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そもそも事実として、マーラーが今日のようにどのオケもやる標準レパートリーに
入ったのは1980年代のこと。当時はマーラーブームという言い方さえあった。日本が
遅れていたわけではなくせいぜい数年差。マーラー自身は1911年に亡くなったときに
「50年後には私の時代が来るだろう」と言ったが、実際は70年近くかかったわけだ。
で、その標準レパートリー入りに功績のあった指揮者の1人がインバル。フランクフルト
放送響との全集で、世界的に高い評価を受ける。勿論同じような貢献をしても、例えば
精神分析的アプローチが生前は注目されたシノーポリなんかは、死後名を聞くことは
ほとんどないが、インバルは今でも高い評価を受けている。
上でアバドの名が挙がっているが(勿論アバドのほうが好き、とか、良いと思うのは自由だが)
こうした時代を経て、重要ポストについていてマーラーはだれもが振る状況でアバドは取組んでいる
わけで、価値判断を抜きにしても、今われわれがマーラーを楽しんでいることに与えた影響の大きさは
インバルに勝る者はそうはいないよ(それこそ、直接的に指揮者としてマーラーの
弟子だったブルーノ・ワルターの話なんかから始めたらきりがないから、現状に与えたインバルの
存在の大きさの話にとどめておく。その上でインバルとは合わない、と思うのもまた
自由だが)。