16/01/15 19:59:51.57 beX0X8Vq0.net
k
2015.12.28
中身が100点でも、伝わらなければ0点―巨大組体操問題の火付け役が語る、 研究者が“伝える”必要性
URLリンク(staffblog.news.yahoo.co.jp)
「10段人間ピラミッドの1人あたり負荷は200kg超」「運動会の組体操は是か非か」―。今年、さまざまなメディアでこうした話題を目にした、という方もおられるのではないでしょうか。
今では広く知られるようになった組体操問題ですが、そのきっかけは、ある一つの記事でした。
記事を書いたのは名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授の内田良さん。組体操に限らず、
「2分の1成人式」や部活動の負担問題など、教育現場における課題を継続的に発信する活動が評価され、今月には「Yahoo!ニュース 個人」オーサーアワード2015を受賞しました。内田さんがインターネットにおける言論活動にかける思いとは―。
「Yahoo!ニュース 個人」編集担当と当ブログのスタッフがお話を聞きました。
12月1日のオーサーアワード2015授賞式の様子(写真左。右は社長の宮坂学)
きっかけはツイッターへの情報提供
―内田さんは教育現場におけるさまざまな課題について警鐘を鳴らしておられますが、特に巨大組体操問題はマスメディアでの報道や、行政の動きにも波及しました。組体操問題を発信するようになったきっかけは?
組体操問題について最初に発信したのは、2014年5月19日の記事でした。それまでも組体操問題については全く知らないわけではなかったのですが、本格的に調べたことはなかったんです。
その記事を出す数日前、組体操の危険性を指摘する声がたまたま複数同時に私のツイッターに寄せられて、ネットで動画を探して10段ピラミッドを見て「なんじゃこりゃ」と……衝撃を受けました。そこで初めて問題意識がわき上がってきて。
「ちょうど運動会シーズンなので、今訴えればかなり広がるのでは」と思い、大急ぎでデータ集めにとりかかりました。
エビデンスを集めてみたら「これはおかしい」といえる状況が次から次へとでてきたので、自信を持って出せると判断し、「緊急提言」という形で記事を公開しました。
―組体操問題と出会って、執筆活動においてご自身の中で何か変化はありましたか?
「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーになった当初は、柔道事故問題といった、「私以外の研究者には書けない完全オリジナルの話題」しか書いていなかったんです。
でも組体操問題を発信し始めたあたりから、教育現場における幅広い専門家としてやれることをやっていくんだ、という風に意識が変わりました。
組体操問題だって、何人かの方がブログで個人的には書いていました。そして、部活動での教員や子どもの負担については、われわれ研究者の間ではこれまでも言われていたことなんです。
研究者って、自分の完全オリジナルなことしか発表してはいけないと過度に思われている節がある。「学会のなかではよく知られている、大学の授業ではよく言われていることを、内田良の名前を使ってYahoo!ニュースで堂々と話すなんてとんでもない」と。
同じ研究者から「俺はこんなこと30年前から気付いているよ、内田は今更何言っているんだ」と言われることもあります。そういう声に対して私は「誰が先に言っているかではなく、問題提起に向けて一緒に協力していきましょう」と伝えたいです。
アカデミックな世界の中では当たり前でも、世の中には伝わっていないことってたくさんあるんです。だからそこに光を当てて、伝わりやすい形にして、あえて書く必要もあると考えています。