12/08/03 08:49:02.99 L/f9TrUFO
(σ^∀^)σ
そして僕は、この後、自分自身の問題に直面する事になる。
それは業界関係者たちに「破格」「末恐ろしい」といわれた驚異的な創造性を、常時、自分の思い通りに発揮出来ないという事だった。
ここからは、本当に長い戦いだった。
結局、僕は自分自身の事を何も知らなかったんだよ。
自分のスタイルを築く事なく漫画作りに励んでいたので、土台となるものが何もなく
川を流れる浮き木のように、常にゆらゆらした不安定な精神状態だったんだ。
漫画というものは、作者の精神状態に かなり左右されるから、この不安定な感覚は僕にとって致命的だった。
このままじゃマズいと思った僕は、漫画というものをゼロから考えてみようと思い、全ての先入観やノウハウを捨てて
本当に面白い漫画とは何なのかを徹底的に追求しようと、求道する事にしたんだ。
何より、自分自身への信頼が欲しかった。「破格」「末恐ろしい」「魅力的」「明らかに大変な才能の持ち主」
こうした業界関係者たちの評価が、フロックでない事を、自分自身に証明したかったんだ。
Q.業界関係者に、それほど高く評価された時期があったのか?
そうだね。
僕自身、「こんな才能は今まで存在しなかっただろう」と思ってはいたけど、実際にそうした評価を貰った事で、それは再確認出来た。
それは創造性の評価だったし、才能の早熟性の評価でもあった。
でも、創造性というものは不安定なものだ。
僕はそれに依存し過ぎていたと思う。
Q.そこまで圧倒的な評価を得ていたのに、なぜ、ずっとデビュー出来ないままなのか?
漫画に求められるものは創造性だけではないからだ。
漫画というものは単純なものじゃなく、色んな要素が絡み合って形成されるものだ。
サッカーで例えるとわかりやすいかも知れない。
僕は11人全員がファンタジスタって感じのチームだったんだよ。
それはすごく面白い可能性を感じさせるものだけど、脆さ・危うさも半端じゃないし、ヒラメキは幾つか魅せたとしても、全体としては弱いだろう。