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中国アプリ制限へ法整備 TikTokなど念頭 自民提言へ
経済安保政策を追う
2020年7月28日
URLリンク(r.nikkei.com)
8月にも中国企業が開発したアプリの利用を制限するよう政府に促す提言をまとめる。
経済安全保障を強化する一環で、規制に必要な法改正などの工程表を法律で定めるよう求める。
中国との対立が深まる米国と連携するために必要な措置と位置づける。
自民党のルール形成戦略議員連盟は28日の会合に有識者を招き、中国アプリの利用制限に関する議論を始めた。
若者の利用が多い動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などを念頭に置く。
同アプリはポンペオ米国務長官が「利用すると個人情報が中国共産党に渡りかねない」と情報流出に懸念を示した。
中国と国境紛争を抱えるインドはすでに6月に使用禁止を表明した。
議連は国際社会の動きと歩調を合わせた対応を政府に呼びかける。
電気通信事業法などにアプリ利用に際して経済安保上のリスクを考慮する必要性を明記する案がある。TikTokの利用者は日本で1千万人以上とみられる。
まず規制に必要な法改正の一覧や国会提出の時期を明記した法律を制定するよう提案する。
財政再建や社会保障制度改革など中長期的な課題に取り組む際に使う「プログラム法」と呼ばれる手法だ。
提言はこの「プログラム法」にアプリ規制以外の経済安保政策も書き込むよう訴える。
たとえば身辺調査で情報漏洩の恐れがないと認定された人物しか重要情報を見ることができないようにする「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」制度の導入を提唱する。
米国や欧州連合(EU)は軍事に関わる先端技術など機微な情報を扱う担当者をSC制度に基づいて絞り込む。
公的機関だけでなく民間企業にも適用している。
日本は外交や防衛などに関する秘匿性の高い情報を漏洩した人に厳罰を科す特定秘密保護法を2014年に施行したものの、民間の企業や研究機関、大学が持っている情報は対象とならない。
安全保障に関わる情報は人工知能(AI)や量子など幅広い技術分野に広がった。
民間が持つ情報の重要性は以前より高い。
「日本の政府と企業がSC制度を導入しないと国際的な共同研究や人材交流で米欧の連携から外されるリスクがある」と警鐘を鳴らす。
特許出願技術の閲覧規制についても導入の必要性を呼びかける。
特許出願した技術は原則、1年半後に公開される。
海外からも閲覧可能になるため、軍事に転用できる技術などは非公開にする「秘密特許」制度の採用を要求する。
自民党が経済安保政策を急ぐ背景には米中対立の深まりがある。
米国を中心に中国への依存が大きい従来のサプライチェーンをやめ、友好国との間で再構築する動きがある。
ポンペオ氏は23日の演説で「新たな民主主義国家の同盟を構築する時だ」と強調した。
米国は機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」と呼ばれる枠組みを重視する。
米国と英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの5カ国を指す。
日本がこれらの国と連携するには情報漏洩が起きないと信用される体制が欠かせない。
中国アプリの利用規制やSC制度の導入はそのための条件となり得る。
自民党には機密保持の体制を整えられなければ、米中対立による国際社会のデカップリング(分断)の流れに取り残されるとの危機感が強い。
自民党の意向を受け、政府は17日に閣議決定した骨太の方針に初めて「経済安全保障」の言葉を盛り込んだ。
「価値観を共有する国々との物資の融通のための経済安全保障のルールづくりを進める」と明記した。
日本はこれまで経済や環境など中国と協力可能な分野の連携には積極的だった。
最大の貿易相手国である中国市場から一足飛びに離れるのは難しいとの指摘がある。
当面は国際社会の分断を踏まえた上で中国と一定の関係を維持しつつ、米国が主導する枠組みと協力を深めるための環境整備に取り組む時期となる。