18/09/24 00:02:34.78 aggPQZfJ0.net
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国民と指導者の運命共同体
ある民族の勃興と繁栄とは、要するにその民族の中にいる貴族の分子が、肉体的にも精神的にも
健全であるかないかに因って、非常に左右されるものであって、この関係は歴史の経験から判断
しても、殆ど疑うことの出来ぬ明らかな事実なのである。一国に健全な貴族が存在しておればこそ、
国民は始めて道徳並びに国家の繁栄に導かれて行くものだ。反対に肝腎の貴族が弱くなるか或いは滅びて
しまうと、それに依って指導されていた国民一般もまた必ず萎縮する。従ってその萎縮を避けようと思え
ば、そういう危機に先立って、今までの貴族に代りうるような、何らかの新しい指導者層を、その上
に載せなくてはならぬ。『本来優秀でそして支配的であった貴族が、一旦その富なり教養なり政治的
精進の力なりを失ってくるか、或いは貴族以外のほかの人民層が、之に取って代りうるような状態になる
と、今までの貴族には自分の支配に対する確信がなくなり、従って、その国家は病気にかかったも同然
で、果ては憲法の改変も不可避となる』(トライチュケ)だから国民全体と、之を指導する層との間に
は、極めて密接な一個の運命共同体という関係が成立する。
リヒャルト=ワルター=ダレー著 「血と土」