16/09/18 20:49:51.22 yiOgVoKX0.net
◆兄ベッド
兄貴とあたしとの距離が拡がり始めた頃、それでもあたしは兄貴の傍に居たかった。
だけどあいつはあたしを置いてどこかへ行ってしまう。
残されたあたしは子供のお昼寝を口実に兄貴の布団で眠る。
兄貴の匂いがする布団に包まれている間だけは、兄貴と一緒に居られる…そんな気がして。
◆兄パン
あたしが中学に上がる頃には、あたしたち兄妹は本格的に「冷戦」に突入していた。
それまで輝いていた兄貴の目は死んだ魚のように淀んでしまっていた。
そんな兄貴が許せなくて、認めたくなくて、情けなくて、憎くて。
腹いせのつもりであいつの洗濯物を全部隠してやったことがある。
…そう、全部だ。その中には当然「兄パン」もあった訳で…
大好きだった頃の兄貴に戻ってきて欲しくて、望んで、求めて。
そして…この頃のあたしは、あいつを「異性」として認識していた事も。
抑え着れない感情に衝き動かされて、あたしは「それ」の匂いをかいでいた。