13/01/19 20:45:08.33 EYBvTtrY.net
昆虫の化石が見つかった場合、その化石は徹底的に調べ尽くされなければならない。
昆虫は個体数も多く、地球上で最も栄えている生物といえる。
しかし化石としてはとても残りにくい。
昆虫は相対的に小さく、さまざまな生物に食べられることが多いうえ、たやすく消化されてしまうからだ。
また食べられなかった場合でも、遺骸が残ることはまずない。
かたい外骨格(外側のかたい殻)ですら、さまざまな微生物が容易に分解できる化合物でできているからだ。
1919年、スコットランドのアバディーン州ライニーのライニー・チャートと呼ばれる岩石から発見された化石は、
4億700万年~3億9600万年前に生きた、トビムシの遠い祖先とされた。発見者はW・クラン牧師だった。
3::||‐ ~ さん
13/01/19 20:46:01.87 EYBvTtrY.net
そして、1926年、S・ハースト、S・モーリック、D・J・スコーフィールドの3人の古生物学者により、
この化石はアケボノトビムシ ( Rhyniella praecursor ) と名づけられた。
2年後、この化石はオーストラリアの昆虫学者であるロビン・ティルドヤードによって再調査された。
その結果、アケボノトビムシの頭部の一部だと思われていた断片が、実は異なる生物の一部であることが判明した。
つまり、アケボノトビムシの化石には、断片ではあるが、もう一匹いたのだ。
ティルドヤードはこの生物をリニオグナータ・ヒルスティと名づけた。
リニオグナータという属名は「ライニーの顎」という意味だ。
この段階では、アケボノトビムシとリニオグナータ・ヒルスティは、どちらも世界最古の昆虫化石だった。
ところが20世紀が終わろうとする頃、トビムシの分類学的な位置が再検討され、
トビムシは昆虫から外された。
4::||‐ ~ さん
13/01/19 20:47:48.29 EYBvTtrY.net
最古の昆虫化石は「昆虫」ではなくなるのか。
2004年、進化昆虫学者のマイケル・エンゲルとデイビッド・グリマルディが、
リニオグナータ・ヒルスティの化石を再調査した。
ヒルスティの化石化した顎は、新しい顕微鏡を用いてより詳細に調べられ、驚くべき発見に結びついた。
ヒルスティの顎の形態は、幅の広い三角形で、そこには歯状突起があり、口器のほかの部分よりも明瞭な2つのふくらみがあったのだ。
この事実は、ヒルスティがトビムシではなく、おそらく翅をもつ真正の昆虫であることを示していた。
この化石が発見されたライニー・チャートは、活動が盛んな温泉や間欠泉が点在する地域で形成された岩石だ。
翅や軟組織などの顎以外の部分は、火山性の熱湯によってダメージを受けたためか残されていない。
リニオグナータ・ヒルスティがどのような姿をしていたのか全体像に迫ることはできないが、
少なくとも最古の「昆虫化石」であることだけは間違いない。
5::||‐ ~ さん
13/01/20 01:10:56.86 N/BnMD6b.net
昆虫界の巨漢
タイタンオオウスバカミキリ ( Titanus giganteus )
生息地 ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ギアナ、ブラジル
特徴 現世で世界最大の昆虫
6::||‐ ~ さん
13/01/20 01:11:53.69 N/BnMD6b.net
体長が17cmもあるこの甲虫は、学名を Titanus giganteus という。
巨人タイタンにちなんだ学名は1771年、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネが、
自分の考案した新しい命名法 ( 属名と種名を並べた二名法 ) にのっとって命名した。
その大きさにじつにふさわしい学名だが、リンネは百科事典の挿絵を見ただけで、この名前をつけたのだ。
リンネが実物を見ることができなかったのにはわけがある。
7::||‐ ~ さん
13/01/20 01:14:29.79 N/BnMD6b.net
当時この昆虫は、大変珍しかった。18世紀にはブラジル北部の都市、マナウス近くのネグロ川岸に、たまに死骸が打ち上げられることはあった。
実際に生きた姿が目撃されたのは1958年、新しく設置された街灯に誘われて出てきたのが初めてだった。
いまだに成虫以前の生態については詳しくわかっていないが、類似種の幼虫は脚のないテッポウムシ型で、
朽ち木のなかで育つことはわかっている。
8::||‐ ~ さん
13/01/20 01:16:15.69 N/BnMD6b.net
タイタンオオウスバカミキリが本当に世界最大の昆虫かどうかについては、議論の余地がある。
生きたまま採集された標本からの信頼できるデータが少なく、大きな重要な指標となる体重についてもほとんどデータがない。
そのため世界最大の栄冠のライバルとして、ほかの4種類があげられる。
南アメリカにいるゾウカブト属のアクテオンゾウカブト Megasoma actaeon (13.5cm) と
エレファスゾウカブト Megasoma elephas (13.7cm)、アフリカのオオツノハナムグリ属のレギウスオオツノハナムグリ Goliathus regius (11cm) と
ゴライアスオオハナツムグリ Goliathus goliathus (11cm)。
いずれも体長は現チャンピオンよりも短いが、見劣りしないいい体格をしている。
9::||‐ ~ さん
13/01/20 17:49:55.85 N/BnMD6b.net
世界一の長い体
チャンオオナナフシ ( Phobaeticus chani )
生息地 ボルネオ
特徴 体と脚を合わせた体長が最も長い
10::||‐ ~ さん
13/01/20 17:51:08.85 N/BnMD6b.net
昆虫が捕食されないための最良の策はなんだろう。答えは姿を隠すことだ。
カムフラージュによって周りの状況に溶け込むことは、うまい隠れ方といえる。
鉛筆のように細い体と針のように細い脚をもったナナフシの姿は、彼らが登る木の枝にそっくりだ。
身を隠すのが得意なうえ、天敵もいない場所においては、数種類のナナフシが当然の進化をとげた。巨大化したのだ。
11::||‐ ~ さん
13/01/20 17:52:17.20 N/BnMD6b.net
およそ100年間にわたって、世界最長のナナフシはボルネオのセラティペスオオナナフシ Phobaeticus serratipes と信じられてきた。
これは体だけで328mm、脚を伸ばすと499mmにも達する。ところが1995年にマレーシアで巨大なナナフシが発見されると、
皮肉なことにこの種が本当のセラティペスで、ボルネオのセラティペスは、
じつは近縁のカービーオオナナフシ Phobaeticus kirbyi であることが明らかになった。
12::||‐ ~ さん
13/01/20 17:53:04.80 N/BnMD6b.net
セラティペスの体と脚を合わせた総体長は555mmもあったが、体の部分はカービーよりもわずかに短かった。
昆虫を計測するのは非常に難しく、必ず議論の的となる。
ほとんどの場合は脚、触覚、尾、口先は除いて計測する。
同じ種でも個体差があり、オスとメスとでも大きく違ってくるからだ。
また同じ固体でもナナフシの脚の場合、どちらに向けて計るかによっても長さが変わる。
13::||‐ ~ さん
13/01/20 17:54:56.75 N/BnMD6b.net
しかし2008年10月、マレーシアのサバ州 ( ボルネオ島北西部 ) で新種のナナフシが発見され、この件は落着した。
チャンオオナナフシは、マレーシアの昆虫学者ダトゥック・チャン・チュウ・ルンの名前から命名された。
彼は地元の昆虫採集者が発見した3匹のうち、最大のものをロンドンの自然史博物館に寄付した。
長さは体だけで357mm、脚を含めると566mmもある。測り方を問わずとも、文句なしの最高記録だったのだ。
14::||‐ ~ さん
13/01/20 18:06:59.22 Sl/eEchZ.net
基地外 こ わ い
15::||‐ ~ さん
13/01/20 18:32:11.82 SD5OESbL.net
俺は楽しく読んでるぞ
続けろ>>1
16::||‐ ~ さん
13/01/21 14:55:14.59 Mp7sG2L6.net
驚くほど真っ白
シロコガネのなかま ( Cyphochilus sp. )
生息地 東南アジア
特徴 あらゆる昆虫の中で最も体色が白い
17::||‐ ~ さん
13/01/21 14:56:47.84 Mp7sG2L6.net
シロコガネは自然界で最も白い、「純白の虫」だ。
体の色が白いだけでも昆虫としては珍しいが、その色は動物の歯や牛乳よりも白いという。
シロコガネのなかまは東南アジアに広く分布し、成虫はサトウキビの害虫だと考えられている。
幼虫はキノコ類を食べて成長する。
18::||‐ ~ さん
13/01/21 14:57:43.98 Mp7sG2L6.net
それにしても茶色や緑色があふれる自然界において、白はあまりにも捕食者の目につきやすい色だ。
最もよく知られている白い昆虫はモンシロチョウなかま Pieris sp. だが、これは他のチョウと同じように、
交尾のときにその紋様でお互いを認識するためだ。
ではシロコガネはなぜ白いのだろうか。幼虫が食べているキノコの白さに溶け込んで、姿を隠すためではないかという説もある。
シロコガネの体を詳しく調べたところ、外骨格 ( 外側のかたい殻 ) は、濃い茶色または黒い色をしており、
白く見えるのは真っ白な鱗片が体表をおおっているせいであることがわかった。
鱗片は非常に細かく、一片は0.25×0.1mm、厚さは0.005mmにすぎない。
この微細な鱗片が体だけでなく頭や脚までくまなくおおっているため、シロコガネは白く見えるのだ。
19::||‐ ~ さん
13/01/21 15:02:51.26 Mp7sG2L6.net
とはいえ全身がうす茶色の台湾産のキフォチルス・ウニデンタートゥス Cyphochilus unidentatus が示すように、
シロコガネ属すべての種が純白の鱗片におおわれているわけではない。
この鱗片についてはイギリスのエクセター大学の光物理学者ピート・ビュクシッチが研究している。
それによると、鱗片のなかに存在する約0.00025mmの細かい繊維 ( フィラメント ) が不揃いな網状になっているため、白く見えるのだという。
フィラメントが不揃いであることによって、自然光に含まれているさまざまな色が均一にむらなく散乱し、どれか一色が突出することがない。
その結果、白く見えるというわけだ。
20::||‐ ~ さん
13/01/21 15:39:06.46 Mp7sG2L6.net
ぴかぴかに輝く体
プラチナコガネのなかま ( Plusiotis sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 磨き上げた金属のような光沢を帯びている
21::||‐ ~ さん
13/01/21 15:42:01.57 Mp7sG2L6.net
昆虫の体色には、さまざまな目的がある。
例えば緑色や茶色をしていれば葉や幹、枝などにカムフラージュできる。
あるいは鮮やかな黄、オレンジ、赤色は、そこに黒い模様が混じる場合もあり、毒や針をもっているかもしれないという威嚇になる。
しかしこのプラチナコガネのなかまのように美しく輝く色は、どちらの役目も果たさない。
甲虫やハチ、ハエ、チョウなどにはブロンズ色、青、緑、赤、紫色がメタリックに輝くものが多くいる。
例えばテントウムシの翅が赤く見えるのは、太陽光線のうち黄、緑、青色の波長は翅に吸収され、赤色の光の波長だけが反射するためだ。
22::||‐ ~ さん
13/01/21 15:43:36.04 Mp7sG2L6.net
一方、動物の体色としては珍しいメタリックゴールドの光沢は、白色の太陽光が屈折することによって生まれる。
プラチナコガネの輝きは、まるでダイヤモンドを通した太陽光が虹色に輝くようなものだ。
電子顕微鏡を通して見ると、プラチナコガネの表皮には細かい溝が平行して走っていることがわかる。
この溝に決まった角度で光が入射すると、磨いた金属のように光るのだ。
プラチナコガネのきらきらと輝く色は、チョウのように異性に対するアピールのためだけにあるのではない。
最も重要な目的の一つは、むしろ注目されないことだ。濡れた木々の葉や水たまりは、まばゆい陽光を受けてきらきらと光る。
そのなかでプラチナコガネの輝きは、形を頼りに獲物を探す捕食者の目をくらますことができるのだ。
23::||‐ ~ さん
13/01/21 21:25:28.14 Mp7sG2L6.net
ねばねばしたわな
ツノキノコバエの幼虫 ( Keroplatidae )
生息地 世界各地
特徴 食物を集めるために粘液で巣をつくる
24::||‐ ~ さん
13/01/21 21:27:11.04 Mp7sG2L6.net
ツノキノコバエは幼虫期のあいだ、唾液腺から粘液を出す。
粘液とは、ねばねばした分泌物のことで、特に軟体動物や脊椎動物にとっては有用なものだ。
例えばカタツムリやナメクジは、彼らが進む道をなめらかにするためや、防御のために粘液を出す。
ぬるぬるした体を捕食者がいやがるからだ。粘液を利用する昆虫はあまり思いつかない。
しかし、これだけ便利なのだから、粘液を利用する昆虫がいても不思議ではない。
粘液はムチン分子でできている。ムチン分子とは、糖鎖におおわれた長いタンパク質だ。
糖鎖には保水性や吸着性があり、ムチン分子がお互いに触れ合うと、弱い接着剤のような働きをする。
粘液は乾いたり、かたまったりせず、終始濡れた状態と粘着性を保つ。
25::||‐ ~ さん
13/01/21 21:28:19.24 Mp7sG2L6.net
ツノキノコバエの幼虫は、朽ちた木の下や菌類の子実体の下、もしくは洞穴のなかに生息し、
ねばねばした粘液で目の粗いシート状の網をつくる。
網は小さな雫でおおわれており、ときには隠れ家にするための柔らかい管を設けたりもする。
ツノキノコバエの多くの種は、非常に栄養価の高いキノコの胞子を食べる。
空中を浮遊する胞子は捕まえにくいが、粘液の網ならば捕まえやすい。
またツノキノコバエのなかまには、シュウ酸を含んだ巣をつくる種もいる。
シュウ酸とは酢に似た単純な化学物質だが、酢よりもずっと刺激が強く、人間を含む多くの動物にとって有毒だ。
網に掛かった獲物はシュウ酸によって命を落とす。
ほかの昆虫などを食べるツノキノコバエは、そのような特殊な網を使って、捕らえた獲物を食べる。
26::||‐ ~ さん
13/01/21 21:49:08.00 DhWaDVmY.net
なんの本書き写してんの?
27::||‐ ~ さん
13/01/22 12:35:40.96 BEJFW7fn.net
>>27
スレタイググレば見つかる
28::||‐ ~ さん
13/01/22 12:55:39.54 BEJFW7fn.net
頭で巣穴をブロック
トランカトゥスヒラズオオアリ ( Colobopsis truncatus )
生息地 世界各地
特徴 生きている巣穴の扉として自分の頭を使う
29::||‐ ~ さん
13/01/22 12:57:59.08 BEJFW7fn.net
アリの営みは、複雑な社会的分業システムによって守られている。
働きアリは食物を探し、巣をつくる。そして兵アリは敵と戦い、巣を防御する。
自分たちで作り上げた守るべき砦である巣は、アリにとって最も重要な資産だ。
まだ巣のなかの幼虫やさなぎ、冬のために貯蔵してある食料を、捕食者や寄生者、他種のアリなど多くの敵から守らなくてはならない。
30::||‐ ~ さん
13/01/22 13:05:10.63 BEJFW7fn.net
ヒラズオオアリの巣の守り方はユニークだ。
兵アリは木槌のような形をした頭をもっており、それで巣穴の入り口を塞いで守る。
小さな穴は1匹で塞ぐことができるが、大きな穴の場合は、何匹かが集まりバリケードを築く。
兵アリは巣を離れることはほとんどなく、巣に出入りする働きアリが兵アリ用に運んでくる食物を食べる。
働きアリが巣を出入りするときには、入り口を塞いでいる兵アリがいったん後ろによけて通す。
兵アリはその巣に独特のにおい ( 科学的刺激 ) と、働きアリと触覚を触れ合わせ、相手の触覚に生えている微毛からうける刺激 ( 物理的刺激 ) の両方によって、
同じ巣のなかまかどうかを識別しているのだ。もしも巣が攻撃されれば、危険を察知したアリは警戒フェロモンであるウンデカンという化学物質を腹部の分泌線からだす。
するとこの化学物質を感知したなかまのアリは興奮し、兵アリは急いで入り口を塞ぐのだ。
31::||‐ ~ さん
13/01/22 14:50:55.36 BEJFW7fn.net
似ても似つかぬオスとメス
キイロホタルモドキ ( Drilus flavescens )
生息地 ヨーロッパ本土、イギリス
特徴 オスとメスの形が全く違う
32::||‐ ~ さん
13/01/22 14:54:59.67 BEJFW7fn.net
全く違う生物に見えるほど、オスとメスの見た目がかけ離れた昆虫がいる。
ホタルやベニホタルに近いなかまであるキイロホタルモドキだ。
そのオスは体長4~7mmと小さく、体色は茶色で黒い胸部と頭部、羽毛状の触覚をもつ。
一方のメスは対照的で、オスの50倍もの大きさがあって柔らかく、たるんだイモムシのような姿だ。
またオスは暑い晴れた日には空を飛ぶのに対し、メスにはかたい前翅も、飛ぶために使う膜のような後翅もない。
さらにオスは石灰岩の土の上にいることが多いが、メスはあまり見かけることはない。
2003年に交尾するペアが写真撮影されるまで、メスの姿はほとんど確認されなかったほどだ。
33::||‐ ~ さん
13/01/22 14:56:34.84 BEJFW7fn.net
一般的に昆虫のオスはたくさんの精子をつくり、できるだけ多くのメスにばらまこうとする。
メスは気をひくことに成功したオスと交尾をするが、複数回の交尾は避けようとする。
それは時間の無駄であると同時に、身体的なダメージを受けることもあるからだ。
このようなオスとメスの生物学的な動機は、全く違う行動を生み出し、体の形を変えてしまう。
ほとんどの昆虫のオス、メスは性差は小さなものだが、このキイロホタルモドキの性差は破格に大きい。
キイロホタルモドキの幼虫は、小さなカタツムリを食べる。広い地域に生息する昆虫にしてはメスやその幼虫がとても少なく、
あるいは隠れているため、その生態は1903年までほとんどわかっていなかった。
なぜオスとメスがこれほどまでに違うのかはいまだに謎だ。
日本産のイリオモテボタルやキベリクシヒゲボタル ( いずれもホタル科 ) なども幼虫がカタツムリを食べ、やはり性差が大きい。
これらの種の研究から、キイロホタルモドキの謎も、解き明かされていくだろう。
34::||‐ ~ さん
13/01/22 15:15:15.08 BEJFW7fn.net
オスとメスが半分ずつ
マーシュヒョウモンモドキ ( Euphydryas aurinia )
生息地 世界各地で見られるが、この場合は飼育による
特徴 ギナンドロモルフ ( 雌雄モザイク )
35::||‐ ~ さん
13/01/22 15:18:31.46 ni0Es3q+.net
てs
36::||‐ ~ さん
13/01/22 18:42:17.66 740hW3oR.net
ウザイからやめい
37::||‐ ~ さん
13/01/23 09:24:47.22 LWmxe1Td.net
昆虫は通常、完全にオスかメスかのどちらかだが、
ごく稀にオスとメスの特徴を半分ずつもつ個体が現れることがある。
正中線を境界として左右で性が異なる雌雄両型を 「 ギナンドロモルフ 」 という。
さまざまな種に見られる現象だが、特にチョウによく見られ、その特徴が最もはっきりと現れる。
チョウもほかの動物と同じように、性別は性染色体によって決まる。
メスは2つのX染色体をもち ( XX ) 、オスは1つしかもっていない ( XO ) 。
従って、チョウの精子はX染色体を1つもつか、もっていないかのどちらかだ。
38::||‐ ~ さん
13/01/23 09:27:00.70 LWmxe1Td.net
このマーシュヒョウモンモドキは、卵子に受精した精子にX染色体があったため、子はXX、すなわちメスになると決まっていた。
しかし最初の細胞分裂のあとで一方の細胞がX染色体を1つ失ったためにXO、つまり半分はオスの細胞になってしまったのだ。
この後、何百万回かの細胞分裂のうちに幼虫になり、さなぎになり、この個体は右半分はメス、左半分はオスとなった。
成虫になったときも右半分はメス、左半分はオスのままだった。
ギナンドロモルフは非常に珍しく、その個体も長生きすることはほとんどない。
繁殖器官はオスとしてもメスとしても機能しないので子孫を残せない。また、
チョウのなかでオスとメスの翅の模様が違う種では、1つの個体に両方の模様が現れる。
マーシュヒョウモンモドキの場合、オスはメスよりかなり小さいため、
野性では、螺旋飛行をしながら死んでしまうだろう。
39::||‐ ~ さん
13/01/23 09:31:01.18 LWmxe1Td.net
腹をぱんぱんにふくらます
ミツツボアリのなかま ( Myrmecocystus ihflatus )
生息地 オーストラリア、ニューギニア、南アフリカ、アメリカ西部からメキシコにかえての一帯
特徴 体のふくらませて蜜や水分を貯める
40::||‐ ~ さん
13/01/23 09:34:07.87 LWmxe1Td.net
多くの地域では、何千年ものあいだ糖分といえばミツバチの蜜だった。
しかしオーストラリア、アメリカ西部、メキシコ、南アフリカ、ニューギニアなどでは、ほかからも糖分を取ることができた。
大きくふくらんだミツツボアリだ。
ミツツボアリは、はち切れんばかりに大きくふくらんだ胸部をもつ。
彼らの仕事は巣穴の天井からぶら下がって動かず、なかまの働きアリがもち帰る、アブラムシなどの甘露 ( 甘みの強い排泄物 ) を腹に貯めておくことだ。
41::||‐ ~ さん
13/01/23 09:37:34.57 LWmxe1Td.net
この生態は世界中のさまざまな種に見られるが、主に砂漠に住む生物に多い。
食料が見つからない時期に、厳しい環境下でなかまと共に生き残る手だてとなっている。
このような貯蔵アリは、自分の体を働きアリの何百倍にもふくらますことができる。
彼らの透きとおった体は、無色透明から黄色がかった茶色、そして濃い琥珀色まで、そのとき貯めているものによって色を変える。
濃い色のときはブドウ糖や果糖、色が薄くて重たいときは薄い糖液が入っている。
腹部に蜜などを貯蔵するように進化したのは、いつ咲くか予想のつかない砂漠の花から食料を得なければならないという、厳しい環境のためだろう。
貯蔵アリは涼しく湿気の多い時期に腹部をふくらませ、暑く乾燥した時期にはなかまたちに中身を提供する。
その境目は、気温が30~31℃くらいのときだ。ミツツボアリの本当の目的は、
干ばつ時に備えて水分を貯めることにある。
42::||‐ ~ さん
13/01/24 17:44:18.43 Hb7fQ1Wl.net
生まれる季節で容姿が異なる
アカマダラ ( Araschnia levana )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、日本 ( 北海道 )
特徴 育った季節により外見が違う
43::||‐ ~ さん
13/01/24 17:47:28.17 Hb7fQ1Wl.net
ヨーロッパに生息するアカマダラには 「 ヨーロッパ地図 」 という愛称がある。
翅の裏側を彩る美しい模様が由来だ。
その模様はオレンジ色の背景に茶色がまだらにさし、鮮やかな白い線の十文字が方位磁石のように描かれており、確かに古い地図のように見えないこともない。
しかしもっと注目すべきなのは翅の表側のほうだ。
さなぎで冬を越し、春に成虫となったアカマダラの翅の表には、鮮やかなオレンジ色の地に黒い斑点がある。
春のチョウが産んだ卵から生まれた幼虫はイラクサを食べ、数週間後の夏には成虫となる。
ところがこの夏に見られるチョウは、春のチョウとは全く違い、真っ黒な翅にまぶしい光の筋のような白い模様があるのだ。
色や模様があまりに違うので、長いあいだ両者は、別種のチョウだと考えられていた。
これほど差がある2つの型をもつ理由を求めて、多くの昆虫学者がアカマダラを研究した。
その結果、今では色や模様を決定する要因についてかなり解明ている。
どうのような成虫に変態するかは、さなぎの時期の日の長さや気温により決まる。
44::||‐ ~ さん
13/01/24 17:49:58.71 Hb7fQ1Wl.net
もし日が短くて寒ければ越冬し、春にオレンジ色の春型が生まれる。
一方日が長く暖かければ、白黒の夏型が生まれる。事実、人工的に作った実際の季節の反対の環境でさなぎを生育したところ、
全く反対の色相をもつ成虫が生まれたのだ。
しかしなぜアカマダラが2つの型を示すのかはまだわかっていない。しかも分布図の北の地域では1つの色相しか存在せず、
南の地域には3つめの色相、つまり春型と夏型の中間が存在するのだ。
色や模様が違うように、形にも違いが現れる。夏型の翅は大きく。あまりとがっていない。
より重く筋肉のついた胸部と、それに比べて小さめの腹部をもつ。
これらの特徴から、夏型は別の土地に移動するのに向いているのではないかと思われる。
反対に春型は定住性なのではないか。
しかしこれもまた、なぜ1種のチョウが全く違う外見を持つ必要があるのかの説明にはならない。
45::||‐ ~ さん
13/01/25 21:25:27.99 FJB3GYlh.net
児童書のような書き方だな
46::||‐ ~ さん
13/01/25 21:36:36.23 MQicTzcP.net
翅の数が世界一
ニジュウシトリバガ ( Alicita sp. )
生息地 世界各地
特徴 どの昆虫よりも翅が多い
47::||‐ ~ さん
13/01/25 21:40:14.06 MQicTzcP.net
トリバガには、はたして何枚の翅があるように見えるだろうか。
ふつう昆虫の翅といえば4枚だ。
一見翅がないように見える甲虫も、じつは飛ぶための後翅2枚を、かたい前翅2枚が大切におおっている。
もちろん例外もある。例えばハエには2枚の翅しかないし、ノミやシラミになると翅は1枚もない。
ニジュウシトリバエも、基本の翅は4枚だ。しかし、4枚の翅それぞれが手をひらいたように、さらに6本ずつに枝分かれしている。
というわけで、このガの翅の数は「24枚」が答えとなる。
48::||‐ ~ さん
13/01/25 21:42:41.53 MQicTzcP.net
トリバガのなかまの翅はどれも細長く、毛が生えていて、まるで鳥の羽のようだ。休むときにはその翅を揃えて閉じるが、
その様子は枯れた枝や草のように見える。種によっては写真のトリバガのように、翅が毛の生えた小枝のように分かれているものもある。
この小枝のような翅は1枚1枚が翅脈にあたり、飛ぶときに翅を広げるために使われる。
翅脈というのは、ハチやハエのように透きとおった翅だとはっきりと見える、植物の葉脈のような管だ。
水生だった昆虫の祖先がエラとして使っていた器官が、4億年ほど前に進化し、翅になったと考えられている。
その証拠として、現代でもカワゲラ目やカゲロウ目の幼虫に、原始的なエラを見ることができる。
そして翅脈は、呼吸器官の名残だと考えられている。
いろいろな昆虫の翅の構造を研究した結果、最初に飛んだ昆虫はそれぞれの翅に8本ずつ翅脈をもっていたが、その後6本となったことがわかった。
6本の翅脈はニジュウシトリバガの翅にもはっきりと見てとることができる。
49::||‐ ~ さん
13/01/25 22:10:28.76 MQicTzcP.net
いちばんぺしゃんこ
バイオリンムシ ( Mormolyce sp. )
生息地 東南アジア
特徴 最も平たい形状をしている
50::||‐ ~ さん
13/01/25 22:11:09.35 MQicTzcP.net
歩行虫とも呼ばれるオサムシのなかまは、その名前が示すとおり地面の上を敏速に歩行し、他の昆虫や無脊椎動物を食べている。
最も多様性がある昆虫の一つで、世界中に分布が広がった理由として、後脚の特殊な構造があげられる。
腿節( 胴から3節目 )と基節( 胴から1節目 )とのあいだに、転節( 胴から2節目 )と呼ばれる、小さな筋肉でみたされた環節がある。
この構造のおかげで、後ろ方向だけでなく下へも長い脚で強く蹴ることができるのだ。
オサムシのなかまは、草の根のあいだや石の下など狭いところにもぐり込むのが得意だ。
まずはくさび形の平たい体を隙間のできるだけ先まで押し入れ、さらに体を上げ下げしながら草や土を押し、前進していく。
このユニークな方法で、地中の根や落ち葉のなかを分け進み、獲物を深く追うことができる。
オサムシのなかまであるバイオリンムシは現在5種確認されているが、すべて東南アジアに生息していて、
どれも狭いところにもぐり込む習性をもっている。
土や草ばかりでなく、枯れ木の皮や切り株の細い裂け目のなかにまで平たい体と細い頭、胸部を押し込み、獲物を探すのだ。
パイナップル科の植物であるアナナスの葉のつけ根で見られることもある。
51::||‐ ~ さん
13/01/26 03:09:54.39 THjBHMcw.net
>>45
直訳調だし、編集の際に文章を整えてないようなところも見受けられる。
52::||‐ ~ さん
13/01/27 23:41:16.57 AclbnVY2.net
前後があべこべ
モモハモグリガ ( Lyonetia clerkella )
生息地 ヨーロッパ、マダガスカル、アジア南部、日本 ( 北海道を除く )
特徴 脚、目、触角が翅の先についているように見える
53::||‐ ~ さん
13/01/27 23:43:51.02 AclbnVY2.net
モモハモグリガの幼虫はリンゴやナシ、サクランボ、モモといったバラ科果樹の葉が大好物だ。
非常に小さな体を歯の内部にもぐり込ませて食べるため、空洞になった食べ跡は、くねくね曲がった色の薄い筋として葉に残される。
モモハモグリガが最も変わって見えるのは、成虫に変態したときの姿だ。4mmほどの翅の先には、灰色と黒の模様がついているが、それ以外は白っぽいのだ。
その模様が見方によっては、濃い色の体に6本の足、2本の触覚と黒い目をもつ小型の昆虫が、もう1匹いるように見える。
このような見せかけだけの眼、頭部、触角の模様は、チョウの翅にもよく見られる。
チョウの場合、眼のような黒い斑点が後翅の端にあり、尾のように伸びた部分はまるで触角のように見える。
一方ハモグリガ ( Lyonetia ) は細長い翅をもつ小型のガで、翅の先に偽の脚と偽の頭部に見える模様をもっている。
ヨコバイにも腹をおおうテントのようにたたんだ翅の先に、ハモグリガと同じような模様をもつものがいる。
この模様は、敵にわざと偽の頭部にかみつかせることで、ほかの重要な器官へのダメージを回避するためにあると考えられてきた。
しかしそれでは、むしろ本当の頭へ誘導してしまうのではないかという興味深い説もある。
敵は後ろからそっと近づいたつもりが、じつは本当の頭に真正面から近づくことになる。
その場合、ハモグリガは本物の眼と本物の触角で、敵を感知できるだろう。
54::||‐ ~ さん
13/01/28 00:07:50.61 VMzPaboA.net
世界一長い産卵管
オナガバチ ( Rhyssa )
生息地 ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、北アメリカ
特徴 体長より長い、注射器のような産卵管をもつ
55::||‐ ~ さん
13/01/28 00:10:29.54 VMzPaboA.net
ヒメバチは、幼虫のための巣をつくらない。
そのかわり、もっと悪賢い方法をとる。ガやチョウなど、ほかの昆虫の幼虫の体内に卵を産みつけるのだ。
さなぎに産みつける場合もある。卵からかえった幼虫は、寄生した相手を生きた食料として内部から食べて、いずれ殺してしまう。
このように寄生した相手が死ぬまで食べ尽くすことを「捕食寄生」という。
ヒメバチをはじめとする寄生バチは多種多様であり、じつにいろいろな昆虫に寄生する。
非常に小さなホソハネコバチからかなり大きなオナガバチまで、体の大きさもさまざまだ。
オナガバチは大きな幼虫の食欲に見合うルリキバチ ( Sirex ) の幼虫を寄主として選ぶ。
56::||‐ ~ さん
13/01/28 00:11:10.00 VMzPaboA.net
ルリキバチはスズメバチの巨大なものほどの大きさがあり、枯れ木や幹に卵を産みつけるために使う頑丈な尾がある。
ルリキバチの幼虫は枯れ木のなかに穴を掘りながら食べ進み、成虫となるまでの1~3年を過ごす。
しかし穴のなかにいても幼虫がオナガバチから隠れることはできない。
オナガバチのメスは、厚さ4cmほどの幹ごしに、ルリキバチの幼虫が出す化学物質を感知できるのだ。
オナガバチの長さ4cmほどの細い尾は、体より長く、3つの部分に分かれている。
針のように細い1本の産卵管を、2つの細長い鞘が保護している。
メスは長い脚を木の幹に踏ん張り、体を高い位置に引き上げて固定し、
柔軟な腹部を押し下げながら、細長い産卵管を木のなかの幼虫に届くまでゆっくりと刺し入れる。
こうしてオナガバチの幼虫は成虫になるまでの食料を確保し、ルリキバチの命運はここに尽きることになる。
57::||‐ ~ さん
13/01/28 14:47:34.03 VMzPaboA.net
頭の横幅がいちばん広い
シュモクバエのなかま ( Diopsidae )
生息地 熱帯地方、特に東南アジアとアフリカ南部
特徴 体長より長く横に広がった枝状の突起に眼がついている
58::||‐ ~ さん
13/01/28 14:48:33.21 VMzPaboA.net
動物界では、メスの気ひくために争うのはオスのさがともいえる。
勝者は特権として、メスに囲まれて暮らすハーレムを得たり、たくさんの子孫をもうけることができる。
しかし、争いは体力を消耗して体に受けるダメージが大きいことから、オスの寿命は短くなる。
オス同士が戦う前に敵の大きさを測り、無駄な争いを避けることができれば好都合だろう。
シュモクバエのなかまはそんな、相手の強さを測る尺度をもっている。
それは左右の眼の感覚だ。
59::||‐ ~ さん
13/01/28 14:50:56.70 VMzPaboA.net
熱帯地方に生息するハエには、比較的頭の幅が広いものが多いが、なかでもシュモクバエのなかまは極端に広いといえる。
シュモクバエ科に属する150種以上のハエは頭部がとても幅広く、そのため両目がありえないほど離れて飛び出している。
多くは頭部の横幅が12~14mmと、体長の2倍もある。
頭部の幅 ( 枝状の突起の長さというべきか ) は、体長に比例している。
つまり幼虫時代の栄養摂取量と直接関係しているため、強さの指標ともなるのだ。
シュモクバエのオス同士は頭部を突き合わせて、どちらが広いかを比べることで対決する。
勝者はメスを得て、敗者は無傷のまま立ち去る。
熱帯地方に生息するハエがこのような対決の方法を選んで進化してきたのは、
ハエのなかでは比較的長寿 ( 12ヵ月という記録がある ) であること、そして守るべきものがあることがその理由だと考えられている。
シュモクバエのオスが大事に守っているもの、それは森林を流れる小川の土手からぶら下がる細長い根だ。
ありふれた木の根だが、ここがなかまのすみかでありメスにとってのねぐらとなるの場所だ。
シュモクバエはここに集まり、頭を上に向けて敵がこないかどうか見張りながら休む。
シュモクバエのオス同士の対決は、幅広い頭部を誇示することによって勝利を収めたものがねぐらを統治し、ハーレムの安全を守っているのだろう。
60::||‐ ~ さん
13/01/28 15:09:03.20 VMzPaboA.net
いちばん明るく光る
ヒカリコメツキ ( Pyrophorus noctilucus )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 どの昆虫よりも明るい光を発する
61::||‐ ~ さん
13/01/28 15:09:59.01 VMzPaboA.net
発光する昆虫はいろいろいる。
例えばトビムシ、カメムシ、キノコバエの幼虫がそうだ。よく知られているのはホタルだろう。
ホタルのなかまは世界中にたくさんの種類が生息しており、発光することによりパートナーをひきつけたり、なかまとコミュニケーションを取ったりしている。
なかまだけにつうじるリズムで光るものもいれば、ただ青白く光り続けるものもいる。
光る昆虫のうち、どの種がいちばん明るいかという問題は、長いあいだ議論の的となってきた。
つい最近まではロウソクの光や星の明るさを見るように、主観的に比較されてきた。
しかし、現在では高度な光測器で正確に計測ができるようになり、ついに勝者がはっきりした。
いちばん明るく光る虫はホタルではなく、西インド諸島の森林に生息するヒカリコメツキだった。
ヒカリコメツキがいちばん明るいことがわかったのは、幸運な偶然からだった。
62::||‐ ~ さん
13/01/28 15:10:54.67 VMzPaboA.net
1885年、フランスの生理学者ラファエル・デュボワは、ヒカリコメツキの胸部の発光する部分を解剖し、
ルシフェリン ( 発光物質 ) とルシフェラーゼ ( 発光酵素 ) の化学物質を抽出することに最初に成功した。
すると同じ化学物質がすべての発光する生命体から見つかったのだ。
さらに生物発光に伴う温度の上昇は驚くほどわずかであることもわかった。
例えばロウソクの光とホタルの光は、同じ明るさにしたとする。そのときホタルの発熱量は、ロウソクの8万分の1なのだ。
ルシフェリンとルシフェラーゼが反応すると発光が起こるが、それを支えるエネルギーはアデノシン3リン酸 ( ATP ) から供給される。
デュボワの発見の重要性が理解されたのは、ATPがすべての生命活動のエネルギー源であることが明らかになった60年後のことだった。
ATPとはいわばエネルギーの貯蔵庫のようなもので、
おおもとは光合成のときに葉緑体表面でアデノシン2リン酸 ( ADP ) が太陽光のエネルギーの助けを借りて変身したものだ。
言い換えるとATPが蓄えているエネルギーは、光エネルギーといってもよいだろう。
生物発光では、光を巣って生み出されたATPがADPに分解されるときに、蓄えられていたエネルギーが光となって放出されるのだ。
63::||‐ ~ さん
13/01/29 12:23:01.85 PsVyD8Yw.net
色がいろいろ
トモンテントウ ( Adalia decempunctata )
生息地 ヨーロッパ
特徴 80パターン以上の色、模様をもつ
64::||‐ ~ さん
13/01/29 12:24:44.71 PsVyD8Yw.net
食物や動物の名前をつけるのは、比較的単純な作業といえる。
スウェーデンの博物学者リンネが属名と種名を併記する、学名のシステム「二名法」を考案してから、
すべての生物はこの手法に従って名前がつけられるようになった。
例えばナナホシテントウの属名は Coccinella といい、その意味は「テントウムシ」だ。
そして種名の septempunctata は「ナナホシ」という意味で、そのとおり翅に7個の星をもっている。
しかし非常に近い種であるトモンテントウは、その名前に反して10個の星をもつことはほとんどない。それどころか星がないことすらある。
赤色に黒い斑点があるもの、黒に黄色の肩章のような模様があるもの、
チェック柄、網の目模様、小さな斑点、縞模様など、じつにバリエーションが豊かだ。
そのためそれぞれが違う種であると考えた博物学者は、トモンテントウに片っ端から種名をつけてきた。
星の数から、ムツボシ型には6を表す sexmaculata と sexpuntata 。
ヤツボシ型には8を表す octopunctata 、ヨツボシ型には4を表す quadripunctata 。
semicruciata は背中に十字の模様をもち、 semifasciata は半分縞模様、
triangularis は3つのマークがあり、abscura は曖昧な模様がある。
centromaculata は真んなかに反転、subpunctata は小さな斑点がある。
65::||‐ ~ さん
13/01/29 12:42:37.84 PsVyD8Yw.net
トモンテントウには、このように80以上の名前がついていて、
その多くは別の種類であると考えられてきた。
今ではこれらが同種であり、遺伝によってこれだけ違った色相が生まれるということがわかっている。
といっても種や亜種のように、個々の地理的条件によって決まった色相になるわけではない。
同じ条件化で違うパターンになったり、繁殖の実験では、よく似た10個の星をもつ両親から、
たくさんの違うパターンの子供が生まれたりしているのだ。
遺伝学者はこの模様が、遺伝子やDNAのレベルでどのように決定されているのかを、いまだに研究中だ。
色相パターンが多様化した理由として、捕食者の存在が考えられる。
例えば捕食者である鳥などが特にある色相を好む場合、敵は頭のなかのイメージで獲物を探すため、
そのイメージに少しでも合わないものは見逃してしまう。たくさんの違うパターンをもつことによって、
少なくともいくつかのパターンは子孫繁栄のために生き残ることができるのだ。
しかしテントウムシはどれも、食べてもまずいことをアピールする鮮やかな色をしている。
捕食者はあらかじめまずいことを知っているはずではないか。
それならなぜ、わざわざトモンテントウが多様な色相をもつ必要があったのだろう。
議論の余地はまだまだありそうだ。
66::||‐ ~ さん
13/01/29 12:43:17.72 PsVyD8Yw.net
血みどろの昆虫
ハナヂムシ ( Timarcha tenebricosa )
生息地 ヨーロッパ、中央アジア
特徴 自分の血を吐き出す
67::||‐ ~ さん
13/01/29 12:49:04.06 PsVyD8Yw.net
有毒な物質をもつ植物は多い。
植物の毒は草食動物から身を守るが、昆虫のなかにはこの植物をたべることで、自分の体内に毒を蓄えるものがいる。
そして身を守る武器として、体内の毒を利用する。
だが体内で毒をもつだけでは、万全の防御とはいえない。
昆虫の捕食者である鳥は、毒をまずいと感じれば、次回からはその昆虫を避けるようになる。
しかし少なくとも最初に食べられた虫は、その時点でつつかれ、かみ砕かれているのだ。
すぐに吐き出されても、もう死んでいるだろう。
なかまを守ることはできるかもしれないが、自分は犠牲になってしまう。
できればどんな味かを敵に想像してもらい、食べる前に避けてもらうのがのぞましい。
68::||‐ ~ さん
13/01/29 13:26:34.49 PsVyD8Yw.net
そこでハナヂムシは、鳥のくちばしでつぶされる前に、口から「血リンパ液」と呼ばれる液体をにじませる。
血液のように毒々しく赤い血リンパ液を、鳥のくちばしに数滴たらすのだ。
このように、敵に襲われたときに口器や関節などに起きる出血を「反射出血」という。
血リンパ液の苦さを味わった鳥は急いで吐き出し、この昆虫を食べようとはしなくなる。
反射出血を利用する甲虫として、テントウムシも有名だ。
テントウムシは黄色い血リンパ液を膝の関節の特別な孔から出す。
しかしハナヂハムシはさらにうわ手といえるだろう。
テントウムシのように、鮮やかな色で相手に警戒させることもないハナヂハムシだが、地味な黒色は草原の緑色のなかでよく目立つ。
しかも大きくて動きは鈍く、飛ぶこともできない。
それにもかかわらず、ハナヂハムシが捕食者を怖れることなく明るい日差しのなかで食事ができるのは、反射出血という大技のおかげといえる。
69::||‐ ~ さん
13/01/29 21:19:06.64 PsVyD8Yw.net
いちばん美しい昆虫
アカメガネトリバネアゲハ ( Ornithoptera croesusu )
生息地 インドネシア・バチャン島
特徴 あまりの美しさに、経験豊かな博物学者が思わず気絶しそうになった
70::||‐ ~ さん
13/01/29 21:23:12.92 PsVyD8Yw.net
美とは見る者だけが感じる主観的なものだ。
例えば昆虫学者が昆虫につけた名前を見ると、いかに思い入れが深いかがわかる。
学名には、きれいな ( formosa )、最もすばらしい ( splendidissima )、美しい ( pulchrina )、
高貴な ( nobilis )、すてきな ( venustus )、エレガントな ( elegans ) などという種名が非常によく使われている。
たくさんの研究者が無数の昆虫を、「最も美しい」と称してきたが、ビクトリア時代の博物学者にして科学者であり、
探検家でもあったアルフレッド・ラッセル・ウォレス以上に、美について語り尽くした者はいないだろう。
ウォレスはパトロンによる資金に頼ったり、珍しい標本を売ったりして費用をまかない、研究調査のための旅行をしていた。
1852年8月6日の朝、南アメリカから帰る途中の大西洋上で、彼の乗っていた船ヘレン号が火事になり沈没した。
ウォレスと乗組員は救命ボートの上で9日間漂流したのち救助されたが、大切な標本は失われてしまった。
失われた中には美しいゴクラクチョウやトリバネアゲハなどの価値のある標本もあった。
71::||‐ ~ さん
13/01/29 21:25:03.70 PsVyD8Yw.net
災難にも負けず、彼は『アマゾン川・ネグロ川紀行』という本を出版、すぐにまた東南アジアへの探検へと向かった。
今度は標本をもち帰ることに成功し、1859年、その探検のようすや動物や昆虫の発見を書いた『マレー諸島』という本を出版した。
その旅行中、インドネシアのモルッカ諸島にあるバチャン島の森林を探検したとき、彼はすばらしいチョウを発見し、2ヶ月かけて採集に成功した。
ウォレスはこのチョウを紀元前6世紀のリディア( 現在のトルコ )を治めたクロイソス王にちなみ、Ornithoptera croesus ( 和名アカメガネトリバネアゲハ )と名づけた。
ウォレスが残した次の言葉は今なお読者の心に響くだろう。
「この昆虫の美しさとすばらしさは、言葉で表すことができない。
そして自然を愛する者だけが、私がついに経験することのできたこの深い興奮を理解できるだろう。
私の網にかかったこのチョウを取り出し、うるわしい翅を広げるとき、
私の心臓は激しく打ち、血が頭にのぼり、死んでしまうのではないかと思うほど気が遠くなった。
チョウごときでこれほど興奮することの意味が、理解できない人のほうが多いだろう。
しかし私にとっては、それほどの興奮だったのである」
72::||‐ ~ さん
13/01/29 21:40:28.73 PsVyD8Yw.net
頭がいちばん長い昆虫
キリンクビナガオトシブミ ( Trachelophorus giraffa )
生息地 マダガスカル
特徴 昆虫のなかで最も頭が長い
73::||‐ ~ さん
13/01/29 21:41:41.94 PsVyD8Yw.net
オスの頭が大きいことは、それほど驚くことではない。
巨大な頭に大きな大顎がついているものもあれば ( チリクワガタ )、大きな複眼がついているものもいる ( アタマアブ )。
しかしこのキリンクビナガオトシブミは、想像を超えた外見をしている。
キリンクビナガオトシブミのオスの細長い頭は10~25mm、首は7mm程の長さがあり、頭部と首だけで、全体の70%を占めている。
ずんぐりした体で頭部を持ち上げている様子は、まるで工場現場のクレーン車だ。
メスの頭と首も比較的長いが、体の半分くらいにとどまる。
オスはその長い頭部を、うなずく動作以外に実用的に使うことはない。しかし首を振ってうなずくことは、
キリンクビナガオトシブミにとっては重要な動作だ。
オス同士は儀式的にうなずき合って対決し、負けたと思った方は退却する。
74::||‐ ~ さん
13/01/29 21:42:58.12 PsVyD8Yw.net
またメスもうなずく動作がうまいオスを、交尾の相手として選んでいるようだ。
頭が長ければ長いほど、首を振るのに好都合になり、メスに選ばれる確率も高くなる。
こうして、ますます頭部が長く進化したようだ。
皮肉なことだが、より長い頭が本当に必要なのは、メスのほうかもしれない。
オトシブミのなかまであるクビナガオトシブミのメスは、葉の両側を真ん中まで嚙み切る。
葉を丸めやすくするためだ。
メスは長い首と頭を使ってこの葉を押さえながら、切っては巻くことを繰り返し、小さな葉巻のような筒形に整える。
メスはそのなかに卵を産みつけ、やがて生まれる幼虫は、捕食者や寄生虫から守られながら大きくなる。
75::||‐ ~ さん
13/01/30 09:08:43.52 REU92rJF.net
なめらかな流線型
ヒラタドロムシ科の幼虫 ( Psephenidae )
生息地 世界各地
特徴 激しい水の流れに耐えられる体型をしている
76::||‐ ~ さん
13/01/30 09:09:45.59 REU92rJF.net
転がる石と急流をものともせず、川の水面下にも生物は息づいている。
甲虫であるヒラタドロムシもそんな生物のなかまだ。
この虫の幼虫は、川底の石にくっついて生きている。
成虫は完全に陸生だが、幼虫は水生だ。
ヒラタドロムシの幼虫の体はいくつもの体節に分かれており、体の周りを縁取るように、平たい体節が連なっている。
なめらかな背の裏には頭部、脚、エラが隠されている。
脚には鉤爪がついていて、これでしっかりと岩や石にしがみつく。
鉤爪がなければ、ゆっくりした流れにも流されてしまうだろう。
幼虫はほとんどの時期を、石の下か岩の裂け目で過ごしながら、小さな藻を食べている。
しかしさなぎになるためには陸に上がらなくてはならず、そのときばかりは激しい川の流れに立ち向かう。
速い流れに見えても、川底近くは案外静かなものだ。
小さく平たいヒラタドロムシの幼虫は、このゆっくりした流れのなかにずっといたいだろうが、そうもしていられない。
流体力学にかなった体型や、体節や尾の先にある隙間から水を流すことで急流に耐えながら、
脚でしっかりと石にしがみつき、陸に向かって少しずつ上っていくのだ。
77::||‐ ~ さん
13/01/30 21:29:35.78 REU92rJF.net
いちばんうるさい
プロノータリスエゾゼミ ( Tibicen pronotalis )
生息地 北アメリカ
特徴 昆虫のなかでいちばん大きな声を出す
78::||‐ ~ さん
13/01/30 21:30:31.61 REU92rJF.net
ほとんどの昆虫は小さく、こそこそと静かに隠れて生きており、目立ちたがらない。
しかしセミは例外だ。
コオロギ、キリギリス、バッタと並び、セミはなかまとのコミュニケーションのため、できるだけ大きな声で鳴く。
通常セミが鳴くのは、メスに向かってアピールしたり、お互いの縄張りを伝えるためだ。
体の大きなセミは体格どおりの大きな声で鳴くため、セミのなかまはどの個体がいちばん大きいか、音で知ることができる。
また鳥などに対して、警戒音が発せられることもある。
声の大きさだけで、相手を驚かせて追い払う効果がかなり高い。
79::||‐ ~ さん
13/01/30 21:31:20.92 REU92rJF.net
セミの第1腹節の両側には、大きな丸い器官がある。これが振動膜だ。
振動膜のつくりはドラムのようなもので、伸縮性のあるかたくて薄い膜が、丸い枠に張られている。
腹部の大きな筋肉と振動膜の中央は、細い糸で結びつけられている。
腹部の筋肉が収縮すると、細い糸に引っ張られた振動膜はへこみ、パチッという音が出る。
反対に筋肉がゆるむとき、振動膜は元の形に戻る。
こうした筋肉の動きにより、振動膜を1秒間に4000~7000回も振動させることで、パチッという音が連続する。
また腹部のなかには2つの気嚢 ( 空気をみたした器官 ) があり、振動膜の振動数に共鳴し、
音を増幅させるアンプの役割を果たしている。
その音の大きさは驚くほどで、電気工具や芝刈り機、バイクといい勝負で、1km先の森からも聞こえるほどだ。
騒音の大きさは、音圧レベル測定器で測ることができる。
連続した音で最も大きなものとして記録されているのはブレビスゼミ Brevisana brevis の鳴き声で、106.7デシベルだった。
この大きさの音に1日に2時間以上さらされると、人間の耳はダメージを受けるといわれている。
ブレビスゼミはこの大音量で1日中鳴き続ける。
瞬間的に最も大きな音として記録されているのは、アメリカに生息するプロノータリスエゾゼミの鳴き声であり、108.9デシベルだった。
電車が通過するときのガード下の音量が100デシベルとされているが、それを上回るうるささだ。
80::||‐ ~ さん
13/01/31 14:56:00.05 H7e8lGe9.net
空中でぴったり静止
アタマアブのなかま ( Pipunculidae )
生息地 世界各地
特徴 空中ではばたきながら静止できる
81::||‐ ~ さん
13/01/31 14:56:34.30 H7e8lGe9.net
1907年9月29日、フランスの飛行家ルイ・シャルル・ブレゲがヘリコプターの先駆けとなる風変わりな試作機に乗って離陸した。
ある飛行技術を昆虫から修得しようというのだ。それは「ホバリング」と呼ばれる、空中で静止姿勢を保つ技術だった。
昆虫にとっては、たとえ一瞬でも空中に静止できることの意味は大きい。
花や葉の上には滑走路などないからだ。では昆虫はどうのようにして空中で静止しているのだろうか。
秘密は翅のねじり方にある。
昆虫はただ翅を上下にはばたくのではなく、ねじりを加えることで、前進したり上昇したりといった進路をコントロールしている。
例えば最高速度で前進するときは、後ろへのはばたきと前へのはばたきのバランスで、進路をまっすぐに保っている。
そしてホバリングは、たくみに翅をねじることで、前進と上昇とが相殺されるようなはばたき方をしている。
その結果、空中にとどまることができる。
82::||‐ ~ さん
13/01/31 14:57:37.39 H7e8lGe9.net
ホバリングがうまい昆虫には、スズメガやツリアブがいる。
これらは花から蜜を採取しているあいだ、ずっと静止している。
ほかにも体が大きく鮮やかな色をしたハナアブのなかまがいる。
ハナアブは大きな複眼が印象的だ。
特にオスの複眼は大きい。
よく見える大きな複眼は、ハナアブにとってホバリングがいかに重要かを示すものだ。
周りの様子がよく見えるため、空中で位置を確認しながら静止できる。
じつはホバリングをするハナアブはほとんどがオスだ。
ホバリングしながら周囲を立体的にみてテリトリーを守りながら、ほかのオスと戦い、メスの気をひくのだ。
しかしハナアブもホバリング技術では、一見小さくぱっとしないこの昆虫にはかなわない。
大きな頭のアタマアブのなかまだ。
オスはその頭のほとんどが複眼というくらい特大の複眼を持つ。
その複眼で360°ぐるりと見わたし、縄張りを見張っている。
またアタマアブのなかまは、広いスペースで堂々とホバリングするよりも、小さな茂みなどの草のある狭いスペースを好む。
そのおかげで昆虫学者は、虫取り網や小さな試験管のなかといった場所でも、ホバリングの様子を存分に観察することができる。
83::||‐ ~ さん
13/01/31 20:11:27.29 H7e8lGe9.net
不恰好すぎる昆虫
シャチホコガの幼虫 ( Stauropus fagi )
生息地 ヨーロッパ、北アジア
特徴 ひどく醜い
84::||‐ ~ さん
13/01/31 20:12:16.28 H7e8lGe9.net
奇怪な外見やあまりにも不恰好な姿は、私たちに不快感をもたらすことがある。
この不快感に知識不足が加わると、ときに怖れや誤解を生むことにもつながる。
シャチホコガの幼虫に対する感情が、まさにこれだろう。
まるでヨーロッパ中世の怪物やおぞましい獣のように忌み嫌われてきたシャチホコガの幼虫だが、
彼らは人間を脅かすためにそんな姿に進化したわけではない。
大敵である鳥から隠れ、身を守るためなのだ。
初期の自然哲学者はシャチホコガの幼虫を「クモとサソリが半々だ」と表現している。
シャチホコガは、英明で「ロブスター・モス」というが、その名のとおり甲殻類のような外見で、ふくれあがった尾には、恐ろしい針のような細長い付属器官がついている。
その正体は針ではなく、多くの昆虫が幼虫のころにもつ「尾脚」と呼ばれる吸盤つきの脚にあたる。
2組目と3組目の胸脚は非常に長く、幼虫は脅威を感じると攻撃的にそれを振る。
「自分は危険な生物だから近寄るな」というアピールだ。
85::||‐ ~ さん
13/01/31 20:13:31.75 H7e8lGe9.net
危険な生物のふりをするのは、シャチホコガにとっての最終手段だ。
それよりむしろ、敵の目に獲物として映らないことがいちばんというわけで、シャチホコガの幼虫はほとんど動かず、発見されないように息を潜めて暮らしている。
ふつうのイモムシのような形でなく、ごつごつと節くれだった奇妙な形は枯れ葉のようにも見えるため、敵は見過ごしてしまうだろう。
この幼虫は、生まれたときから不恰好なわけではない。
卵からかえったばかりのときは、細長いウエストと丸い球根のような腹部をもち、アリにそっくりなのだ。
似ているだけではなく、蟻酸を出すこともできる。
蟻酸はアリが鳥に襲われるときに出す化学物質で、そのひどい味から、鳥が食べることを避けるようにしむけるものだ。
もちろん蟻酸をもつシャチホコガの幼虫そのものも、ひどい味がするのだろう。
86::||‐ ~ さん
13/02/01 21:08:03.16 H4XcHBQC.net
いちばん大顎が長い
チリクワガタ ( Chiasognathus granti )
生息地 チリ、アルゼンチン
特徴 大顎が体長と同じくらい長い
87::||‐ ~ さん
13/02/01 21:10:52.25 H4XcHBQC.net
大顎は何のためにあるのか、真っ先に思いつく用途は食事だろう。
しかしこれは、昆虫にとって2番目の用途にすぎない。
なぜならほとんどの昆虫は、大顎を使わずに食べることができるからだ。
それよりももっと基本的な機能はかむことだ。
昆虫は獲物を捕まえ、殺すためにかむ。
また土を運んだり葉を切ったり、幹に穴を開けたりするためにかむ。
その昆虫がどのような習性をもつかにより、大顎の形は違ってくる。
驚異的に長い大顎をもつ昆虫は、やはり驚異的な習性をもっていた。
イギリスではダーウィンクワガタと呼ばれることもあるチリクワガタだ。
88::||‐ ~ さん
13/02/01 21:17:15.96 H4XcHBQC.net
ダーウィンの自著『人間の進化と性淘汰』のなかでこのクワガタについて述べているが、それを著すよりも早い1831年に、
スコットランドの博物学者ロバート・グラントの名前にちなんで、Chiasognathus granti と命名されていた。
チリクワガタはチリとアルゼンチンでしか発見されていない。
オスの大顎は体と同じくらいの長さがあるが、力強くかんだり葉を切ったりする昆虫とは違い、チリクワガタの大顎は細長く、下向きに曲がっている。
角のような大顎はピンセットが剪定ばさみにも似ているが、まさしく使い方もそのとおりなのだ。
角のような大顎はかんだり切ったりするためにあるのではなく、ケンカするためにある。
ケンカの舞台は、メスが産卵する朽ち木や、林のそばにある立ち木の上だ。
メスを奪い合うオス同士が木の枝の上で一騎打ちをする際、長い大顎を使って相手を枝から突き落とせば勝者となる。
決して相手を傷つけたり、かみついたりはしない。
ダーウィンは南アメリカを旅行しながらチリクワガタの標本を集め、「大顎の力はたいしたことはなく、私の指をかんでも痛くない」と記している。
チリクワガタのオスは非常に大きく、体長は20~40mm、さらに大顎の長さが15~40mmもある。
しかし大顎の長さは体の大きさにいつも比例するわけではなく、体がほかより小さくても、大顎の長さでは勝るものもいる。
朽ちた木のなかで食事をとっている幼虫のあいだに、体つきが決まってくるのだろう。
体のわりには大顎の長いもの、反対に短いもの、あるいは体格相応の大顎をもつものもいる。
さまざまな体の大きさ、大顎の長さの組み合わせのうち、基本的には最も体が大きく、最も栄養のよいクワガタが、いちばん長い大顎をもつことになる。
89::||‐ ~ さん
13/02/01 21:40:38.48 H4XcHBQC.net
とびきり大きな翅
ナンベイオオヤガ ( Thysania ogrippina )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 どの昆虫よりも大きな翅をもつ
90::||‐ ~ さん
13/02/01 21:41:10.06 H4XcHBQC.net
哺乳類の場合、大型のものほど寒冷地に生息し、小型のものは赤道近くに分布する傾向があるが、昆虫は反対だ。
もちろん例外はあるものの、大きな昆虫は熱帯地方に分布しているものが多い。
特に薄暗く湿ったジャングルのなかでは、巨大な昆虫が発見されることが多い。
熱帯地方は一年中暖かく、温帯地方のような季節の変化がないうえ、冬眠しなくては超えられない冬もない。
昆虫にとってさぞ快適な住環境なのだろう。
このような環境で育つ幼虫は、一年中食べ続けて存分に成長することができる。
亜熱帯気候である中央アメリカと南アメリカの一部は、
世界一大きな昆虫( タイタンオウウスバカミキリ )の生息地であるだけでなく、いちばん大きな翅をもつ昆虫のすみかでもある。
その翅のもちぬしであるナンベイオオヤガの翅は、開帳(翅を広げたときの、左右の端から端までの幅)が305mmもあるのだ。
91::||‐ ~ さん
13/02/01 21:48:59.13 H4XcHBQC.net
ナンベイオオヤガの生態は、驚くほど不明な点が多い。
幼虫がなにを食べるかについての記録すらなく、交尾や産卵などの生態もいまだに謎だ。
1つだけわかっているのは、大きな翅にもかかわらず身を隠すのが上手いことだ。
翅と同じようなまだら模様の木の幹に、翅を押しつけるように平らに広げてとまり、見事に一体化する。
しかしナンベイオオヤガの翅が世界一といえるのは開帳に限る。
面積で比べると、開帳300mmのヨナグニサン Attacus atlas のほうが広い。
また先史時代の化石からは、さらに大きな翅の昆虫が発見されている。
メガネウラ・モニイ Meganeura monyi とメガネウロプシス・ペルミアナ Meganeuropsis permiana は、
どちらもトンボに似た巨大な昆虫で、2億5000万年前に生息していた。
その開帳は750mmもあった。
92::||‐ ~ さん
13/02/03 00:40:05.84 wXYePC8i.net
枯葉にそっくり
コノハチョウ ( Kallima inachus )
生息地 インド北部から中国、日本にかけて
特徴 完璧に枯葉にカムフラージュする
93::||‐ ~ さん
13/02/03 00:40:56.39 wXYePC8i.net
木や石、土、そして木の葉、自然環境には緑色や茶色があふれている。
そこで暮らす昆虫の体に緑色や茶色が多く、さらにカムフラージュのために周りの環境とそっくり同じ色をした昆虫がいるのも当然のことだろう。
どんな昆虫にも、カムフラージュが得意な種がいる。
コケの生えた樹皮や小石、葉の葉脈の上、目を凝らして探しても見逃してしまうほど、環境に溶け込むのが上手な昆虫がいる。
カムフラージュがうまい昆虫といえば、コノハチョウほどその名にふさわしいものはいないだろう。
コノハチョウがどこかにとまるときは、ほかのチョウと同じように翅を閉じて立て、裏側が見えるようにする。
裏側は枯葉の完璧なレプリカになっている。
茶色とベージュのまだら模様、黒い太い線に放射状の細い線、翅のとがり具合まで、すべて本物の葉にそっくりだ。
コノハチョウの模様には、多少の個体差がある。
同じ枯れ葉は1枚もないのだから、個体差はより本物らしさ増すことになる。
94::||‐ ~ さん
13/02/03 00:41:31.91 wXYePC8i.net
一方、表側の模様はどのコノハチョウも同じだ。
全体は玉虫色のブルーで前翅の先端は暗く、鮮やかなオレンジ色の稲妻模様がななめに入っている。
このオレンジ色は飛んでいるときは非常に目立ち、とまっているときには隠れる。
オレンジ色を目印にコノハチョウを探す捕食者には、枯れ葉のなかに隠れたチョウを見つけることはできないだろう。
コノハチョウには2つの変異型がある。
やや大きめで色が薄い乾期型と、小さめで色が薄い雨期型だ。
濡れた枯れ葉は色が濃くなるため、雨の季節には雨期型のコノハチョウのほうが枯れ葉らしく見える。
95::||‐ ~ さん
13/02/03 01:13:21.07 VXN0UGpl.net
昆虫の擬態は面白いよね。
コノハムシが有名だけどサルオガセギス(Markia hystrix)やムシクイコノハツユムシ(Mimetica tuberata)もなかなか。
特にムシクイコノハツユムシは虫食い部分や部分枯れまで再現したのはすごい。
96::||‐ ~ さん
13/02/03 01:51:32.96 wXYePC8i.net
最高の透明度を誇る翅
スカシマダラのなかま ( いろいろな種がある )
生息地 世界各地
特徴 無色透明な翅をもつ
97::||‐ ~ さん
13/02/03 01:53:22.49 wXYePC8i.net
飛ぶ昆虫のほとんどは、透きとおった翅をもっている。例えばハエ、ハチ、アブなどの翅は透明な膜だ。
飛ぶ昆虫であっても、色がついていたり斑点模様の翅などもあり、
そのような色味は、大きめで明るい色の体に小さめの羽を持つ昆虫に多い。
トンボも透明の翅をもっているが、体に対して大きめの翅には、
網状に張り巡らされた翅脈がよく見えるせいで、くもりガラスのような乳白色に見えることもある。
また翅脈で区切られたそれぞれの面は、たくさんの鏡のような役割を果たすため、太陽の光に乱反射され、翅を虹色に輝かせることもある。
ではいちばん透明な翅をもつ昆虫はどれだろうか。
答えはスカシマダラのなかまだ。
スカシマダラのなかまは種類が豊富だ。
なかまのほとんどは半透明よりも透けた翅をもち、なかには透明に近いが少し影のある種、やや色がついている種もいる。
そして少数派ながら完全に透明な種もいる。
スカシマダラのなかまに透明な翅をもつものが多いのは、
おそらく透明な翅になるという進化が、個々に、数度にわたって起きたからだと考えられる。
98::||‐ ~ さん
13/02/03 01:55:02.37 wXYePC8i.net
また透明な翅は、中央アメリカや南アメリカの熱帯地方に生息する種に多い。
薄暗い熱帯雨林では花や葉の上にとまれば、本当に見えなくなるに違いない。
おなじみのチョウの派手な色は、鱗粉によるものだ。
色つきのチョウの翅は、モザイク状に配置された有色の鱗粉に広く濃密におおわれている。
スカシマダラの透明な翅にも鱗粉は見られる。
しかし扇形の翅の上に、顕微鏡でしか見えないような微細な鱗粉が、まばらにあるだけだ。
スカシマダラは英語で「クリアーウィング」と呼ばれることもあるが、この呼び名はもともと昼行性のスカシバガのなかまをさしている。
こちらは同じ透明な翅でもねらいは違う。
透明な翅により周りに同化するのではなく、むしろ体を黒や黄色、赤などの目立つ色にして、
同じように翅が透明なハチなどに見せかけようとしているのだ。
99::||‐ ~ さん
13/02/03 01:59:11.01 wXYePC8i.net
>>95
擬態ってことを考えると、
昆虫って環境に対して受動的なんだな~、という昆虫全体の総評に安易に結びついてしまうような気がする。
間違ってるのかもしれないけども。
100::||‐ ~ さん
13/02/06 17:48:20.08 I68JGFba.net
毛むくじゃらの脚
ホソオドリバエのメス ( Rhamphomyia longicauda )
生息地 北アメリカ東部
特徴 メスの脚が非常に毛深い
101::||‐ ~ さん
13/02/06 17:49:42.58 I68JGFba.net
メスに選ばれたいというオスのプレッシャーは、ときに凶暴な武器を生んだり ( チリクワガタ ) 、
奇妙な行動をとらせたり ( コブバネコオロギ ) 、不思議な形に進化させたりする ( キリンクビナガオトシブミ ) 。
しかし昆虫の世界の特殊なところは、そのルールが破られるころがあるという点だ。
メスが子孫を生み出すという仕事を担当する世界では、オスはメスに近づくために戦ったり、自分の魅力をアピールしたりしなくてはならない。
ところがホソオドリバエは逆でメスのほうがオスに選ばれるよう、体型でアピールする。
ホソオドリバエのメスは、非常に毛深い脚をもつことで知られている。
中脚と後脚は平たく、脚の前後の端に長く濃い毛が生えている。
まだメスは腹部の両側に袋をもっており、オスにアピールするときには、そこへ空気をいっぱいに入れてふくらませる。
オスはいちばん太った、かついちばん毛深いメスにひかれるようだ。
このことは、メスの脚を真似てつくった微細な繊維の束を下げたモデルに、オスがひきつけたれたという実験結果からも裏付けられる。
102::||‐ ~ さん
13/02/06 17:51:45.65 I68JGFba.net
ホソオドリバエのメスは自分で食料を捕らない。
交尾のときに、タンパク質の豊富な虫の死骸をオスからプレゼントしてもらうのだ。
オスの気をひいて食料を得るには、自分がオスの精子を貯蔵するのにふさわしいことをアピールしなくてはならない。
メスの日暮れ前に10~100匹で蚊柱のような集団をつくる習性がある。
そこへ、プレゼントをもったオスが現れる。いちばん太っていて毛深いメスは誰だろう。
オスは気に入ったメスの下に飛んでいき、選ばれたメスはオスのところまで降りて、2匹は交尾のために飛び去る。
体格がよく毛深いメスがオスをひきつけるのは、生態の論理でも説明できる。
大きなメスは栄養をつめ込んだ卵をたくさん産める。ひいては強く健康で大きな子孫を産む可能性が高い。オスが大きなメスを選ぶ理由はこれだ。
しかし、飛ぶ昆虫にとってウエイトコントロールは非常に重要なことだ。
そこでメスは本当には太らずに、空気を入れた腹の袋と毛深い脚によって自分を大きく見せる。
昆虫学者はこれを「ごまかし」と呼ぶが、あながちそうともいい切れない。
脚の長さや体を飾る器官の大きさは、確かに全身の大きさに比例するからだ。
103::||‐ ~ さん
13/02/06 18:08:25.70 I68JGFba.net
目にもとまらぬ速さの一撃
バウルアギトアリ ( Odontomachus bauri )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 すべての動物のなかで敵への一撃がいちばん速い
104::||‐ ~ さん
13/02/06 18:09:03.84 I68JGFba.net
一見小さな大顎でも、恐るべき力を秘めていることがある。
葉のかたい繊維や木の枝をかみ切ったり、自分の体重の何倍もの重さを持ち上げ、巣の貯蔵庫に運んだりする。
特に攻撃や防御のために武器として使われたとき、その大顎の能力は最も発揮される。
大型の兵アリやシロアリの頭部は、力強い大顎を動かすための筋肉が、その頭の大きさが許す最大限の容積を占めているので、
獲物や敵に想像以上のダメージを与えることができる。そしてそれらの戦いにより、武器もどんどん進化してきた。
シロアリ類の兵アリは、人間は指を鳴らすような一瞬のうちに、獲物に向かっていく。
そして大顎の先を獲物に押しつけ、大きな力がかかったところで大顎をずらして力を抜く。
一連の素早い動きで、大顎の刃は2本の三日月刀となる。
105::||‐ ~ さん
13/02/06 18:10:07.09 I68JGFba.net
しかし大顎を素早く動かすという点では、バウルアギトアリには勝てない。
緊張によって筋肉エネルギーを蓄えたところで、突然その掛け金を外す。
すると大顎はすさまじい速さで閉じ、その反動でバウルアギトアリは勢いよく空中へ飛び出し、旋回する。
大きな敵にかみつくのも速いが、安全なところへ退却するのも、また速い。
高速カメラを用いて調べたところ、バウルアギトアリが大顎を閉じるスピードは秒速35~64mだった。
つまり、大顎を閉じるまでは0.00013秒、人がまばたきをする速さの2300倍のスピードだ。そして重力の10万倍の力を生み出す。
このアリが獲物に襲い掛かる速度は、動物界随一ということになるだろう。
106::||‐ ~ さん
13/02/07 21:32:59.37 3xerJrMq.net
いちばん美しい目
アブのなかま ( Tabanidae )
生息地 世界各地
特徴 目の模様が縞、まだら、斑点、線など千変万化する
107::||‐ ~ さん
13/02/07 21:33:39.07 3xerJrMq.net
高倍率の顕微鏡で見ると、昆虫の複眼は六角形のレンズが一面に並んでいることがわかる。
その表面はなめらかな球状で、黒や灰色、茶色もしくは暗い赤などの単色だ。
しかしなかには、そんな地味な配列の色ではなく、色鮮やかな模様入りの複眼をもつ虫もいる。
アブのメスは体内で卵を育てる前に、哺乳類の血液からたんぱく質を得るため吸血する。
体色は灰色と茶色のまだらが多く、木の幹になりすますことができる。それに対し複眼は、縞模様や線、点などの鮮やかな模様を描く。
太陽光に反射して赤、青、緑などの色がメタリックな輝きを放つこともある。
複眼の模様は種によって違うため、世界中に3000種以上いるとされているアブのなかまを見分けるには、昆虫学者ですら模様に頼らざるをえない。
108::||‐ ~ さん
13/02/07 21:34:17.71 3xerJrMq.net
なぜ模様が違うのだろうか。
考えられるのは色を見やすくするためだ。
複眼の中にあるいろいろな色のレンズに光が通ると、コントラストがよりはっきりし、昆虫の頭で立体的なイメージを描きやすくなる。
3D映画を見るときにかける眼鏡の、赤と青のレンズのような役割を果たすのだ。
アブのなかまは、食物を探すために高い視力が必要だ。
一面が緑色の背景のなかで獲物となる生物を探すには、コントラストを高めると、効果的だ。
アブは、車、物置小屋、洗濯機など、暗い色の大きな形状のものを吸血できる対象と誤認し、よりひきつけられるようだ。
109::||‐ ~ さん
13/02/07 22:18:44.46 3xerJrMq.net
最高に優雅な産卵
クサカゲロウのなかま ( Chrysopa sp. )
生息地 世界各地
特徴 細い糸の先に1個ずつ卵を産みつける
110::||‐ ~ さん
13/02/07 22:19:52.30 3xerJrMq.net
昆虫にとって産卵は細心の注意を要する大仕事だ。
最も重要なのはパートナー選びだが、どこに卵を産むかという点にも気をつかわなくてはならない。
自ら逃げたり戦ったりできない卵のうちは、昆虫の一生でいちばん危険な時期なのだ。
卵の形を何か似せてカムフラージュするのも難しい。
そのため昆虫は産卵する場所選びを工夫したり、賢く隠したり、あちこちに分けて生んだりと、リスクを分散する方法を考えてきた。
クサカゲロウは一風変わった、しかも優雅な産卵方法を編み出した。
メスは卵を産む前に、分泌物を1滴、腹部の先から絞り出す。
液体はクモの糸のように伸びて、空気中の酸素に触れるとかたまり、絹のようなしなやかな糸になる。
そしてメスが長い尾を使って、その糸を上に引っ張ると、糸はかたい毛のように立ち上がる。
最後にメスは尾をめいっぱい伸ばし、その先端に卵を貼りつけるように産む。
ときには1粒だけのこともあるが、たいていは20~100個の卵を葉や茎の上、木や石の下に産む。
見た目に美しいクサカゲロウの卵は、日本では「優曇華の花」といい、夏の季語とされている。
111::||‐ ~ さん
13/02/07 22:21:15.97 3xerJrMq.net
小さくても卵は貴重な食料だが、足場から離れた場所にこんな形で産みつけられては、さすがに敵も狙いにくい。
しかし、それでものがれられない敵もいる。
小さな捕食寄生者であるタマゴクロバチは、クサカゲロウの卵の上に飛んできてとまり、自分の卵をなかに産みつけるのだ。
卵の中で育つクサカゲロウの幼虫は、やがて生まれるハチの幼虫に食べられてしまうだろう。
しかし「卵の柄」のいちばんのねらいは、敵を遠ざけることではない。
じつは先に生まれてお腹をすかせた幼虫が、あとから生まれる兄弟を食べてしまうのを防ぐためだ。
食欲旺盛な幼虫は卵からかえると、すぐに柄を伝い降りて三日月刀のような大顎を使い、アブラムシなどの小さな虫を見つけて食べる。
わざわざ柄を上って兄弟を食べるよりも、そのほうが簡単だ。
112::||‐ ~ さん
13/02/08 19:57:15.72 bIu2j5em.net
最大の目玉模様
フクロウチョウのなかま ( Caligo sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 翅に大きな目玉の模様をもつ
113::||‐ ~ さん
13/02/08 19:57:48.25 bIu2j5em.net
大きな目は捕食者の特徴であることが多い。
捕食者は攻撃する前に、まず獲物のサイズを測るからだ。
自然界でいちばん恐ろしい捕食者である哺乳類と鳥は、特徴な丸くて大きな目をもっている。
ということは、彼らのように大きくて恐ろしい目をもてば、身を守るのに役立つだろう。
目玉模様は多くのチョウやガが身につけた、すばらしい護身術といえる。
当然のことだが、大きな目玉模様をもつのは大きなチョウだ。
フクロウチョウは、後翅の裏側の真ん中に、大きく丸い目玉模様をもつ。
翅をきれいに広げた標本が、まるでフクロウの絵のように見えることからこの名前がついた。
その目玉模様は、白っぽい縁取りが大きな黒い光彩と瞳孔を際立たせ、
黒いなかに三日月型に輝く模様は、濡れた球状のレンズであるかのような立体感を与えている。
114::||‐ ~ さん
13/02/08 20:04:42.23 bIu2j5em.net
目玉模様の効果について問題があるとすれば、チョウは標本のように翅を広げたポーズを取らないことだろう。
チョウが木の幹や枝で休むときは、翅を閉じて背中の上に立てている。
つまり敵からは片方の目玉しか見えないのだ。それで効果はあるのだろうか?
フクロウチョウは熱帯雨林の奥地に生息しているため。
わからないことも多く、翅の模様は目玉ではなく、トカゲの頭を真似したものかもしれないという説もある。
天敵であるアノールトカゲは、フクロウチョウが茂みや木で翅を閉じて休んでいるところに現れるのだが、
このトカゲは縄張りをもち、自分よりも大きな目をもつトカゲを見ると退却するらしい。
フクロウチョウの模様がトカゲの頭を模したものだとすれば、アノールトカゲを撃退するためのものである可能性が高い。
115::||‐ ~ さん
13/02/08 20:17:57.05 bIu2j5em.net
軽やかな忍び足
イトアメンボのなかま ( Hydrometra sp. )
生息地 世界各地の沼や小川
特徴 水の上を足音もたてずに大股で歩く
116::||‐ ~ さん
13/02/08 20:18:42.35 bIu2j5em.net
川や湖では水深が浅くても深くても、ほとんどの生命活動は水面の近くで営まれている。
水面は気体(空気)と液体(水)という全く違う環境の境界だ。
この境界面の直下を、また、すぐ上の水表面を生活の場とする生物たちがいる。
「水表動物」と呼ばれるその生物の多くは、すばしっこいハンターであり、
水に落ちてじたばたしている陸生の無脊椎動物を、水面の波紋(振動)から感知する。
水表動物である昆虫のなかで、最ものんびりと隠れているのは、イトアメンボだろう。
117::||‐ ~ さん
13/02/08 20:19:34.49 bIu2j5em.net
英名で「沼を歩く者」と呼ばれるイトアメンボは、スピードに欠ける分、音をたてずに忍び寄ることで不利を補っている。
ほかの敏捷なアメンボのなかまのように、イトアメンボの長く細い脚と長い触角で、
水に落ちてもがいている虫や、水面下にいるミジンコの振動を感知する。
よく食べるのは、水面で単細胞藻類を食べている小さなトビムシだ。
イトアメンボの体は細くて軽く、水の上に浮かびやすい。
頭部は不釣り合いなほど長く、両端の少し下に球状の小さな複眼がついている。
そしてこの長い頭は、ある恐ろしい武器を隠している。
頭の下に隠しもった針で、獲物を串刺しにするのだ。
118::||‐ ~ さん
13/02/12 16:41:55.80 9+Oh8jEc.net
ゴージャスな毛皮
マルハナバチのなかま ( Bombus sp. )
生息地 ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、南アメリカ、アンデス山系
特徴 濃密な毛に覆われている
119::||‐ ~ さん
13/02/12 16:43:24.51 9+Oh8jEc.net
毛皮とは、防寒に役立つ密集した毛がはえているほ乳類の皮膚をさす。
だから理論上、昆虫には毛皮はない。
しかし体中を毛や針でおおっている昆虫は多く、まるで毛皮をまとっているように見える。
この昆虫の「毛皮」は、主に防御のために使われている。
例えば毛虫の毛は、ぬいぐるみのようにふわふわと柔らかそうに見えるが、じつはかたくてごわごわしている。
その剛毛は敵の口に入るやいなや、棘となって突き刺す。ときには毒も出す。
毛皮と見紛うような毛を生やしたマルハナバチは、東南アジアに生息する種を除き、主に寒冷地や山地に生息している。
中央アメリカから南アメリカといった昆虫の楽園には生息していない。
アフリカ、アラビア半島、インド、オーストラリアにもいない。
寒さに適合した暮らしを営むマルハナバチは、午前中の早い時期に花の蜜を求めて飛びまわる。
1年をとおして見ても、まだ寒い時期にはほかの昆虫よりもより北へ、より山の上の方へと飛んでいく。
120::||‐ ~ さん
13/02/12 16:43:56.14 9+Oh8jEc.net
ふつう昆虫は朝早くから日に当たり、必要な体温まで上昇するのを待たなくては飛ぶことができない。
しかしマルハナバチは自分で身震いすることによって、体を温めることができる。
翅を軽くひらき、胸部の大きな翅の筋肉を激しく震わせて代謝熱を生み出す。
ほ乳類や鳥の代謝と同じような仕組みだ。毛皮は飛んでいるときには防寒の役割も果たす。
ハチの毛は単純な細い毛ではない。
顕微鏡で見るとまるで羽毛のように一本一本が枝分かれしている。
この枝状の部分は花粉粒を集めるために進化したとも考えられている。
枝分かれした毛は、暖かい空気を閉じ込めておくのにも適している。
ところが皮肉なことにマルハナバチは必要以上に熱を持ちやすいという欠点がある。
そこで下腹部にある「熱の窓」といわれる、かたくて毛が生えていない皮の部分を通して体液を冷やし、適温に調節する。
121::||‐ ~ さん
13/02/12 16:57:17.87 9+Oh8jEc.net
最強の毒
アフリカヤドクハムシのなかま ( Diamphidia sp. と Polyclada sp. )
生息地 ボツワナ、ナミビア
特徴 狩人が狩猟のため矢にその毒を塗る
122::||‐ ~ さん
13/02/12 16:58:08.85 9+Oh8jEc.net
毒はうっかり食べてしまってから発見されることが多い。
植物のトウゴマに含まれるリシン、ナス科の実にあるベラドンナ、ジキタリスなどはすべて強力な毒だが、
人間や植物が食べて初めて毒だとわかったのだ。
昆虫は人間にとって重要な食料ではないため、毒があるかどうかは確かめにくい。
しかしある種の昆虫の毒は、人間にとっては便利に利用されてきた。
カラハリ砂漠の北に住む狩猟採集民のサン人(ブッシュマン)は、アフリカヤドクハムシのさなぎを土から掘り出し、その血リンパ液を絞り出す。
血リンパ液に含まれる毒はディアンホトキシンと呼ばれ、完全には解明されていないが、多数のアミノ酸が結合したポリペプチドだと考えられている。
123::||‐ ~ さん
13/02/12 16:59:12.71 9+Oh8jEc.net
彼らはおよそ10匹分の血リンパ液を採取すると、矢の先ではなく柄に塗る。誤って自分たちを引っ掻いたら大変だからだ。
マウスを使った実験によると、ディアンホトキシンは赤血球を破壊し、循環機能を不全にして死に至らせるという、高い有毒性を示した。
ただし狩猟で倒す動物はマウスよりも大きいので殺すには何時間もかかるだろうし、特にキリンなどは倒れるまで何日も追わなくてはならないだろう。
しかしディアンホトキシンがほ乳類にとって有毒なのは血液に入ったときだけで、食べても毒とならない。
つまりアフリカヤドクムシを食べるネズミやモグラに対し、この毒では身を守れないのだ。
それならなぜ毒をもつ必要があるのだろう。
答えはまだ見つかっていない。
サン人は、このアフリカヤドクハムシのさなぎを乾かしたものをタバコの葉と一緒に吸い、その結果、酔ったり幻覚を起こしたりするという。
124::||‐ ~ さん
13/02/13 17:24:26.64 jc0nOye9.net
鉄壁の鎧
セイボウのなかま ( Chrysididae )
生息地 世界各地
特徴 刺す、かむなどの攻撃から身を守る装備をもっている
125::||‐ ~ さん
13/02/13 17:25:31.37 jc0nOye9.net
昆虫を含む脊椎動物はかたい外骨格(外側のかたい殻)をもっており、柔らかくて壊れやすい内部の筋肉組織を守っている。
強くてかるい外骨格は防水性もあり、どんな構造にも合うように形を変えることもできる。
最も軽い外骨格には、ハチやハエの透明な翅がある。
そしてかたいものの代表といえば、甲虫をおおい守る表皮だろう。
表皮を強靭にしているのは、キチンという物質だ。
キチン分子はポリマーであり、小さな分子が結合して長い鎖をつくっている。
鎖は並んでシートをつくり、そのシートは幾重もの層となっている。
まるでベニヤ板のような構造で、強度を出しているのだ。
126::||‐ ~ さん
13/02/13 17:29:05.52 jc0nOye9.net
キチンの厚さは種によって違う。
大きな甲虫は非常に厚い皮をもっている。しかし最も物々しい装備を備える昆虫は、じちは甲虫ではなく小さいハチだ。
セイボウは最大でも体長15mm程度のハチだが、よく見るととても美しい。
特に厚みのある背中の表面は、さまざまな形の印刻でおおわれているようだ。
セイボウは卵をさまざまなハチの巣に産みつける。
卵からかえった幼虫は寄主の幼虫を食べ、貯蔵してある食料も食べる。
しかしこの生き方は非常に危険だ。
何しろ寄主は、強力な大顎や有毒な針を持つハチなのだ。
セイボウの防御策は、そう、厚い皮の鎧だ。
攻撃する武器はないが、自分の頭、胸、腹を丸めて脚と触角のあいだに入れ、がっちりと身を守る。
寄主が業を煮やしてセイボウをもち上げ、巣から放り出すことはよく知られている。
127::||‐ ~ さん
13/02/13 17:32:01.19 jc0nOye9.net
最も長い後翅
オオミズアオのなかま ( Actias sp. )
生息地 アジア東部
特徴 長い尾状突起をもつ
128::||‐ ~ さん
13/02/13 17:39:09.21 jc0nOye9.net
昆虫の翅は飛ぶためにある。
鳥やコウモリが地球上に登場する以前、昆虫は何百万年ものあいだ、唯一飛ぶことのできる生物だった。
翅をもつことは便利ではあったが代価もある。
幼虫から成虫になる過程で、翅を大きく育てなければならないため、多大な栄養が必要となるのだ。
柔らかい体は敵に攻撃されやすいという危険もある。
そのため敵に見つからないようにカムフラージュしたり、毒をもっているかのような鮮やかな色に変わったりする必要があった。
進化の過程でさまざまな模様や形状の昆虫がうまれたのは、そういうわけだ。
129::||‐ ~ さん
13/02/13 17:42:11.95 jc0nOye9.net
オオミズアオは世界で最も印象的で魅力的な昆虫の一つと言えるだろう。大きく繊細で美しい色をしている。
何よりも特筆すべきはその形で、なかでも目をひくのは後翅の尾状突起だ。
種によって違うがオスのほうが長く、開帳(左右の翅の端から端までの幅)と同じくらいの100mmという長い尾状突起をもつ種もいる。
変わった形の翅にもかかわらず、オオミズアオのオスは力強くかつ速く飛ぶことができ、フェロモンを出しているメスを探して自在に動く。
尾状突起の必要性についてはよくわかっていないが、おそらく自己防衛に利用しているのではないかといわれている。
飛んでいるオオミズアオの湾曲した長い尾は、敵の目をひきやすいため、攻撃の目標になってしまう。
しかし尾だけつつかれても、オオミズアオは飛び続けることができる。
鳥がありつけるのは、あまりおいしくない鱗粉がついた翅の一部だけだ。
確かに尾がちぎれたオオミズアオをよく見かける。
130::||‐ ~ さん
13/02/14 17:41:29.58 3w7ZQCnY.net
穴掘りの名手
ケラのなかま ( Gryllotalpa sp. )
生息地 世界各地
特徴 モグラのように穴を掘る
131::||‐ ~ さん
13/02/14 17:42:18.13 3w7ZQCnY.net
穴を掘るのが得意な動物は、ずんぐりとした円筒形をしていて、土を掻き出すために、短くて力強い鍬のような脚をもっている。
昆虫では地下営巣性のハナバチ類やジガバチ、フンコロガシやセミの幼虫、そして土のなかにすむケラも穴掘りの名手だ。
モグラに似ていなくもない外見から、このケラは英名で「モグラコオロギ」と呼ばれる。体は大きく体長50mm、横幅は10mmもあるものもいる。
そして小さな触角と短い翅、力強い脚をもっている。
力強い敵のような前脚は土を掘り返すために平たくなっていて、土が前脚にくっつかないようごつごつした棘がついている。
ケラは草原、庭や公園で見かけることもあるが、生息地は徐々に減りつつある。
132::||‐ ~ さん
13/02/14 17:44:08.55 3w7ZQCnY.net
もしもケラの存在に気づくとしたら、掘り返した穴からではないだろう。
穴はうまく隠してあるからだ。
それを教えてくれるのは、きっと特徴的な歌声だ。
ほかのコオロギのなかまのようにケラも翅をすり合わせてうたう。
左翅の上にある弦楽器の撥のようなもので右翅の下にある突起を鳴らして音を出す。
翅の膜とラッパ型に掘られた穴によって、なかにいるケラの歌が増幅されて聞こえる。
ケラの翅は穴のなかでうたうためだけでなく、外を飛ぶのにも使われる。
不器用で方向音痴、ずんぐりとして不恰好なこの虫は、暖かい夏の夜に飛んでいる。
133::||‐ ~ さん
13/02/14 17:57:32.59 3w7ZQCnY.net
世界最小の昆虫
エクメプテリギスホソハネコバチ ( Dicopomorpha echmepterygis )
生息地 アメリカ
特徴 成虫では世界最小
134::||‐ ~ さん
13/02/14 17:58:48.66 3w7ZQCnY.net
昆虫は小さい。たとえ昆虫界で最大であっても、どんなにがっしりしていても、脊椎動物に比べればまだ小さい。
最大の昆虫がいれば最小の昆虫もいる。
ただし大きな昆虫も卵から生まれた時点では小さいので、比較するなら、さなぎから孵ったあとの最終段階、成虫と比べる必要がある。
では世界最小の昆虫はどれだろう。
昆虫は幼少時代に栄養を得て成長する。
幼虫のときにあまり栄養がとれないと、成虫も大きくならない。
そこで最も小さな昆虫を探すなら、ほかの昆虫の卵の中で育つ昆虫はどうだろうか。
ホソコガネバチのなかまは、小さく繊細な外見から、英語では「小さな妖精」とも呼ばれているが、一見したところハチには見えないだろう。
このハチは卵をほかの昆虫の卵の中に産みつける。
やがて生まれた幼虫は、内側から卵をむさぼり食い、寄主を殺してしまう。
そして寄主の栄養分もすべて食べつくすとさなぎになり。成虫となる。
そのあいだこのハチはずっと卵のなかにいるため、成虫になっても小さいままなのだ。
135::||‐ ~ さん
13/02/14 18:00:22.58 3w7ZQCnY.net
世界で一番小さい昆虫はエクメプテリギスホソハネコバチのオスで、1997年にアメリカのイリノイ州で発見された。
大きさは0.139mmだった。多くの原生動物は彼より大きい。
エクメプテリギスホソハネコバチはハーゲンビロードチャタテ ( Echmepteryx hageni )の卵のなかで育つ。
この寄主も非常に小さい。
通常1つの寄主の卵には1~3匹のオスと1匹のメスのエクメプテリギスが入っている。
オスには視力がなく翅もないため、生涯その卵を出ることはない。
そして長い脚を使って自分より大きい、といっても体長0.2mmのメスと交尾する。
メスはいずれ成虫となって飛んでいき、また別のビロードチャタテの卵に自分の卵を産みつける。
136::||‐ ~ さん
13/02/15 12:28:27.17 wz+iuLPt.net
いちばん重い
オバケハネナシコオロギ ( Deinacrida heteracantha )
生息地 ニュージーランド・リトルバリア島
特徴 現存する昆虫で最も体重が重い
137::||‐ ~ さん
13/02/15 12:36:13.20 wz+iuLPt.net
昆虫についての知識やデータのほとんどは、博物館や個人コレクター所有の標本から蓄積されたものだ。
昆虫の標本づくりは、きちんと乾燥させればそう難しいことではなく、何百年でも保存がきく。
ただし標本からは水分が失われているため、重さのデータについては生きたものでないと量れない。
従って正確に昆虫の重さを量った記録はあまりない。
そんな状況のなか、いちばん重い昆虫の最有力候補にあがるのは、英語でジャイアントウェタとも呼ばれるオバケハネナシコオロギだ。
この昆虫は、ニュージーランドの北島の北東に位置するリトルバリア島に生息している。
例えば熱帯地方にすむ巨大な昆虫 (タイタンオオウスバカミキリ) は、見た目は大きくても体重はそれほど重くないため、うまく飛ぶことができる。
138::||‐ ~ さん
13/02/15 12:42:07.71 wz+iuLPt.net
一方オバケハネナシコオロギは飛ぶことはなく、地上にへばりついている。
8000万年ものあいだ、ニュージーランドというほ乳類の捕食者がいない環境に隔離されていたために、飛ぶ必要もなく、これだけ大きくなることができたのだろう。
最大のピンチは人間と共にネズミやネコが移入してきたときだった。
しかし絶滅の危機から救おうと保全計画が立てられたおかげで、オバケハネナシコオロギはまるで新生児のように、大切に守られることになった。
その際に行われた調査で、体重も計測された。
記録には「体長80mm、卵でお腹がふくらんだメスは71g」とある。
通常80mm程度の昆虫の体重は5g程度であり、尾をのぞいた体長が同じサイズの鳥ならば12gくらいだ。オバケハネナシコオロギがいかに重いかわかるだろう。
飛べないのも無理はない。
139::||‐ ~ さん
13/02/15 12:43:50.30 wz+iuLPt.net
世界で最も速く飛ぶ
スズメガのなかま ( Sphingidae )
生息地 世界各地
特徴 最速で飛び続けることができる
140::||‐ ~ さん
13/02/15 12:59:21.92 wz+iuLPt.net
1926年、昆虫学者が笑われても当然の計算ミスを犯した。
バラッドウマバエ (Cephenemyia pratti ) の飛行速度を勘違いしたのだ。
バラッドウマバエはシカの鼻孔に卵を産みつけるハエであり、生まれた幼虫は鼻孔内の皮膚をかむため、シカはいやがって逃げまわる。
それを全速力で追いかけるバラッドウマバエがあまりに速く飛んでいたため、秒速370m、つまり時速1300kmと推測したのだ。ありえない。
それでは昆虫が音速を超えてしまうことになる。
誤った推測はほかにもある。「オオカバマダラは時速40kmの車と同じ速さである」という記録や、「トンボは軽飛行機と共に時速145kmで飛んだ」とされる記録。
しかしこれらは、昆虫だけの力で飛んだとはいえない。
141::||‐ ~ さん
13/02/15 12:59:54.24 wz+iuLPt.net
飛行速度を推測するときには、風速を考慮に入れることが鉄則だ。
かといって籠に入れたり、ロープに結んだ昆虫を風洞 ( 人工的に空気の流れを発生させる実験装置 ) で飛ばしても、その結果は信用しがたい。
今のところ最速とされる信頼できる記録はバッタの時速33kmだが、それはたまたま計測できた昆虫のなかの話で、捕まえにくかったり、計測の難しい昆虫の記録がないだけなのだ。
ボストンの昆虫学者のグループは、スズメガに目をつけた。
空気力学的に優れた翅をもつスズメガは、飛行能力の高さで知られており、なかまの数種は非常に遠方へ移住することで知られている。
たまたま実験に選ばれた種が、ずんぐりとした体型のタバコスズメ ( Manducasexta ) だったのは残念だが、昆虫学者の計測によれば、時速36kmを記録した。
しかしスズメガのなかまにはもっとスリムで競技向きの種がいるので、さらに速く飛ぶことができるだろう。
142::||‐ ~ さん
13/02/16 17:32:28.02 18qWO1NY.net
驚くほど俊足のスプリンター
ハンミョウのなかま ( Rivacicindela sp. )
生息地 オーストラリア
特徴 昆虫のなかで、陸を走るスピード記録保持者 ( 時速9km )
143::||‐ ~ さん
13/02/16 17:49:38.73 18qWO1NY.net
「タイガービートル」という英名が示すとおり、ハンミョウは、すばしっこく獰猛な捕食昆虫だ。
長い脚で走っては、大きくて棘のたくさんある大顎で獲物を捕らえる。
このなかまのほとんどの種は敵から逃げるために翅を使って10~20mほど滑空し、すぐに茂みのなかに隠れてしまう。
陸生のすばしっこい昆虫はみな、脚を3本ずつ交互に使うが、ハンミョウももちろんこの走法だ。
3本で土を蹴り、あとの3本は次の前進のために、空中で待機している。
ハンミョウは世界中に生息しており、走るのが速いことはよく知られている。
実際に計測されたのはオーストラリアのリヴァキキンデラ Rivacicindela の一種で、結果は驚くべきものだった。
平均は秒速1.8m ( 時速6.5km ) 、最高で秒速2.5m ( 時速9km ) と、
それまで最速とされていたワモンゴキブリ Periplanetaamericana の秒速1.5m ( 時速5.4km ) を大きく上回っていた。
144::||‐ ~ さん
13/02/16 17:52:02.61 18qWO1NY.net
ほかのハンミョウと違って、このリヴァキキンデラには翅がなく、飛ぶことができない。
捕食者からのがれる策として、飛ぶのではなく速く走る方法を進化させたのかもしれない。
典型的な逃げ方は、ジグザグに走ったあと、弾丸のようにまっすぐ突っ走る。
一般に島にすむ昆虫は、飛べないものが多い。
飛び立つときに敵に狙われる危険があり、また風で海に運ばれてしまうかもしれないからだ。
飛ぶことはむしろマイナスになる。
リヴァキキンデラは南オーストラリアや西オーストラリアの狭い砂丘や、干上がった塩湖に生息するが、
そこで飛ぶことは、湖や砂漠に運ばれてしまう危険があったのだ。
145::||‐ ~ さん
13/02/16 17:54:46.36 18qWO1NY.net
ものすごく長い舌
キサントパンスズメ ( Xanthopan morganii )
生息地 中央アフリカ、マダガスカル
特徴 35cmもの長い舌をもつ
146::||‐ ~ さん
13/02/16 18:05:30.96 18qWO1NY.net
ものすごく長い舌
キサントパンスズメ ( Xanthopan morganii )
生息地 中央アフリカ、マダガスカル
特徴 35cmもの長い舌をもつ
147::||‐ ~ さん
13/02/16 18:12:15.14 18qWO1NY.net
チャールズ・ダーウィンによる功績のうち、地味ながら非常に評価されてよい研究に、1862年に出版された『昆虫によるランの受精についての論考』がある。
このなかでダーウィンは、マダガスカルのスイセイラン、アングレカム・セスキペダレ Angraecus sesquipedale に注目している。
学名の sesquipedale は「1フィート半の長さ」という意味で、ランが35cmもの筒をもっていて、細いムチのような形をした花であることをさしている。
この長い拒 ( 花筒[かとう] ) は、単なる装飾ではない。
花を咲かせるために最も重要な部分であり、拒の奥には蜜がある。
ダーウィンはこの蜜に届くだけの長い舌 ( 口吻[こうふん] ) をもつ昆虫がいるはずだと推測した。
ダーウィンの仮説どおり、1903年、30cmという長い口吻をもつキサントパンスズメの別亜種がマダガスカルで発見された。
ダーウィンの予想に敬意を表し、ラテン語で「予想 ( praedicta ) 」という言葉を入れて学名は Xanthopan morganii praedicta と命名された。
じつは1856年の時点ですでに、口吻の長さについての報告はあったが、約50年ものあいだ、注目されなかったのだ。
現在はこの種がアフリカ本土にいるスズメガの亜種かどうかという議論もされている。
148::||‐ ~ さん
13/02/16 18:13:54.36 18qWO1NY.net
キサントパンスズメは夜に活動する。
においをたどってスイセイランを見つけると、ホバリングしながら近づき、触角で確認する。
そして少し後退し、かたく巻いてある口吻を伸ばして花筒深くに入れ、底にある蜜を吸う。
アングレカム・セスキペダレとキサントパンスズメの関係は、花と虫の形状の共進化を体現した、じつに見事でおもしろい例だろう。
何のために花を長くして昆虫が花粉を受け取りにくくしたのか、
拒の短い花はたくさんあるのに、果たして昆虫側は下を長くする必要があったのか。
疑問は残る。
しかし共進化によりどちらも勝者となったことは事実だ。
キサントパンスズメはこのランを独占することができる。
こんな口吻が長い昆虫はほかにいないからだ。
一方ランにとってもメリットがある。
このガはほかの花を訪れないため、貴重な花粉がほかの花に無駄にばらまかれることはない。
149::||‐ ~ さん
13/02/17 15:21:00.63 u2jNE0PV.net
鼻が曲がるほどくさい
オオボクトウガ ( Cossus cossus )
生息地 ヨーロッパ、アジア
特徴 幼虫はヤギのオスのようなにおいがする
150::||‐ ~ さん
13/02/17 15:30:29.11 u2jNE0PV.net
昆虫はにおいからさまざまな情報を得ている。
例えば花のにおいは、蜜や花粉がある方向を教えてくれるし、葉のにおいは、幼虫の食物になり得るかどうかを教え、卵を産む場所を決めるのに役立つ。
風に乗って運ばれてきたフェロモンでパートナーを見つける。
昆虫の嗅覚器官は触角にあり、さまざまな形をした針のような突起や孔から、空気中の化学物質を感知する。
感度が非常によいため、メスがオスをひきつけるにおいの、たった1つの分子でさえ感知することができる。
くさい昆虫としてよく知られているのは、おそらくカメムシやヘリカメムシのなかまだろう。
しかし最もくさいのは、ガのなかまであるオオボクトウガの幼虫だ。
英名は「ヤギのガ」という意味だが、名前の由来は、翅の模様でもなければヤギとのかかわりでもない。
この大きくてずんぐりといた幼虫のにおいが、ヤギのオスのにおいに似ているからだ。
151::||‐ ~ さん
13/02/17 15:31:14.71 u2jNE0PV.net
幼虫は3~4年ものあいだ。
ヤナギ、ポプラ、カシといった木の幹のなかで成長する。
たくさんの幼虫が集まってすむこともあり、そのような木は樹液を吸い尽くされて深い穴だらけになり、多大なダメージをこうむる。
オオボクトウガの発するにおいは強烈で不快きわまりなく、かなり離れた風上でもにおう。
ほかの多くの甲虫やハエはそのにおいに誘われ、ダメージを受けた木に卵を産みにくる。
なぜヤギのオスに似た悪臭なのかはわかっていないが、フェロモンのような役割を果たし、
ほかの種のボクトウガにも卵を産みにくるよう呼びかけ、将来のために、さまざまな遺伝子を集め雑種を確保しようとしているのかもしれない。
152::||‐ ~ さん
13/02/17 15:41:27.27 u2jNE0PV.net
地中深くにすむ昆虫
モグラコロギスのなかま ( Cooloola sp. )
生息地 オーストラリア・クイーンズランド州
特徴 生涯を地中で暮らす
153::||‐ ~ さん
13/02/17 15:45:25.16 u2jNE0PV.net
無脊椎動物のうち、翅があるのは昆虫だけだ。
その翅を使って飛ぶことで昆虫は食料を探し、パートナーを追いかけ、敵から逃げる。
飛べるがゆえに昆虫は海でも山でも生きることができ、世界中に広がったのだ。
翅をもつことは昆虫にとってきわめて基本的な特徴であり、目新しいことではない。
ノミやシラミなど、進化の過程で翅を失ったものもいる。
彼らは寄生した寄主の髪の毛や羽根のなかにもぐり込んで生息するために、翅が邪魔になったのだ。
生涯を土のなかにもぐって暮らす昆虫にも、やはり翅は必要ないだろう。
154::||‐ ~ さん
13/02/17 15:46:13.87 u2jNE0PV.net
とりわけ地中深くに生息する昆虫がオーストラリアにいる。
1980年、昆虫学者D・C・F・レンツは不思議な丸い背の生物を発見した。
大きなセミの幼虫に似たその虫は、クイーンズランド州のクールーラ国立公園の地中に巣穴をつくって生息していた。
バッタかコオロギのなかまではないかと推測されたが、すぐには分類できなかった。現在は「クールーラモンスター」という英名を授けられ、
モグラコロギス科に属する Cooloola propator という学名が与えられている。
以来、同じ地方でモグラコロギスは3種が発見されているが、その生態は謎が多く、比較できる似た昆虫もいない。
そのため、わずかな標本から得た限られた情報しかない。
生まれてから死ぬまで地中で暮らすこと、そして土のなかにすむ無脊椎動物を食べること、
この2つはわかっているが、これからもっと研究されていくだろう。
155::||‐ ~ さん
13/02/17 22:13:59.32 vPRKQAGq.net
Cooloola MonsterはC.dingo、C.pearsoni、C.propator、C.ziljanの4種だよ。
URLリンク(orthoptera.speciesfile.org)
Cooloola Monsterは国際直翅類学会にもほとんど名前が挙がらないね。
学会でトップクラスの権威を誇るDavid Rentz博士が本種を調査していて、
けっこう解明されてきてるけど、一般にはまだ公開されてないね。
156::||‐ ~ さん
13/02/18 00:30:00.12 qQketxan.net
「David Rentz博士」でググッたら
「ビール瓶に乗っかるカブトムシ:オスのタマムシはビール瓶をメスと勘違いする」という論文で
イグノーベル生物学賞とっててワロタ
遊び心もある人なのね
157::||‐ ~ さん
13/02/18 16:45:35.30 qQketxan.net
目にもとまらぬはばたき
ブユモドキのなかま ( Forcipomyia sp. )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア
特徴 どんな生物よりも速くはばたくことができる
158::||‐ ~ さん
13/02/18 17:10:14.13 qQketxan.net
進化により、筋肉を使ってはばたいて飛ぶことができるようになった生物は、鳥類、ほ乳類のコウモリ、は虫類 ( 絶滅した翼竜 )、
そして昆虫であり、昆虫以外の3つは脊椎動物だ。
脊椎動物の翼は、飛翔筋と直接つながっており、神経細胞の刺激によって飛翔筋が交互に収縮することで、翼を上下に動かしている。
しかし飛翔筋の神経によるコントロールには限界がある。
1秒間あたりのはばたきの回数でいえば、脊椎動物ではタイヨウチョウやハチドリなどの毎秒90回程度が最速だ。
昆虫でも原始的なグループに属するトンボでは、飛翔筋が直接翅の基部につながっていて、鳥などと同じしくみで飛ぶ。
この場合のはばたき回数は毎秒100回程度だ。
しかしハエ、ハチ、チョウ、甲虫などのより進化した昆虫の場合は、飛翔筋が直接翅を動かすのではなく、
胸部の構造そのものが翅を動かすのだ。
159::||‐ ~ さん
13/02/18 17:12:02.88 qQketxan.net
高等な昆虫の飛び方を理解するためには、まず昆虫の胸部の構造の理解が必要だ。
昆虫の胸部は頭部から後方に向かって前胸、中胸、後胸の3つのパーツに分かれている。
それぞれのパーツは上下方向にやはり3つのパーツから構成されている。
それぞれの形状を加味したその横断面は、ドームのように盛り上がった背板、
真っすぐ下に伸びる左右の側板、左右の側板を下でつなぐ腹板となる。
そして翅は、中胸と後胸それぞれの背板と側板の接点から下に向かって生えている。
胸部の内側では、背板と腹板は上下に強力な筋肉でつながっていて、この筋肉が収縮すると、背板は下に引っ張られる。
するとこの原理に従って翅が跳ね上がるというわけだ。
筋肉が弛緩すると背板は元のドーム型に戻り、翅は打ち下ろされる。
高等昆虫の飛行は、これが連鎖的に繰り返されることで実現されている。
はばたくときや飛び立つときの、各翅のバランスや角度は、神経によりコントロールされている。
小さくて軽い昆虫は、最も速くはばたける。
いちばん速くはばたいたと記録されているのはハエ目のブユモドキで、はばたき回数が最低でも毎秒1046回という大記録を打ち立てている。
4枚の翅があるほとんどの昆虫とは異なり、ハエ目は翅が2枚しかないのでコントロールも容易なのだろう。
160::||‐ ~ さん
13/02/18 17:30:40.72 qQketxan.net
いちばん小さな卵
ヤドリバエのなかま ( Tachinidae )
生息地 世界各地にさまざまな種がいる
特徴 記録があるなかでは、昆虫の卵として世界最小
161::||‐ ~ さん
13/02/18 17:31:54.58 qQketxan.net
自分の身の危険を乗り越えた生物にとって、次の命題は次世代への生命の継承だろう。
その役割はまず受精から始まるが、次の段階は種によって違う。
例えばほ乳類に多いのは、子が外の世界で生きられるようになるまで、卵を体内で守り育てるという方法だ。
昆虫はそれとは全く違うやり方で、少なくとも卵のいくつかは生き残れるよう、いろいろなところに産みつけるというリスク分散の方法をとった。
大きな卵は数少なく産みつけられ、幼虫はたっぷりと栄養をとって生まれてくるが、敵や寄生動物のターゲットになりやすく、隠れるのも難しい。
一方小さな卵は初めから栄養豊富というわけにもいかないが、たくさん生まれてくる分、生き残る可能性も増す。
大小どちらがよいかは甲乙つけがたい。
162::||‐ ~ さん
13/02/18 17:33:04.81 qQketxan.net
紆余曲折を経た進化の歴史のなかで記録されている最も小さな昆虫の卵は、クレメリス・プラータ Clemelis pullata というヤドリバエの卵だ。
この卵は最も体が小さい虫とされているホソハネコバチの卵よりも小さく、わずか0.027mmの卵を、一度に何千個も産む。
クレメリスの卵が小さい理由は、食べてもらうためだ。何千個も産んだ卵をガの幼虫に食べてもらえるよう、葉の上にばらまくようにして産みつける。
計画通りにガの幼虫の消化管に入ると卵はかえり、寄主を生きたまま内側から食べて成長するのだ。
しかし、今のところクレメリスの卵が世界最小だが、昆虫の卵の大きさ比べは昆虫学者にとって人気のある研究ではないため、データが乏しいのが実情だ。
クレメリスの場合、リンゴやナシの果樹園にとって害虫であるコドリンガに寄生する昆虫だったため、たまたま計測されたからわかったのだ。
今後の研究によっては、ほかの寄生昆虫のなかにもこれと同じくらいか、さらに小さな卵が見つかるかもしれない。
163::||‐ ~ さん
13/02/18 20:09:43.83 xGU++KYE.net
あまり詳しく書けないけど環境によって卵の大きさを変えて産卵する昆虫もいるよ。
日本にも普通に生息している昆虫で、日本の研究所で研究されてる。
ちなみにその卵を注射器で中身を少し吸い出して人工的に卵を小さくしたらどうなるかという実験もやってる。
こういった素晴らしい着眼点は自分も見習いたいね。
164::||‐ ~ さん
13/02/19 12:33:40.47 t5OLLHxL.net
遺伝子を解読して育成過程への興味は尽きないものなんだね。
たぶんデジタルな断線的な理解よりも、アナログで地続きな感覚的に納得できるところまで行きたいんだろうな。
研究者というのも求道者みたいなところがあるよね。
165::||‐ ~ さん
13/02/19 12:53:04.57 t5OLLHxL.net
いちばん大きな卵
クマバチのなかま ( Xylocopa sp. )
生息地 世界各地
特徴 昆虫の中で最も大きな卵を産む
166::||‐ ~ さん
13/02/19 12:54:36.07 t5OLLHxL.net
巣の中で卵を産む昆虫は少なく、ほとんどは葉の上や木の幹、石の下などに産みつけ、そのまま放っておく。
しかし本来、卵を産むのにいちばん適しているのは巣のなかだろう。
すべての巣がそうとはいえないが、次世代が育まれる巣は快適に温度調整されており、敵の目から守ってくれる安全な場所なのだ。
ミツバチやアリ、、シロアリは、昆虫のなかでは最も高度な社会生活を営んでいる。
個体数が数千から数百万匹にも及ぶ彼らのコロニー ( 集団 ) が、ほぼ途絶えることなく生き続けている秘密は、階級や役割分担に加えて、
接触や化学物質をつうじてのコミュニケーション、さらには長命で卵を産み続ける女王の存在に在る。
こうした社会がどのような過程を経て進化してきたのか完璧に理解することは難しい。
しかし原始的な社会性を持つ近縁種の巣づくりから推測することはできる。
167::||‐ ~ さん
13/02/19 12:55:50.55 t5OLLHxL.net
多くのハチは巣をつくり、小さな個室に1匹ずつ収まった生まれたての幼虫に、せっせと食料を運ぶ。
ほとんどの場合、母親は子が成虫になる前に死んでしまうため、自分の子供を見ることはないが、ごくまれに長生きした母親と娘が一緒にすんでいることもある。
そのときは協力してさらに部屋をつくり、子孫のために巣を大きくする。
クマバチは体が大きくて頑健な昆虫だ。木の幹などに穴を掘って巣をつくることから、「大工バチ」という英名がついている。
クマバチは木の幹に掘り進んだ巣のなかで、親子二代が当然のように同居している。
この「同居」こそ、社会性獲得の第一歩なのだ。
1つのコロニーをつくるクマバチの巣は12~20匹と少なく、ミツバチのような高度な社会をつくるまでには達していない。
従って子育てのために看護師や警備員、食料運搬係やベビーシッター役などと役割分担はできない。
だからこそ、子孫には最初にたっぷりと栄養を与えるために誰よりも大きな卵を産むのだ。
ザイロコーパ・アウリペンニス Xylocopa auripennis というクマバチの一種は体長40mm程度しかないが、16.5mm×3mmという大きな卵を産む。