22/04/15 15:07:40.73 MZUsXzAB.net
先週ある課題曲をそれなりに弾き込んでレッスン行って弾いてみてら、全く弾けなかった。自分ではそれなりに弾けるだろうと思ってたのに、まさか。本当に頭が真っ白になって何秒も静止してしまうレベル。先生もフォローも困るくらいの演奏、とは言えないレベル。弾き終わってからのことはよく覚えていない。早くこのレッスンが終われとひたすら思いながら上の空で優しい先生の懸命な励ましをきいていた。帰路、本当に悔しくて悲しくて、タバコを3年ぶりに吸った。ヤニクラでぼんやりする頭で、何が原因なのかうつろに考えていた。
家では電子ピアノ、教室はアップライト。家ではイヤホン、教室は生の音。椅子の高さ、照明の色の違い、聞いてる人がいるかいないかの違い、鍵盤やペダルの重さの違い、それに精神的にリラックスできているか出来ていないか、など。色々思い当たるところはあったが、どれもが原因のようにも、どれも原因ではないようにも思えた。
一週間後のレッスンでは絶対に同じ事を繰り返したくなかった。なのでその一週間は仕事休んで本気で毎日10時間以上その曲だけを弾き込んだ。（仕事フリーランスなので休もうと思えばいくらでも休める）
そして迎えた次のレッスン。少し離れた駅に教室はあるので、レッスンの直前までピアノ弾いていられるようにと教室の近くの生ピアノが弾けるスタジオにレッスン直前まで4時間入ってから教室へ向かった。
それじゃあ、曲やりましょうか。そう言う先生の言葉にはいと小さく頷き、両手を最初の位置に置いた時、不思議と全く緊張していない自分がいた。目を閉じて最初の旋律を奏でると、音楽と自分が一体化していることに気づいた。3分後、本当に、ほんとうにその時の自分が弾ける最高の演奏をしきった自分がいた。最後の和音を静かに重ね、それが完全に減衰しきったのをまってから鍵盤から手を放すし、先生の方を見やると、なんと先生は泣いていた。
「前回のレッスンの後、田口さんもしかしたら辞められてしまうかなとか思って。。でも、今この曲聞いて、本当に驚いちゃいました。本当に素晴らしい演奏でした。本当に、よかった！」
それからさらにこうすると良いよねという所を先生と二人で確認してその日のレッスンを終えた。外に出て駅までの道を歩きながらこの一週間のことを振り返った。本当にピアノのことしか考えていなかった一週間。思い返しているうちに一つ確信したことがある。それは、レッスンに行くと弾けないのは、ただ単に練習が足りていないだけなんだということ。弾き込めていないということ。
練習はたくさんすれば上手くなる。そんな単純な事に気づけた一週間だった。