19/12/07 18:52:46.21 .net
>>793
参考に↓
町田康「告白」 令和元年の中でいや読書人生の中で一番凄いと思った本
以下、ネタバレ含む
主人公の熊太郎は、怠け者で欠点が多い人間です。
でも、悪人じゃない。むしろ、正直者の善人の側に近いといえましょう。
たまには改心して田を耕してみたりもします。けど、いっかなうまくいかない。
あの悲劇の夜へと刻一刻近づいていく時、胸苦しさを覚えずにはいられないのです。
熊太郎を追いつめたものは何なのかと、深く考えずにはいられなくなるんです。
熊太郎は明治期に入ってきた西洋式の近代的自我に翻弄された日本人の投影、
という読み方も可能でしょう。凶行に走るその姿を、アメリカという大国に伝える言葉を持たないまま
自爆テロに走るアラブ人と重ねることも可能でしょう。
熊太郎はいかようにも読み替え可能なイコン、もしくは神話的な人物なのです。
全編を彩る河内弁の調子まで翻訳するのは至難の業かもしれないけれど、
他の国の人たちにも読んでほしい。もちろんすべての日本人が読むべきなのは言うまでもありません。