世界一の昆虫 リチャード・ジョーンズat INSECT
世界一の昆虫 リチャード・ジョーンズ - 暇つぶし2ch167::||‐ ~ さん
13/02/19 12:55:50.55 t5OLLHxL.net
多くのハチは巣をつくり、小さな個室に1匹ずつ収まった生まれたての幼虫に、せっせと食料を運ぶ。

ほとんどの場合、母親は子が成虫になる前に死んでしまうため、自分の子供を見ることはないが、ごくまれに長生きした母親と娘が一緒にすんでいることもある。

そのときは協力してさらに部屋をつくり、子孫のために巣を大きくする。

クマバチは体が大きくて頑健な昆虫だ。木の幹などに穴を掘って巣をつくることから、「大工バチ」という英名がついている。

クマバチは木の幹に掘り進んだ巣のなかで、親子二代が当然のように同居している。

この「同居」こそ、社会性獲得の第一歩なのだ。

1つのコロニーをつくるクマバチの巣は12~20匹と少なく、ミツバチのような高度な社会をつくるまでには達していない。

従って子育てのために看護師や警備員、食料運搬係やベビーシッター役などと役割分担はできない。

だからこそ、子孫には最初にたっぷりと栄養を与えるために誰よりも大きな卵を産むのだ。

ザイロコーパ・アウリペンニス Xylocopa auripennis というクマバチの一種は体長40mm程度しかないが、16.5mm×3mmという大きな卵を産む。

168::||‐ ~ さん
13/02/19 12:57:05.86 t5OLLHxL.net
>>164
>>遺伝子を解読して「も」育成過程への興味は尽きないものなんだね。

訂正

169::||‐ ~ さん
13/02/20 18:27:08.26 QKYG7N92.net
全身が棘だらけ

トゲハムシのなかま ( Hispa sp. や Hispella sp. )
生息地 北半球
特徴 全身が棘でおおわれている

170::||‐ ~ さん
13/02/20 18:42:41.29 QKYG7N92.net
棘があれば敵を威嚇できる。

ほ乳類ではハリネズミやヤマアラシ、ハリモグラは虫類ではモロクトカゲなどが棘をもつ。

昆虫はどうだろう。

ハエにコオロギ、毛虫に甲虫・・・・・・例をあげたらきりがないほど、棘をもつ昆虫は多い。

しかしどの昆虫がいちばんとげとげした体をもつのか、チャンピオン選びはなかなかの難題だ。

毛虫は全身が長い棘でおおわれている。毛虫の棘は、捕食者の口やくちばし、のどの奥といった柔らかいところを刺す。

空洞になった毛のなかに、毒が入っている種もいる。しかしどこまでが毛であり、どこからが棘になるのかは議論の余地がある。

171::||‐ ~ さん
13/02/20 18:46:13.34 QKYG7N92.net
長い棘や角はふつう、オスがメスにその大きさを誇示するために使われる。

甲虫のなかには巨大な角を頭部もしくは胸部、あるいはその両方にもつものがいるが、せいぜい1本か2本で簡素なものだ。

またコオロギなどでは、太い棘が頭部や胸部、ときには脚にも生えていて、捕食者から身を守っている。

ヨコバイや甲虫には全身が角のようになっているものもあり、植物の茎にカムフラージュすることもできる。

しかしこれも1本だ。

いろいろ考慮すると、とげとげした体ナンバーワンの昆虫は、ヒスパ属やヒスペラ属などトゲハムシのなかまで決まりだろう。

たった数mmという小さな虫だが、その背甲全体を長く力強い棘がおおっている。

この棘は単にかたい毛ではなく、表皮から生えている角なのだ。

なかまの種には、脚や触角まで棘におおわれているものもいる。

しかしこの棘の使い道は、いまだに謎のままだ。

172::||‐ ~ さん
13/02/20 19:06:21.29 QKYG7N92.net
大きくて平べったい脚

ゲンゴロウのなかま ( Dytiscidae )
生息地 世界各地
特徴 オスは大きく広がった、平らな前脚をもっている

173::||‐ ~ さん
13/02/20 19:07:46.32 QKYG7N92.net
昆虫の脚には「歩く」と「つかむ」という2つの機能がある。

昆虫の脚には、ふ節 ( 4~5節の小環節で構成される、脚の先端部 ) があり、最先端には1対の爪がある。

ふ節の最も単純な例は、ゴキブリや地面を走り回るハンミョウに見られ、ふ節を構成するそれぞれの環節は小さくて細く、

ネックレスのビーズのようにしっかりとつながっている。

植物や岩、木の幹をよじ登らなければならない昆虫の場合には、爪は建築用の引っ掛け道具のように肥大することもある。

幅広いふ節は主に交尾の際、メスのなめらかな背をしっかりとつかむためのものだ。

メスの背が鏡のようにつるつるしたハムシの場合、オスのふ節は特に幅広くなっている。しかし何といっても最もすべりやすいのは、

流線型をした水生の甲虫の背だろうが、心配は無用だ。水生の甲虫のオスのふ節は、やはり大きく平らに広がっているのだ。

174::||‐ ~ さん
13/02/20 19:12:03.31 QKYG7N92.net
ゲンゴロウのオスの場合、前脚のふ節の根元の3節が、丸い形に極端に広がっている。

この丸い部分の外側は、短くて丈夫な鉤爪でで縁取られ、下面は大小の吸盤になっている。

一方ゲンゴロウのメスのふ節は細くて華奢だ。

メスの背は流線型で、すべりやすそうに見えるが、背面は毛が生えているか、でこぼこになっている。

以前は、メスの背面がこうした形状なのはオスがつかまりやすいためだと考えられていたが、

どうやら違うらしい。オス足にある吸盤をしっかりと押しつけるためには、でこぼこだらけの表面では不都合なのだ。

しかしメスにとってはむしろ都合がよい。

少なくとも交尾の準備が整うまでは、求婚者を振り払えるからだ。

175::||‐ ~ さん
13/02/21 16:18:59.63 UG4nR/zz.net
いちばん大きな爪

キョジンカマキリ ( Macromantis hyaline )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 最も大きな爪をもっている

176::||‐ ~ さん
13/02/21 16:20:05.22 UG4nR/zz.net
爪はつかむためにある。

土、岩、あらゆる植物、それからお互いの体。

ほとんどの昆虫の脚の先には、1つか2つ曲がった鉤のような爪がついている。

昆虫の爪は、主に何をつかむのかによって、さまざまな形に進化した。

例えばシラミは大きな筋肉質の脚をもっており、そこには動かすことのできる指のような爪がある。

その爪で寄主の髪をつかんだシラミは、安全に動きまわることができるが、シラミの爪は頑丈で曲がっているため、髪の毛をとかしただけでは取り除くことは難しい。

ノミも同じような爪をもっている。

木にすんでいる大きくて重たい虫は、木から落ちないために、ほかの昆虫よりも頑丈な爪をもつ。

また軽くて素早く走る虫は、動きの邪魔にならないよう繊細なかぎ針のような爪をもっている。

それでは昆虫のなかで最も大きな爪は、何のためにあるのだろう。

答えは逃げようともがく相手をつかむためだ。

177::||‐ ~ さん
13/02/21 16:20:47.48 UG4nR/zz.net
カマキリの爪は、猛禽類やネコ科の動物の爪と同じく、獲物を倒すためにある。

最も大柄なカマキリは、アフリカに生息するイスクノマンティス・ギガス Ischnomantis gigas で、メスは体長が17cmもあるが、

非常に細く、ひょろっとした脚をしているため、爪の大きさに関しては世界一ではない。

最大の爪は、南アメリカの熱帯地方にいるキョジンカマキリの爪で、非常に強く、昆虫でありながら獣のようだ。

カマキリは繊細な三角形の頭と長く細い脚をもち、ほっそりした用紙は弱弱しく見える。

しかし実際は、自分よりもはるかにがっしりとした体格の相手に勝つことができる。

決め手は猛禽類が獲物を捕るときと同じく、鋭く曲がった大きな鉤爪での攻撃だ。

大きく曲がったカマキリの前脚は、棘のついた恐ろしい武器だ。

関節のあるこの爪は、動物でいうと大腿部にあたる第3節(腿節)と、ふくらはぎにあたる第4節(脛節)でできている。

恐るべき形の爪と凶暴なまでのスピードにより、カマキリはおののく獲物を攻撃し、むさぼり食うのだ。

目もくらむような早さでトンボを空中でつかみ、大きな甲虫を押しつぶし、ハチの身動きを封じる。

脊椎動物に対しても容赦はない。

小さなカエルやトカゲ、ときにはネズミまで捕食してしまう。

178::||‐ ~ さん
13/02/21 16:22:37.33 UG4nR/zz.net
時間をきっちりまもるセミ

ジュシチネンゼミ ( Magicicada septendecim )
生息地 北アメリカ東部
特徴 17年ごとに成虫となり地中から現れる

179::||‐ ~ さん
13/02/21 16:37:39.26 UG4nR/zz.net
正確に17年周期で大量発生するセミが3種類いる。

13年周期で発生するセミも4種類いる。

13や17は素数なので、これらの周期ゼミを「素数ゼミ」と呼んでいる。

素数ゼミは地域単位で発生する。

毎年4月頃になると、北アメリカのどこかで集中的に大量発生していることになる。

素数ゼミのなかで、いちばん数が多く一般的な種はジュウシチネンゼミだ。

16年と11ヶ月のあいだ、ジュウシチネンゼミの幼虫は土のなかで、広葉樹の木の根から樹液を吸って成長する。

そして決まった年の4月になると、地表近くの小さな穴で、成虫になるための最後の変体を待つ。

体の組織が変化し、成虫になる準備が整うのだ。

180::||‐ ~ さん
13/02/21 16:40:26.51 UG4nR/zz.net
地上に出るそのときまでの時間を、なぜここまで正確に刻むことができるのかは不思議だが、同じ地域のセミの幼虫は、同じ夜に一斉に地上へ出てくる。

出遅れたとしても、せいぜい次の晩には現れる。

そして木の幹に登ってしばらくすると背中が割れて、なかから成虫が現れる。

初めは体も翅も柔らかくて白っぽいが数時間でかたくなり、色も濃さを増す。

やがてオスは鳴き始める。

1週間もすると交尾が行われ、メスは枝などに産卵管で穴を開けながら、計400~600個の卵を産みつける。

卵がかえると幼虫は地面に降りて土のなかにもぐり、暗闇のなか、およそ17年の長い時間を過ごすことになる。

セミの一生のうち、最後の2~3週間が地上で過ごす時間であり、腹をすかせた動物にとっては、ごちそうにありつける時期となる。

しかしいくら食べても食べつくせないほど、ジュウシチネンゼミの数は圧倒的に多い。

北アメリカ東部では、地域ごとに同時発生の時期は違い、ⅠからXVⅡまでのグループに分けられている。

なかで2004年に向かえた大発生は、数も発生範囲も、過去最大級だったという。

次回は2021年と予想されている。

181::||‐ ~ さん
13/02/22 15:05:04.12 LfnG68qI.net
最も目がまわる昆虫

ミズスマシのなかま ( Gyrinus sp. )
生息地 世界各地
特徴 不規則な動きで相手を混乱させ、水面を旋回しながら泳ぐ

182::||‐ ~ さん
13/02/22 15:17:29.05 LfnG68qI.net
暑い夏、鏡のような池の表面が突然乱れ、波紋が次々と現れる。

よく見てみると、黒く輝く甲虫がくるくると旋回しながら、行ったり来たりしている。

ミズスマシだ。彼らのこの奇妙な動きは行き当たりばったりのようで、じつは意味がある。

ミズスマシの成虫は水中にもぐることも空中を飛ぶこともできるが、一生のほとんどを水面で過ごす。

水面での生活に適応するために、眼を4個もっている。

正確には2個の複眼がそれぞれ上下2つに分かれ、上の眼は空中を、下の眼は水中を見るようになっている。

これで空中の敵、水中の敵を見つけられる。

彼らは櫂のような形をした中脚と後脚で漕ぎながら、水面を素早く移動する。

脚を前後に動かしながら、まるでボートの漕ぎ手がオールをひねるように、その角度を調節する。

1秒間で50~60回くらいのストロークで25cmほど進むが、これは時速にするとおよそ1kmに相当する。

183::||‐ ~ さん
13/02/22 15:19:40.70 LfnG68qI.net
ミズスマシが激しく旋回するのは、捕食者の目をくらますためだ。

決まった軌道を描かないうえ、太陽の光を背面で反射させることによって相手を混乱させ、捕まらないようにしているのだ。

くるくると動きながらでも頭部の両側から突き出ている短い触角で波紋の反響をキャッチして、

水草やほかのなかまや水面に落ちた獲物の位置を、感知することもできる。

この能力は非常に優れたもので、例えば2本の針金で非常に狭い通り道をつくってミズスマシを放すと、

そのどちらにもぶつからずに泳ぐことができるほどだ。

184::||‐ ~ さん
13/02/22 15:23:31.28 LfnG68qI.net
巣づくりに役立つ幼虫

ツムギアリのなかま ( Oecophylla sp. )
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以降、東南アジア、オーストラリア
特徴 葉で巣をつくるときに、幼虫の分泌する糸を使って貼り合わせる

185::||‐ ~ さん
13/02/22 15:34:30.89 LfnG68qI.net
英国の海軍士官ジェームス・クックと共に、博物学者のジョセフ・バンクスがオーストラリアを訪れたのは1768年のこと、

バンクスは緑色のツムギアリが巣を紡ぐ様子にすっかり魅了された。

ツムギアリは周辺の葉を協力しあって引き寄せ、それらを貼り合わせて、こぶし大から人の頭くらいの大きさの巣をつくっていく。

そのときのバンクスは知る由もないが、接着剤にしていたのは絹のような糸だった。

アリの幼虫から、糸をまるでスティック糊のように押し出していたのだ。

186::||‐ ~ さん
13/02/22 15:36:56.51 LfnG68qI.net
まず働きアリが葉を引き寄せるため、葉の端を大顎でつかむ。

ほかの働き蟻もやってきて、大顎をつかって同じように葉と葉が重なるくらいに近づける。

するとまた別のアリが、近くの巣から大きく育った幼虫を連れてきて、大顎で幼虫をつかみ、一方の葉に幼虫の頭を押しつける。

すると幼虫は、口のそばにある絹糸線の出口から糸のもとを一滴搾り出す。

それはほそい繊維となり、やがてかたまり、糸となる。

幼虫はもう一方の葉でも同じように糸のもとを絞り出す。

アリと幼虫が協力して2枚の葉のあいだを往復しながら、何千本もの糸で葉と葉をしっかりと貼り合わせていく。

個々の葉は、50万匹のツムギアリが形成するコロニー(集団)の一部にすぎない。

巨大なコロニーは数本の木にまたがり広がっている。

しかし幼虫に糸を吐かせて巣をつくるという行動は、地面や朽ち木のなかに巣穴をつくるよりも材料も労力もかさむため、

このような行動をとるアリは、たった2種しかいない。

インドからオーストラリアにかけて生息するツムギアリ Oecophylla smaragnia と、アフリカの熱帯地方に生息するハタオリアリ Oecophylla Longinoda だ。

187::||‐ ~ さん
13/02/23 22:33:59.78 SIpB7Osj.net
大家を養う昆虫

トリデルリアリのなかま ( Myrmecodia sp. )
生息地 東南アジア、オーストラリア
特徴 最も上手に植物と共存する

188::||‐ ~ さん
13/02/23 22:48:29.95 SIpB7Osj.net
東南アジアとオーストラリアの熱帯雨林では、木の幹や枝にサッカーボール大の奇妙なこぶのある木が見られる。

切ってみると、なかにはハチの巣のような部屋や廊下があり、そこにはトリデルリアリというアリがすんでいる。

しかしアリがトンネルを掘ったわけではない。親切なことに、ある植物が提供してくれたのだ。

その代わりにアリは植物に栄養を与え、自分の住生活環境を守っている。

トリデルリアリに部屋を提供している植物はアリノトリデという。

アリノトリデは主に高い木の上にある日当たりのいい枝に根でしがみつく着生植物だ。

189::||‐ ~ さん
13/02/23 22:49:25.37 SIpB7Osj.net
この他力本願の植物には問題があった。

根を使い、スポンジ状のコケにたまった水を根から吸収することはできるが、木の上という場所柄、土からは栄養を得ることができないのだ。

そのためアリノトリデは誰かに栄養を運んでもらわなくてはならない。

アリノトリデの茎は大きな筒のようにふくらんでいて(塊茎)、そのなかに植物自身が昆虫のために準備した「ドマティア」と呼ばれる小空間がある。

トリデルリアリはドマティアにひきつけられ、そこを巣にするのだ。

茎の表面に近い空間は頑丈で長持ちするようにつくられており、ここでは幼虫が育てられる。

小部屋に開いた空気孔のおかげで、内部の温度は快適に調整されている。

またアリは、茎の中央につながる、壁面がでこぼこした隙間に獲物の残りを投げ捨てる。

こうしてトリデルリアリが捨てたごみが分解されて、アリノトリデにとっては貴重な栄養となる。

ごみにはリン酸塩や硫酸塩、窒素が含まれており、それはまさしく植物が土から得る栄養と同じだ。

アリが出すごみがなければアリノトリデは育つことができない。

昆虫の助けのおかげでアリノトリデは厳しい環境を生きのび、木の上で育つ、おそらくは最初の着生植物になれたのだ。

190::||‐ ~ さん
13/02/23 22:51:00.39 SIpB7Osj.net
大集団で越冬

サカハチテントウ ( Hippodamia convergens )
生息地 北アメリカ
特徴 数千万匹が一丸となって越冬する

191::||‐ ~ さん
13/02/23 23:06:58.49 SIpB7Osj.net
テントウムシの鮮やかな翅の模様は、童謡や昔話、玩具でもおなじみだ。

しかしその色づかいは単なるかざりではない。

例えばナナホシテントウ Coccinella septempunctata は赤い翅に7つの黒い点をもつ、。

テントウムシの色のパターンはほかにも黄色い翅に黒い点、黒い翅に赤い点、オレンジの翅に白い点などさまざまだ。

派手な色彩は警告色といわれ、鳥や動物などの捕食者に対し「食べてもおいしくない」という警告を発しているのだ。

くちばしや顎に捕らえられたテントウムシは、鮮やかな黄色やオレンジ色の苦い血リンパ液を、脚の関節の特別な孔から出す。

血リンパ液を味わった捕食者は、口に入れた瞬間にそのまずさを思い知らされ、二度と食べようとしない。

冬のあいだ、テントウムシのなかま同士で身を寄せ合っているので、この鮮やかな警告色がいっそう目立つ。

ほとんどのテントウムシは20~30匹、あるいは100匹ほどのグループになって、木の皮や枯れ葉の下に集まる。

しかしサカハチテントウは冬を越すために、岩や空洞の小さな洞窟のなかに、シャベルですくえるほどたくさん集まる変わりものだ。

冬を共に越す集団1つあたり、3000万~4000万匹だと推測される。

192::||‐ ~ さん
13/02/23 23:08:13.11 SIpB7Osj.net
サカハチテントウは成虫も幼虫も緑色のアブラムシを捕食してくれる。

「生物農薬」として重宝がられているため、アメリカではバケツに集められ、園芸家に売られることがある。

しかし購入した園芸家には気の毒だが、テントウムシたちはやがて散り散りに飛んでいってしまうだろう。

たとえ成虫になったばかりだったとしても、食料を探すためには、

越冬地の山よりも標高が低くて暖かい活動エリアに移動する必要があることを、本能的に知っているのだ。

越冬するのによさそうな岩の空洞に先に着いたテントウムシは、ほかのなかまに安全であることを知らせるフェロモンを発散する。

そのフェロモンをたどって、たくさんのテントウムシがやってくる。

フェロモンは1年後も残っているため、次の世代もまた同じ空洞にたどり着く。

その空洞の魅力を伝えるべく、またフェロモンが発散される。

結果的にテントウムシは毎年同じ空洞で越冬するのだ。

193::||‐ ~ さん
13/02/27 09:31:32.14 D71vXadb.net
いちばん大きなコロニー

ムツバハキリアリ ( Atta sexdens )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 800万匹の大規模なコロニーをつくる

194::||‐ ~ さん
13/02/27 09:44:42.23 D71vXadb.net
たくさんの昆虫が集まって大きなコロニー(集団)をつくるとき、そこには複雑な社会行動が見られる。

コロニーを形成する昆虫は多いが、中南米のハキリアリによるものほど大きなものはないだろう。

トンネルと部屋からなるハキリアリの巣は、地下6m程の場所につくられている。

ハキリアリはそのなかへ、かみ切った歯の断片をせっせと運ぶ。

アリは部屋に運んだ葉をさらに小さく切ってそのに糞をし、微小なキノコを育てる。

最終的にそれを食料とするのだ。

これまでに見つかった最も大きなコロニーはムツバハキリアリのもので、500万~800万匹がいると推測された。

ハキリアリの巨大なコロニーは、たった1匹の女王アリとその子どもから成り立っている。

新女王となるアリは育った巣を離れる前に、小さなキノコの塊をくわえて飛び立つ。

そして1匹もしくはそれ以上のオスと交尾したのち翅を落とし、新しい穴を掘る。

そして自分で切った葉を運び、運んできたキノコを植える。

最終的には彼女が産んだ働きアリ(生殖能力がないメスで、比較的短命)が葉を切り、

キノコを育てる仕事や子育てを担当し、女王アリは卵を産むことに専念する。

ムツバハキリアリのコロニーの寿命は10~15年ほどだが、このあいだに女王アリは1日におよそ3万個もの卵を産み、

コロニーが維持されている期間をつうじて合計2億匹の子孫を残す。

1つの平均的な大きさのコロニーで、働きアリが1年間に集める葉は、面積にすると4500平方メートル以上になるという。

195::||‐ ~ さん
13/03/02 20:05:55.14 fQIcbURj.net
気前のいい婚前プレゼント

コブバネコオロギのオス ( Cyphoderris sp. )
生息地 北アメリカ
特徴 オスがメスに体の一部と精液袋を食べさせる

196::||‐ ~ さん
13/03/02 20:26:52.17 fQIcbURj.net
脊椎動物にはオスが子の面倒をみるケースがよくあるが、昆虫ではほとんどない。

むしろ繁殖の協力として一般的なのは、交尾のあいだにオスがメスに食料を貢ぐことだ。

博物学者は「婚礼のプレゼント」と遠回しに呼んでいるが、オスがメスと交尾したいときに差し出す品だ。

獰猛なハエの一種には、体の大きなメスに食料を与えることで小さなオスが受精させているあいだに自分のみを守ってい
るのではないかというケースもある。

しかしカマキリなどで有名な「共食い」は実際はあまり見られない現象で、ふつうは飼育条件下などストレスを受けてい
る場合に起きるものだ。

197::||‐ ~ さん
13/03/02 20:28:21.95 fQIcbURj.net
ではなぜオスはプレゼントを差し出すのだろうか。

受け入れやすい説明としては、これから産卵という非常に体力を消耗する仕事に臨むメスに栄養を与えることにより、

オスは、自分の子孫を育てるのに協力しているという説だ。

シリアゲムシのプレゼントは捕獲した虫だったり、ツチカメムシの場合は小さな種子だったり、ハエやハチなどは植物の茎から吸い、吐き戻した樹液だったりする。

しかしキリギリスやコオロギはもっと高度なプレゼントをする。

多くのキリギリス、バッタ、イナゴなどのオスは、「精包」と呼ばれるゼラチン質の塊をメスにわたして食べさせる。

フランスの高名な昆虫学者であるジャン・アンリ・ファーブルいわく、「色も大きさもヤドリギの実とよく似た乳白色の袋」という精包のなかには、タンパク質が豊富な精液が入っている。

この独特のプレゼントはメスに栄養を与えるだけではなく、メスの生殖器に精子を送りこんでいるあいだ、ほかのオスの邪魔が入らないようにする意図もある。

研究によれば、大きな精包ほど食べるのに時間がかかり、ほかのオスとの交尾は遅くなる。

しかしコブバネコオロギは、精包だけではまだ足りないようだ。

この種はメスがオスの上に乗って交尾するのだが、そのあいだにメスは厚みのあるオスの後翅をかじり始めるのだ。

しみ出す体液をなめつくし、翅を全部食べてしまうと、どれほど次に差し出す精包が大きくても、メスにとってそのオスはもはや魅力的ではない。

もしかしたらオスは、生涯に一度しか交尾できないかもしれない。

198::||‐ ~ さん
13/03/03 22:25:47.35 Ss+z2E63.net
最高の用心棒

ハキリアリのいちばん小さな働きアリ ( Atta sp. )
生息地 中央アメリカ、南アメリカ
特徴 切り取った葉の上に乗り、寄生バエを撃退する

199::||‐ ~ さん
13/03/03 22:39:21.32 Ss+z2E63.net
ハキリアリのなかまは、中央アメリカから南アメリカの亜熱帯地方に生息する草食性の昆虫の中で、最も数が多いものの一つだ。

巨大な巣に数百万匹が住み、森の中の地面から木の上まで、ありとあらゆるところで活動している。

歩くタンパク質ともいえるハキリアリが、いろいろな捕獲者や寄生者のターゲットになるのは無理もない。

最も油断ならないのは、ネオドーニフォーラ属(Neodohrniphora sp.)の小さなハエだ。

このハエはハキリアリの頭のなかに卵を産み。

生まれた幼虫は寄主を内側から生きたまま食べる。

ハエは枝にとまり、ハキリアリの通り道で待ち伏せている。

そしてターゲットを決めると後ろからこっそり近づき、ホバリングしながら卵を生みつけるチャンスをうかがう。

ある研究によれば、列をなして食料を運んでいるハキリアリの2.2%が、このハエに寄生されているという。

もし敵に狙われていることがわかれば、逃げることもできるし、触角と前脚で攻撃を受けて立つこともできるだろう。

しかしハキリアリが自分よりずっと大きな葉を運んでいるときには、そうやって防御することは難しい。

そんなときのために、彼らは助っ人を雇うのだ。

200::||‐ ~ さん
13/03/03 22:48:36.60 Ss+z2E63.net
数百万匹の固体で構成されるコロニーには、そのなかでいちばん体が小さい「ミニムス」と呼ばれる働きアリたちがいる。

個体数はそれほど多くはない。

ミニムスの仕事は、地中の巣にあるキノコの栽培室をパトロールし、異質な菌があれば取り除くことだ。

しかしそれだけではない。ときどき、巣から50mほどはなれたところにある、葉の採取場所に連れて行かれることがある。

その帰り道、ミニムスはなかまが運んでいる葉の上に乗り、なかまを狙う寄生バエを撃退する。

小さすぎるミニムスはハエの標的にならないため、下で葉を運ぶなかまの用心棒になれるのだ。

201::||‐ ~ さん
13/03/03 23:12:27.10 6ybhnwH1.net
寄生バエに対する防衛手段が確立されているとは驚き。
自分が研究している国内の直翅やカマキリは寄生バエにいいように卵を植え付けられている。
特に色素異常の直翅が多い産地は寄生バエもターゲットを見つけやすいのか寄生バエの個体数が多い気がする。
具体的な数値データを取ったら論文書いて学会に発表しようかな。

ハキリアリは多摩動物公園で飼育・展示されてるよね。
本来、ハキリアリなんて絶対に輸入できないんだけど多摩動物公園だけは例外。
多摩動物公園はかなり昔から海外の動物園と頻繁に動物のやり取りをしていて専用の輸入・輸出許可が出されている。
環境省の知人も「あー、多摩動物公園は特別だからねぇー」って思いっきり特別扱いしてるしw

202::||‐ ~ さん
13/03/05 00:52:41.52 YG7PHUuN.net
日本ではあんまりハエが獰猛ってイメージはないけど、
なんかオーストラリアのアブとかに刺されると刺された瞬間にすでに痛いらしいね。
図鑑見てると普段の印象と違う情報が載ってて面食らう。世界観が更新されておもろいんだけども。

多摩動物園は一度行ってみたいな。

203::||‐ ~ さん
13/03/05 23:58:40.61 gpqToSOu.net
国内のアブもけっこう痛いけどね。 八重山ではしつこく付きまとわれてかなり刺されたよ。
でも北海道で乗馬したときは大量のアブに囲まれたけど不思議と全く刺されなかった。

図鑑で事前に得た印象と実物を見たときの印象が全然違っていることがあって面白いよね。
インドネシア、マレーシア、ペルーあたりで昆虫採集してみたい。

204::||‐ ~ さん
13/03/10 16:17:59.72 NNFuoxLE.net
死体が大好きな昆虫

シデムシのなかま ( Nicrophorus sp. )
生息地 世界各地にさまざまな種がいる
特徴 小さな鳥やほ乳類の死体をていねいに埋める

205::||‐ ~ さん
13/03/10 16:29:24.33 NNFuoxLE.net
「森の掃除屋」と呼ばれる多様な昆虫たちにとって、死肉は貴重なごちそうだ。

死肉を好む昆虫のうち最も大きなものは、オレンジと黒の縞模様のシデムシだ。

シデムシはいちばん乗りのクロバエの次に、腐敗の始まりを知らせる腐敗臭を察知して、死んだほ乳類や鳥のところにやってくる。

小さなネズミやスズメの死体をめぐっては、なかまたちのあいだで熾烈な競争が繰り広げられる。

最終的には一番大きなオスとメスが1匹ずつ残る。

種に関係なく、死体を取り巻くすべての競争相手がそこにいなければ、オスは死体に登って尾を上げ、においを発してメスを交尾に誘う。

オスとメスは頑丈で幅広い脚を使って死体の下に穴を掘り、掻き出した土を周りに積み上げる。

数時間かけて、死体は少しずつ穴に沈んでいき、土に埋もれて見えなくなる。

その時点で、死体はようやく2匹のものとなる。

206::||‐ ~ さん
13/03/10 16:31:07.44 NNFuoxLE.net
昆虫には珍しく、シデムシは両親が協力して子を育てる。

死体をすっかり隠してしまうと、メスはその周りの土のなかに卵を産む。

卵が孵化して幼虫が出てくると、両親は腐敗した肉を食べ、一部を吐き戻して幼虫に食べさせる。

幼虫は成長するに従い、腐りかけてどろどろになった肉を自分で食べるようになる。

シデムシが獲物の墓穴を掘っているあいだにも、隙あらば卵を産もうと企む虫もいる。

クロバエだ。

シデムシはダニを利用してクロバエを退ける。

シデムシの体には、自分が幼虫のときに食べた死体から移ってきた、小さなダニをくっつけている。

このダニはシデムシには害を与えず、クロバエの卵や幼虫に乗り移って食料にするのだ。

207::||‐ ~ さん
13/03/10 16:33:51.39 NNFuoxLE.net
最も巧妙な罠

ウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク) ( Myrmeleon sp. )
生息地 世界各地
特徴 完全なわなをつくってアリを捕らえる

208::||‐ ~ さん
13/03/10 16:47:05.20 NNFuoxLE.net
世界最古の罠は非常に単純なつくりだ。

大きな穴を掘り、獲物が落ちるまで見張るというものだ。

アリジゴクは繊細なレースのような翅をもつウスバカゲロウの幼虫だ。

成虫のはかなげな外見とは裏腹に、幼虫はその旺盛な食欲を満たすために、驚くべき仕組みの罠を作り上げた。

アリジゴクは主にアリを捕食するが、ほかの昆虫でもかまわない。

通常は乾いた砂地に生息し、岩や木が張り出していて雨が掛からない場所に、きれいなじょうご形の巣穴を掘る。

ポイントは「乾いた砂」という点だ。

獲物が穴に落ちると、乾いた砂壁が崩れるようになっており、いったん崩れ始めた壁は、不運な犠牲者が底に滑り落ちるまで崩れ続ける。

いちばん底にはアリジゴクがいて、三日月刀のような大顎をひらいて、獲物の到着を待ち構えている。

じょうご形の巣穴を作るために、アリジゴクは円を描くように後退しながら、

前脚ですくった砂粒を頭の平らなところと大顎に載せ、頭を大きく反り返らせて空中に弾き飛ばしていく。

すくっては飛ばし、すくっては飛ばし、らせん状にぐるぐるまわっているうちにじょうご形の穴となる。

209::||‐ ~ さん
13/03/10 16:48:51.36 NNFuoxLE.net
穴が完成すると、アリジゴクは砂底に隠れて息をひそめる。

壁の傾斜は、土木技師が「静止する角度」と呼んでいるものだ。

つまり崩れるか崩れないかという、ぎりぎりの角度なのだ。

わなの口付近で獲物のアリが転ぶと壁が崩れ始め、獲物は下へすべっていく。

アリが転ぶと壁が崩れ始め、獲物は下へとすべっていく。

アリが登ろうとすると、アリジゴクは下で砂をちょっと動かす。

こうすると砂が崩れる効果はさらに増し、すべり落ちるスピードはますます速くなる。

アリジゴクの罠にはまったアリは、砂の下にひきずり込まれて身動きができず、アリジゴクの大顎で突き刺され、体液を吸い取られてしまう。

210::||‐ ~ さん
13/03/11 10:22:55.06 1RwIfkof.net
死に至る交尾

セイヨウミツバチ ( Apis melifera )
生息地 ヨーロッパ、アフリカ、アジア原産(人により世界各地に移入された)
特徴 オスは交尾のあいだに去勢され、致命的な傷を受ける

211::||‐ ~ さん
13/03/11 10:39:42.83 1RwIfkof.net
オスの性的本能は、できるだけたくさんのメスと交尾し、少しでも多くの自分の子孫を次世代に残すことだ。

一方メスは自分の子孫を生むことは保証されているので、多くの求婚者から1匹だけを選ぶことができる。

ところが、セイヨウミツバチはかなり事情が違う。

その違いは新女王バチが初めて巣を訪れ、オスを探しに行くところから始まる。

昆虫の世界では通常、オスがメスを探すことが多い。

ところがセイヨウミツバチのオスは目立つところ、例えば木の上や、大きな茂みなどに集まっている。

そして女王バチの来訪を知るやいなや、彼女を追いかける。

その数は少しずつ増し、最後には数十匹から数百匹にふくれあがる。

大群となって空中を移動する形から「オスの彗星」ともいわれることもある。

群れのオスは、女王バチと交尾をしようと競い、彼女の下から近づこうとする。

女王バチを脚でつかまえると、オスは膨らませる事ができる生殖器の一部、内陰茎を女王バチに差し込む。

212::||‐ ~ さん
13/03/11 10:40:36.11 1RwIfkof.net
そして脚を離して後ろによけ、空気の流れに身を任せるのだが、

突然このように体を曲げることで、オスの体には負荷がかかり、内臓が押されて精子が飛び出す。

同時に内陰茎がぽっきり折れる。

女王は内陰茎を体内に収めたままとなり、腹部の先から突き出ている様子を見ることができる。

一方こんな形で去勢されたオスはほとんど即死し、地面に落ちる。

女王バチは5年ほどの生涯のなかで、100万個以上の卵を産む。

30分ほどの交尾で、女王バチは貯精嚢に一生分の精子を貯める。

そして必要に応じて貯めておいた精子を使って受精させ、産卵するのだ。

交尾後の女王バチに求婚する2匹目のオスは、彼女の生殖器から突き出た交尾のしるし、

つまり折れた内陰茎(と精子)を取り出し、自分の内陰茎を挿入する。

女王バチはこうして、2~3回交尾をするのがふつうだが、なかには20回もするものもいる。

213::||‐ ~ さん
13/03/11 10:42:34.56 1RwIfkof.net
植物の形を大きく変える

オウシュウバラタマバチ ( Diplolepis rosae )
生息地 ヨーロッパ
特徴 幼虫を育てるのにふさわしい形に、植物を大きく変える

214::||‐ ~ さん
13/03/11 11:00:51.29 1RwIfkof.net
ロサ・アルベンシスや英語でドッグローズとも呼ばれるロサ・カニナなどの野生のバラの茂みには、

ごくたまに深紅のふわふわした塊がある。

まるでもつれた赤いウールかコケの繊維のようだが、正体は「ベディガー」と呼ばれる虫こぶだ。

ベディガーという名前は、ペルシャ語の「風にもたらされたもの」という意味の言葉から由来する。

しかしこれは、アザミの種子がふわふわと風に吹かれている様子と混同していると思われる。

確かに見た目は似ている。

もつれたウールの塊は、バラの茎の葉牙(ようが)から生えている。

最初は葉と同じ緑色だが、だんだん鮮やかな赤に変わる。

ベディガーはバラの一部だが正常な成長ではない。

この変化は、塊のなかで成長する小さな生物によってコントロールされているのだ。

215::||‐ ~ さん
13/03/11 11:01:50.60 1RwIfkof.net
バラの異常な成長は、体長4mmほどのオウシュウバラタマバチが、

40~60個の卵を化学物質の混合物と共に、芽のなかに産みつけるところから始まる。

するとバラの新しい葉が成長する代わりに、もじゃもじゃの繊維におおわれた大きな虫こぶになる。

卵からかえった幼虫たちは、内側から虫こぶを食べながら、植物の成長ホルモンとよく似た物質を分泌しつづける。

最終的にこぶは直径30mmくらいのクルミ大となり、周りをおおう巻き毛はテニスボール大になる。

昆虫を含めた無脊椎動物が、植物の成長を妨げてこぶをつくらせ、

卵からかえる我が子に安全と栄養を与えるためのすみかにするのは、そう珍しいことではない。

たった1匹の子のために用意されるこぶもあれば、ベディガーのように多くの子をすまわせこぶもある。

しかしベディガーはつくった昆虫やそこにすんでいる昆虫のものだけではない。

勝手に入り込んで分け前にあずかろうとする昆虫もいろいろといるのだ。

そんな招かれざる客である着生昆虫のほとんどは、オウシュウバラタマバチの幼虫に悪さはしない。

しかしなかには幼虫や、ほかの着生植物の幼虫に卵を産みつけ内側から食べてしま捕食寄生者もいる。

これらの捕食寄生者もまた、自分たちを狙う高次捕食寄生者に攻撃される。

虫こぶにできたコミュニティーには25種もの違った昆虫がいるため、少しばかり複雑だ。

216::||‐ ~ さん
13/03/14 15:46:15.62 oew9NK5M.net
精密な温度計

シラユキカンタン ( Oecanthus fultoni )
生息地 北アメリカ
特徴 空気中の温度に合わせてうたう

217::||‐ ~ さん
13/03/14 16:01:07.92 oew9NK5M.net
コオロギの鳴き声は、静かな田舎の風がやんだ夕暮れの風景にぴったりだ。

コロコロリーと繰り返すその歌は、映画やラジオの演出に利用されることも多く、リラクゼーションのCDにもよく使われている。

メロディアスで風情を感じる歌だが、鳴く本当の目的はコミュニケーションのためであり、オスがメスに向けてうたっているのだ。

コオロギ、キリギリス、バッタのなかまはおよそ2万種いるといわれており、それぞれが独特の歌声をもっている。

歌は種ごとに旋律や速度が決まっていると考えられていたが、

1897年にアメリカの発明家トマス・ドルベアがシラユキカンタンを観察したところ、

周囲の大気の温度で速度が変わることを発見した。

ドルベアの報告では、シラユキカンタンが15秒間に鳴く回数に40を加えた数が、華氏で表したそのときの気温になり、

8秒間に鳴く回数に5を加えた数が、摂氏で表したそのときの気温になる。

これは非常にわかりやすいため、シラユキカンタンは「オンドケイコオロギ」とも呼ばれるようになった。

シラユキカンタンはアメリカ全土におり、東部に生息するもののほうが、西部のものより、ゆっくりとうたう。

西部では、近縁種であるライリーカンタン Oecanthus riley が似たような歌をうたうため、

聞き手であるメスが混乱しないよう、テンポを速くする。

218::||‐ ~ さん
13/03/14 16:02:39.55 oew9NK5M.net
地域差を加味した、鳴き声の回数から気温を知るための式は以下のとおりだ。


アメリカ東部 そのときの華氏の気温 ( °F ) =   13秒間の鳴き声数 + 40

       そのときの摂氏の気温 ( °C ) =    7秒間の鳴き声数 + 5

アメリカ西部 そのときの華氏の気温 ( °F ) = 12.5秒間の鳴き声数 + 38

       そのときの摂氏の気温 ( °C ) =    7秒間の鳴き声数 + 4

219::||‐ ~ さん
13/03/15 21:37:48.75 v5HA73uO.net
最高の建築家

オオキノコシロアリのなかま ( Macrotermes sp. )
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以南
特徴 天候の影響を受けない超高層ビルを建てる

220::||‐ ~ さん
13/03/15 22:00:24.51 v5HA73uO.net
アフリカに広がるサバンナでは、背が高くコンクリートのようにかたい泥の建造物が、ところどころに見られる。

この立派なアリ塚は、単に泥土を盛っただけのものではない。

建物の内部は空調室と居住室に分かれており、天候の変化にも対応すれば空調も完璧という、構造的に工夫された高層都市なのだ。

建築家は小さなシロアリだ。

塚の形が最も見事で、研究も盛んにされているのは、

アフリカ南部のミカエルセンオオキノコシロアリ Macrotermes michaelseni の巣だ。

直径4~5m、高さが1.5mの広い円錐形の土台の中央からは、高さが9mにもおよぶ尖塔がそびえ立つ。

その尖塔の周りは直径20mにわたって、掘り返された土が積み上げられている。

土台、尖塔、掘り返された土という3つの構造が重なり合い、1つの巣を構成しているのだ。

外から見ただけでは、この建造物の複雑な造りを創造するのは難しい。

いちばん外側の層はもろくて埃っぽい。

そのすぐ内側は、焼けた土とシロアリの唾液を混ぜてつくった、かたい壁になっている。

そして壁の内部にはトンネルや通路、ちょっとした空間が迷路のように連なっている。

すべての巣の間取りは少しずつ違うが、基本的な設計図は同じだ。

221::||‐ ~ さん
13/03/15 22:02:23.39 v5HA73uO.net
複雑な迷路の中心に、幼虫を育てるための狭い部屋がある。

部屋の周りにはトンネルがあり、そこでシロアリは食料にするために菌類(シロアリタケ)を育てている。

葉の断片や実、種子、枯れ木などどんな繊維のもと(セルロース)でも巣にもち帰り、

堆肥に加えては畑をならし、シロアリタケを栽培するのだ。

一棟のアリ塚はオスとメスのペアがつくり始める。

その際ペアは、自分たちが生まれた巣から菌類を少しもち出して植える。

シロアリタケの一種であるテルミトミケスはシロアリの巣のなかにしか見られず、シロアリと共生関係を築いている。

幼虫の部屋とシロアリタケの畑からは「煙突」と呼ばれる狭い空間が尖塔に向かって伸びている。

煙突はたくさんのトンネルに枝分かれし、巣のなかに張りめぐらされている。

この入り組んだトンネルと煙突が、巣全体を空気調整している。

高濃度の二酸化炭素を含み30℃ほどに温かくなった空気は、トンネルに広がりながら煙突のなかを上昇していく。

張りめぐらされたトンネルを通るあいだに熱と二酸化炭素は薄い壁から排出され、酸素が入ってくる。

熱交換によって冷やされて24℃ほどまで下がった空気は巣の地下室に沈んでいき、そのあと巣全体に広がっていく。

このような空調が施された全天候対応型のシロアリの都市は100年ほども保たれる。

222::||‐ ~ さん
13/03/17 04:53:05.99 hsgvPXxE.net
知恵を絞って水を飲む

キリアツメゴミムシダマシのなかま ( Stenocara sp. )
生息地 ナミビア
特徴 地上でいちばん感想した地域で、水を集めて飲む

223::||‐ ~ さん
13/03/17 05:06:10.19 hsgvPXxE.net
アフリカ南西部は、年間降水量が10mmにも満たない、地球上で最も乾燥した地域だ。

しかしこの不毛のナミブ砂漠にも、生物はいる。

砂の上を丸い体に長い脚をもったゴミムシダマシがちょこちょこ走っている。

彼らは、風に飛ばされてきた動物の市外のかけらや植物の断片を食べる。

いわば砂漠の掃除屋だ。

丸い体とかたい殻、そして日に当たるのを避けることで、極力水分を失わないよう工夫している。

しかしそれでも水分は補給する必要がある。

そこでキリアツメゴミムシダマシは、水を集める独創的な方法を編み出した。

224::||‐ ~ さん
13/03/17 05:08:13.17 hsgvPXxE.net
雨はほとんど降らない場所だが、海からの水蒸気による霧が、夜間に定期的に発生する。

霧の夜、キリアツメは長い脚を使って、尻を空中に突き上げる。

霧は虫の体を包み、体の表面で水滴に変わる。

霧が液化するメカニズムは、ステノカーラ属Stenocara sp.で詳しく研究された。

体の表面には、微細な粒が並んでいて、霧のなかの水分が結露しやすくなっているのだ。

粒と粒のあいだの溝は、水をはじく層でできていて、水滴がたれると、プラスチックの雨樋(あまどい)を雨が流れるように伝わっていく。

頭を下げ、尻を上げて体を傾斜させているため、水滴は口へと流れ込む。

ナミブ砂漠は地球上で最も古い乾燥地域であり、砂漠化してすでに5500万年が経っている。

そのあいだにキリアツメのなかまは多様化し、今では200種以上がいるが、その多くは他の地域には生息していない。

225::||‐ ~ さん
13/03/19 05:48:46.29 qUdNH5mo.net
最も危険な産卵

アルティクラータツヤアリバチ ( Methoca articulata )
生息地 世界各地
特徴 自分にかみつくよう相手を誘い、その相手に産卵する

226::||‐ ~ さん
13/03/19 06:16:45.05 qUdNH5mo.net
ハンミョウ( Cicindeta )は食用旺盛な捕食昆虫だ。

動きが速く、鋭い大顎を武器とする。

そしてその幼虫も恐ろしさにかけては成虫に負けていない。

ハンミョウの幼虫は土のなかに垂直にトンネルを掘る。

そしてその大きな頭で入り口の穴を塞ぎ、大顎をひらいて、巣穴のそばを獲物が通るのを待つ。

小さな無脊椎動物がそのそばを歩けば、素早く半身を伸ばして大顎ではさみ、地中に引きずり込んでむさぼり食う。

227::||‐ ~ さん
13/03/19 06:18:21.10 qUdNH5mo.net
ハンミョウがいるところならばどこにでも、小さくて細いアリのような昆虫がいる。

その多くはツヤアリバチ属( Methoca sp.)に属するカリバチだ。

オスに翅がある種類もいる。

ハンミョウの幼虫にとって一番多い獲物はアリだが、

アリそっくりのアルティクラータツヤアリバチが巣穴のそばを歩いてもやはり大顎で捕まえようとする。

しかしツヤアリバチ体つきはとても細く、また幼虫の大顎から身を守るための装備ももっているため、

ツヤアリバチは何らダメージを受けない。

逆に、獲物を捕まえようと巣穴から半身を出した幼虫はすぐに獲物を放って巣穴に逃げ込むが、

ツヤアリバチは毒によってハンミョウが麻痺するのをしばらく待ち、巣穴に入っていく。

さらに何回か刺せば、ハンミョウの幼虫はおとなしくなる。

アルティクラータツヤアリバチのメスは動けなくなったハンミョウの幼虫に、卵を1つ産みつけてから巣穴を砂や土で埋める。

孵化した幼虫はハンミョウの幼虫の血液を吸って育つ。

メスはまた次の巣穴を探しに行く。

そしてこの向こう見ずな産卵方法を繰り返す。

228::||‐ ~ さん
13/03/27 21:21:15.18 aUv0E1BE.net
大冒険家

ウミアメンボのなかま ( Halobates sp. )
生息地 大西洋、インド洋、太平洋
特徴 昆虫にとっては最も厳しい環境である外洋に生息する

229::||‐ ~ さん
13/03/27 21:38:21.67 aUv0E1BE.net
昆虫にとって最も危険な環境は灼熱の砂漠でもなければ、荒涼とした山地でもなく、また汚染された都市部でもない。

最も危険な環境、それは海だ。

知られているだけで約100万種の昆虫がいるがg、外洋に進出した海洋性昆虫はわずか5種類しかいない。

「シースケーター」とも呼ばれるウミアメンボは、おそらく何百万年も前に池や小川の表面を素早く動くアメンボから進化したと思われる。

小さな体に長く細い足をもっているが、やや短めの前脚は頑丈で、

ものをつかむのに適しているため、捕食するときに、獲物を押さえるのに便利だろう。

支柱のような中脚と後脚には、長い毛が生えているおかげで水の上に乗ることができる。

中脚はオールの役目、後脚はハンドルの役目をしている。

ウミアメンボのなかまは約45種が確認されている。

温帯から熱帯地方に生息し、ほとんどは磯や内陸のマングローブの沼地などにすんでいる。

230::||‐ ~ さん
13/03/27 21:39:02.61 aUv0E1BE.net
5種だけは深く広い大海原へ出て行った。

5種のうち3種が太平洋、1種がインド洋、残りの一種が大西洋、インド洋、太平洋にわたって生息している。

ウミアメンボは見つけにくいところにすんでいるため、研究はほとんど進んでいない。

捕獲してケース内で観察することも難しいため、繁殖期や生態の詳細は不明のままだ。

食べ物は動物性プランクトン、魚の卵、小魚、死んだクラゲなどであることがわかっている。

すべてのウミアメンボは無味乾燥な銀色がかった灰色をしている。

それには理由がある。体全体が防水性のある灰色の毛におおわれているからだ。

おかげでウミアメンボはびしょ濡れにならない。

体の構造はほかのアメンボと同様に、水面で生きていくようにできている。

もぐることはできず、翅はない。

卵は丸太や水鳥の羽毛、海藻、オイルボールなどの漂流物に産みつける。

海は広いが、産卵する場所は非常に少なく、人間の捨てたごみなどは重宝がられる。

2002年にはプラスチックの牛乳瓶が太平洋の真んなかで回収されたが、

そのなかには7万個のウミアメンボの卵が産みつけられていた。

牛乳瓶と同じ網には833体ものソブリヌスウミアメンボ Halobates sobrinus が掛かった。

231::||‐ ~ さん
13/03/27 21:49:16.99 uxhvewa8.net
おぉ、ウミアメンボか。
明日の応動昆で講義聞こうと思ってたからタイムリーな昆虫だわ。
ウミアメンボは飼育下ではなぜか溺れるんだよね。

232::||‐ ~ さん
13/03/28 21:43:13.18 QKGuCJ2G.net
う~ん・・・
波というか環境の動性に適応したのかなぁ

233::||‐ ~ さん
13/03/29 17:07:46.49 sonxFeXB.net
最も不愉快な寄生法

ウシバエ ( Hypoderma bovis )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、北アメリカ
特徴 幼虫が生きたウシの皮膚に入り込む

234::||‐ ~ さん
13/03/29 17:25:01.00 sonxFeXB.net
その昔、ウシたちが草原で草を食(は)んでいると、突然、揃って尾をもち上げ、大あわてで草原を暴走することがあった。

このパニックは、マルハナバチに似た小さな昆虫によって引き起こされていた。

ウシはこの昆虫によってもたらされる激しい痛みを知っていたのだ。

このような騒動を引き起こす、茶色とオレンジ色の毛のハエはウシバエといい、

北半球のウシが飼われている地域ではよく知られた昆虫だ。

ウシがウシバエを嫌うのは、追いまわしたり、かみついたりするからではない。

ウシバエはウシの脚と脇腹の毛に、小さな白い卵を産みつける。

すぐに幼虫が生まれ、ウシの皮膚に穴を開けると体をくねらせてもぐり込む。

筋肉や脂肪を消化する消化酵素を分泌しながら、血液を吸い肉を食べるのだ。

235::||‐ ~ さん
13/03/29 17:26:49.41 sonxFeXB.net
秋の数ヶ月間、ウシバエの幼虫はウシの皮膚の下を動きまわり、盛り上がった背中を移動する。

最終的にはビー玉くらいのかたさと大きさにまで成長し、ウシの背中にはたくさんのこぶができたようになる。

このこぶは「腫瘤(しゅりゅう)」と呼ばれ、幼虫が呼吸をするために開けた傷穴がある。

傷穴にはそのうち何らかの菌が感染して膿ができる。

最終的にはその膿が幼虫を押し出してくれるしくみだ。

地面に落ちた幼虫はやがてさなぎになり、成虫に変身する。

先史時代に人間がウシを家畜にしたときから、飼い主にとってウシバエは悩みのたねだった。

決しておおげさに家畜の苦しみを心配しているわけではない。

肉や牛乳はほとんど影響を受けないが、ウシの皮はウシバエが開けた穴や膿庖で傷だらけになってしまう。

治療は難しく、毒性のある水銀の軟膏か、車輪の潤滑油に硫黄を加えた塗り薬、テレピン油、亜麻仁油、タールなどが使われた。

ウシバエは現在、北アメリカとヨーロッパの家畜の周りにはいなくなった。

ウシの飼料に入れた殺虫剤のおかげでほぼ根絶されたのだ。

しかし今もって野生のバイソンやバッファローはウシバエに襲われることがあり、

この昆虫からのがれようと無駄な抵抗をしているところを見ることがある。

236::||‐ ~ さん
13/04/03 14:49:13.36 1qpv2kNW.net
寒さにいちばん強い

ウェッデルアザラシジラミ ( Antarctophthirus ogmorhini )
生息地 南極
特徴 氷点下の南極の海で何ヶ月も生きのびる

237::||‐ ~ さん
13/04/03 15:16:39.21 1qpv2kNW.net
寒冷地に適応できる昆虫は少ないが、ウェッデルアザラシジラミは間違いなくその代表だろう。

体長3mmほどの小さな虫で、アタマジラミやケジラミと同じシラミのなかまだ。

南極周辺に生息するウェッデルアザラシの尾や足首、腰、後ろの鰭脚(ききゃく)などの毛に寄生することでしか生きられない。

ウェッデルアザラシはほとんど氷の下を泳いで過ごし、呼吸をするためだけに水面まで上がってくる。

つまりこのシラミは、マイナス2℃以下の水温のなかにいるわけだ。

またこの寄主は、水深450mの深さに1時間以上もぐっているため、シラミはその水圧にも耐えなくてはならない。

近い親戚であるオタリアアサラシジラミ Antarctophthirus microchir は、同じような過酷な状況を味わっている。

238::||‐ ~ さん
13/04/03 15:17:26.88 1qpv2kNW.net
ウェッデルアザラシは9月~11月に海から陸に上がり、交尾したり子を産んだりする。

そのあいだにシラミも元気によく育ち、ほとんどすべてのアザラシに寄生する。

寒さのためにアザラシがあまり活動しない時期は、シラミもただくっついているだけだ。

冷たい水には暖かい水より多くの酸素が溶けているため、それを吸収して生きている。

またシラミの体の表面は微細な鱗毛(りんもう)におおわれており、これが薄い空気の層をつくって防寒の役割を果たしている。

シラミは寄主の血液を吸う。アザラシが活発にもぐったり捕食したりしているときは、体が温まって熱を発散する。

すると尾や鰭脚の皮膚まで血のめぐりがよくなるのだ。シラミの短い繁殖期はこのときに訪れる。

たっぷりと血液を吸い、交尾して産卵する。

この時期はウェッデルアザラシジラミのライフサイクルのなかでは比較的暖かいとはいえ、気温は0~4℃程度だ。

しかしこの温度でも卵は孵化することができる。

産卵以外の活動は、気温が5~15℃くらいのときに見られるが、それでもほかの昆虫が生息している環境よりはずっと寒い。

239::||‐ ~ さん
13/04/06 17:26:39.11 zz0TW/4L.net
最も悪質なわな

ヒカリキノコバエのなかま ( Arachnocampa sp. )
生息地 オーストラリア、ニュージーランド
特徴 獲物を粘着質のわなで捕らえるため、光っておびき寄せる

240::||‐ ~ さん
13/04/06 17:44:00.22 zz0TW/4L.net
オーストラリアやニュージーランドの暗い洞窟の天井に、小さな光がまるで星座を描くように光っている。

発光源であるヒカリキノコバエの幼虫は、北半球にいるホタルのなかまでもなければ、

ホタルのようにお互いを探すために光っているのでもない。

獲物をおびき寄せるために光を放っているのだ。

ヒカリキノコバエの幼虫は細長く、絹のように細い糸と粘液でできた細い管に包まれた姿で洞窟の天井にくっついている。

そこから長さ50~150mmの糸を30~70本たらす。

それぞれの糸には粘着力のある雫がたくさんついており、まるでネックレスのようだ。

ヒカリキノコバエの属名は Arachnocampa sp. といい、

クモの幼虫という意味で、クモのように糸を出すことから名づけられたものだ。

241::||‐ ~ さん
13/04/06 17:45:52.62 zz0TW/4L.net
洞窟は荒涼とした場所であり、栄養分となるものはほとんどない。

しかし水はあり隠れ場所として最適だ。

ヒカリキノコバエの獲物となる小さな虫は、風に乗ってふわふわと飛んできたり、

一時的な避難場所を求めて入ってきたりするが、暗闇のなかで迷ってしまう。

昆虫は本能的に上へ、もしくは光の方へ飛んでいくため、ヒカリキノコバエのべとべとしたネックレスへと誘われていく。

雫にくっついた犠牲者は、もがけばもがくほどますます粘着質のネックレスにからめとられることになり、ついには捕まってしまう。

犠牲者はハエかもしれないし、クサカゲロウかもしれないし、またハチや甲虫やクモかもしれないが、

何にせよヒカリキノコバエはからまった獲物を引き寄せ、むさぼり食う。

そして次の食事まで、また暗闇で何日でも何週間でも待つ。

幼虫が成虫になるまでおよそ1年かかる。

成虫になり卵を産んだあとは、それほど長生きしない。

おそらく最後は、自らが子どもたちの食料になるのだろう。

242::||‐ ~ さん
13/04/08 00:27:10.41 8iT/osFA.net
多摩動物公園のヒカリキノコバエ(グローワーム)は昆虫だけじゃなく人間でも見とれてしまうくらいすごい綺麗だった。
今度バックヤード見学させてもらうから、餌の給仕を撮影させてもらおうかな。

243::||‐ ~ さん
13/04/12 15:50:24.04 V5R5HMcw.net
>>242
遅レスですまんす
写真でしか見てないけど玉簾という感じだね

244::||‐ ~ さん
13/04/12 15:50:57.61 V5R5HMcw.net
妻を全く信用しない

ウスバシロチョウのなかま ( Parnassius sp. )
生息地 北極付近と北半球の山岳地帯
特徴 オスは交尾するメスに貞操帯をつける

245::||‐ ~ さん
13/04/12 16:04:05.34 V5R5HMcw.net
ほとんどのオスにとって、できるだけ多くのメスと交尾し、できるだけ多くの子孫を残したいという本能は何にも勝る。

一方でメスはできるだけ優秀な相手を選び、自分の子の父親としたいという欲求がある。

両者の思惑を見越して、交尾の際には複雑な儀式や戦略が数多く見られる。

ウスバシロチョウのなかまは、そのなかでも究極といえる方法を開発した。

貞操帯だ。

ウスバシロチョウのオスとメスのあいだには、求愛行動というものがほとんど存在しない。

オスは交尾するメスを単純に捕らえる。

そして交尾が終わったら、急いで次のメスを探すのではなく、オスはそのメスと数時間一緒にいる。

246::||‐ ~ さん
13/04/12 16:04:52.52 V5R5HMcw.net
白と薄い黄色地の翅には、黒い線と赤い円が描かれていて、敵に「毒があっておいしくない」と警告している。

そのため捕食者の心配をする必要がなく、たとえ交尾中に邪魔が入ったとしても、このウスバシロチョウはその場を去らずに一緒にいる。

ほかのチョウなら、おののいてそれぞれに飛び去るだろう。

このように交尾に長い時間をかけるのには理由がある。

精子を送るのと同時に、オスは腹部の先にある特別な分泌腺からゼリー状の液体を出す。

このゼリーはかたまって、薄いピンクもしくは黄色の「交尾栓」と呼ばれる栓、

すなわち貞操帯となり、ほかのオスはこのメスと交尾できなくなる。

調査したところによると、この交尾栓は確かにメスが交尾した証拠になる。

解剖すると、ほかのオスがその後いくら試しても、最初のオスだけが交尾に成功したことがわかる。

しかし交尾栓をつくるという営みは、オスにとって大きな消耗を強いる行為であるため、

成虫になってから死ぬまでの数週間のうち、1~2個しかつくれない。

247::||‐ ~ さん
13/04/18 19:01:34.45 z/KybYt6.net
最もすばらしい陶芸家

トックリバチのなかま ( Eumenidae )
生息地 いろいろな種が世界各地に生息している
特徴 子を育てるために、泥でできた壺形のすみかをつくる

248::||‐ ~ さん
13/04/18 19:02:46.41 z/KybYt6.net
せっせと子育てに励むというのは、典型的な昆虫の行動ではない。

しかし単に卵を生む以上のことをする種も多い。

幼虫に必要なだけの食料を用意しておくことは、生き残る確率を大いに高める。

またハチのなかには自分たちのコロニー( 集団 )をつくり、幼虫に十分な食料を与えて育てるものがいる。

大多数のハチは大雑把に穴を掘り、もしくは他の誰かの穴を見つけ、そこに食料を入れて卵を産みつけたら立ち去る。

メスだけが働く種はなかなか創意にあふれており、空洞になっている植物の茎を使ったり、壁の穴を利用したり、

空になったカタツムリの殻を使ったりする。

249::||‐ ~ さん
13/04/18 19:04:02.30 z/KybYt6.net
とりわけ美しい職人技を見せてくれるのはトックリバチだ。

自分の子のために巣となる壺をつくってやるのだ。

その形はまるでギリシャ時代に起源を発する壺、アンフォラのように美しい。

トックリバチの壺づくりは、長い大顎と前脚で土を運び、まず底をつくるところから始まる。

泥や粘土を集めてきては茎や葉や枝にくっつけて、土が乾いてかたくなると、

今度は壺の横の部分を一塗り一塗りしながら形づくっていく。

外側は粗く未完成に見えるが、内側はなめらかにでき上がっている。

最後にいちばん上の口の周りの張り出した縁を、大顎で操作しながらていねいに仕上げる。

250::||‐ ~ さん
13/04/18 19:05:19.48 z/KybYt6.net
壺がほぼ出来上がると、ハチはガの幼虫を捕らえにいく。

ガの幼虫を針で刺して動けなくすると、完成した壺に入れる。

そして卵を1個、そのなかに産む。

卵は絹のような糸で壺の天井からぶら下げられている。

そして壺の口にふたをし、その近くに新しい壺をつくり始める。

安全が確保され、食料も蓄えられた環境で育つこの幼虫は、生き残る可能性が高い。

しかしそれでも母親は油断できない。

食料となるガの幼虫を運ぶあいだに、せっかくつくった壺にはほかのハチやハエがそっと忍び寄り、

卵を産んで寄生してしまうかもしれないからだ。

251::||‐ ~ さん
13/04/22 21:40:30.19 bLGFxIjB.net
いちばんの悪食

イリスコムラサキ ( チョウセンコムラサキ ) ( Apatura iris )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部
特徴 糞、腐った死肉、車の排気ガスを好む

252::||‐ ~ さん
13/04/22 21:59:17.41 bLGFxIjB.net
イリスコムラサキは風格のあるチョウだ。

玉虫色に光る紫に白い光のような模様が入ったうるわしい翅の表側は、温帯地方に生息するチョウの中でも、とりわけ美しい。

熱帯地方の鮮やかなチョウの美しさに匹敵する。

古くからある森林に生息し、流線型の緑色の幼虫はヤナギやサルヤナギの葉を食べ、

成虫はカシやブナの木の周りを高く飛びながら交尾の相手を探す。

イリスコムラサキはとりわけ用心深いため、人間はあまり近づけない。

遠くから双眼鏡で観察する限りでは、花の蜜を吸いに行くことはない。

しかし地面の泥のところへは行く。

イリスコムラサキは泥や水たまりから水を飲むのだ。

その黄色く頑丈で長い口吻(こうふん)の先端は、繊細な毛でおおわれていて、

チョウが泥のなかから液体を吸い上げるときに余分なものを漉(こ)す働きをしている。

253::||‐ ~ さん
13/04/22 22:00:09.81 bLGFxIjB.net
ほかのチョウでも同じような行動が見られ、これにより必要なミネラルを取り入れている。

泥水のほかにも動物の糞や尿、腐った死肉、車の排気ガスのパイプから落ちる液化したガスなどからもミネラルを得ている。

オスもメスもこのようにして栄養をとるが、繁殖するためにさらに栄養を必要としている。

昆虫の世界には、ほかにもさまざまな変わった食料がある。

タバコシバンムシ Lasioderma serricorne は、乾いたタバコの葉を食べるため、タバコや葉巻にとっては害虫だ。

10年以上封をしてあったカゼイン (ミルクに含まれるタンパク質) からは、

何千匹ものヒョウホンムシ Niptus hololeucus が見つかったこともある。

セイヨウシミ Lepsma saccharina は壁紙の下に薄く広がる接着用糊のでんぷんを食べる。

ヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci の幼虫は、博物館の動物の剥製や皮膚の標本などを食べる。

昆虫館の昆虫標本も同じく大好物だ。

254::||‐ ~ さん
13/05/14 22:37:05.85 CVmzVyzk.net
究極の昆虫変態

ツチハンミョウのなかま ( Meloidae )
生息地 世界各地
特徴 幼虫の目的に合わせ、さまざまに変態する

255::||‐ ~ さん
13/05/14 22:37:55.71 CVmzVyzk.net
おおまかにいって昆虫は、幼虫時代はあまり動きまわることはなく、食物を摂取し成長することに専念する。

そして成虫になると、交尾したり移動したり、産卵したりと活発に動きまわる。

イモムシとチョウの例が物語るように、幼虫から成虫という成長段階に応じて、形や行動が変わることを知らない人はいないだろう。

ところがツチハンミョウは幼虫時代に何回か変態をする。

ある幼虫の姿から異なる幼虫の姿へと、各時期の過ごし方に適した複数の幼虫期をもつのだ。

256::||‐ ~ さん
13/05/14 22:38:50.72 CVmzVyzk.net
ツチハンミョウが英語圏で「オイルビートル」と呼ばれている理由は、油っぽい毒を分泌するからだ。

土のなかや草の根、草の上に卵を産み、その卵からは非常に体の小さい「三爪型幼虫」と呼ばれる6本脚の幼虫が生まれる。

名前のとおり、幼虫は珍しいことにそれぞれの足先に3本の爪(多くの昆虫の爪は2本)をもっている。

細くて長い脚をもつ三爪型幼虫は花の上まで登り、通りかかる昆虫にヒッチハイクしようと待つ。

待っているのは特定の種類のハチで、目的地はそのハチの巣のなかだ。

しかし多くの幼虫は、目的のハチ以外の昆虫にヒッチハイクしてしまう。

運のいいわずかな数匹の幼虫だけが、目的どおりの巣まで連れていってもらえる。

そこで三爪型幼虫から太った短い幼虫に変態する。

257::||‐ ~ さん
13/05/14 22:40:33.20 CVmzVyzk.net
ここからの生態は種によって異なるが、寄主の蓄えている食料をたべたりもする。

そして成長しきったら皮膚がかたくて脚がない、従って運動能力もない幼虫に変態し、冬や乾季の期間を何ヶ月も眠る。

幼虫期の終わりが近づくと今度は運動能力のある幼虫へと変態し、さなぎになるための部屋を掘り、そこでさなぎに変わる。

そしてツチハンミョウは自らの子どものために、ハチたちが食料を集める時期に間に合うように成虫になる。

このように複数の幼虫期をもつ変態の形式を「過変態」という。

複数の幼虫期をもつ点、また三爪型幼虫の時期と最後の成虫期の2回、ある場所からほかの場所に移動するという、

活動的な行動をとる点でツチハンミョウの一生はとても珍しい。

258::||‐ ~ さん
13/05/15 18:14:32.86 CX7W7FIN.net
抜群の視力

アメリカギンヤンマ ( Anax junius )
生息地 北アメリカ、中央アメリカ
特徴 昆虫のなかで最も視覚が優れている

259::||‐ ~ さん
13/05/15 18:15:33.86 CX7W7FIN.net
脊椎動物の眼の、瞳孔と焦点の複雑なメカニズムとは違い、昆虫の眼は単純で固定された構造をしており、

外界の非常に狭い部分での光でとらえる。

光は数個の視細胞を通り、視神経から脳に達する。

個眼(こがん)と呼ばれる外を見る部分は、六角形のレンズだ。

レンズの下には円錐形の「桿(かん)状体」とよばれる網膜細胞の感光組織があり、

その下に光刺激を感じるセンサーがある。

昆虫の眼は、多くの個眼が集まって複眼となっている。

六角形レンズがモザイク状に集まり、ドームを形づくっているのだ。

それぞれの個眼に受けた信号は、デジタルカメラの1画素のようなものであり、それらが昆虫の脳内で集積され、

1つの視覚イメージをつくり上げる。

260::||‐ ~ さん
13/05/15 18:17:12.10 CX7W7FIN.net
つまり個眼が多ければ多いほど、イメージの解像度は高くなる。

最も大きい複眼をもつ昆虫はトンボであり、なかでも特に大きいのはヤンマのなかまだ。

左右それぞれ3万個の個眼があるといわれている。

それほど多くの種を調べたわけではないが、ある研究によれば、アメリカギンヤンマには左右に29.247個ずつあったとのことだ。

トンボはどのような世界を見ているのだろうか。

おそらく風景を見ているのではなく、単純に特定の形や模様、動きを抽出しているのだろう。

複眼を構成する個眼は、いろいろなサイズのものが、ある規則に従って並んでいる。

そして、それぞれ個別の焦点距離や解像度をもっていて、獲物を感知するときは近くを、敵を見つけるときは遠くを見ているようだ。

昆虫には眼が退化してなくなってしまったものも多い。

眼のある昆虫のなかで最も視力が悪いのはアリのなかまであるプンクタティッシマニセハアリ( Hypoponera punctatissima )だろう。

左右の複眼が退化し、個眼が一個ずつになってしまった。

261::||‐ ~ さん
13/05/18 17:47:19.26 9i9It6gA.net
いちばん上手な擬態者

オスジロアゲハ ( Papilio dardanus )
生息地 アフリカ、マダガスカル島、アラビア半島南部
特徴 毒をもつさまざまなチョウに擬態する

262::||‐ ~ さん
13/05/18 17:48:15.50 9i9It6gA.net
ビクトリア時代の英国の博物学者であるウォルター・ヘンリー・ベーツが、

1840年代と50年代にアマゾン川を探検したとき、鮮やかな色でゆっくりと飛ぶドクチョウ( Heliconius sp.)をたくさん見つけた。

このチョウは幼虫のときに有毒な植物を食べるため、成虫は鳥にとっては有毒であり、おいしくない。

そのため目立つ模様をもっていても、警戒する必要はない。

しかしベーツを最も驚かせたのは、有毒ではないコバネシロチョウ( Dismorphia sp.)が、

毒をもつドクチョウにそっくりな模様をもっていたことだった。

ベーツは「まずいチョウ」は化学物質により守られているが「まずくないチョウ」は有毒なチョウの翅の模様を真似することによって、

自己防衛をしているのだと推測した。

この概念を今では「ベーツ型擬態」と呼んでいる。

263::||‐ ~ さん
13/05/18 17:49:03.99 9i9It6gA.net
擬態は昆虫の世界では珍しくない。ハナアブはハチに擬態する。

カメムシはアリに、ガの幼虫は鳥の糞に、そしてチョウはお互いに擬態する。

真似される者と真似する者は、有害なものとそうでないものとが対になることが多く、ベーツ型擬態のチョウのコンビはよく知られている。

しかし広い分布地域のなかで、チョウは少しずつ違う模様や色をしており、

擬態者はそれに合わせて変化しなければならない。

ベーツは上流へと川をたどりながらチョウを見るたびに、まずいチョウかそれともまずくないチョウか観察していた。

アフリカのオスジロアゲハは擬態の名手だ。

オスはすべて黒と薄い黄色をしており、尾状突起があるふつうのアゲハチョウだが、

メスは、この大陸に広く生息する14種の「ますいチョウ」に擬態する。

264::||‐ ~ さん
13/05/18 17:49:49.20 9i9It6gA.net
メスのなかには、翅の地の色がオレンジ色で黒い縁取りがあり、

白い稲妻のような模様が入っているメスのカバマダラ( Danaus chrysippus )に擬態するものもいる。

また前翅には黒地に白い点があり、後翅には黄色い模様がある、レイマンシロモンマダラ( Amauris albimachlata )や、

黒地に青白い大きな模様があるシロモンマダラ( Amauris niavius )に擬態するものもいる。

真似されるどのチョウにも尾状突起はなく、擬態する方も当然ない。

ベーツにとって予想外だったのはマダガスカルだった。

オスジロアゲハは、メスもオスも同色同形であり、翅は黒と黄色で目立つ尾状突起をもっていた。

もしかするとアフリカ大陸での擬態の進化は、2億800万年前から1億4600万年前のジュラ紀に大陸移動が起こり、

マダガスカルをインド洋へと引き離したあとに始まったのかもしれない。

265::||‐ ~ さん
13/05/19 20:30:31.06 PUvjBUuq.net
>>263
>>メスは、この大陸に広く生息する14種の「ますいチョウ」に擬態する。

タイプミス。
「まずいチョウ」

266::||‐ ~ さん
13/05/25 17:18:36.01 XnEN3Dq+.net
数も距離も最大規模の移動

オオカバマダラ ( Danaus plexippus )
生息地 北アメリカ
特徴 毎年秋になると5200kmの長旅をし、春になると戻ってくる

267::||‐ ~ さん
13/05/25 17:35:43.47 XnEN3Dq+.net
毎年9月の初め頃になると、ロッキー山脈の東側に2億5000万匹ほどいるといわれているオオカバマダラの食欲が旺盛になる。

よく食べるせいで、体重は30%も増える。

こうして体内に脂肪を蓄えたオオカバマダラは、南に向かって飛び立つ。

カナダ南部からアメリカの五大湖へ、1日に約80kmも飛ぶのだ。

どうやって方向を知るのかわからないが、ほとんどがテキサスを通り、

そして11月までにはメキシコシティ西部の山地に30ヵ所ほどある、谷間の目的地に到着する。

チョウは茂みやモミの木に落ち着くと、翅をたたんで冬眠に入る。

晴れた朝にはねぐらのそばにある小川に水を飲みにいき、気温の下がる夕暮れには夕景を見ながら戻ってくる。

空はチョウでいっぱいになり、そして木はチョウの重さでしなる。

268::||‐ ~ さん
13/05/25 17:39:04.77 XnEN3Dq+.net
2月には気温が上昇して、日も長くなる。

これをきっかけに交尾が始まり、3月までにはあちらこちらでカップルが誕生する。

オスは交尾が終わるとすぐに死ぬが、メスは数日のうちにその場を発つ。

命を脅かす寒さからのがれるための秋の移動とは異なり、北へ帰る春の移動にはまとまりがない。

てんでんばらばらに北へ帰りながら、チョウは幼虫の好きなトウワタの上に卵を産む。

幼虫はそこで葉を食べて成長し、さなぎになり、成虫となる。

そして同じ時期に生まれたなかまたちと北を目指す。

8月頃にオンタリオ湖の上を飛んでいるオオカバマダラは第4世代、つまり5ヵ月前にメキシコを離れたチョウのひ孫に当たる。

彼らは祖先の移動の記憶がないのにもかかわらず、すぐに南に向かって出発する。

そして全く同じ道を通り、同じ木をねぐらにし、メキシコシティの近くに落ち着くのだ。

なぜこのように驚くべき移動が可能なのか、いまだに謎は解かれていない。

269::||‐ ~ さん
13/05/25 17:46:10.15 XnEN3Dq+.net
モルジブの昆虫学者チャールズ・アンダーソンが2009年7月に発表した説によれば、

「アフリカ東岸やセイシェル諸島とモルジブ諸島を行き来するウスバキトンボ ( Pantala flavescens )など数種のトンボが、

昆虫では最長距離を移動する」という。調査、証明はこれからだ。

270::||‐ ~ さん
13/05/31 21:46:02.69 MGWngnmK.net
最強のレスラー

テナガカミキリのオス ( Acrocinus longimanus )
生息地 メキシコからアルゼンチン北部
特徴 長い前脚を使い、敵をひっくり返す

271::||‐ ~ さん
13/05/31 21:54:24.34 MGWngnmK.net
同じ種でありながらオスとメスの外見が大きく違う場合、その理由は交尾のパートナー選びにある。

エネルギーを産卵に集中させたいメスは、オスを探しまわることで消耗しないよう、化学物質のにおいを発してオスをひきつけるが、

オスのほうはメスをめぐって戦うために、恐ろしい武器をもつようになったり、奇怪な姿に進化した。

奇怪に見える姿形にも、はっきりとした目的がある。

しかしテナガカミキリの前脚がなぜこんなに長いのかという謎が解かれるのには、じつに250年もかかった。

テナガカミキリは道化めいたその派手な模様から「道化の虫」という意味の英名をもつ。

手に入りにくく、しかも人目をひく美しいテナガカミキリは、長いあいだコレクターや昆虫商の垂涎の的だった。

272::||‐ ~ さん
13/05/31 21:56:51.67 MGWngnmK.net
しかしテナガカミキリの最大の特徴は、オスの前脚の長さだ。

オスの体長は大きなもので7.5cmくらいだが、前脚は15cmもある。

そして同じ体長のメスの前脚の長さはオスの半分もない。

またオスの前脚は先が鋭く曲がっているが、メスの脚は真っすぐだ。

オスの細くて長い前脚の使い方については、あれこれと推測されてきた。

枝をよじ登るため、メスを押さえつけるため、あるいは交尾の最中にほかのオスからメスを守るためなどだ。

しかし本当の答えはどれでもなく、オス同士が格闘するためだった。

273::||‐ ~ さん
13/05/31 22:01:17.25 MGWngnmK.net
この格闘に勝利するには、対戦相手の足のつけ根に自分の前脚を引っ掛け、相手を木から放り投げるしかない。

お互いの頭から脚までの大きさを測りあったあと、小さいほうは勝者とメスを残して、その場を立ち去ることが多い。

体格の差がない場合は、手始めに頭突きをするが、戦いにまで発展するケースは珍しい。

力強い敵の大顎近くに脚をもっていくことは、危険を伴うからだ。

実際、触覚や脚の一部がないオスを見かけることもある。

めったに格闘をしないわけだから、前脚の用途について長いあいだ昆虫学者がわからなかったのも無理はない。

274::||‐ ~ さん
13/06/02 18:16:40.06 yjbUe3rL.net
最も大きな群れ

サバクトビバッタ ( Schistocerca gregaria )
生息地 アフリカ
特徴 数百万匹という大群でいっせいに飛ぶ

275::||‐ ~ さん
13/06/02 18:34:56.75 yjbUe3rL.net
昆虫は一生のさまざまな局面で群れをつくる。群れとなるきっかけや目的、規模もさまざまだ。

例えば女王バチの周りに集まるミツバチ、海をわたるヒメアカタテハ。

そのなかで最大のものは、バッタのそれであることは疑いの余地がない。

しかし四方へと広がる大群が、果たしてどこまで広がっているのかを調べることは難しい。

古代からトビバッタによる被害は伝えられており、

旧約聖書の「出エジプト記」にある「十の災い」のうち8番目のイナゴの災いは有名な話だ。

最近までほとんどの報告は逸話のように語られるだけで、その規模も「膨大」という言葉でしか表されなかった。

1784年に南アメリカで大発生した群れは5000平方kmにおよんだという説もある。

バッタは風で海に飛ばされたあげく浜に打ち上げられ、高さ1mの死骸の山が80kmも続き、

悪臭は250km先まで届いたという。

しかしこれはあくまでも伝承だ。

276::||‐ ~ さん
13/06/02 18:43:54.42 yjbUe3rL.net
記録として確認されているものでは、1954年にケニアで発生したサバクトビバッタの群れが、最も大きなものだと推測される。

バラバラに発生して次第に大きくなっていったおよそ50の群れが、最終的には集合して、

1000平方kmにわたって広がる様子を、偵察用の飛行機から観察できた。

群れの高度は1~1.5kmにも達し、推定500億匹のバッタがいたと思われる。重さにして10万 t だ。

サバクトビバッタはいつもこのような大群を形成するわけではない。

ふつうは少数で、ほかのバッタと同様、人に害を与えることなく暮らしている。

緑色の体は草のあいだに隠れるためであり、バッタ同士はお互いを避ける。

しかし豊作で生息地の固体密度が高まると、そのストレスを原因として「相変異」と呼ばれる体型の変化が起こる。

すなわち、長い脚と緑色の体色に代表される「孤独相」から、

移動に適した短い脚と長い翅をもつ「群生相」になり、体色も黄色や茶色になる。

そしてストレスから自らを解放するために、新天地を求めて移動を始めるのだ。

277::||‐ ~ さん
13/06/03 22:09:57.15 R31Esw+g.net
長生きの女王

トビイロケアリ ( Lasius niger )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部
特徴 実験用の巣のなかで29年も生きた

278::||‐ ~ さん
13/06/03 22:20:39.67 R31Esw+g.net
どの生物も子孫繁栄に貢献するべく、さまざまな策略を編み出してきた。

大きな鳥やほ乳類は、少なく大きく産むことに専念し、長い時間とエネルギーをかけて巣で卵を温めたり、胎内で育てたりする。

そのためには親が大きくなければならないし、一回の繁殖期で失敗しても次にまた挑戦できるよう、長生きすることが必要だ。

昆虫は小さな卵をたくさん産む。そして幼虫は、天敵に捕まらないうちに早く成虫になる必要がある。

幼虫のあいだは見つかりにくい場所で時間をかけて成長し、成虫になると短命んは昆虫もいる。

あるいは少ない卵で十分に成長させてから産卵するものもいる。

279::||‐ ~ さん
13/06/03 22:21:19.21 R31Esw+g.net
女王アリは、自らがゼロからつくり上げたコロニー( 集団 )のおかげで、長生きする。

交尾を済ませた女王アリは、その際に似た精子をずっと体のなかに貯めておき、産卵時に受精させる。

未受精卵から育つアリはすべてオスだが、受精卵から育つアリはすべてメスで、

ほとんどが働きアリとなって巣を守り、幼虫の世話や食料調達に精を出す。

卵を産むことに専念する女王アリは、働きアリが運んでくる食物を食べて、いたれりつくせりで巣のなかで暮らす。

巣の外は虫が虫を食べる危険な世界だが、女王は安全な場所で何年も生きのびる。

正確な寿命は推測の域を出ないが、最長記録として残っているうち最も長生きだったのは、

ドイツの昆虫学者ハーマン・アッペルの実験室で29年生きたトビイロケアリの女王だ。

280::||‐ ~ さん
13/06/07 14:51:14.62 0i89lp2D.net
最も短い幼虫期

ツェツェバエのなかま ( Glossina sp.)
生息地 アフリカ・サハラ砂漠以南
特徴 卵からかえり幼虫になるやいなや蛹化( ようか )する

281::||‐ ~ さん
13/06/07 15:05:10.20 0i89lp2D.net
どこに卵を産むか、いくつ産むか、どのくらいの大きさに産むか、どうやって守るか、食料はどうするのか。

どの昆虫も多くのことを子孫に残したいと願う本能に従って決定する。

卵と幼虫の時期を無事に過ごせるかどうかが、非常に重要なのだ。

幼虫期はたくさんの栄養をとって成長する時期だ。

特に食料に栄養分が少ない場合には、幼虫は時間をかけて成長する。

成虫になると交尾して卵を産み、種によっては数日、ときには数時間で死んでしまうこともある。

こうした幼虫期と成虫期の一般的な長さという点で、型破りな昆虫がいる。ツェツェバエだ。

ツェツェバエのなかまは30種類ほどいるが、すべてサハラ砂漠以南に生息している。

成虫のメスは吸血するため、アフリカトリパノソーマ症( アフリカ睡眠病 )を媒介する。

この病気はマラリアと同じく、原虫が人間の血液に侵入することによって引き起こされる。

282::||‐ ~ さん
13/06/07 15:08:34.96 0i89lp2D.net
血液はカと同様にツェツェバエにとっても非常に重要だ。

子孫の栄養のために血中タンパク質が必要なのだ。

しかしカは栄養を何百個もの卵に分け与えるのに対し、ツェツェバエが与える相手はたった1個の卵だ。

1個だけの卵は、メスの腹にある子宮のような嚢のなかで孵化する。

幼虫はそこで約9日間、ミルクとも呼ばれる分泌物を受け取って成長する。

そして土の上に産み落とされたときには成長しきっている状態のため、数分後には蛹化する。

そして、さなぎの姿でおよそ1ヶ月過ごしたあとに成虫になり、4年ほど生きる。

ツェツェバエはこうして、9日ごとに次の幼虫を育てる。

ツェツェバエの繁殖方法は、ほかの昆虫のようにたくさんの卵を産み、そのうちいくつかでも育ってくれればよしとする方法とは違う。

むしろほ乳類の方法に近い。

一度に1匹だけを育てることにより、生き残る確率を高めているのだ。

283::||‐ ~ さん
13/06/11 02:55:06.93 rgvPJPze.net
最高のキッカー

ハネナシコオロギ ( Anostostomatidae と Rhaphidophoridae )
生息地 ニュージーランド
特徴 棘のある後脚で、身を守るために蹴る

284::||‐ ~ さん
13/06/11 03:08:36.98 rgvPJPze.net
ニュージーランドと周辺の島々に生息する、ウェタとも呼ばれるハネナシコオロギは、

少数の祖先種から多様な種が分化した放射状進化の好例といえる。

地球上で最も隔離された場所であるニュージーランド群島には、数百万年という年月をかけて、

不思議な生物たちが空から、そして海から吹き寄せられた。

数百万年前のあるとき、コオロギに似た、お腹の大きな昆虫のメスが、流木と一緒に流されて浜についた。

そこにはほかのコオロギがいないうえに、ほ乳類もおらず、捕食者は何もいなかった。

繁殖しないわけがない。

285::||‐ ~ さん
13/06/11 03:43:54.46 rgvPJPze.net
そしてその子孫はコオロギもほ乳類もいない、これら新世界の島々に広がり、

この地方の天候や環境、食料や生態的地位に適応していった。

地上を走りまわるものもいれば、木に登るもの、土を掘るもの、洞窟にすむものも出てきた。

そして孤立した環境下で、特にいくつかの離れた島々では、それぞれの島に固有の種へ進化した。

今日、ハネナシコオロギは70ほどの種がある。

ほ乳類の捕食者から逃げる必要がないことから、ハネナシコオロギは2つの特徴をさらに発達させた。

大きいことと、翅がないことだ。

しかし地上には敵がいないとはいえ、ときには鳥やほかの昆虫、トカゲ、カエルなどから我が身を守らなくてはならない。

ハネナシコオロギはどうやって戦うのか。

相手を蹴るのだ。

286::||‐ ~ さん
13/06/11 03:51:52.16 rgvPJPze.net
こすり合わせる翅はないものの、キリギリスやバッタ、コオロギに特徴的な大きな後足をハネナシコオロギももっており、

その後縁 (こうえん) には力強い棘がついている。

彼らは身の危険を感じたとき、後脚を頭より高く上げて、棘だらけの部分を相手に見せる。

「これで頭を蹴ってやるぞ」という威嚇だ。

残念なことにハネナシコオロギは、人間がニュージーランドに入植したときに密航してきた陸のほ乳類には勝てなかった。

ナンヨウネズミはおそらく1280年頃、マオリ文化を打ち立てたポリネシア人と一緒に到着した。

またドブネズミやクマネズミは、17~18世紀にヨーロッパからの入植者と共にやってきた。

人間がこの島に登場してから、どれだけの種のハネナシコオロギが絶滅したのかはわからない。

今日もなお、たくさんの種が絶滅の危機に瀕しているか、またはその個体数を急激に減らしている。

287::||‐ ~ さん
13/06/14 19:49:20.44 FTnXduZY.net
最も組織的な社会

高等シロアリ ( Termitidae )
生息地 アフリカ、アジア、オーストラリア
特徴 複雑な身分制により分業が成り立っている

288::||‐ ~ さん
13/06/14 19:56:44.58 FTnXduZY.net
社会性昆虫と呼ばれるハチ、アリ、シロアリなどは、大きなコロニー ( 集団 ) を形成する。

複雑な巣をつくり、食料を集め子を育てる。

混乱を避けるため、社会性昆虫の暮らしは分業が成り立っている。

巣をつくもの、食料を採取するもの、戦うもの、幼虫の面倒をみるもの、そして卵を生む女王だ。

最大級で、かつ複雑なコロニーを形成しているのは、

南北アメリカ大陸を除いた世界各国に分布している、キノコを栽培するシロアリだ。

大きな巣には、日齢も体長も違う15種類もの仕事を分担するシロアリがすんでいる。

ハチやアリと違って、不完全変態を行うシロアリは卵からかえると同時に脚のある若虫 ( 幼虫 ) となるため、すぐ活動できる。

幼虫は成長するに従い、一定の期間をおいて脱皮し、そのたびに大きくなっていくが、

その過程や大きさも形も、それぞれの役割によって違う。

289::||‐ ~ さん
13/06/14 20:05:07.93 FTnXduZY.net
あるものは幼虫の段階で翅芽 ( しが ) をもっている。

未発達だった翅芽は脱皮ごとに大きくなり、やがて完全な翅となって最終的に成虫になる。

するとオスとメス ( 有翅『ゆうし』)が集団となり、巣から出て交尾をし、新しい巣をつくる。

別のものは生殖に参加しない中性として生まれ、そこからいくつかの道に分かれる。

兵アリは大きな頭に強い大顎、もしくは敵に向けて粘着液を噴出させる口先をもつ。

小さな働きアリは葉や木片をかみ切り、大きな働きアリはそれをキノコの菜園へと運ぶ。

シロアリが最終的にどのように分業するのかは、卵の時期に決まってしまう。

女王は「幼若 ( ようじゃく ) ホルモン」を分泌し、

若虫の翅の成長や体の変化を止めることにより、交尾し繁殖する能力を抑えることができる。

さらに、コロニーの各所でほかの個体が出すフェロモンにより、分業はコントロールされている。

290::||‐ ~ さん
13/06/23 19:57:39.58 0tDWLGOf.net
とんでもなく汚い習慣

オウシュウユリクビナガハムシ ( Lilioceris lilli )
生息地 ユーラシア原産、世界各地
特徴 自分の糞を身にまとう

291::||‐ ~ さん
13/06/23 20:03:28.19 0tDWLGOf.net
ユリの花は鮮やかな色に咲き、葉は輝き美しい。

しかしユリのあるところには必ず害虫がきて、葉を食い散らしては花びらを引き裂く。

オウシュウユリクビナガハムシは、もともとヨーロッパとアジアに生息していたものが、

同じくヨーロッパ、アジア産のユリ科の植物にくっついて世界中に広がってしまった、非常に腹立たしい昆虫だ。

オウシュウユリクビナガハムシは殺虫剤を散布してもものともせずにまた集まってくるため、園芸家泣かせの昆虫だ。

殺虫剤に対する抵抗力の強さは、幼虫のときの変わった生態にある。

しかしそれは、化学物質を手にした人間に抵抗するためではなく、捕食者から我が身を守るために進化させた能力だった。

292::||‐ ~ さん
13/06/23 20:10:42.73 0tDWLGOf.net
オウシュウユリクビナガハムシの幼虫はなめらかで光沢があり、ナメクジのような外見をしている。

ほかの幼虫と同様、葉を食べる口をもっているが、ほかと違っているのは、肛門がちょうど体の真んなか、背中にあることだ。

この変わった位置のおかげでオウシュウユリクビナガハムシは、どろどろとした大量の糞で体をおおうことができる。

ほとんどの昆虫は他の動物と同様、自分の糞に触れることを嫌う。

病原菌があるからだけでなく、べとべとして動きにくいからだ。

293::||‐ ~ さん
13/06/23 20:13:07.67 0tDWLGOf.net
しかしオウシュウユリクビナガハムシの幼虫は、積極的に糞を身にまとう。

この不衛生な習慣は、捕食者や寄生虫などの敵や協力な殺虫剤から身を守るのに2つのメリットがある。

1つは糞という毛布で身をおおい隠せば、敵に見つかりにくくなることだ。

見つかったとしても、敵は食べるのも触るのも避けるだろう。

もう1つのメリットは、殺虫剤のスプレーを体まで届かなくするコーティングとして働くことだ。

オウシュウユリクビナガハムシは温帯地方において、一般的なユリの花の害虫だ。

ほかにも黒い脚のかわりに赤い脚をもつユリクビナガハムシ Lilioceris merdigera がいる。

この昆虫の学名は「私は糞を運ぶ」という意味だ。

294::||‐ ~ さん
13/06/26 19:39:09.88 8hUABKt+.net
大人にならずに死ぬ

ドラニア・アメリカーナのメス ( Dolania americana )
生息地 世界各地
特徴 成虫にもならずに飛び去ってから五分程度で死んでしまう

295::||‐ ~ さん
13/06/26 19:47:51.07 8hUABKt+.net
昆虫の一生は短い、あっというまに年老いてしまうからではなく、ほとんどの昆虫は敵に捕まって食べられてしまうためだ。

もし捕まらなかったとしても、長生きする昆虫はとても珍しい。

しかしどれほど短くても、繁殖機能が働けば次世代に種を残すことができるわけで、その昆虫の一生は全うされたといえるだろう。

あまりに短命なことで知られているのは、カゲロウ目 Ephemeroptera だ。

この目の名前は「短命」とか「一日限りの」を意味する英語を語源としている。

カゲロウは早朝に水面を飛ぶ姿からフライフィッシングの釣り人にはよく知られているが、午後になると見かけなくなるため、

成虫になつと1日しか生きられないのではないかと信じられていた。

もちろん1日ということはないが、非常に短命なことは確かだ。

食べない幼虫として隠れて過ごす時間を含めた寿命は1~2年だ。

幼虫期に盛んに食べて育つカゲロウは、成虫になると非常に弱々しい形となり、口はあるもののまるで機能しない。

成虫は何も食べないのだ。

296::||‐ ~ さん
13/06/26 19:54:08.40 8hUABKt+.net
成虫としてどれだけの時間を生きるのか厳密に測った記録はあまりないが、

いくつかのカゲロウの一生についてはかなり詳しく調べられている。

なかでもドラニア・アメリカーナのメスほど特異な例はないだろう。

カゲロウのなかまは幼虫の最終段階で翅をもち、飛ぶことができるという点で非常にユニークだ。

これを昆虫学者は「亜成虫」と呼んでいる。

亜成虫の時期があるので、カゲロウは成虫になる前に、どこかに飛んでいって隠れ、羽化することができるのだ。

しかしドラニア・アメリカーナのメスは羽化して成虫になることはない。

亜成虫のままで交尾し、水に戻って産卵すると、

弱々しい脚しかもたないため、水際の草にとまって休むこともできずそのまま命尽きてしまう。

亜成虫になってからここまで、たった5分間の出来事なのだ。

297::||‐ ~ さん
13/06/29 01:55:24.24 cY3ukGnC.net
爆発する化学兵器

ホソクビゴミムシのなかま ( Branchinus sp.)
生息地 世界各地
特徴 化学物質を体内で燃焼させて爆発させる

298::||‐ ~ さん
13/06/29 02:10:49.30 cY3ukGnC.net
昆虫は自分を食べようとする敵から狙われている。

そのため、ありとあらゆる構造や生態を進化させ、敵の脅威からのがれようとしてきた。

よく使われる手段は、体液を出して防御するやり方だ。

例えば有毒の血リンパ液や分泌物、排泄物などだ。

ホソクビゴミムシは化学兵器を使い、爆発させることによって身を守る。

腹部の先にある2組の分泌腺で、不安定な過酸化水素とヒドロキノンをつくり、べつべつの貯蔵室に貯めている。

いざというときにはそれらの化学物質を、一方通行の弁から肛門のすぐ内側の反応室に送る。

そこで触媒酵素カタラーゼおよび酸化酵素ペルオキシダーゼと混合する。

すると急激に高温となり、有毒なp-ベンゾキノンは100℃に達したところで沸騰し、ガス状のスプレーとなって噴射される。

有毒スプレーの爆発的な噴射力は、過酸化水素から酸素ガスを放出することによってパワーを得ている。

反応室のなかで圧力が高まり、爆発音と共に虫の後部から反応物質を押し出すのだ。

299::||‐ ~ さん
13/06/29 02:21:17.12 cY3ukGnC.net
「爆撃手の虫」という意味の戦闘的な英名は、この爆発作用からつけられた。

刺激の強い化学物質は、腹部先端にある前にも後ろにも自由自在に動く噴射孔は、脚の下からでも狙うことができる。

もし噴射孔を的確な方向に向けられないときは、噴射孔開口部のすぐ後ろにある2つの小さな反射板に噴射し、跳ね返らせることもできる。

ホソクビゴミムシはこの有毒スプレーを、主にアリに対して使う。

実験室では、すばらしい精度でアリの脚に熱いp-ベンゾキノンを命中させることができた。

アリに攻撃されたときは、自分の脚に食らいつく大顎をめがけて発射する。

1回で足りなければ、およそ20回までは噴射できる。

逃げるだけの時間はかせげるだろう。

300::||‐ ~ さん
13/08/05 NY:AN:NY.AN WMUlWp9h.net
最も長い精子

ドゥロソフィラ・ビフルカ ( Drosophila bifurca )
生息地 北アメリカ
特徴 体長の20倍も長い精子をつくる

301::||‐ ~ さん
13/08/05 NY:AN:NY.AN WMUlWp9h.net
ほ乳類を除くと、ふつうメスは比較的大きめの卵を少し産み、オスは驚異的な数の精子を生み出す。

このことにより、オスとメスのあいだで利害が衝突する。

オスはできるだけ多くのメスと交尾しようとし、メスはできるだけよい子孫を残すため、相手を選ぶようになる。

通常は何百万個という小さな精子が一個の卵細胞をめぐって争うため、

昆虫学者がほんの数個の巨大な精子を作り出す昆虫を発見したときは、とても信じられなかった。

ショウジョウバエの一種であるドゥロソフィラ・ビフルカは、同属の別種たちと同じく体長は2~3mmだが、

精子は全長が58mm以上もある。

長いムチ状の尾がついた精子で、毛糸玉のように巻かれているのだ。

メスの卵細胞1個に対し、オスは精巣(やはり体長と比較すると大きい)のなかに6個の精子しかつくらない。

302::||‐ ~ さん
13/08/05 NY:AN:NY.AN WMUlWp9h.net
なぜこのような珍しい生態を進化させたのだろうか。

メスの生殖管は、すべての精子が容易に進めるような平穏な道ではない。

そこには身体的、化学的な障害物があり、最高の精子だけが進み、卵細胞に到達するようにできている。

最高の精子とは、ほとんどの生命体にとって最も強く、最も速く、最も忍耐強い精子のことだ。

ドゥロソフィラ・ビフルカのメスの生殖器官は、その長大な精子よりも若干長く、

まるで中空のバネのように腹部のなかで巻かれている。

最も長い精子だけがそこを通り抜けることができる。

より優れた精子を迎えるために複雑さを極めようとするメスの生殖器官と、

苦難の道をその長さで乗り越えようとする精子の果てしのない競争が、

このショウジョウバエにどのような利益をもたらしているのか、それは疑問だ。

もしかしたら最も栄養状態のいい最高に有能なオスだけが、長い精子をつくり出せるのかもしれない。

受精がうまくいくとしたら、それは優れた能力を反映しているということになるからだ。

303::||‐ ~ さん
13/09/05 03:09:45.74 /hJYMrFo.net
1ヶ月経過・・・ けっこう楽しみに見てたのに残念。

304::||‐ ~ さん
13/09/18 04:43:33.03 eXMDoN/l.net
がっかり

305::||‐ ~ さん
13/11/04 18:20:55.59 gP3S8zLU.net
保守

306::||‐ ~ さん
13/12/28 23:35:12.08 fHUASSsj.net
保守どうも。
再開します。

307::||‐ ~ さん
13/12/28 23:36:04.00 fHUASSsj.net
 
巨大な寄生昆虫

コウモリヤドリハサミムシのなかま( Arixenia sp. や Xeniaria sp.など )
生息地 東南アジア
特徴 小さなコウモリに生息する大きな寄生虫 

308::||‐ ~ さん
13/12/28 23:37:12.57 fHUASSsj.net
 
たいていのほ乳類と鳥は、その巣や毛や羽根、ときには皮膚の下に寄生虫がもぐり込んでいる。

ノミ、シラミ、吸虫類、ダニなど、それらはすべて小さくやっかいだが、寄主にさほど重大なダメージを与えるわけではない。

たとえ寄主が感染症や病気にかかりやすかったとしても、基本的には通常の生活を送ることができる。

しかしインドからマレーシア、フィリピンの洞窟に生息する、体毛のないハダカオヒキコウモリのなかまは、

その小さな体の表面を這いまわるコウモリヤドリハサミムシと戦わなくてはならない。

ふつうハサミムシのなかまは、脅威を感じたときに振りまわしたり、

繊細な後翅を短い前翅の下にたたみ込んだりするときに使う腹端のハサミから簡単に判別できる。

ところがコウモリヤドリハサミムシは、丈夫な長い脚をもつ一方で、複眼は小さく退化し、翅もなく、腹端にあるハサミは短くて、ものを挟むこともできない。

それでも不都合はない。

寄主の体から離れるとしても、洞窟の壁面や古木のうろなどを徘徊する程度であり、生涯ねぐらの外へは出ないからだ。

309::||‐ ~ さん
13/12/28 23:38:24.14 fHUASSsj.net
 
ハダカオヒキコウモリ属の体長は145mm以下であり、20mmほどのヤドリハサミムシがこの体につかまっているのは、

まるで人間の背中にロブスターが住んでいるようなものだ。

にもかかわらず、あるときは1匹のコウモリに12匹のヤドリハサミムシがついていたこともあった。

コウモリヤドリハサミムシはほ乳類に寄生するほかの昆虫のように、血液を吸ったり肉を食べたりはしない。

代わりにいただくのは皮膚腺からの分泌物や、代謝で剥がれた皮膚の薄片だ。

コウモリの糞や死んだ虫なども食べる。

また、寄主がねぐらで休んでいるときは活発に体を走りまわり、飛んでいるときは、頑丈な爪でしっかりとつかまっている。

好きなときに寄主を離れ、洞窟のなかを探検するのも、ほかの寄生虫と違うところだ。

しかし単なる洞窟の清掃動物ではない。

進化により、完全に密接なコウモリとの関係を築いたのだ。

コウモリヤドリハサミムシのそれぞれの種は、寄生するコウモリの種が1種類だけに決まっている点も、その緊密な関係を示している。

310::||‐ ~ さん
13/12/29 15:50:21.92 6hDjvhjr.net
再開

311::||‐ ~ さん
13/12/29 19:53:53.95 Z5sNgc+d.net
 
熱にめっぽう強い

サハラサバクアリ ( Cataglyphis bicolor )
生息地 北アフリカ・サハラ砂漠
特徴 ほかの生物が日陰に避難するような猛烈な暑さのなかで食料を探す

312::||‐ ~ さん
13/12/29 19:55:08.01 Z5sNgc+d.net
 
昆虫は自分の体温を調節することができないため、取り巻く環境の気温に合わせて生きている。

寒いときにはガス交換や栄養の代謝、神経の伝達機能、筋肉の収縮メカニズムがにぶくなるため、体の動きも遅くなる。

しかし気温が上がれば、またすぐもとに戻る。

寒さよりも問題なのは熱のほうだ。

加熱されると水分が失われ、乾燥するだけでなく、タンパク質や体内の化学物質が取り返しのつかないほど変性し、死んでしまう。

それなのに、地球上で最も暑い場所の最も暑い時間帯に食物を探すこのアリは、いったいどういうつもりなのだろうか。

サハラサバクアリは地温が56℃になると巣穴から出てくる。もちろんほかに生物は見当たらない。

そして数分のあいだかけずりまわると、また巣穴に戻っていく。

たとえ地温が60℃と危険なまでに上昇しても、サハラサバクアリの体温はそこまで上がらない。

長い脚で、体を地面から4mmも離しているのだ。

313::||‐ ~ さん
13/12/29 19:55:47.80 Z5sNgc+d.net
 
4mmという距離は極めて重大で、このあいだを空気が通ると、地温よりも6~7℃も下がる。

またサハラサバクアリは、昆虫としては非常に速い秒速1mで走るが、その際に起きる風も体を冷やすのに一役買っている。

ただし体の中心部分が55℃に達するとサハラサバクアリといえども死んでしまうので、長居は禁物だ。

食物探しをこのようなスタイルに進化させたのには理由がある。

砂漠に誰もいないということは、すなわち競争相手も敵もいないということだ。

砂漠にすむトカゲがサハラサバクアリにとっていちばんの敵だが、太陽が出ているあいだは、このような動物さえ日陰に隠れて活動しない。

サハラサバクアリは何を食べているのか。

答えは猛烈な暑さで死んでしまった昆虫だ。

314::||‐ ~ さん
14/01/05 04:15:51.24 mBM5RCBA.net
 
神出鬼没の幼虫

ノミバエのなかま ( Phoridae )
生息地 世界各地
特徴 幼虫時、ほかのどの動物よりも多様な場所に生息する

315::||‐ ~ さん
14/01/05 04:16:55.13 mBM5RCBA.net
 
ノミバエは英名「ちょこちょこ走るハエ」が示すように、せわしなく走りまわる習性をもつ。

体長は大きくても6mm、ふつうはほんの2mmしかない。頑丈で少し猫背の体型をしており、短く丸い翅をもっている。

知られているだけで3000種がいるが、みんなよく似ており、あまり研究されていないため、同定して命名するのは専門家にも難儀な仕事だ。

ノミバエの生涯は、じつはどの昆虫と比べても、非常に変化に富んでいる。

ノミバエは「棺のハエ」とも呼ばれている。

ノミバエのうち数種が死肉に卵を産み、繁殖するからだ。

地中深く埋められた棺のなかで、何百世代も生きてきたと思われるハエが見つかっている。

ほかにも、じつにさまざまな腐った有機物に産卵する。

316::||‐ ~ さん
14/01/05 04:19:25.39 mBM5RCBA.net
 
ほ乳類や鳥、カタツムリなどの死骸、昆虫の糞、ハチやアリやシロアリの巣のごみ、腐りかけの菌類、毒キノコ、枯れ葉、弱った植物の茎のなかなどだ。

いくつかの種は、葉の内部に筋のような巣を掘ることも確認されている。

しかしそれはほかの昆虫が掘った巣を使っているのかもしれない。

種子、花、葉、茎、穀物、果物などを食べているところも見つかっている。

ハナバチの巣のなかに卵をうまく隠すものも数種いる。

巣のなかにハナバチが貯蔵した栄養のある食物を探し出し、そこに卵を産むのだ。

ここで生まれたノミバエの幼虫は、寄主が集めた花粉や果汁などを横取りすることができる。

またカリバチの巣に産卵し、カリバチが自分の子のために集めたクモや昆虫の死骸を食べる種もいる。

多くのノミバエは捕食寄生者でほかの昆虫 ( 甲虫、ハエ、アブラムシ、ゴキブリ、ハチ、アリ、カリバチ、シロアリ、ガ、キリギリス、バッタ など ) や

ミミズ、カタツムリ、ナメクジ、クモ、ムカデ、ヤスデ、などの体内に寄生する。

カエルの卵、人間の傷口、家畜などに寄生するものも何種かいる。

粘菌や鳥の巣、モグラのトンネルなどにすんでいるノミバエの幼虫も見つかっている。

さらに、ノミバエが生息するのは自然のなかだけではない。

思いもよらない人工的な場所、例えばアルコール漬けの蛇の標本、ビーツのピクルス、靴磨きのクリーム、そして青色のペンキなど、

これらはすべてノミバエのすみかとなる。

このようにノミバエの幼虫はほかに類を見ないほど、さまざまな場所で見つけられる。

317::||‐ ~ さん
14/01/05 10:24:03.41 sX8pzY3a.net
隔離された場所で羽化したノミバエは
現場だけで世代交代を繰り返すのか?

318::||‐ ~ さん
14/01/05 23:47:03.95 mBM5RCBA.net
一応翅あるから余所に飛んで行くこともあるんじゃないかな
ウジの雑食性に依拠して、巣を作らないという生物的戦略を取ったわけだから
何かの気まぐれで別の場所に移ることもあるでしょ

319::||‐ ~ さん
14/01/05 23:48:14.14 mBM5RCBA.net
 
脚がなくなりウジムシに逆戻り

コウモリバエのなかま ( Streblidae )
生息地 南アメリカ熱帯地方、アフリカ、アジア、オーストラリア
特徴 成虫の翅や脚が失われ、ウジムシに変身する

320::||‐ ~ さん
14/01/05 23:49:22.14 mBM5RCBA.net
 
幼虫から成虫に変わる昆虫の変態は、自然界の不思議といえる。

昆虫たちは幼虫期にはどこかに隠れ、危険を避けながら、栄養をとって成長する。

成虫になると多くは翅をもち、自由に動けるようになって交尾し、産卵する。

成長を2段階に分けるということは、環境の変化に対して2とおりの対応を可能にすることであり、昆虫が地球上で未曾有の繁栄を誇っている主な理由だろう。

しかし奇妙に曲がった翅に長い脚をもつ昆虫、コウモリバエの場合は違う。

一般的な昆虫のたどる変態の過程が逆転しているのだ。

空飛ぶほ乳類であるコウモリには、たくさんの吸血性寄生虫が寄生している。

なかでもコウモリバエ科の昆虫はコウモリにしか寄生せず、その寄主と非常に強い関係性を築く。

321::||‐ ~ さん
14/01/05 23:51:03.59 mBM5RCBA.net
 
さなぎから羽化したコウモリバエは、コウモリが巣にしている洞窟や木のうろの床で相手を見つけて交尾する。

オスはすぐに死んでしまうが、交尾を済ませたメスはただちにコウモリの体表にとまり、翅と脚を脱ぎ捨てて、コウモリの皮膚にもぐり込む。

そして、東部・胸部・腹部に分かれているという成虫としての体の特徴を捨て去り、名実共にウジムシとなる。

まるで成虫から幼虫へと、一般的な昆虫の変態を逆行するかのようだ。

コウモリバエの腹の先端には呼吸用の孔と生殖器の孔があり、この部分はこコウモリの皮膚から出しておく。

メスは寄主から吸った血液を、ほ乳類でいうと子宮にあたる器官にいる幼虫に与えて、残りの生涯を過ごす。

幼虫は完全に大きくなるまで外に出ることはできない。

そして十分に成長し、コウモリのねぐらの地面に落ちると、すぐにさなぎになるのだ。

322::||‐ ~ さん
14/01/08 12:26:38.11 Aj3c1jq4.net
動物の中でコウモリは
寄生虫の宿主だけでなく
エボラなどのヤバい感染症ウィルスの自然宿主になる事が多いが
理由はなんだろうな

323::||‐ ~ さん
14/01/08 19:26:57.93 Aj3c1jq4.net
コウモリは特別に思える

324::||‐ ~ さん
14/01/09 03:00:46.87 Z5yTYmx8.net
>>322
日の光を浴びないからかな

何のデータも無しに単なる直感で言ってるだけですが

325::||‐ ~ さん
14/01/09 03:01:46.33 Z5yTYmx8.net
 
気が遠くなるほど長い子供時代

アメリカアカヘリタマムシ ( Buprestis aurulenta )
生息地 北アメリカから全世界へ広がった
特徴 ゆっくり成長するため、50年も幼虫のままでいる

326::||‐ ~ さん
14/01/09 03:02:58.07 Z5yTYmx8.net
 
ほとんどの幼虫の時間は、食べて成長することに費やされる。

しかし遅かれ早かれ非常に重大な決断を下さなくてはならない。

いつ成虫になるか。

短く気楽な生涯を送る昆虫なら、答えは簡単かもしれない。

育つだけ育ったら、あとはさなぎになって成虫に変わるだけだ。

それに比べて大きな昆虫は、難しい決断を迫られる。

通常、幼虫期は数年にわたる。

特に枯れ木を食べる幼虫は栄養が乏しいことから、成長するのに時間がかかるが、その期間が長ければ長いほど危険にさらされることになる。

敵に見つかりやすくなり、食べられてしまうか、冬の寒さで死んでしまう可能性が高くなるからだ。

反対に変態が早すぎると栄養不足で体が小さくなり、縄張りや交尾や産卵場所などの争いで、ライバルに負けてしまうかもしれない。

327::||‐ ~ さん
14/01/09 03:05:25.68 Z5yTYmx8.net
 
栄養不足をのがれるために、長い幼虫期を過ごす昆虫もいる。

究極の例はアメリカアカヘリタマムシだ。

彼らはまず弱ったり枯れたりしている針葉樹に卵を産む。

幼虫は木の皮に穴を開け、木の中心へと入り込んでいく。

通常は幼虫になるまでの機関は2~4年だが、ひとまとまりの卵のなかには常に15~20年かけるものがいくつか出てくる。

まるでアメリカアカヘリタマムシが、成虫になるのを早いものと遅いものに故意に分け、リスク分散をしているようだ。

これまでの幼虫期最長記録保持者は、カナダのブリティッシュコロンビア州で建物の材木をヤスリで磨いていて発見された2匹の幼虫だ。

なんと51年間も静かに木をかじっていたという。

そしてその時点でもまだ大きくなりきっていなかった。

328::||‐ ~ さん
14/01/09 11:00:03.22 Z5yTYmx8.net
 
最高のジャンパー

ホソアワフキ ( Philaenus spumarius )
生息地 ヨーロッパ、アジア北部、北アメリカ
特徴 体長の100倍の高さまでジャンプできる

329::||‐ ~ さん
14/01/09 11:00:56.25 Z5yTYmx8.net
 
攻撃を受けた昆虫の典型的な反応は、大あわてで逃げることだ。

翅を広げて飛び立つことが多いが、いくつかの種にとってはジャンプするほうが速く、確実なようだ。

バッタやノミ、コメツキムシはみな優秀なジャンパーだが、何といってもチャンピオンはホソアワフキだろう。

小さくて無愛想な顔をしたホソアワフキは幼虫期に、粘液の排泄物をかきまぜて泡をつくり、

カッコウの名誉を傷つけかねない「カッコウの唾」と呼ばれる巣をつくることで知られている。

体長は6~7mmだが、1回のジャンプでその体長の100倍もの高さまで跳ぶことができる。

速度は秒速4m ( 時速14.4km ) であり、1000分の1秒のあいだに加速度は400G ( 地上の重力の400倍 ) に達する。

ちなみに宇宙飛行士がロケット発射時に感じる加速度は5Gだ。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch