22/07/16 08:50:47 VqxcFatQ0.net
>>54
タイトルなし:21話
小雅ちゃんと母ちゃんが橋を渡り始めた時、上空から声が聞こえました。
「あれ?小雅ちゃん?」
声の主はスマートに舞い降りて、小雅ちゃんを見つめて小首を傾げます。
小雅ちゃんも、相手の長い睫毛と長い足に見覚えがあるような気がします。
「はい、小雅です…?」
「そうだよね、コトちゃんのところへ遊びに来ていた小雅ちゃんだ」
「あ!パックンチョくん!」
相手は東武動物公園から最近お引っ越ししてきた、ヘビクイワシでした。
小雅ちゃんと同い年で、何度か楽しくおしゃべりをしたことがあります。
「パンダのもりへ行くの?」
「そうなの、でもなかなか進めなくて」
「そうかあ」
パックンチョくんは長い足でタンっと地面を蹴り、再び舞い上がりました。
そして橋の上を大きく旋回しながら、橋の上の動物たちに呼びかけました。
「みんな!あのパンダさんたちを先に行かせてあげてくれないかな!」
動物たちは一斉に振り返り、視線が小雅ちゃんと母ちゃんに集まりました。
シャンシャンの友だちだ!珍々軒の店員さんだ!などと声が聞こえてきます。
動物たちが続々と橋の端へと体を寄せ合い、小雅ちゃんを優先してくれます。
パックンチョくんはバチンとウィンクして、一足先に西園へ飛んで行きました。
「ありがとうパックンチョくん!皆さんもありがとうございます!」
小雅ちゃんはぺこりとおじぎして、浴衣の裾に気をつけつつ駆けだしました。