21/02/06 10:16:19.36 6jqJik96.net
母と祖母の愛情と、“痒いところに手が届くような”世話を一身に受けて
息子は育つ。
「お姉ちゃんは“私に構わないで”って、エステティシャンになって
家を出てしまった。結婚して子供も作らず、夫婦楽しくやっているみたいで、
今もろくすっぽ家に帰って来ません。言われてみると、息子は一人暮らしを
したことがないですね。最初の会社は独身寮で、寂しかったみたいですしね」
息子は、黙っていれば益恵さんの夫……すなわち自分の父のようなキャリア
が形成できると思っていたようだ。
「主人は田舎から東京に出てきて、うんと頑張った人で、厳しいし、
上昇志向も強い。“底力”が違うんですよ。でも、息子には息子の
いいところがある。頑張ればなんだってできるのだからと、
前の会社を辞めてから、大手企業の中途採用試験を受けさせたん
ですけれど全滅。ごたごたしている間に、私の母も亡くなって。
あの時の息子は、ホントに気の毒でしたね。何日も部屋にこもって
泣いていました。
それで“僕、弁護士になりたい”って言い出して、母がまとまったお金を
残してくれたこともあって、挑戦することにしたのです」
(次号につづく)