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武蔵小杉の「浸水した高級タワマン」を、売るに売れない30代男性の苦悩
URLリンク(news.yahoo.co.jp)
「どうしたら売れるでしょうか…?」
マンションというのは、買うよりも売る方が難しい。これはマンション業界に関わる人間たちにとっては半ば常識だ。しかし、一般の方々(我々業界人は「エンド」と呼ぶ。「エンドユーザーの略」)は、そのことをまず知らない。
先日、私の事務所にマンション売却の相談に見えたエンドさんがいた。30代後半と思しきカップルである。
「どうしたら以前のような価格で売れるでしょうか?」
そのエンド男性は、かなり深刻な様子である。
彼が相談を持ち込んだマンションは、昨年(2019年)10月に台風19号が日本を襲った時に、内水氾濫で地下3階の電気室が冠水。建物全体に電力が供給できなくなったことで、エレベーターはもちろんトイレも使えなくなった神奈川県川崎市は武蔵小杉のタワマンである。
「あの物件ですか…」
私は内心、「困ったなあ」と思った。
取材で現地に殺到した各メディアは、情報を求めて右往左往した。公開空地になっているそのマンションの敷地内に入っただけで、居住者の誰かに「入ってくるな!」と怒鳴られた記者もいた。
そのおかげで、「武蔵小杉」という街と「トイレが使えないタワマン」のことは多くの人が知るところとなってしまった。
台風の後、売買がまったく成立しなかった…
35年返済の「ペアローン」(詳しくは後述)で、5年前に購入したものだとおっしゃる。ということは、お連れの女性は奥さんではなく…後で分かったことだが、別居後にお付き合いを始めた方だった。彼女もどこか不安そうな表情だった。
「おいくらでお買いになったのですか?」
男性から聞いた額は、新築時よりも15%ほど値上がりした水準だった。
「それでも、あの台風の前だったらさらに1割ほど上乗せして売れましたね
「ご存じかもしれませんが、あの台風以後約10か月ほど、このマンションの売買が成約した事例がまったく登録されていませんでした。この8月にやっと2件、9月にも1件が登録されました」
その最近の3件の成約事例を見ると、いずれも台風前より1割程度は下落してい