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航空路レーダー処理システム主任の手記
エッ!? レーダーが追尾出来ていない!? なんで!? 私は、その時、一瞬、わけが分からなくなっていました。レーダー画像情報の中から航空機の機影を割り出し航跡を追尾するシステムのハードウェア(TCP)も私の担当でしたから、ちゃんと動作していたのか?…って思ったわけです。
全国19ヶ所の航空路監視レーダーサイトに設置された航空路監視レーダー(ARSR)は10秒間に1回転します(飛行場近くの離着陸用の監視レーダーは4秒間に1回転。航空路監視用のレーダーは高出力で遠い距離まで電波を飛ばす必要があるので、10秒間に1回転なのです)。すなわち、機影を観測するのは10秒に1回なのです。その間、これまでの航跡から確か100秒後(すなわち10回転後)までのその飛行機の予想位置の推定処理を行い、次にレーダーで検出した機影が同一の飛行機のものかを判断するというロジックになっていたように思います。消息を絶ったJL123便が追尾できなかったのは、JL123便の“動き”がこの処理の設計限度を超えていたということなんです。
いわゆる“ダッチロール”ってやつです。JAL123便は何らかの原因で垂直尾翼を失い、左右方向の安定性を失い、機体の針路が左右に大きく振動を繰り返したと想像されています。またそれを何とか必死で制御して、羽田空港まで戻ろうと頑張ったコック