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「日本の間」は国際司法裁判所が社交の目的でつかうこともあるが、もともとは常設
仲裁裁判所の評議会の部屋である。年に一度、オランダ外務大臣が議長になって
招集するこの仲裁裁判所の加盟国のオランダ駐在大使の集りが催される。日本の
大使の坐る椅子の背中には金の菊の紋章が織り込まれている。実際にこの部屋が
実務につかわれることはきわめて少なく、これは年に四、五万人を数える平和宮の
見物客への見せ場である。
この百畳敷ほどの評議会室に敷かれているのはトルコの寄附した一枚織りのじゅう
たんであり、部屋のなかには当時の清国の寄附した対の巨大な七宝の花瓶や、シャ
ムの寄附した1メートル半もあろうかと思われるこれも対の象牙が飾られている。
それにもかかわらず、これが「日本の間」とよばれるのは、文句なしにこの部屋を圧
倒している壮大にして華麗な西陣つづれ錦のためである。(中略)