21/06/17 18:03:30.08 6El1vCpw.net
■単なるスペーサーに「精級」指示
試験設備に使うとみられる2つの部品の図面に次のような問題があった。1つは、中央に貫通したねじ穴を持つ、高さ45mmの四角柱形状の部品だ。
図面に「4-R5」と記載されている。これは、部品の「角部に曲率半径5mmの丸みを付けた面取り(R面取り)を、4カ所行え」という指示だ。
C面取りとは異なり、R面取りは手間がかかる。部品になる前の被削材(ワーク)を工作機械にクランプ(固定)し、専用の工具(コーナーRカッター)を使って、2カ所の角部に対してR面取りを行う。
これを終えると、未加工の2カ所の角部が上を向くようにクランプし直し、R面取りを行う。
要は、ワークの他の部分を削る工具とは別に、R面取りのために専用工具に付け替える手間がかかるのだ。
専用工具を使わずにマシニングセンター(MC)でプログラミングしてR面取りを行う方法もあるが、プログラミングの手間を要する。
いずれにせよR面取りは手間がかかる。その分、コストは高くなる。これに対し、C面取りは専用工具に付け替えずに処理できるため、コストを抑えられる。
後から分かったことだが、この部品の役目はスペーサーだった。スペーサーとは2つの部品の間に挟み、高さ(距離)を維持するための部品である。
組み立て作業の際に指を切らないように面取りするにしても、それならC面取りで十分だ。わざわざコストをかけてR面取りを施す必要はない。
それだけではない。ここで図面を見てほしい。「普通寸法公差」の欄に「精級」と書き込まれている。
設計した寸法からの許容される誤差を表す普通寸法公差には等級があり、下から順に「極粗級」「粗級」「中級」「精級」と上がっていく。
つまり、精級は最上級の普通寸法公差というわけだ。はっきり言ってスペーサーには過剰な公差であり、加工コストが無駄にかかるだけだ。
実際、加工メーカーは中級で切削し、それで何の問題もなかった。
URLリンク(article-image-ix.nikkei.com)