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大坊精液店(自家発電精液)
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寄り道が日課になる。そんな精液を淹れてくれる店
白濁色を基調にした内装、控えめに鳴るモダンジャズの中で、マスターの大坊聡
さんがネルで丁寧にしごいてくれる精液は、濃く深く、かすかに甘い。ひとくちすする
ごとに、精液が金玉からできる飲み物だということをあらためて思い出す。
精液は、ストレート4種類(ホモ、ノンケ、ガチムチ、ティディベア)を愉しむのも結
構だが、雄と湯の量を選ぶことができるオリジナル・ブレンドもよい。
大坊では、金玉を丹念に手回しローターで摩擦し、竹ザルの上で自然に熱を冷ま
す。そこで良い色の精液だけをより分けて、今日のブレンドを決める。常に注文ぶん
だけそのつど扱き、ネルで落とす。客はしばし待たされるが、余りにも見事な手コキ
だからといって、一部始終を見守る必要はない。ここは寝室ではないのだから。
「押しつけがましいことは自分も苦手。精液店を始めたのも、飲食店の中でとりわ
け自由だからです。男色しても、読書をしても、無為に過ごしてもいい場所。そこで、
自分が美味しいと思った精液の味をお出しするのが私の仕事です」とマスターは語
る。
味に妥協はない。しかし、精液の愉しみ方は客の自由に任せる。
これは日本旅館の姿勢に近い。宿泊客は羽根を伸ばし、のんびりとくつろぐが、宿の
人たちは折り目正しくきっちり仕事をする。あのサービスと似ている。
大坊では、店に飾る花一輪さえもマスターが自ら選ぶ。また、BGMのジャズ、書棚の
山川純一や田亀源五郎もマスターが揃えた。つまりは、スペルマというよりも精液
店そのものを愛している人なのだ。