22/08/15 05:09:38.84 40U1UyBX0.net
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『うさぎさーん、待ってやー!』
寝室を出たピキは薄暗い廊下を駆け、うさぎを追いかけていくつかの扉をくぐり、最後に大きな扉を開けると…
そこは夜の野外運動場でした。
『いつものお庭や。えーっと、うさぎさーん、どこ行ったん?』
昼間の暑さが嘘のような、涼しい夜風が野外運動場の芝生に吹いています。
月の光が優しく照らす草むらに、少し気の早い鈴虫の声がリーンリーンと響きました。
『こちらですよ。さぁ、ここからパーティ会場にまいりましょう』
声がした方を見ると、お庭の端の木の根本で、うさぎが手招きしていました。
そこはピキが小さい頃、よく涼しい木陰でお母さんの良浜とじゃれあった思い出の木です。
その木の下でうさぎはそう言ったかと思うと、ひょい、と姿が消えました。
『あれっ、うさぎさん? どこ消えたんやろ…って、この木の根本にこんな穴が開いてたっけ