09/09/29 19:08:44 bVLDJ3SzO
てか アナチンの末路初めて知ったわw
731:ゲームセンター名無し
09/10/03 00:53:39 QU0R2JjS0
それから二人の間に持たれた話し合いはそれ程長くはかからなかった。
ベイダーの態度は今度はだいぶ紳士的だった。
ベイダーはどこか別の星から来たとか何とか言っていたが、ルイズに理解されないのがわかるとすっかり諦めたようだ。
「銀河帝国」、「ハイパースペース」、そして「フォース」……彼が力説していた未知の用語の数々。
「ねえ、ベイダー」
「“卿”か“ダース”を付けろと言ったはずだ」
「だーすって何よ?」
「シスの暗黒卿に対する敬称だ」
「あんたの二つ名だっけ?それはともかく、あんたって友達少ないでしょ」
「……」
結局、超空間航法どころか宇宙に出る手段さえないことがわかると、ベイダーは珍しく落胆した様子だった。
結果としてベイダーが帰還するための方途を見つけられるまで、ルイズは生活の糧とこの土地の知識を提供し、一方のベイダーはルイズに対して従者の礼を取るという約束が両者の間で取り交わされた。
ルイズが貴族であるという事実が、少しばかり功を奏したらしい。
「僕は貴婦人の扱いには慣れてるんだ」
笑えないジョークだった。
732:ゲームセンター名無し
09/10/03 00:56:25 QU0R2JjS0
夜も更けた。
寝床としてルイズが用意した藁束をにべもなく拒絶し、ベイダー卿は書き物机の前の椅子に座った。どうやらそこで眠るつもりらしい。
ネグリジェに着替えたルイズは、消灯する直前になって、ふと昼間のルーンのことを思い出した。
「そう言えばあんたの手の甲のルーン、コルベール先生が興味津々だったみたいだけど、ちょっと見せてくれる?」
「ルーン?これのことか」
ベイダー卿が左手を裏返して甲を示した。
「うーん、やっぱ見たこともない形ね。一応わたしも写しをとっておこうかな。もっかい見せて」
「ちょっと待て」
ベイダー卿はルーンが刻まれた手を少しいじると、もどかしそうにその表皮を脱ぎ捨てた。
「ちょっ……」
「ただのグローブだ。気にしなくていい」
その下から現れた金属製の義手をカチャカチャ動かしながら、こともなげに彼は言った。
ルーンが着脱可能な使い魔
♪ありえないことだよね
733:ゲームセンター名無し
09/10/03 00:59:33 QU0R2JjS0
教室は一種異様な雰囲気に包まれていた。
コントラクト・サーヴァントの儀式の翌日。
クラスメートに向かっての新しい使い魔のお披露目的な様相を呈する朝一番の授業。
さながら多種多様な珍獣たちが織り成すショータイムだった。
だがそこに、明らかに周囲から浮いた存在感を放つ人影が鎮座していた。
言わずと知れたベイダー卿である。
使い魔を教室に連れてくるか否かは主人次第であるが、ベイダー自身が出席を強く希望したのである。
だが…
「コーホー、コーホー」
734:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:02:17 QU0R2JjS0
「ミス・ヴァリエール、あなたの使い魔はもう少しなんとかなりませんか?」
使い魔たちがみな静かにしているとは限らないのだが、ベイダー卿の呼吸音はやけに規則正しいだけにどこか威圧的で、生徒たちの集中をかき乱すことこの上ない。
授業を担当するミス・シュヴルーズがとうとう耐えかねて注意した途端、教室に妙な解放感が漂った。
「はい、ええと…」
ルイズが隣の席に巨体を収めたベイダーの方をちらっと見る。
しかしベイダーは腕組みしたまま意に介したそぶりもない。
当然ながら眉一つ動かさない。
「気にせずに授業を続けるがいい」
貴族に対する口の聞き方もなっていない。
「でも迷惑なのです。あなたのその呼吸音。コーホー、コーホーって」
ベイダー卿が種族としては人間であり、しかもメイジではないことは彼自身から言質がとれていた。
つまり、この世界での身分でいえば平民であるということだ。
興味津々といった風情の同級生たちに、既にルイズは朝食の席で彼女が理解できた範囲でベイダーとの話し合いの内容を語って聞かせていた。
平民の使い魔というのもなんだけど、余計な恐怖心を抱かれる方がもっと心配だった。
結果、一部の生徒は昨日ベイダー卿が見せた力への警戒を緩めることはなかったが、大部分は貴族としてのプライドの方を優先し、あからさまにベイダーとルイズを見下し始めていたのだ。
735:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:13:31 QU0R2JjS0
ベイダーの呼吸音はそんな生徒たちの神経を逆なでしていたものの、自分が率先して注意する筋合いでもないので我慢していたのである。
ミス・シュヴルーズが注意してくれた時、そんな生徒たちがいっせいに清涼感を味わっていた。
「教室から出て行ってはもらえませんか?」
温厚な中年女性であるシュヴルーズだが、貴族としてのプライドが虚勢を後押しし、一見丁寧なその言葉の中にも有無を言わさぬ迫力が込められていた。
「あの、ミス…」
どうにかして弁解しようとするルイズを片手で制してから、ベイダー卿はさらに不遜な態度で声を発した。
「僕はこの教室にいてもいい」
すると…
「あなたはこの教室にいてもかまいません」
一瞬呆けたような表情を浮かべ、ミス・シュヴルーズは復唱した。
「お前は気にせずに授業を続ける」
「わたしは気にせずに授業を続けます」
736:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:16:48 QU0R2JjS0
「代わりにあの生徒が廊下に立つ。」
ベイダーが一人の少年を指差した。
「ミスタ・グラモン、廊下に立ってなさい」
「ええっ!?」
「さっきのあれ、どうやったの?」
ルイズがベイダー卿に尋ねたのは、二人だけで授業の後始末をしてる最中だった。
「フォースの基本だ。心の弱い人間ほど簡単に動かすことができる」
「心が弱いって、相手はれっきとした貴族でメイジなのよ?」
「フォースの前では何というほどのこともない」
言いつつベイダー卿が軽く手をかざすと、砕けた花瓶の破片が集まってくずかごに飛び込んでいった。
737:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:19:04 QU0R2JjS0
一方のルイズはススだらけになった床の拭き掃除をしていた。
「ねぇ、ベイダー」
「卿を付けろと言ったはずだ、マスター」
「……あんたさっきから突っ立ってるだけじゃない。なんでわたしがこんな肉体労働を…ブツブツ……」
「そんなことを言うのはどの口だ。二度と声を出せなくするぞ」
ギーシュが去った教室ではその後順調に授業が進んでいったものの、『錬金』の実演を求められたルイズが石ころに向かって杖を振り下ろした途端に爆発が起こり、何もかもが台無しになった。
「ちょっと失敗したみたいね」
そう言ってボロボロの姿のルイズがスス交じりの黒い煙を吐き出した時には、ミス・シュヴルーズは爆発のあおりを受けてひっくり返り、あらかじめ机の下に避難していた生徒たちにも被害が及んでいた。
教室の中はさながら阿鼻叫喚の地獄だった。
「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」
「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」
そんな怒号が響き渡る教室の外では―
738:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:32:27 QU0R2JjS0
「きっ、君はいつの間にここに?」
「フォースの導きだ」
唯一被害を免れたのは、廊下に立たされていたギーシュと、爆発の直前に誰にも感知されないスピードで教室を出ていたベイダー卿だけだった。
ミス・シュヴルーズはその後2時間息を吹き返さず、ルイズは教室を可能な限り掃除しておくことを命じられた。
罰として魔法を使うことは禁じられていたものの、ルイズは元々ほとんど魔法が使えない。
そしてベイダー卿の力は禁じられていない。
主従が逆転したかのような有様だったが、思っていたより早く掃除は終わった。
「なんで授業に出ようだなんて思ったの?」
昼休みまで少し時間がある。誰も居ない教室で、手持ち無沙汰のルイズは思い切って尋ねてみた。
「この星の魔法と呼ばれる技術体系は、僕の手持ちのフォースの知識だけでは説明がつかない。この魔法とやらを研究し、知識を持ち帰れば皇帝もお喜びになるだろう。そして―」
(パドメを救う助けになるかもしれない)
739:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:38:48 QU0R2JjS0
「そして? …まあいいけど。わたしからすれば、あんたの力の方が謎だけどね」
「それよりもマスター、気になるのは君の魔法の腕だ」
知識を習得するため集中して授業を聞いていたベイダーには、ルイズの使った魔法がその体系から逸脱したものであったことがわかった。
「皇帝が聞いたらさぞかし失望するだろう。皇帝は僕ほど寛大ではない」
「あんた昨日逆のこと言ってなかった? て、ていうか放っといてよ」
「ゼロのルイズ、か。なるほどな。もっと幼ければ僕が鍛えてやるのだが、残念だ」
(ろ、ロリコン…?)
740:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:41:12 QU0R2JjS0
普段は和気藹々とした昼食の風景も、やはりたった一人の存在のせいでいつもとはかけ離れた雰囲気になっていた。
「コーホー、コーホー」
ベイダー卿は当然のようにルイズの向かいの席に座り、腕組みをして身動き一つしなかった。
実際のところ何を見ているのかわからないのだが、マスクの眼窩は常にルイズを凝視しているように見える。
監視されているかのような居心地の悪さをルイズは感じていた。
まぁ、ルイズはまだ我慢できるからいい。
問題は残りの生徒たちだった。
(飯が不味くなる…)
口には出さないものの、大部分の生徒が感じていた。
人が食事をしている時間は、ベイダー卿にとって退屈だった。
マスクが外せないのだから、当然物を食べることはできない。
手術の時間を含めてもう何日も食事をしてないのだが、不思議なことに空腹を感じることはなかった。
そもそも消化器系は残っているのだろうか?
741:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:44:06 QU0R2JjS0
光学センサーのピントをあちらこちらに合わせて退屈しのぎをしていると、メイド服を着た少女がデザートのケーキをトレイに載せて運んでくるのが目に映った。
短めの黒髪と、貴族たちとはやや色調の違う肌。
ほぼ単一に見える種族の中で、その姿は軽いアクセントを加えていた。
危なっかしい足取りだ。そう思ってしばらく注視していると、その少女がベイダー卿の視線に気づいたのかふと彼の方を見た。
貴族の食卓に堂々と座を占める異様なその風体は、彼女の動揺を誘うのに十分だった。
「あっ」
軽い声と共にお盆が傾き、白磁の皿に乗ったケーキが一切れ宙に舞った。
ベイダー卿が咄嗟に片手を伸ばしたが、間一髪フォースが作用するより先に、ケーキは一人の生徒のマントを羽織った肩に着地した。
…当然、クリーム地をの方を下にして。
「き、キミィ…」
貴族の証たるマントを汚され、ギーシュ・ド・グラモンはゆらりと立ち上がった。
742:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:48:05 QU0R2JjS0
それまで微動だにしなかったベイダー卿が突然片手を伸ばしたことで、彼の周りでも惨事は発生していた。
まずルイズがスプーンを放り出して椅子から転げ落ち、太っちょのマリコルヌは頬張っていた
大量の肉片を正面の生徒に向かって噴き出した。
皿がいくつも飛び、フォークを口腔に刺してしまう生徒さえいた。
自分が起こした数々のハプニングには目もくれず、ベイダー卿はギーシュがメイドの少女を叱責するのをその強力な聴覚で聞いていた。
曰く、「平民風情が」
曰く、「貴族に向かって」
曰く、「国に帰りたまえ」……
子供時代を砂漠の星で奴隷として暮したベイダーの胸の内で、暗い情念が沸々と湧き上がるのが感じられた。
743:ゲームセンター名無し
09/10/03 01:51:19 QU0R2JjS0
(これだ…)
昨晩目を覚ましたときから感じられていた違和感。
今ようやくその理由が確信された。
ダークサイドに転落しきったはずの自分が、いつの間にかライトサイドに復帰していたのだ。
かろうじて一線を踏み越える直前の感覚に戻っていた。
その時既に持っていた闘争心はともかくとして、渦巻く暗い憎しみが霧散していた。
ルイズが言っていた『契約』のせいだろうか。
いかに凶悪な獣も、主人たるメイジと契約することで馴化されるという話だ。
ベイダー卿にとっては今感じられる怒りが貴重なものに思えて、もう少し野放しにしてみることにした。
元々ボキャブラリーの貧弱なギーシュの叱責はそう長くは続かず、彼はメイドを手振りで遠のけると、着替えのためにその場を立ち去ろうとした。
その椅子の上に小瓶が転がっているのにメイドが気づき、よせばいいのにギーシュを呼び止めた。
「あの、これ落としましたけど…」
「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」
「でも確かに…」
744:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:07:10 QU0R2JjS0
その小瓶の出所に気づいたギーシュの友人達が騒ぎ始めた。
「おお? その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」
事態はあっという間にメイドの手を離れた。
騒ぎ立てる友人たちと、それを抑えようとするギーシュ。
そこにこのところギーシュが口説いていた後輩の女生徒が通りかかり、状況はますます紛糾していった。
名指しされたモンモランシーという金髪の少女が騒ぎを聞きつけてやって来る。
こうしてメイドの少女の目の前で繰り広げられていた修羅場は、ギーシュがモンモランシーに香水を頭からぶちまけられるという破局で収拾がついた。
収まらないのは二股をかけていたギーシュだ。
「君が軽率に香水の瓶なんか拾い上げてくれたせいで、二人の名誉が傷ついた」
ギーシュの怒りの矛先がメイドの少女に向いた時、ベイダー卿は残忍な喜びを感じながら席を立った。
人並みを蹴散らし、腕組みをしながらメイドの背後に立つ。
「それくらいにしておけ、童貞」
745:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:11:39 QU0R2JjS0
その瞬間、シ…ンと食堂内の喧騒が収まった。
「どどど……。そ、そういえば君はさっきも僕をコケにしてくれたな。ゼロのルイズの使い魔だけあって、どうやら貴族に対する礼儀を知らない平民のようだ」
「だったらどうする?」
ベイダー卿の挑発。
いつの間にか食堂内の全員がこちらを注視していた。
メイドは泣きそうになりながら二人の顔を交互に見る。
ルイズもやって来たが、ベイダーが放つ迫力に声をかけられないでいた。
746:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:14:20 QU0R2JjS0
ギーシュは改めてベイダー卿を見上げた。
身長は彼より頭一つ半は高い。
単純な腕力では勝ち目はなさそうだ。
だが、たかが平民だ。
魔法を使う貴族に、平民は絶対に勝てない。
その絶対の確信が、彼に虚勢を張らせていたものの、揉め事は回避したい。
結果として、挑発に乗るのは貴族のあるべき振る舞いではない、そんな論理が弾き出された。
「ふ、行きたま……」
「怯えているな」
畳み掛けるようなベイダーの口調。
「お前の恐怖が見える。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦痛に、苦痛は暗黒面につながる。心地よいぞ。さあ、怒れ…」
「けけけ、決闘だ!」
耐え切れなくなったギーシュが叫んだ。
747:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:19:22 QU0R2JjS0
ルイズとメイドの少女が顔色を変える一方で、事態の推移を固唾を呑んで見守っていた生徒たちはギーシュの宣言に歓声を上げた。
「ヴェストリの広場で待つ」
そうとだけ言い残して、ギーシュは半ば逃げるようにその場を去った。
ヴェストリの広場は魔法学院の敷地内の『風』と『火』の塔の間にある中庭であるが、当然ベイダー卿はそのことを知らない。
メイドに尋ねようと思ったが、彼女はいつの間にか逃げ去っていた。
「ベイダー!」
とりあえずギーシュと同じ方向に歩き出そうとするベイダー卿の前に、青ざめた顔のルイズが立ちふさがった。
「いい加減に『卿』を付けることを覚えたほうがいい。それよりもマスター、ヴェストリの広場というのは?」
「お、教えるわけないでしょ!お願いだから決闘なんて馬鹿な真似しないで」
ベイダーは一瞬考え込む素振りを見せた。
「…なるほど、敷地の西か」
「……! かか、勝手に心読まないでよ!」
「この体の慣らしがしたいと思っていたところだ。ちょうどいい」
ルイズを押しのけ、歩き出すベイダー。
748:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:26:28 QU0R2JjS0
「待ちなさいよ!あんたは多少の力を持ってるかもしれないけど、平民は魔法を使える貴族に絶対に勝てないの! 怪我じゃすまないかも知れないのよ!」
ルイズはベイダーのマントを掴み、なおも追いすがる。
その鼻先に、ベイダーが指を突きつけた。
「僕は決闘してもいい」
「決闘、していいわ」
ルイズの指がするりとマントを離れた。
「お前は僕の心配などしない」
「わ、わたしは心配などし…しな……べっ別にあんたの心配してるわけじゃないんだからねっ!」
その回答に満足したのか、ベイダーは決闘の地へと再び歩を進めた。
749:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:39:31 QU0R2JjS0
ルイズは彼が食堂から出て行くのを呆然と見ていたが、やがて我に帰ると後を追って走り出した。
ヴェストリの広場は物見高い生徒たちでいっぱいだった。
当然、その中心に立っているのは一方の当事者であるギーシュ・ド・グラモン。
「やっちまえ、ギーシュ!」
「生意気な平民を叩き潰せ!」
「ギーシュ様~!」
やはりベイダーに対してストレスが溜まっていたのだろう、同級生だけではなく、上級生も下級生も口々に勝手な声援を送っている。
ギーシュは魔法の杖である造花の薔薇を口にくわえ、その声援に応えるように片手を挙げていた。
だが、放っとくと震えそうになる膝頭を押さえ込むのには、かなりの精神力を要した。
(な、なんで決闘なんて申し込んでしまったのだろう…)
ベイダーの言葉を聞く内に心を鷲づかみにされるような嫌な感覚に捕われ、半ば強制されるようにして決闘を宣言してしまったのだ。
だけど、今からやめると言ったところで、この無責任な観衆は聞く耳を持たないに違いない。
そんな騒乱きわまる広場だったが……
「コーホー」
750:ゲームセンター名無し
09/10/03 02:46:53 QU0R2JjS0
その途端、ぴたっと歓声が止んだ。
太陽が中天に差し掛かったところだというのに、誰もがその瞬間に寒気を覚えた。
号令でも受けたかのように人波がさっと二つに割れ―
シスの暗黒卿がギーシュの眼前に姿を現した。
一方のベイダー卿は腕組み仁王立ちの姿勢のまま。
どちらが格上かは一目瞭然だった。
すっかり余裕を失ったギーシュは、いきなり薔薇を振った。
「僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
枝から離れた薔薇の花が一片地面に舞い落ち、戦乙女の姿をした人間大の青銅の人形が地中から出現した。