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シーズンを通してみればバントや盗塁、ヒットエンドランの成功率は低く、
自滅行為---。大リーグの常識を覆したのは、野球の素人たちが持ち込
んだ統計学的手法だった▶セイバーメトリクスと呼ばれ、蓄積された大量
の数値をコンピューターで解析する。戦術や選手の評価の指標を否定され、
現場の監督やスカウトは猛反発した。その潮目は2000年に変わった。
貧乏球団のアスレチックスが新しい指標で低年俸の選手を集め優勝争いの
常連となったからだ。▶最近は軍事用レーダーと高性能カメラの仕組みを
全球場で導入し、データを利用できるよう公開している。興味深い一般の
を吸い上げる仕組みだ。投手なら球の速度や回転数、軌道の変化をチェッ
クできる。技術の上達に加え、投げ込みに頼らない効率的な練習やケガ防
止の研究も可能だ▶同じ取り組みは国内でも進む。データスタジアム社(
東京)は契約した球団に独自の指標で分析したデータを提供する。かつて
どんぶり勘定だった選手の評価や年俸交渉に活用されている▶金沢慧さん
(33)はそんなアナリストの一人だ。野球は高校まで。大学は経済学部
で統計を学んだ。アルバイトで野球のコラムを書いた。野球と統計分析、
伝える力。「一つの分野では平凡でも、異なる領域を三つ持てば活躍でき
る」。そう考えたという▶セイバーメトリクスを推進したのも、野球の専
門家ではなかった。ビッグデータの大海原では、多様な人材が活躍する。
そこが面白い。
セイバーメトリクスとは、野球ライターで野球史研究家・野球統計の専門
家でもあるビル・ジェームズによって1970年代に提唱されたもので、
アメリカ野球学会の略称SABRと測定基準を組み合わせた造語である。
ジム・アルバート、ジェイ・ベネットが著した『メジャーリーグの数理科
学』はセイバーメトリクスについてわかりやすく解説している。
野球には、様々な価値基準・指標が存在するが、セイバーメトリクスでは
これらの重要性を数値から客観的に分析した。それによって野球における
采配に統計学的根拠を与えようとした。しかし、それは野球を知っている
ものならば「常識」であるはずのバント・盗塁の効力を否定するなど、し
ばしば野球の従来の伝統的価値観を覆すものであると同時に、ジェームズ
自身が本格的に野球をプレーした経験が無く、無名のライターに過ぎなか
ったこともあって当初は批判的に扱われた。この理論が一般的に知られる
ようになった現在でも「野球はデータではなく人間がプレーするもの」と
いう信念を持つ人々からは歓迎されていない風潮がある。一方メジャーリ
ーグは、公式記録にセイバーメトリクスに基づく指標を複数使用している。
その他、アメリカの主要なスポーツメディアが、セイバーメトリクスの各
種の指標を選手成績として公表している。
これは将棋や碁でもまったく同じで、最初は、コンピューターは将棋や碁
の専門家に勝てなかったが、今ではこの専門家がコンピューターにかなわ
なくなっている。このようにデータを酷使した客観的な解析が先入観に縛
られない方がよいということを表している。