにあった部屋。
一年前にここで拾われてから住んでいた僕の部屋をつい覗いてみたくなったのだ。
「誰!」
部屋のドアノブに手をかけると 後ろから女性に声をかけられた。
一年前の感傷に浸っていたせいか、つい警戒をゆるめてしまったため、ライは声をかけられるまで気づかなかったのだ。
どうするか考えている間も、その足音は近くなる
相手は女性だが、殺気は感じられない。
しかし、ある程度までは完全に一般人のスピードで近づいていた彼女が、
瞬間移動したような速さで間合いを詰めてきた。
殺気を感じられなかったことだけで油断していた僕は
その瞬間移動に反応が遅れてしまい、体をくねらせ、両腕を顔の前でクロスさせる
もはや一般人の女性のような、なさけない防御の構えをとってしまった。
これが戦の時代に生きる自分だったら死んでいただろう。
そんな事を考えているライをお構いなしに、先ほど声をかけてきた女性は僕の両肩を捕まえ、その人と向き合わせた。
「やっぱり!ライじゃないの!!」
79:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:36:10 Jutq7zoZ
支援
80:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:36:23 jwmu984T
支援
81:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:36:41 27FOVjJ8 BE:1683259586-2BP(0)
「ここでもないか…」
学園といっても、この部屋だけが彼の居場所ではない。
部屋を出てルルーシュがよく授業をサボったり考えごとをするときに行っていた屋上を探してみる事にした。
が、となりにあった部屋。
一年前にここで拾われてから住んでいた僕の部屋をつい覗いてみたくなったのだ。
「誰!」
部屋のドアノブに手をかけると 後ろから女性に声をかけられた。
一年前の感傷に浸っていたせいか、つい警戒をゆるめてしまったため、ライは声をかけられるまで気づかなかったのだ。
どうするか考えている間も、その足音は近くなる
相手は女性だが、殺気は感じられない。
しかし、ある程度までは完全に一般人のスピードで近づいていた彼女が、
瞬間移動したような速さで間合いを詰めてきた。
殺気を感じられなかったことだけで油断していた僕は
その瞬間移動に反応が遅れてしまい、体をくねらせ、両腕を顔の前でクロスさせる
もはや一般人の女性のような、なさけない防御の構えをとってしまった。
これが戦の時代に生きる自分だったら死んでいただろう。
そんな事を考えているライをお構いなしに、先ほど声をかけてきた女性は僕の両肩を捕まえ、その人と向き合わせた。
「やっぱり!ライじゃないの!!」
82:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:37:49 Jutq7zoZ
支援 二重?
83:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:38:31 V+YMbyPp
支援
84:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:38:58 27FOVjJ8 BE:841629683-2BP(0)
なんと、そこにそこにあった顔は ルルーシュを監視しているはずの軍人でも、バトレーの手先でもなく、
一年前に僕をひろってくれたこの学園の理事長の孫ミレイ・アッシュフォードだった。
「えっと、どうも。お久しぶりです。」
みんな修学旅行でいないと思っていたので予想外のイレギュラーに戸惑い、自分でもなさけなくなるような挨拶をしてしまう。
「お久しぶりじゃないでしょ~。特区日本で死んぢゃったって報告うけてたんだから~。
なんで戻ってこなかったのよ?」
頭を僕の胸に押し付けながら発したその声は、とても細く、泣いているようだった
「すいません。巻き込まれた時に怪我しちゃって…それからは中華連邦で療養してたもので。」
「だとしても、手紙くらい送りなさいよ全く。みんなどれだけ悲しんだと思ってるの?」
「すいません」
事情はあったものの、みんなを心配させてしまったことには変わりはない。
申し訳ない気持ちで、ライはつい目をそらせてしまう。
「でも、もう帰ってくるんでしょう?みんな喜ぶわよ~」
すごく断りにくい笑顔を浮かべ、ミレイはライの肩に伸ばした腕を叩くように上下に振る。
先ほどのかよわい女の子はどこに行ったのだろうか…肩が痛い…。
「すいませんミレイさん記憶が戻ったんです。それで、全てにけりをつけるまでは戻れません。」
今まで肩を力強く掴んだり、叩いていた腕がだらりと力が抜けたようにおちる。
「そっか~穏やかな記憶じゃなかったのね。後悔してる?」
「………少しだけ。」
上の二重カキこすいませんでした。
85:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:39:13 Kl1tHv3z
まぁ結局何処に、投下したら良いんだ事だろ。
ぶっちゃけどっちでも良いから早く決めて欲しいって所じゃないか?
86:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:40:31 Jutq7zoZ
支援
87:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:40:48 27FOVjJ8 BE:280543542-2BP(0)
どう答えるか考えたが、正直に思った事を述べた。
ライにとって忌まわしく呪われた消し去りたいほどの過去。
思い出した事にも後悔はあるが、それ以上に、昔 行ってきた事を悔いているのだ。
腕をそっと下ろし、後ろをむいた彼女の顔をライは知るよしはなかった。
過去にしばられて今日を楽しめない、お見合いや結婚という未来が今を縛っていた彼女にとっては、似たようなものを見いだせたのだろう…
けれど、彼女は知っている。
知っているというより、当たり前だと思っている。
苦しいかもしれないが、過去を受け入れ未来に抗うのが人だという事を。
「あの、ミレイさん。ルルーシュいますか?」
「相変わらずよ、あいつは。修学旅行だっていうのに姿みせないし。何考えてるんだか…」
「そうですか。」
つい残念そうな声をだしてしまう。
「でも、リヴァルとシャーリーならいるわよっ!」
元気だしてと言わんばかりに肩を叩いてくるミレイさん。
二人に会いたくないワケではないが、ルルーシュとは会う目的が違う。
しかしながら、修学旅行と言っていたのに何故いるのだろうか。
「そういえば、どうして残ってるんですか?」
「旅行なんてものは誰と行くかなのよ。ちなみにあたしは留年しちゃって。」
と彼女は舌を噛んで笑って見せた。
88:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:42:51 Jutq7zoZ
支援
89:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:42:54 V+YMbyPp
支援
90:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:43:50 27FOVjJ8 BE:631222463-2BP(0)
「そうですか、みん…」
「ストーップ」
ライは、みんなによろしくと言い、帰ろうとしたのだが、ミレイさんに言葉を遮られた。
どうやらそうはいかないらしいが、当り前か…
ルルーシュを探しに帰ろうとしたのを止められてしまう。
「ライ、あなたルルーシュには会いたくて、リヴァルとシャーリーには会いたくないわけ?」
「いや、決してそういうわけじゃ……」
「なら、あなたが死んだって報告うけた時、みんなどれほど悲しんだと思ってるの?心配かけた罰として花火に参加しなさ~い。」
「はい…」
ここまで言われれば会長命令でなくても人として参加せざるを得ない。
現に、みんなに心配をかけた上に悲しませたのは事実だから。
彼女を前にして屋上に向かおうとした時
「あぁ、そうだ。」
と言って振り返ったミレイさんはとびきりの笑顔で『おかえり』と言ってくれた。
ミレイさんに連れられて屋上に着くとそこには花火の準備をしているリヴァルとシャーリーがいた。
「うそっ」
「おい、マジかよ」
リヴァルもシャーリーも目の前の状況を理解できないといった顔をしている。
それぞれ、驚きのほうが大きく再開の言葉などを考えるほどの余分な思考を持っていないのだ。
「みんな、久しぶり。」
「どお~、クラブハウスでこんな掘り出し物みつけちゃった~」
「ミレイさん。僕はモノ扱いですか?」
けれど、リヴァルとシャーリーはまだツッコミを入れられる状況にまで回復していない。
91:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:44:43 Jutq7zoZ
支援
92:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:46:46 27FOVjJ8 BE:1052037465-2BP(0)
「あの、二人ともごめん………今まで連絡」
「よかった…」
「あぁ…よかったよ生きててくれて。それだけで十分だ。」
リヴァルとシャーリーは目に涙を浮かべている。
それに感を受け、自分の視界がぼやけるのを感じた。
「みんな、心配掛けてごめん。」
自分でも驚いた事に、そう言おうとしたのだが、口が震えてうまく言葉を紡げなかった。
「さぁ、再会を記念して一足先に花火しちゃいましょ」
そう言ったミレイさんの目端もキラキラ光っていたように思えたのは気のせいだろうか。
でも今そんなことはどうでもいい。
偽りの記憶に汚されていても、ここでは僕の帰りを待ってくれてる人がいるのだ。
花火を開始してからまもなくルルーシュが現れた。
花火に気付き、体力の乏しい体で急いで階段を上ってきたのだろう。息がかなり上がっている。
「みんな、どうし………ライっ、何でここに。」
「ルルーシュ久しぶり。」
厳密には久しぶりではないが、ゼロではなくルルーシュとの再会は一年ぶりだ。
演技するわけでもなく、純粋に彼との再会を喜んだ台詞が口から自然と洩れた。
「あぁ久しぶりだな。」
ルルーシュも僕との再会を純粋に喜んでくれるように言った。
しばらくしてシャーリーの手にあった鶴の折り紙を見てそれを指摘する。
「シャーリー、それ………」
93:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:47:13 Jutq7zoZ
支援
94:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:47:37 jwmu984T
支援
95:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:48:34 EZC3ywfp
支援
96:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:49:49 27FOVjJ8 BE:1402716285-2BP(0)
「あぁ、これ? 願い事が叶うっていうからおってみたの。
誰に教わったか忘れちゃったんだけど、千羽おると願いがかなうんだって。」
皇帝のギアスによって汚された過去。その中にいるナナリーの折った鶴。
彼女のことは記憶から消えていても、同じ生徒会のメンバーとしての絆は消えてはいなかったのだ。
その証拠に彼女が願っていたやさしい世界がここにあり、折り紙という形で彼女の思いは伝わっていたのだ
「そうかシャーリーは何を願ったんだ?」
「もう叶ったよ。みんなと一緒に花火がしたいなって願ったの。」
「みんな?」
「ルルーシュにロロ、スザク君にニーナ、それとカレンも。
流石にライは死んじゃったから会えないと思ってたけど、
一羽折っただけでルルは来てくれるし、ライなんか生き返ってくれたんだから!!かなり効果あるみたいだよこれ。」
ルルーシュはうつむいていた。先ほど僕が感じた事と同じような事を感じているのだろう。
「泣いているのかい?ルルーシュ。」
「俺たちの友情に感動した?」
僕が聞くとリヴァルも続いてちゃかしだした。
「バカ泣いてなんか………」
と対するルルーシュは予想通り後ろを向いて素直じゃない反応をよこしてくれた。
97:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:51:09 V+YMbyPp
支援
98:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:51:46 Jutq7zoZ
支援
99:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:51:52 27FOVjJ8 BE:420815434-2BP(0)
―何だろうこの暖かい気持ちは…
どこか懐かしいような気がする。
ここで拾われた時の懐かしさじゃなく、もっと前の記憶…
そうだ、まだギアスを手に入れる前…本当にまっさらで純粋な気持ちを持っていた僕が、
「母と妹を守りたい。」
と、兄上たちにいつも以上にいじめられ、帰っってから二人に励まされた時 幼い僕はそう思った。
ただ、それがどんなに無茶で無謀なことかも知らなかった上、
本当の意味で世界がどう仕様もないくらいに思いどおりにならないという事も解っていなかった。
だから、現実に打ちのめされた時、世界に絶望しギアスを手にいれ目的を達成するための手段なんてどうでもいいと思って行動した。
その結果は自らの力に飲み込まれ、その暖かくて心地よかった場所を失ってしまったけれど…
でも、今回はちがう。この場所は僕だけの場所ではない。
僕とともに呪われた力を持つルルーシュ、
呪われた力に振り回され悲劇を見てきたスザク、
そして何よりも大切にしたいと思える最愛の女性カレン
僕らの帰るべき場所、小さいけれど暖かくて誰にでもやさしい世界を僕は守りきりたい。
今度こそ 絶対に。
―――
100:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:54:12 V+YMbyPp
支援
101:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/18 23:54:22 Jutq7zoZ
支援
102:B.B. ◆lpNb5xIsIU
08/11/18 23:57:43 27FOVjJ8 BE:1683259968-2BP(0)
「みんな、実は記憶が戻ったんだ。」
みんなは一瞬、僕の記憶の回復を喜んだが、僕は構わず続けた。
「それで、昔の記憶の人たちの為にしなくちゃいけない事があって、今は学園に戻れない。」
僕の台詞の意味を汲み取ってくれたのだろう。残念がってはいるが決して声に出そうとはしない。
「だから、僕がすべてを終わらせてここに帰ってきたら、またこの屋上で花火を上げたいんだ。
もちろん、今ここにいないニーナやスザク。カレンにルルーシュのきょうだいも一緒に。」
そこまで言った後みんなは真剣な眼差しを僕に向ける。
「やはり、お前とは一年経っても気があうな。俺も、またみんなでやりたいと思ったところだ。」
「早く終わらせて帰ってきてね。どんな過去があったって、ここはライの家なんだから。」
「おれたち生徒会メンバーは、いつだってお前を歓迎するぜ~」
「気をつけてね。何かあったら遠慮なく相談しなさいよ。どんなことがあっても、私たちはあなたの味方だから。」
「ありがとう。みんな。」
今日は目端が緩いのだろうか、僕はまたもや視界がぼやけるのを感じてしまった。
つづく。
今晩は相変わらずの支援ありがとうございます。
投下 最近少ないですね。。。。
本編が終わってから時間がかなりたってるんで仕方ないとは思いますが・・・
皆さんが楽しみにしてくださるかわかりませんが、
今年中にゼロレクイエムあたりには進めたいと思っていますんで今後とも支援の方お願いします。
103:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 00:01:11 V+YMbyPp
>102
おつかれさまでした。
あの花火の光景の中にライが居たら。
そんなせつなくも温かな想像を描いていただけたことが嬉しいです。
ゼロレクイエムまで・・・悲劇は避けられないのかな?
続きを拝見できる日を楽しみに。ありがとうございました!
104:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 00:01:59 Jutq7zoZ
投下お疲れ様でした。重複分は削除済みです。
続きも勿論、首を長くしてお待ち致しております。
105:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 01:46:17 2lPqcclj
>>102
B.B.卿、GJでした!
温かく、しずくが目から零れそうな気持ちになりました。
生徒会メンバーのこの雰囲気、良いですね。
「きょうだい」がひらがななのも、結構きました。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
106:快風
08/11/19 18:56:21 Sih9MXua
19:15より投下します。
10レス程度、専任騎士シリーズより続きを投下。
支援よろしくお願いします。
107:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 18:59:45 izM3OLh1
支援します
108:ちょっと時間繰上げてすみません。
08/11/19 19:08:55 Sih9MXua
一つの戦いが終わる。
その戦いで二人の男はそれぞれの名を胸に刻む。
ライ・アスプリウスと藤堂鏡志朗。
彼等の邂逅は偶然か、それとも必然なのか……。
出撃した艦載機を全て、多少トラブルもあったが、回収しアヴァロンは離脱する。
今回は此方の負けだな、と、ここまでのことを振り返りカノンは一人思う。
「父上だったらどうするだろうかな」
そう、誰かに向けたわけではないであろう言葉を発するは、ブリタニア第2皇子シュナイゼル。
戦場からの離脱への航行で、慌しささえあるブリッジの喧騒の中でも、
周囲に耳を傾けさせる力がその言葉にはあった。
109:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 19:10:49 izM3OLh1
支援
110:対峙3
08/11/19 19:12:05 Sih9MXua
「ふふ~、まぁ皇帝ちゃんだったらそのまま応戦しちゃうんじゃない?」
と、空気を読んだか読まずか、発言したのはロイド・アスプルンド。
そう言い放ちながらスキップしながらブリッジを出て行くあたり型破りな彼らしい。
その後を失礼しました、と謝罪しながら追っていくクルーミー女史の普段の苦労が偲ばれる。
いそいそと向かうのは恐らく格納庫。
拿捕した黒の騎士団のエース機を触りたくて仕方がないのだろう。
そんな彼の行動を思ったのか、殿下は笑っている。
珍しく作った笑顔ではない、本当に面白そうな顔で笑っている。
確かに殿下の趣味を考えれば、当然かと納得しながら思う。
シュナイゼルという人間は優秀でありながら変わった人物や物を尊び愛でる。
特派を作った事や、自分のような人間を主席副官に命じたことも。
111:対峙3
08/11/19 19:14:55 Sih9MXua
カノンは自分の性質についてよく理解している。
全うな軍人や上官であったら扱いに困るであろうし、理解もされないだろう。
実際に苦労もしてきた。
実力を認められ、シュナイゼル皇子と対面したときには思わず聞いてしまったほどだ。
”何故自分を”と。
そのときに彼の趣味とも言える人材収集家の一面を知り、ある種のあきれを覚えたのは
カノンだけが秘める秘密だ。
もっともロイドという存在を知ったときには、”上には上がいるか”などとも思ったが。
何せ、今も偉大なる皇帝陛下を”皇帝ちゃん”などと呼ぶような命知らずは彼以外いないだろう。
任官されてからも収集癖は変わらず、最近では騎士までも大抜擢したのだ。
ライ・アスプリウス。
出自の知れない特派出身のパイロット。
112:対峙3
08/11/19 19:17:48 Sih9MXua
その若さに似合わず卓越した操縦技能、戦術眼を誇る逸材。
これほどの人物が在野に埋もれていたのが信じられないほどだ。
記憶喪失とのことだが、記憶を失う前は何をしていたのやら。
だが、不思議と彼に対する負の感情を抱く事はない。
人柄もよく、誰に対しても物腰が丁寧である好青年、それが彼の評価。
周囲にそう思わせるその辺りが彼の恐ろしさであろう。
気付けば誰しもが彼を慕い、手を貸しているのが証拠であろう。
この1年で大分風当たりも弱くなり、周囲に認めさせたのだ。
シュナイゼルも、カノンも当初より認めたとはいえ、やはり反響は大きかった。
次期皇帝最右翼のシュナイゼルだからこそ、その騎士をと望むものは多い。
ある種ラウンズに匹敵する権限を持つことが約束されているのだ、当然であろう。
そんな敵だらけの中で彼は未だ立ち続け、その力を示しているのは並大抵のことではない。
政治も武力も、申し分ない力を持つ騎士。
彼の存在はそれまでのシュナイゼルにとって大きな力となるのだ。
113:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 19:19:27 iES4J5Yr
ennsi
114:対峙3
08/11/19 19:20:14 Sih9MXua
これまではシュナイゼルにとって武力と言う面で些か不足していた。
主としてエースという存在だ。
だが、そんな中新たに現れた少年。
彼はその力を思う存分見せつけたのだ。
常に戦闘の最前線で剣を振るい、常に勝利してきた。
だからこそ、今回の戦いで機体を損傷し帰還して来たのは周囲を驚かせた。
今までも損傷しなかったわけではないが、一人の敵を相手にしこうなったことは初だ。
1対1ならばラウンズとも互角で渡り合えるであろうライが機体を損ねる。
その様なことがあることが驚きだった。
ましてや黒の騎士団はエースを失い弱体化しているはずだった。
一人で戦局を変えられる、などと夢物語な事は考えないが、現実に戦闘の柱たる存在の損失。
それにより士気を下げることはできたであろう、だが、事態は簡単に終わることはなかった。
”奇跡の藤堂”並びに黎 星刻、3機の隊長機、そしてゼロ。
彼等の存在を軽視したわけではない、だが、ここまでひっくり返されるとは思わなかった。
今後の戦力計算の変更を考えねばなるまい。
そう思案していると。
「ゼロ、か。彼とはまた対戦したいものだよ。
そう、今回で少し何かを掴めたからね。あとは……」
シュナイゼルはシュナイゼルで思うところ、当然ながらゼロについて思いをめぐらしている。
前々から御執心なところがあるようだし、何かを感じているようでもある。
もっとも主たるシュナイゼルがその口から発せられるまでは尋ねまい。
思案の時間を終え、カノンは動く。
仕事は山ほどあるのだから。
115:対峙3
08/11/19 19:25:04 Sih9MXua
藤堂は自らの乗機たる斬月を見上げていた。
現在ラクシャータ主導の下、急ピッチで修復されているのだ。
「まったく、こんなに怪我させてきちゃって、うちの子を…。
ま、いいデータが取れたから許すけど…」
そう、口では言いながらも、ラクシャータの作業への熱意が篭っていた。
しかし、彼が見上げているのは機体ではなく、刃を交えた相手のこと。
ライ・アスプリウス、シュナイゼルの騎士、青き死神。
彼を呼称する呼び名を連ね、思い返す。
命を賭けた戦いの中で、彼は高揚していた、戦いを楽しんでいたのだ。
昨年のブラックリベリオンの際にも、コーネリアの騎士、ギルフォードとも戦った。
彼との戦いも藤堂を熱くさせた。
だが、今回はそれ以上のものだった。
機体性能はほぼ互角、パイロットの技量も然り。
実力の拮抗した者同士の戦いは藤堂の心を刺激した。
116:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 19:25:22 msKC+kU5
支援
117:対峙3
08/11/19 19:27:33 Sih9MXua
思えば8年前のブリタニアの侵攻では、満足良く戦いは出来ずに終戦。
日本解放戦線では思うように動けずに歯痒い思いを。
黒の騎士団でハード面でもソフト面でも充実し、力を振るえていた。
だが、ここまで熱くなった事はない。
日本解放を目指し、それ以外を見ずにここまでやってきた藤堂だった。
だが、出逢ってしまった、自らの力を示せる相手に。
武人としての自分を満たす好敵手に。
これからも日本解放への道の前に立ち塞がるであろう障害。
これまでの自分であれば邪魔なだけであっただろう存在を喜ぶ自分がいる。
結局自分は将である前に武人であったのだ。
だが、一つの道がまた出来たのだ。
日本解放という譲れない願いを叶えることも、彼を倒すという願いも同じなのだ。
その事実に気付き、藤堂は笑う。
ここ8年の闘志を向けるべきはブリタニアであった。
そのとてつもなく広い対象が、この時だけ一つに絞られたのだ。
ライ・アスプリウスへと……。
118:対峙3
08/11/19 19:30:11 Sih9MXua
ブリタニア本国、ペンドラゴン。
無事帰国したシュナイゼルたちは、帰還早々休むまもなく事後処理を行った。
黒の騎士団と主流派へと成り代わったクーデター組の結託。
それは中華という国を大きく変化させるであろう。
だからこそ、大きくなる前に手を打たねばならない。
武官は1日の休息を与えられたため、ライは思いきり休息を取り、
翌日にはシュナイゼルの執務室へと向かった。
如何に命令とはいえ、騎士がたる自分が休み、シュナイゼルが働いているのだ、
申し訳ない思いで一杯だった。
それに自分同様文官筆頭たるカノンも、何故か強制的に休まされたのだ。
妙なものを感じつつも、ライは急ぐ。
そして、その予感は的中する。
119:対峙3
08/11/19 19:32:50 Sih9MXua
「ライ、カノン。君たちには軍を率いて中華連邦を包囲してもらいたい」
その言葉に、僕はだからなのか、と確信した。
だからこそ、休ませたのだ、彼は。
「…纏まる前に、戦力を削るため、というわけですか」
と、僕はシュナイゼル殿下の言葉を確かめつつ、意味を問う。
「なるほど、旧主流派、大宦官派とも言える勢力は好意的ではないでしょうしね、
その不和を突いて領土を、ということですか」
と、カノンさんが続く。
「そういうことだ、基本は軍を外に構え、此方からは手は出さないつもりだがね。
その脅しだけで充分だろうし、これから上位皇族による会議があるから、
そこで話して許可を取るから、準備を頼むよ」
「「イエス・ユアハイネス」」
礼をしつつ、これからの任務の大変さを思いながら、決意を新たにするのだった。
(投下終了)
120:快風
08/11/19 19:34:06 Sih9MXua
中華連邦編ラストです。
とは言っても、まだまだ中華との関わりが切れませんが…。
なんだか今回は1人称のような語りが多くなってしまいました…。
とりあえず、今回の話は、中華ラストから次回以降の導入部となります。
出来る限り次回も早く更新したいものです。
感想ご意見お待ちしております。
121:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 20:08:15 6BdPHQoC
乙でした。
藤堂とライバル関係になるとは他ではない設定ですね。これは富士決戦の伏線かな?
一つ疑問なのは騎士であるライは良いとして、文官のカノンが部隊を率いるの問題が
あるんじゃないですかね?まあ直接戦闘がないから問題ないとは思いますがでもシュナイゼルの
騎士と文官筆頭の両方一度に離れるのも問題がある気がするのでどっちかだけでもいい気がします。
指揮系統の問題もあるでしょうから。ライを全般指揮にしてその下将軍クラスを付けるのが
違和感がなきがします。では次回の投下を楽しみにしています。
122:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
08/11/19 20:44:59 lARTqJiZ
遅くなりました、色々整理してました。
この度はまたしても私の先走りによりスレに多大な迷惑を掛けてしまった事を先ずはお詫び申し上げます。
某所で移転の話が進んでいた際に、丁度31スレ目が容量限界を迎えていたので「じゃあ移転の話が持ち上がってることをテンプレに足そうか」
ということであのような形をとったのですが…もっと時間を置くべきでした。本当にすいません。
(一応言い訳でもないのですが…移転の話には私はノータッチでした)
以前と同じような失敗をしてしまい、進歩がないと罵られても何も言えない現状です。今は…今後気を付けるとしか言いようが無いです。
拙い文章ですいません。今はこれが精一杯の回答です。
123:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 21:27:54 2lPqcclj
>>120
快風卿、GJでした!
藤堂さんの心情とライバル描写が素晴らしかったです!
中華連邦編ラスト、次に騎士団と合間見えた時のバトルに期待です!
上で言われている事ですが、カノンは文官ですし
軍を率いるよりも後方での諜報活動等を行う方が
違和感が無いかな、と思いました。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
124:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/19 21:38:19 EsYz9tAE
おつかれさまです。
今回はインターミッションのような部分でしょうか。
もう少し心情の部分でも動きがあったら面白いのになあと思ったり。
シュナイゼルの副官という他ではない部分、どう生きてくるのか興味深いです。
次回を拝見できるのを楽しみにお待ちしています。
>>122
スレッドテンプレの変更(原案)をしたのがトーマスさんであることは
ここではどこにも明らかになっていない件ですし
議論用に避難所も用意されているのですから、そちらで発言された方がいいのでは。
125:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 07:52:55 urExxCgC
a
126:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:00:08 X7TjOudS
10分頃に投下しても大丈夫でしょうか?
前書き・本文・後書き合わせての16レスです
127:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:01:34 Iid40VXW
>>122
あなたもう管理人やめてくれませんか?
何回も同じミスを繰り返す、どうせ反省も口だけでしょ?
今ある保管庫も閉鎖されることを強く望みます。でなければもうここには来ません
128:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:03:23 8k38Uiet
支援
>>127
ちょっと言いすぎでは?
129:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:11:51 X7TjOudS
ありがとうございます。支援してくれる方に感謝を
後、お久しぶりです。間を空けてしまって申し訳ない…
スランプと風邪と私用の3連撃は手強いと思い知らされた今日この頃
えーっと…く、口を挟めそうに無いのでとりあえず黙ってます…
タイトル:コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
カップリング:特になし
ジャンル:シリアス・長編
備考:ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートのギアス篇ENDからスタートしています
R2の豪快なifルート&オリジナルKMFが登場します
苦手な方には本当に申し訳ないです
今回は話数にすると第8.5話。マルチスポットな話
130:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:12:20 8k38Uiet
支援
131:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:13:20 soNmeIzE
>>127
ここはあなた『だけ』のスレでは無いと思いますが?
少々身勝手な発言に感じられました。
仕事行くのでこれが最後の支援
132:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:15:32 X7TjOudS
INTERLUDE
【扇要の苦悩】
戦いのステージが世界へと広がっていこうとしている中、扇には気になる事があった。
それは彼と共に戦っていた青年、紅月ナオトの願いだった。
ナオトという青年が目指していた未来。その未来を目指す術をゼロに託した自分達。
そのゼロはブラック・リベリオンの時、自分達を裏切り見捨てた。
だが、彼以上に今の状況下でブリタニアに対抗出来る人物はいない。現実に横たわる事実は非情だ。
そうして帰ってきた彼は自分達を救出し、特区日本の折には自分達に道を選べと告げた。
覚悟の上で進んできた道、日本の独立という悲願。
ナオトという青年が目指したモノはなんだったのか、終ぞ聞けずじまいで彼は姿を消した。
亡くなったのかどうかもわからない彼なら特区日本から独立を目指したのだろうか。
扇の中のナオトは答えてくれない。そう、これは彼の意思で選んだ道でしかない。
それに彼には守らねばならない人間がいる。ナオトの妹であるカレンもその一人だ。
自分もナオトも反対だったテロに参加させてしまい、今や黒の騎士団のエース。
だが、戦わせ続けていいのだろうかと彼は今も悩んでいた。
戦いは世界へと広がっていく。そうなれば彼女の母親から遠ざかってしまう。
彼女とナオトが戦う理由、その一つが母親なのは扇にはわかっている。
二人が守りたかった者から遠ざけて、戦場へと進ませるしかない自分。
無理矢理にでも止めさせる出来る。しかし、自分だけが特別ではない。
133:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:16:51 8k38Uiet
支援
134:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:18:15 X7TjOudS
黒の騎士団に参加している人物の中にだってそういう人間がいるかもしれない。
想いと義務と責任の中で揺れ動く決心。それはカレンも同じなのだろうか。
彼は目の前でKMF隊のトレーニングに参加している彼女に視線を向けてみる。
別のメニューをしているのか、かなり汗をかいており息も上がっている。
「疲れているのはわかるけど先に汗を拭いた方がいい。風邪を引くぞ」
「あ……ありがと……」
後ろから彼女に声をかけながらタオルを投げかけた少年に扇は視線を移してみる。
少し暗めの銀色の髪にブリタニア然とした風貌の少年、ライも同じメニューをしていたのだろう。
しかし、彼は乱れていた呼吸を数度で整えてそのままトレーニングを再開していった。
「精が出てるな。でも、無茶はするなよ」
「扇さん……わかってますよ……それ位……」
ライの殺人メニューに流石のカレンも呼吸が戻りきらないらしく、まだ息も絶え絶えな様子だ。
その彼女の目線の先にはライがいる。100Mダッシュをしているのだが、扇が見始めてから既に二十本を越えている。
「ライも凄いな、まだ続ける気なのか?」
「そうみたい。本格的に一度やっておきたいって言ってたから」
ようやく呼吸が整ったのか、カレンは膝に手を預けた状態から背筋を伸ばす。
タオルで汗を拭き取りながらも視線はライに向けたまま。その表情を見て扇には何を思っているのかが読めた。
「悔しくて嫉妬するのはいいけど、無理に張り合おうとするなよ。カレンはカレンらしくやればいい」
「それ、ライにも言われた。後、嫉妬とかしてないっ」
135:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:19:01 8k38Uiet
支援
136:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:21:12 X7TjOudS
素っ気無く言いながらも彼女が頬を少し膨らませたのを扇は見逃さなかった。
蓬莱島に来てから主要メンバーにだけ明かされた事実、ライが日本人とブリタニア人とのハーフだという事。
扇はカレンが対抗心を燃やしているのを同じハーフだからなのかと考えてみた。
いや、同じハーフならそこまで意地にはならないだろう。となれば同じエースだからかとシフトする。
今はKMF隊の総隊長。つまり藤堂の一つ下になるが以前は総司令補佐だ。
そしてカレンのパートナー。つまり、もう一人のエースだからかとようやく見当がついた。
そのカレンはライのメニュー表を確認してから深呼吸をしてトレーニングを再開していく。
反対にライはインターバルに入っており動きを止めて呼吸を整えはじめている。
扇は休んでいる彼を呼んで頼み事をしてみる事にした。
「ライ、少しいいか?」
「少しなら問題ないですけど、どうかしたんですか?」
先程までダッシュしていた人間とは思えない整った呼吸をしながら近づいてくる彼に扇は思わず驚いてしまった。
汗もカレンと比べれば雲泥の差であり、ライを実は人間ではないのではないかと疑ってしまう。
「……失礼な事を考えていませんか?」
「あ、いや、スマン……実は頼みたい事があるんだが」
「頼みたい事ですか? 黒の騎士団についてなら僕より―――」
「そういう事じゃないんだ。あ、いや、そういう事だな」
扇の少々要領がはっきりとしない返答にライも思わず頭に疑問符が浮かぶ。
彼なりに思い当たる所を考えたのだが、ピンと来るものが浮かばず扇の言葉を待つ事になる。
扇も少し悩んだのだが他に頼める人物が浮かばず、結局話を続ける事にした。
137:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:22:11 8k38Uiet
支援
138:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:24:12 X7TjOudS
「実はカレンの事なんだが」
「カレンの事ですか。ん? カレン、腕が下がってるぞ」
「言われ……なくても……わ……わかってるわよっ」
程よい匙加減でカレンに注意をするライを見て、扇は頼むに値する事を確信した。
彼女を見る目が優しく見えるのは、気のせいではないと。
「それでカレンがどうかしたんですか?」
「ああ。出来る限りでいいんだが、カレンを守ってやってくれないか?」
いい返事を期待できると扇なりに思っていたのだが、ライは頭を横に振ってノーという答えを示す。
その答えに扇が疑問が抱くのも至極当然だろうと思い、彼は即座に理由を告げる。
「僕や扇さんは団員達やここにいる人達全員を守らないといけない。その中でカレンだけを特別扱いするのは駄目でしょう?」
「そ、そうだな……そうだよな……」
「それに僕は日本に戻る事になりますから、そういう守りきれない約束は出来ないですよ」
組織の上に立つ人間ならではの考え方、それは扇も重々理解している。だからこそ頼みたかった。
戦場の矢面に立つ以上、死の可能性が一番高いカレンは扇にしてみれば一番守ってやれない位置だ。
だからこそ横に立つライならと思ったのだが、世の中そう上手くはいかない。
「ただ、本当に出来る限りでいいなら努力はしますけど」
「それでも構わない。すまないな、無理を言って……」
「それ位ならいいですよ。それにしても扇さんってカレンの父親みたいですね、何かと心配していますし」
「親友の妹だからな。預かっている手前、大事にしたくもなるさ」
139:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:25:58 8k38Uiet
支援
140:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:25:59 42dmyAcm
支援
141:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:27:25 X7TjOudS
そのままナオトの思い出話に移ってしまい小話を続けている間にカレンはダッシュを終えていた。
未だにライは扇と談笑中、つまりトレーニングは中断したままだ。
そこで彼女はここぞとばかりにトレーニングを続けてライに勝とうと目論む。
その行動をライが一瞥だけしたのを見て扇は思わず空を仰いだ。
男女の仲とまでは言わないが、ある程度カレンを理解しているライの行動に扇は一年前を思い出してしまう。
自分にもそうやって理解したかった女性がいた事を。
「千草……」
「チグサ?」
扇が聞き慣れない名前を囁いてから黄昏はじめたのだが、ライはその行動に困惑するしか出来ない。
結局、扇を少し慰めてから放置する事にしてライはトレーニングを再開した。
【ラクシャータの憂鬱】
「んだよ! もう終わりかよ!」
「玉城、しっかりしてくれ……」
シミュレータからぶつくさと文句を言いながら玉城を尻目に、ライはパイロット評価表にメモ書きしている。
KMF隊はトレーニングを終えた後、ラクシャータからの提案でパイロットのパーソナルデータの作成をしていた。
団員達に増減があり再編成も兼ねてだったのだが、彼女にはもう一つの目的がある。
それはライだ。月下の騎乗ログ、そして青月での二度の戦闘。控えめにしていても技術者の目は誤魔化せない。
青い月下に残っていた騎乗ログとの酷似。その月下や青月をそつなく操作する少年。
(ホント、なんなのかしらね。あの子)
142:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:28:35 8k38Uiet
支援
すまんそろそろ離脱しなきゃならん。誰か援護を!
143:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:29:11 42dmyAcm
支援
144:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:29:43 42dmyAcm
支援
145:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:30:25 X7TjOudS
デスクに腰を下ろしてキセルをクルクル回しながらデータを打ち込みつつも、ライの動きを観察を止めない。
KMF隊とは別メニューでハードなトレーニングをしていたのに疲れは見せていない。
一方で同じメニューをしていたカレンはと言えば、彼女の横の椅子でグッタリしている。
男女という差はあるものの、あまりに雲泥の差がある二人の状態。それはパーソナルデータも同じだった。
「お疲れ様です。木下さんは動きがいいですね、このままで大丈夫だと思います」
シミュレータと評価表を交互に見ながら、ライはテストしているパイロットに一人一人声をかけ続けている。
(マメな子ね。オマケに―――)
更新されていくパーソナルデータとは別にライのパーソナルデータを表示させて彼女は思案を巡らせた。
経歴に謎は多いが能力は秀でている。当初、ブリタニア人だと思われていたがハーフである事。
しかも血液検査で皇族のハーフの可能性ありと出たのだが彼女は誰にも明かさず黙っていた。
この情報を秘匿するかどうかより彼女の興味はライの身体能力に向いている。
例えば瞬発力は人間の限界を超えている点、これは騎士団の強敵であるランスロットにも迫る程だ。
機体捌きの仕方が機械の様な正確性にも着眼したい、ミリ単位まで誤差が無いのは驚異である。
さらにエナジーフィラーの過剰消費している原因であるライの操作にも興味が止まらなかった。
細かい機動を繰り返す為に驚異的な動きをしているが、お陰でエナジーを馬鹿みたいに消費している。
(神虎に乗せたら面白いデータが取れそうね。それに―――)
ふと、仏頂面でライを眺めているカレンに彼女は視線を向けた。
不機嫌とまでは言わないが、些か不満そうな表情だ。
「ライ、私はシミュレータはしなくていいの?」
「いいんじゃないか? 気になるならラクシャータに聞いてくれ。次は……」
146:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:32:02 8k38Uiet
最後の支援
>>142
すまないなかせた!
147:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:32:48 42dmyAcm
支援
148:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:32:55 QabS/y5T
支援
149:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:33:18 42dmyAcm
支援
150:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:33:25 X7TjOudS
評価表から目は離さず返事をするライにカレンは少々不服そうにしている。
それを見てラクシャータはからかいも兼ねて話しかけた。
「残念だったわね。まぁボウヤだけが男じゃないんだし、振られても諦めちゃ駄目よ?」
「なっ!? ち、違いますよ! そんなんじゃありません!」
「冗談よ。カレンちゃんがゼロに夢中なのはわかってるつもりよ?」
「ラクシャータさん!」
騎士団のエースの年頃な女の子の反応にラクシャータは思わず笑ってしまう。
とはいえ、ゼロに夢中なカレンしか知らないラクシャータにしてみれば意外な反応だった。
興味の方向は同じKMFのエースとしてだろうとは考えられたが。
(若いわねぇ。でも、良い傾向が続くなら別にいいんだけど)
カレンと話をしながら彼女は紅蓮の騎乗ログを開く。
ライと合流してからの紅蓮の動きのキレが更に増したのにも彼女は興味があった。
いい刺激になってはいるのだが、肝心のライは満遍なく団員達と接している。
強いてあげるならゼロとC.C.が思い浮かんだが、その辺りの事情を知らない彼女にしてみれば興味が無かった。
しかし、彼女的にはカレンだけに絞って貰いたい所もある。その彼女に妙案が閃いた。
「カレンちゃんにもシミュレータをして貰いたいんだけど、仮想の敵じゃ意味がないのよね……」
「藤堂さん達じゃ駄目なんですか?」
「なんか忙しいみたいなのよね…でも、カレンちゃんにはして貰いたいし……」
「そうなんですか……どうしましょう?」
「後はボウヤがいるんだけど、でもボウ―――」
「別にライでもいいですよ?」
151:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:35:42 42dmyAcm
支援
152:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:36:26 42dmyAcm
支援
153:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:36:48 X7TjOudS
少々嫌な笑いをカレンが浮かべているがラクシャータは釣れたと喜んだ。
カレンの技術向上とライの真贋。技術者の性には逆らえないラクシャータの一石二鳥の企みはこうして成功してしまう。
そうこうしている間にライも評価表の作成を終えたのか、ファイルを閉じていた。
「これで大丈夫だ。KMFの細かい調整はそっ……二人共どうしたんだ?」
「ボウヤの明日の予定は?」
「特にはないな、それがどうかしたのか?」
「暇なら予定は決まりね。明日は私と勝負よ」
「はぁ?」
「明日はシミュレータで模擬戦をしてもらうわ、二人でね」
「……新手の冗談か?」
「冗談なわけないでしょ。それにこの際色々とハッキリさせましょ」
「そうね、それもいいんじゃない?」
「なんの話だ……」
ラクシャータは細かい話は明日するとだけ言い残して、二人を置いて自室に戻る事にした。
残った二人はあれやこれやと言い合いをしているのだが、彼女の興味は既に明日にしかない。
部屋に戻りシミュレータの調整と評価項目をまとめていたのだが思わぬ来客があった。
「彼についてわかった事は?」
「そこに置いてあるファイルにまとめてあるわよ」
ディートハルトはライが蓬莱島に来てからどうにも気になったらしい。
彼女が血液検査をすると知った時にはデータが欲しいと申し出た程だ。
「まさか彼が皇族とのハーフとは……危険な存在になりかねませんね、これは」
「あくまで可能性があるってだけよ。サンプル一つじゃ断言は出来ないから鵜呑みにはしないで」
154:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:37:18 42dmyAcm
支援
155:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:37:22 2MXzInFo
支援
156:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:39:17 X7TjOudS
ディートハルトは情報を開示したのかを聞いてきたのだが、彼女なりに思う所もあり質問されない限り黙っている。
それを伝えた時、ある種の予感めいたものをラクシャータは感じた。
「あの子を消すつもり?」
「必要とあらばそうするつもりです。確かに彼も素晴らしい存在ですがゼロという華を咲かせるのを阻害されては困ります」
「あんたもそうだけどホントにゼロばっかりね」
「当然でしょう、ゼロは素晴らしき存在なのですから」
受け取ったファイルを読みながらディートハルトは彼女の部屋を後にしていく。
明日の準備を進めながら彼女は一抹の不安を感じた、ライを失うという可能性について。
しかし、それは科学者として不安であるという事に彼女は自嘲してしまう。
(科学者は人として壊れている。自分は違うとは思っていたんだけどねぇ)
キセルを吹かしながら窓の外に視線を向けて彼女は何を思うのだろうか。
彼女の目の前では煙がゆらゆらと揺れているだけだった。
【乙女心?】
時刻はまだ朝の六時を過ぎた辺り、軍人気質な仙波は既に起床しており食堂でお茶を飲んでいた。
そこにライと卜部も現れ三人で談笑をしている。
「大尉は元気ですな、昨日はあれだけ訓練したというのに」
「早起きは三文の徳、常に心掛けておる」
「サンモン?」
ライが不思議そうな顔をしているのを見て、三人の話題は日本の諺等の話にシフトしていく。
四聖剣にもハーフである事は知らされており、卜部や仙波は益々ライを気に入っていた。
157:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:41:12 2MXzInFo
支援!
158:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:42:11 X7TjOudS
蓬莱島でハーフである事を知らない人間からは風貌の所為もありライはそこそこ疎まれたりもしている。
会話をする団員達でもそれなりに嫌っている人間もいる、根付いてしまった反ブリタニア感情は彼にはまだ厳しかった。
カレンも同じハーフだが初期からの団員でありエースである事等からそういう事はない。
似たような境遇でも違いがあり不憫といえば不憫だが、ライは仕方がないと受け入れている様子だ。
それに聞かれればブリタニア育ちだと公言して取り繕う事をあまりしていない。
当然の結果といえばそれまでだが、卜部はそれでも騎士団に尽力してくれている事を知っている。
仙波にしてみても時代に振り回されている事を不憫に思っていた。
「とは言え、いよいよ総隊長殿に跡継ぎを任せる日も近いですな」
「何をおっしゃっているんですか、大尉はまだ必要です。そう弱気にならんで下さい」
「そうですよ。それに僕やみんなにも仙波さんはまだまだ必要です」
「はっはっはっ、これは手厳しいな。しかし、これで老骨に鞭打つ甲斐が出てきましたな」
話も色々と盛り上がり時刻は七時になろうかと言う辺りで、二人は訓練をする為に食堂を後にした。
その二人を見送った後、ライは湯呑みを見つめて何かを考え込んでいる。
そこに自主訓練を終えた朝比奈と千葉が朝食を食べに来た。
なにやら神妙な面持ちをしていた筈なのだが、二人を見つけた彼の表情はいつもと同じだった。
「茶を好むとは変わっているな。あちらでは紅茶やコーヒーが主流なのだろう?」
「そうですね。でも日本茶も美味しいですから、つい」
「へえ。育ちが違ってもそういうのはわかるんだね」
和やかなムードなまま談笑の二回戦がはじまり、話題はKMFへと移っていく。
黒の騎士団の新しい主力機になるKMF【暁】についてだった。
159:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:42:53 2MXzInFo
支援
160:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:45:16 X7TjOudS
「暁についての評価を読ませてもらったのだが、実に的確でわかりやすかったぞ」
「要所も丁寧にまとめてあったしね。案外、技術職の方が向いてるんじゃない?」
「そうですか?」
斬月や青月は暁の流れを汲んだKMFでもあり、その事からライは月下との違い等を逐次まとめていた。
先の評価表を作成する際にも誰を暁に騎乗させるかのプランも織り込まれてある。
とは言え、ライも暁に関してはカタログスペックでしか知らない点が多いと注釈もしてあった。
それもあり二人は疑問点について質問していたのだが。
「やっと見つけた。ライ、今日の約束を忘れたの?」
「ん? ああ、もうそんな時間だったのか」
「ほう。デートの約束かい? 二人とも隅に置けないね」
「ち・が・い・ま・す・! 朝比奈さんまでラクシャータさんみたいな事言わないで下さい」
朝比奈のからかいもそこそこにカレンはライの肩を掴んで急かしている。
まるでおねだりする妹とせがまれる兄の様な図に二人は少し笑ってしまう。
「わかったから揺すらないでくれ。それより服装の乱れが少し酷いぞ」
「えっ、どこ?」
「上着のボタンだ、掛け違えている」
「ホントね……っと」
「まるで目の離せない子供みたいだな」
「もう、からかわないでよ!」
会話しながら食堂を後にしていく二人を眺めながら千葉は少々思い耽っている。
それを見た朝比奈は間髪を容れず彼女を口撃した。
161:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:46:22 2MXzInFo
支援!
162:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:47:14 42dmyAcm
支援
163:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:48:03 42dmyAcm
支援
164:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:48:58 X7TjOudS
「千葉も紅月みたいに藤堂さんへ積極的にいってみたら?」
「なっ!? べ、別に紅月を羨ましくなど思っていないぞ!」
「俺はそんな事言ってないけど?」
「朝比奈っ!」
千葉凪沙。武人としては一流でも心は未だに乙女であった。
「でも色恋には遠いよね、あの二人の関係って」
「そうだな、あれでは兄妹にしか見えん」
お茶に醤油を入れて飲む朝比奈に呆れながらも千葉は嫌な予感を感じてしまう。
それは虫の知らせなのだろうか。
【頂上決戦】
「見事な動きだ。無駄も少ない上に相手をよく見ている」
「この結果も当然の帰結ってわけ?」
「ああ。紅月の動きも良いが相手との相性もあるだろう、あれでは勝てん」
シミュレータ終了の合図音と共に外部モニターが表示した結果はカレンの勝利、総合結果は二勝六敗。
「また手を抜いたでしょ!」
「悪かった、謝るから怒らないでくれ」
ライがシミュレータの上で両手を挙げて降参の合図をしているのだが、カレンの怒りは収まらない様子だ。
藤堂は先程からの対戦のログから斬月の運用法を煮詰めている。
専用機という事もあり完全にパーソナライズされてはいるが怠って良いことでもない。
それもあってライとラクシャータに聞きに来たのだが、当の本人達はシミュレータの相手に忙しかった。
165:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:51:35 2MXzInFo
支援
166:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:52:15 X7TjOudS
「まさか可翔式をここまで翻弄するなんてね、ちょっと悔しいわ」
「いや、あれは決闘用の動きだ。戦略的に見ればあの動きでは駄目だろう」
ライが敗北した二戦は動きが控え目だった。ラクシャータから聞いていたエナジーの過剰消費の問題点。
それを彼なりに対処しようとした結果、スピードとマニューバに付け入る隙が出来てしまっていた。
戦っていたカレンもその違和感に気付いており不満が色々と溜まっている。
「大体、君は輻射波動に頼りすぎだ」
「決め手なんだから当然じゃない」
「だったら相手にそれを読ませるな、もっと間に動きを挟んで意図を隠すべきだ」
「それを読めるのは貴方位でしょ……」
模擬戦中にライは一度も紅蓮の右手に一度も捕まらなかった、つまり掴もうとしたのが読まれていたという事だ。
砲弾を撃つ時もミサイルでかく乱しても意図が読まれて直撃は一度も無かった。
カレンが二勝を決めたのは左手のグレネードと小型ナイフ。つまり今回に関しては輻射波動は役に立っていない。
逆にライはバリエーション豊富で、輻射波動を含め使っていない兵装は無しだ。
時には廻転刃刀とスラッシュハーケンと左腕部の輻射波動のコンビネーションまで使っている。
「ランスロットもあれ位はしてくる。でも、カレンの左の使い方には驚かされたよ」
「褒めてもらってもこの結果じゃ納得がいかないわ」
「相性の問題もある、それに一対一と限定されているからこうなっただけだ」
「実戦なら結果は違うとでも言いたいの?」
「仲間もいるだろうし敵も他にいるだろうからね。だけどカレンの動きが荒いのも事実だ」
カレンやスザクの様に直感とセンス、そして機体性能に存分に発揮するパイロットとKMFは脅威である。
しかし、先読みと戦術眼と共に行なわれる理詰めの戦い方の前では少々脆い。
167:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:53:36 42dmyAcm
支援
168:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:55:08 42dmyAcm
支援
169:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:55:53 X7TjOudS
勿論それを並行して行なう事を可能にするライの身体能力と青月の性能があればこその今回の結果だ。
「紅蓮の性能でカバー出来ているけど、もっと小手先の技を使う事を考えた方がいいんじゃないか?」
「空中戦で地上戦みたいにしろ、を簡単に言わないでよ……」
「今まで出来ていたんだから出来るだろう?」
「もう、他人事だと思って……それより、戦ってて思ったんだけどライの攻撃も見境無いわよね。色々と」
「……カレンに言われると釈然としないのはなぜだ?」
「どういう意味よ、それ」
「君はフェイントをかけたらすぐに突っ込んでくるじゃないか。あれじゃ闘牛場の牛と同じだよ」
「私が見境無しに猪突猛進してるみたいな言い方しないでよ!」
カレンの紅蓮の動かし方を真面目に討論しているだろうが、ライの言い方はどうにも直球だけだ。
二人の喧騒を傍目に藤堂はライがそこまでカレンの動きを観察していた事に驚いていた。
ライが手加減をしてはいないのはKMFの動きで読めていたのだが、相手を冷静に分析しながらとでは話が違う。
言うは簡単だが実力が切迫している相手にそれを行なうのは至難だ。
「見識も見事だな、外側から見ている我々よりも的確な部分の指摘もある」
「でも言い方がちょっとね。カレンちゃん相手にあれじゃ怒るでしょ」
「確かに……彼はどうにもちぐはぐだな」
勝手知ったる仲と言えば聞こえは良いのだろうが、少々遠慮が無さ過ぎる。
カレンもあれやこれやと表現の悪さに文句を言っているのだが、ライのあしらい方は手馴れている様子だ。
「変な距離よね。友人でもなくて親子や兄妹とも違うし」
「そういう関係なのだろう。うむ、おおよそは掴めた。ラクシャータ、これで調整を頼む」
「お任せあれ。う~ん……ついでに紅蓮の調整プランも練り直そうかしら」
夫婦喧嘩は犬も食わないとは言わんばかりに二人は喧嘩の仲裁もせずその場を後にしていく。
誤解は更なる誤解を生んだり生まなかったりである。
170:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:56:08 42dmyAcm
支援
171:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 08:57:20 42dmyAcm
支援
172:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
08/11/20 08:57:21 X7TjOudS
今回はこんな感じで申し訳ないです
これからの本編中に挟めそうにないのでこんな形にしてみました
まだ先があるのですが投下の時間がかかりそうだったので
今回は前編として後編はまた後日にでも投下します
体調を崩したのはいいのですが、いやよくないですが…
音信不通になってしまって申し訳ないです
崩すとPCに近付けないのは辛かった…
みなさんもライ調管理には気を付けてましょう
では、失礼します
173:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 09:00:02 42dmyAcm
>>172
お疲れ様でした
身体を大事にしてください
それにしてもライとカレンのやり取りはGガンのシュバルツとドモンの闘いのようだw
174:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 09:53:00 Vaw8HIdF
>>172
GJ! 健康にはお気をつけて。
しかし年頃の男女だというのに色気のないやり取りだなこの二人は。
まあ、それがらしいといえばらしいのですが。
175:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 10:16:13 2MXzInFo
>>172
ぷにぷに卿、GJでした!
カレンを実の妹、あるいは娘の様に大事にしている扇さん。
多くの悩みを抱える彼の行く末がどうなるのか気になる所でございました。
ラクシャータの科学者としての不安、すなわちライという存在、その有用性を失う事を心配している。
しかしながら、それを自覚してれば壊れては……ロイドさんも自覚してたな、そういや。
四聖剣の面々、特に仙波さんのナイスミドルっぷりがイイ! 凄くイイ!
そしてカレンとライの微妙な距離感もなかなか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
176:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 13:18:53 60P9vvgo
>>172
GJでした!!
ライとカレンのやり取りが、どことなく新鮮な感じがして良いなぁ。
ライが乗る機体の燃費が悪いのも納得できましたw
こういう説明が無いと、単に機体に嫌われる不憫な子ですからねw
次の投下を楽しみにお待ちしております。
177:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 17:38:38 tBr6uyt3
お疲れ様でした!
ライと黒の騎士団のからみが自然で読みやすかったです
体調には気をつけてください!次も楽しみにしてます
ところで145に強敵であるランスロットとありますが
身体能力なのでスザクでは?
間違ってたらすいません
178:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 21:17:27 p6U4xm4Y
このスレの新たなジャンル確立のため、他ロボットアニメとのクロスオーバーネタを執筆中(何かは言えませんが多分ギアスを見ていた皆さんならかなりの確立で知ってると思います)。
完成したら投下する予定だけど、ここに落として良いんですかね?
179:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 21:20:01 regvAfin
>>178
クロスものならここよりarcadiaとかの方が向いてると思うよ
180:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/20 21:22:34 aSL4Zj6O
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#前スレ>>604の続き、第3章後編とエピローグを一気に投下。2期のネタバレあります
#メインは生徒会メンバーとロスカラ最強のあの人
#軍人篇のライはスザクスザク言い過ぎ。ひよこの刷り込みのようだ
終了含め13レス、21時30分よりのんびり投下予定です。お手すきな方がいらっしゃいましたら支援願います。
181:名無しくん、、、好きです。。。
08/11/20 21:25:23 42dmyAcm
支援
182:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/20 21:31:36 aSL4Zj6O
《クラブハウスにいるあの少年ですが》
モニターにひとりの少年の個人IDデータが表示される。生年月日、出身地、経歴。
ただしそのデータの大半が作られたものだと知るものは、今この部屋にいない。
《かねてより枢木卿の指示があった少年です。今回、軍務を離れ復学した模様》
「復学の理由は」
《申請では官僚試験の準備となっています》
「ふん、優秀な男のようだな」
《監視対象と親しいようですが問題はないのですか?》
「万が一C.Cに関わった場合のみ、身柄の確保を命令されている。コーネリア皇女殿下の
親衛隊だった男だ、特に問題はないだろう。…本日の報告を聞こう」
この日も型通りの報告が終わり、地下室の会議は解散になる。報告員が部屋を去ると
それまで沈黙を守っていた小柄な少年が褐色の肌の女に問いただした。
「彼、ライの記憶は操作されているのですか?行動に不審な点があります。
…問題にならないうちに処分してしまうほうがよいのでは?」
「『C.Cとギアスに関わらない限り彼に干渉するな』。枢木卿からの厳命だ。手を出すな」
「…イエス、マイ・ロード」
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 3*偽り の 学園(後編)
183:(・∀・) ◆nJT0b6Jals
08/11/20 21:32:49 aSL4Zj6O
アッシュフォード学園に復学してから2ヶ月が過ぎた。
注意深く観察した結果、学園の異変はルルーシュを中心に起こっているのだけは理解した。クラブハウスを始め
学園のあちこちに設置された監視カメラまで見つけるに至って、事の異常さがハッキリする。渦中のルルーシュには
例のロロという少年が常に張り付いていて隙を見せないのも相変わらずだった。
いっそロロにギアスを使って…とも考えたけれど、過去を思い出してから僕はギアスの力を使わないようにしている。
もう二度とギアスの暴走による惨劇を繰り返したくないし、ギアスの力がなくとも僕を必要としてくれる人たちに出会えた。
それだけで充分だった。
そしてなにより僕の中にある何かが《ロロに関わるな》と警鐘を鳴らしている。ブラックリベリオン以降
僕は自分の直感を信じるようにしていた。
今日は授業を休み政庁を訪れていた。学園に新しく赴任している教師たちに軍の人間と思われる者が多いので、
データベースで身元の照会をしてみようと考えたのだ。一応休職扱いなのでおおっぴらに端末を借りる訳にも
いかず頼りのギルフォード卿は不在で困っていたら、ちょうどグラストンナイツのデヴィッド卿と出くわした。
彼らグラストンナイツは亡きダールトン将軍から僕の話をいろいろと聞いていたらしく、なにかと良くしてくれる。
いわく「ひょっとしたら兄弟になっていたかも知れないしな!」だそうだ。
僕を養子にしたかった、と言ってくれたダールトン将軍。
あの日、コーネリア様のグロースターを貫いていたランスが将軍のものだったことは公にされていない。
彼のこれまでの功績・人望・名誉全てが失われるような話を、ただの状況証拠だけで決めつける訳にはいかないのだ。
僕だって将軍がそんな事をするとは考えられない。あの夜、おそらくダールトン将軍と最後に会話をしたのは僕だ。
その時の将軍の苦しげな声を思い出して僕は唇を噛み締める。ひょっとしたら彼はゼロに脅されていたのかもしれない。
ひとりで行かせるべきじゃなかったんだ。