22/07/17 05:36:47 3pV4/xGw0.net
>>61
タイトルなし:22話
「シャンちゃんストップストーップ!」
がしっ!
「いやああんパパ!はなちてくだしゃいい!」
「だーめ!こんなに混んでちゃ園内でも迷子になります!」
「こまさちゃんをむかえにいきましゅうう!」
「小雅ちゃんは来てくれるから!おとなしく待ちなさい!」
シャンシャンの浴衣は襟も裾も開いて、すっかり着崩れてしまいました。
「ほら、こっち向いてごらん」
リーさんはシャンシャンの浴衣の帯を緩めて、着崩れを直しにかかります。
おはしょりで丈を調節しているので、帯を締め直すだけではだめなのです。
「はいシャンちゃん、まわれ右して」
「あい…」
シャンシャンがくるりと向きを変えた、その時でした。
「あ!」
「ん?」
集まっている動物たちの合間から、黒い耳がぴょこぴょこ見え隠れします。
もう少しだ頑張れ、などの声援が聞こえます。まるでマラソンの沿道です。
動物たちが、さあっと道を開けました。こちらへ誰かが走って来ます。
「こまさちゃんでしゅ!」
「あっ待ちなさい!」
シャンシャンは走り出しました。リーさんの手には、帯と腰紐が残りました。
「シャンちゃん!シャンちゃーん!」
「こまさちゃあああああん!」
わずか4日ぶりの再会ですが、もう周囲の歓声も拍手も聞こえません。
体当たりするかの勢いで互いに飛びついて、かたく抱きしめあいます。
「シャンちゃんごめんね!ふええええん!」
「こまさちゃんごめんなしゃい!びええええん!」
双子をエゾヒグマの双子へ預けて、シンコさんが外へ出てきました。
織姫と彦星のような子どもたちの向こうに、小雅ちゃんの母ちゃんがいます。
ふたりの母は同時に両手をあげて、笑顔で同じサインを送りました。
まる!