16/01/15 20:01:20.61 beX0X8Vq0.net
伝わらなければ0点
―「書き方」の面で工夫されていることはありますか?
どんなにアカデミズムにおいて100点の中身のものを書いても、伝わらなければジャーナリズムにおいては0点ですよね。世の中に発信する際には、ジャーナリズムにおいて評価されるものを書かなければいけないので、アカデミックなものを削ぎ落として、
端的にわかりやすい分量で書かなければいけないと思っています。でもそのスキルをトレーニングする機会が研究者にはなくて。研究者の書き手の発信力をどう育てるかという面では、「Yahoo!ニュース 個人」にとっても課題かもしれないですね。
本業のジャーナリストやライターの皆さんは情報発信の「タイミング」についても、いつも考えていると思いますが、一方で研究者は、学会の権威ある雑誌が出るのは1年に1~2本だったりするように、情報発信のスパンが年単位なんですね。
なのでリアルタイムで情報発信しようという感覚が薄い人が多い。新しい話題がニュースで報じられたときに、それに合わせて、持っている知識を出せばそれで世の中が変わっていく、という感覚を研究者にも持ってもらいたいです。
「金髪」を続ける理由
授賞式でスピーチを行う内田さん(12月1日)
―ところで内田さんといえば、「金髪」がトレードマークですよね。
金髪にしたのは2年位前で、それ以前は茶髪だったり、赤い髪のときもありました。でも実は私、目立つのは好きじゃないんです(笑)。説得力ないかもしれませんが(笑)。
―では、なぜ金髪を続けるのでしょうか?
世の中は言論で勝負するべきであって、見た目や、女だから男だからといった属性で区別したり判断するべきではないと思っています。そういった意味を込めて、あえて金髪にしています。大人って、こういう金髪、大嫌いですよね。
「態度なってない」と。学校でやんちゃ坊主が先生にどれだけ正論をいっても、見た目を理由に「おまえのいうことなんて聞かない」という状況は非常に危機的だと思います。
だから金髪のことを批判されれば批判されるほど、「こういうことをいう人たちがいる限り、僕は(金髪を)続けないといけない」と思っています。
普遍的な話題を、どう継続的に発信していくか
約2年前、オーサーになった当初は「自分はライターではないですし、記事を書こうという実感がなかなかわかなかった」という内田さん。
本格的に記事を投稿するモチベーションがわいたきっかけは「Yahoo!ニュース 個人」編集担当・竹野雅人(写真左)と「書く側のオーサー、届ける側の編集者、それぞれ手法は違うが言論で社会の課題を解決したいという思いは同じ」と意気投合したことがきっかけだった、
と振り返りました。
―ご自身の執筆活動において、抱えている課題があれば教えてください。
問題を「継続的にどう発信していくか」が、私にとっては大きな課題です。例えば組体操問題は、年に2回の運動会シーズンの盛り上がりのタイミングもありましたし、新たな動きが次々と出てきたので継続的に情報発信することができたんですね。
でも、例えば部活動の負荷問題は組体操よりも大きな規模で、さらにずっと続いている問題にも関わらず、「忙しい」の一言で、言いたいことは終わってしまうわけです。そうした長期的・普遍的な話題をどういう切り口で継続的に発信し、
更新サイクルの早いYahoo!ニュースの世界でどう勝負するか、というのは一番の課題ですね。同じことを言い続けることって大事ですが、一方ですごく難しいことだと思います。
―それは、私たちにとっての課題でもあるかもしれません。私たちもオーサーの方々とのコミュニケーションを通じて、そうした課題に一緒に向き合っていかなければいけないと感じました。