19/04/01 20:36:04.17 .net
キリスト教の原罪と言う重苦しいテーマを抜きにして、単純にエンターテイメント小説としてみても読み答えのある作品です。
朝日新聞の連載用に書かれたとのことで、序盤は同じような描写が繰り返されて、くどく感じた部分もあったけど、
夏枝が陽子の出生の秘密を知ったあたりから作品の中に引き込まれていき、読み止まらなくなってしまいました。
我が子を殺した犯人の子供を自分の子供として育てるという、いくら小説とはいえ突飛すぎるように思えた設定が、
読みすすめるうちに次第に違和感なくすっと頭に入っていきました。
憎しみ、怒り、嫉妬といった人間の嫌らしい感情が、実は我々が日常的に多々感じているなじみのある感情そのものであるからなのかもしれません。
陽子が出来すぎなところは不自然に感じましたが、まだまだ時代がシンデレラを求めていたからでしょうか?