12/05/09 21:07:15.42 SbYExb0/0
捜査状況とか話していいんですかこの男は。
そして土方は銀時が何となく一瞥くれただけでも、すでに出来上がってきてるように見えた。
銀時の隣で常に目が据わっている男は酔いに任せているのか再び口を開く。
「あー……違う意味でやべぇもんはいろいろあったぜ? けどあんなもんは幕府に戦しかける時にゃ何の役にもたたねぇからな……だれか趣味のいいやつがいたんだろうな」
「違う意味でって、なに? 変な薬でも見っけたの?」
思わず彼は問いかける。
桂がやられたという薬についてなら、多少知っておきたいととっさに思ってしまうあたりが何となくむなしかったが、土方は首を横に振った。
「いや。道具だ。拘束用の、拷問用の……あとはあれだ、なんつったかな」
いやなことを思い出しかける。桂にはめられていた手枷に、足枷。そして、それだけでは済むまい。
土方の言葉も、それだけでは済まなかった。
「ああ、そうだ沖田の野郎が、地下でつぶされてた道具類を見分けたんだが……たしか拘束具と一緒に淫具も、山のように」
「……」
聞くんじゃなかったぜコノヤロー……。
思わずうめきそうになったが、彼を責めても仕方がないので銀時はため息をひとつはくだけにとどめた。
……使われたんだろうな。
想像もしたくないことだが、もう知ってしまった以上気になってどうしようもなかった。
「なぁ……」
気づけば顔の赤い土方が酒臭い息を吐きながら銀時の方を見つめている。若干身体を乗り出しているので、思わず引いていた。
そんなことにはいっさい構わず、その酔っ払いは銀時をじっと見つめてくる。
「テメーほんとに一人で拘束されちまってたのか?」
「……なんでそんなこと聞くのよ多串くん」
「……一人でのこのこ行ってあっさり捕まるような野郎かよ、テメーは。他に誰かいたんじゃねーのか?」
「いや、俺一人だって。ホント。すっげー強い人斬りとやりあって、足場が悪くてとっ捕まっちまったって言ったろ?」
実際捕まったのは思いっきり油断したからであって、しかも再戦の折に大勝したわけだが。
「まぁチャイナもメガネも行ってねぇようだったしな……一人で行ったんだろうとは思うけどよ……」
まだ納得がいかないらしく、疑惑に満ちた表情で土方がぼそぼそと呟いた。
その時、二人が注文した料理が出された。面倒くさいということで土方が丼ものを頼んだのだが、まさかまたカツ丼を二つ注文して奢ってくるとは思っていなかった。
ちょっと腹に重くないかこれ。まぁ夕飯だからいいっちゃいいけど。
大盛りで出されたカツ丼を前に銀時がため息をつくと、隣で土方がマヨネーズをどんぶりの上でくるくる回しながら盛り付けていた。
見ているだけでこっちの胃が油まみれになりそうなんだけど、多串くん……。
「他に、本当に誰もいなかったんだよな……?」
「おいおいしつこいね。俺はほんとに誰も見てねーよ?」
土方はマヨトッピングを終えたどんぶりに手をつけようとしたが、それをやめてどんぶりを見つめた。
あれ? もしかして後悔した?
もちろんこのマヨラーに限ってはそんなはずもなかった。彼の口調は顔色とは裏腹に、理性的ですらあった。
「オメーのほかに……オメーの言うことが本当なら、オメーと入れ違いぐれーに、誰かとっ捕まってたはずなんだ。……しかもそいつは、奴らからかなりひどい仕打ちを受けていた」
「……っ」
彼の言葉に思わず目を見開いた銀時には気づかず、土方は自らが作り上げたマヨカツ丼を見つめたまま唇を震わせる。
「それらしい死体は確認されちゃいねぇ……だが、そいつがいた形跡だけはあるんだ。殺されていねぇなら、奴が連れていった可能性もある」
自分の他にとらえられていた者は、一人しかいない。銀時は土方の言うところの「仕打ち」の現場こそ見ていないものの、嫌というほどその意味を知っている。
だが、第三者から客観的に語られるとは思ってもみなかった。
それにしても、饒舌すぎるこの男に、銀時の腹も立ってきた。
捜査情報一般人に公開してんじゃねーぞおい。
「拘束されてたそいつは、どうやら拷問されてたわけじゃねーらしいんだ。使用済みの淫具が散らばってる部屋が別に見つかったらしい……久々に殺し以外で気分の悪い報告受けちまった。調べた沖田の奴も軽く流しちゃいたが、ありゃあ内心苛立ってたな……」
「……で、何が言いたいんですかね、多串くんは」
少し抑えた声で問いかけると、土方はお猪口を再び開け直した。
勢いがつかないと言えないのだろうか。
282:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:08:37.11 8iQnP8Tk0
「とにかく、オメーがもしかしたら他に捕まってた奴のこと何か知らねーかと思ってな。空振りならしかたねぇが。まだ生きて捕まってるなら、どーにかして、やらねーと」
言い終えると、土方はいい加減しゃべり飽きたのか腹がもたなかったのかどんぶりをひっつかんでマヨカツスペシャルをほおばり始めた。
銀時はそれを見ながら心の中でつぶやいた。
……そいつ生きてます。
しかもあそこからちゃんと逃げだしてます。
そして君たちからも逃げなきゃいけない立場だったりします。
少し食欲が減退したままだったものの、彼もカツ丼を食らうことにして向き直った。しばらくは二人とも黙ったまま目の前の食事に取りかかる。
ややあってから、土方が口の中のものを飲み込んで言った。
少しだけ、前よりもろれつの回りが悪くなっている口調だった。
「とりあえず、このあたりで起こった誘拐事件や失踪事件と関わってねーか、その辺を洗ってみようとは思ってんだが……何にしても、胸糞悪ィ話だ。あいつら、寄ってたかって一人を嬲ってたらしいんだからよ……」
もうやめろ。
思わずそう言いそうになった
さすがに、叫びはしなかったが、かわりに別の言葉を吐き出した。
「……あのさぁ多串くん。今更言うのも遅いとは思うけど」
銀時はうめくように告げる。
「食事時にする話じゃねーよ」
「……だな、すまねぇ」
頭こそ下げなかったものの土方は素直にそう言った。やはり酔っているらしい。
だからといって、こっちの気分が晴れるわけでもない。
「大体……それって俺へのあてつけのつもり? 俺は無事逃げ出して、別に拷問とかひどいこととかされてません、怪我はしたけどっていう状態だよ、そりゃあ俺はね」
「いや……別にそういうわけじゃ……」
土方はすこしだけあわてたように否定するが、銀時は言葉を重ねてそれを中断させた。
「んじゃーなんですか? もしかしたら捕まってた他の奴? 野郎か女かはわからねーが、もしかしたらそいつも俺が助けられたかもしれねーとか、そんな風に言いてーんですかね、この税金泥棒は。
自分たちはあっさり取り逃がしちまったくせにさァ……それずいぶん調子良すぎじゃね?」
「……すまん。悪かった」
素直に謝る彼の反応に調子に乗って責めてみたものの、よけいむなしくなっただけだった。
「……まぁ、力になれなくて悪いとは思いますけれどー? さすがに食事時の良識は守ろうよ多串くん」
「……ああ」
普段なら、そんなことを言わなくてもこんな話を長々とするような男ではないはずだったが。考えてみれば何がこの男をそうさせたのだろう。
再び二人は黙々と箸を動かしはじめた。腹には重そうに見えた量も、イライラで勢いづいていた彼にかかればたいしたこともなかった。酒の肴に、と甘いものを注文すると白玉あんみつを出された。残念ながらパフェは置いてないとのことだった。
やはり黙ったまま銀時はデザートを平らげる。土方はその間、ずっと酒を飲んでいた。よくよく見れば、土方の前のお銚子は既に七本目だった。銀時はまだ一本目すら開けきっていない。どう見ても、明らかにペースが速い。彼の酒の強さは銀時と同じくらいだったはずだが。
「あのさ……多串くん、ちょっと飲みすぎじゃない?」
きつく言いすぎたかとも思い、やさしい人ぶってみることにした銀時の言葉を、その酔っ払いはすべて無視した。
そして言う。
「……桂の奴が、捕まってたかも、しれねぇ」
「なッ……!?」
何で知ってる、と続けそうになり、思わず銀時は口を右手でふさいだ。
土方は銚子を傾けながらどこかとろんとした目で言葉を続ける。
「半分つぶれちまった部屋によ……黒い長髪と、桂の服の切れ端っぽいもんが見つかったんだよ……鎖にも、黒い髪が、いくつかこう……絡んでたらしいしな……」
「……今時、長ぇ黒髪の女なんてたくっさんいるだろーが。ヅラの服の切れ端ったってオメー、ヅラがいつも同じ服ならわかるけどよ……偶然じゃねぇの?」
「目撃情報が、途絶えた時期が、被ってやがんだ……」
ついにカウンターに突っ伏した土方に、銀時は倒れかけたお銚子を助けてやりながら声をかける。
「おーい、多串くーん?」
「桂の奴と……高杉ぁ……因縁、あんだろー……?」
「多串くん?」
「ぶっ壊されたり、してんじゃ、ねーだろーな……まさかよぉ……」
どうしてなのかはわからない。だが、土方は桂の身を案じているらしかった。
そのことに驚きながら、突っ伏したままぶつぶつと呟く土方を見下ろし、銀時は心の中で返答する。
283:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:10:21.75 JRh8Gdzr0
壊されかけてたよ。あの反応を見る限りじゃ。
だが。
「なんでそんなこと気にすんだよオメー。まさか、ヅラに気でもあるんじゃねーだろーな?」
思わず口をついて出た質問に、土方はカウンターを押しのけるように身体を起こした。そしてそのまま立ち上がると明らかに焦点も定まらないような目で、銀時の方を見ようとする。だが、ぐらぐらと揺れる彼の身体がそれを邪魔しているようだった。今にも倒れそうである。
「ちっげーよ! なんっで俺が、野郎なんかにッ……てか、よりにもよってあの野郎に気を持たなきゃいけねーんだよっ!?」
「あーごめんごめん。聞いてみただけ。からかってみただけ」
肩を掴んで押さえてやると、あっけなく土方は席に座った。が、そのままの勢いでカウンターに再び倒れこんだ。
幸いお銚子は倒さなかった。痛そうな音が店内に軽く響いただけで済んだ。
「高杉はぁ……まずいって……ほんと、あいつは、やべーん、だよ……ぉ」
へろへろになりながらも訴えてくる土方に苦笑しながら銀時はつぶやいた。
「それはむしろ、俺の方がよく知ってるよ……」
昔から知っていたのに、嫌というほどあの場で思い知らされた。
ため息をついて自分の酒を飲んでしまうと、銀時は寝息を立て始めた土方に一瞥くれて再びため息をついた。
結局、何が言いたかったのか分からなかった。それでも、おそらく土方は本当に桂のことを心配しているらしいということがよくわかった。
そしてそれが少しだけ、気に入らない自分がいた。
せっかくフォロ方くんに会えたのにねぇ。まぁこいつに相談したって仕方がないけどさ。そもそも恋愛相談だか人生相談だか、そういうことをする相手じゃねぇよな。
そんなことをぼんやりと考えてから、銀時は新たにあんみつを頼もうと口を開きかけた。
その時だった。
「トシー、いるかー?」
「あれ……ゴリラじゃん」
銀時が振り向くと暖簾を分けて中を見渡しているひげ男が視界に入った。銀時と目があうが、近藤の視線はその横にすぐ向けられた。
「ああ、いたいた……おーい、こっちだ沖田ァ!」
外の方に声を掛け、近藤は店の中に入ってきた。そのまま銀時たちの方にやってくると、土方を見下ろして肩をすくめた。
「すまねぇが邪魔するぞ万事屋。……あーあー、こいつつぶれちまったのか?」
「なんか、勝手に飲んで勝手につぶれてったけど。俺に責任ねーよ?」
「いや、いいんだ。わかってる。最近こいつの様子がおかしかったからな」
「たまにまた深夜アニメとかつけてましたからね、体育座りでぼんやりしながら」
沖田がやってきて、相変わらず飄々とした声で銀時に言う。
「旦那、どーもすみません。うちの土方がつき合わせたみたいで」
「別に、土方くんの奢りらしいからいいんだけどさ。酒はちょっと飲み足りねーけど」
沖田にそういうと、彼は軽く口元だけ微笑んで土方の身体を揺らしてみたりして反応を確かめ始めた。その間に近藤が店主に声をかけている。
「おっちゃん、勘定してある? ……あ、してない? じゃ俺が払うから。いくら?」
「あーあ。ほんとにつぶれてやがら。近藤さん、ほっといて帰りやせんか? これじゃお荷物ですぜ」
「まぁそう言うな。ここんとここいつは毎日あちこち駆けずり回って鬼兵隊のことを調べまわってたんだからよ。少しくらい優しくしたってバチは当たらねーぞ総語」
酔いが回ったのもあるが、どうもくたびれていたからその回りも速かったらしい。
銀時はそんな状態でなんで土方がわざわざ自分に会いに来るのかと不思議に思ったが、口にはしなかった。
ふと、財布を取り出して店主と談笑している近藤の傍らの沖田と視線が合った。
「……土方さん、何か言ってやせんでしたか?」
肩をすくめながら銀時は応えてやる。
「……何が? 別にたいしたこと言ってなかったよぉ、お宅らの捜査じゃ結局ろくなこともわかんねーとか、結局鬼兵隊の足取りはつかめてねーとか。前に聞いたのから進展してねーってことしかわかってねーよ」
「あらら。土方さん余計なこといっぱいしゃべっちまったみてーだ」
……。俺そんなこと一切言ってねーんだけど。
高杉みてーな奴だよな、こいつ。察しがいいって言うか。
半眼の銀時に、沖田は土方を担ぎあげようと試しながら言った。
「桂のことなんですけどね」
284:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:12:02.21 DJGB5dKn0
唐突すぎるんだよてめぇ。しかも一番俺が食いつきやすい所をわかってやがるなコノヤロー。
唐突に攻めを発揮する男、沖田は、どうにか土方に肩を貸しながら言葉を続けた。
「旦那ならたぶん何か知ってると思ったんですよ。その様子だと、おそらく無事なんでしょうが」
「なんでそんなことわかるわけ?」
思わず聞き返してしまう。沖田少年は別にいやらしい顔をするわけでもなく、淡々とそれに返答した。
「土方さんの話を聞いたはずの旦那が、慌ててるよーに見えねーから」
なるほど。こいつは本当に察しがいい。銀時は表情を変えずに内心苦笑せざるを得なかった。
「てこたぁ、土方さんの心配も無用の長物だったわけだ。はあ、大体最初から桂が妙な真似されてようがなんだろうが、気にしなきゃいいのに」
「なんでそいつ、そんなにヅラのこと気にしてんの?」
「あれ? 旦那はわからないんですかィ? 旦那ならすぐ気付くと思ってたんだけどな……」
肩からずり落ちてきた土方をどうにか支えなおそうと沖田は態勢を崩しかけたが、途中でため息一つこぼして手をはなしてしまった。思った以上に大変だったらしい。
……その決断、ちょっと早すぎない?
どさりと床に倒れる土方を無視して沖田は銀時に言う。
「攘夷志士でも、桂は好敵手、まぁ特別な標的なんでさァ。すぐ見つかる割にうまく逃げおおせやがるが、むやみに被害をださねぇ。今じゃ攘夷志士の穏健派とも言われるくらいで。
鬼兵隊みてーな超過激な奴らより、はるかに好感が持てますぜィ。もちろんムカつく奴に変わりはねーんですが」
床でぐうぐうと寝息を立てている土方をちらりと見やって沖田が続ける。その表情は心なしか、楽しそうにも見えた。突っ伏した土方は完全に真正面から床に突っ込んでいるため、かなり痛そうなのだが。
「土方さんも、敵とわかっていても気が気じゃなかったらしいんでさァ。桂の奴が鬼兵隊に調教だか拷問だかされて奴らに染まっちまったか、あるいはぶっ壊されちまったか。あいつは俺たちの手で捕まえてーのに、そうなっちまってたら意味がねーんで」
調教、とこの少年は表現した。現場を検分した沖田という男の見解ではそうなるのかと一瞬うめきそうになる。
だが、とりあえず沖田の説明は銀時に得心のいく回答だった。土方の荒れようは、ある意味彼らしいものなのかもしれない。……本当に気があるかどうかは別にしても。
さすがに、酔った上であれだけ否定したのだから桂に対して気があるなどということはないだろうと思ったが。
勘定と話を終えたらしく、近藤がようやく二人の方に向き直った。
「総悟、帰るぞ……ってオイ!? 何でトシが床に突っ伏して尻上げてんだ!? 何プレイ!?」
土下座にしてはムカつく姿勢で土方は寝息を立てていた。
「なんか、こうしてほしいって土方さんに言われたんで」
沖田があっさりと嘘をつく。
彼のとぼけっぷりに、銀時は思わず苦笑した。
285:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:13:15.45 eyKU8DBQ0
銚子一本でも、ほろ酔い加減は味わえた。
結局銀時は、土方を背負った近藤と沖田の二人と店の前で別れ、もともとの目的地に向かっていた。
いないとわかっていて、昼間も行った場所に向かっている。
万が一にも、そこにいるかもしれない。
だが、もしそこにいたらどうしよう。
何か矛盾しているのだが、余計な話を聞いたせいで逆にその顔を見て安心したくなっていた彼は、ひたすら歩き続けた。
本当に、そこにいたらどうしよう。托鉢の坊主がこんな夜中までいるわけもないし。
だからといって、顔を見れないのも嫌だった。
その時はその時だ、と割り切ることにする。
別れ際に沖田は銀時にこんなことを言った。
「土方さんも旦那も、もっと素直になっちまえばいいと思いますよ……こんな飲んだくれるほどいろいろため込むより、よっぽど楽でさァ。素直になるのを恥ずかしがってるからこんなことになっちまうわけで。
俺みたいに素直に思ったことをくちにすりゃあため込んだりしやせんぜ。ああ旦那、ストレス発散に丑の刻参りとかお勧めしますぜィ。今ならこいつの髪引き抜いて持っていってもバレません」
近藤がさすがにそれを諌め、二人は屯所の方に戻って行った。
言葉の後半はともかく、沖田は珍しく土方のことを気にかけているようにも見えた。
でもって俺に、素直になれって?
まったくもってその通りだね。
いろいろ腹をくくってしまった方が、よさそうな頃あいだった。
本人に何も言わずうじうじしているから悪いのだ。そう、いろいろとためておくのはよくない。
……そしてそれは、桂にも言えることだ。
あいつも何も言わない。言わずに、耐えることをすぐに選んでしまう。あの日、自分が感情的に襲いかけた日に、少しだけ彼にすがっただけで。あげくに彼を責めるでもなく、再びすがることもなく、ただ自分の中にしまいこんでしまったのだ。
角を曲がり、昼間とは様子が異なった路地を進む。確か、団子屋の少し向こうのところにいたはずだ。もうそろそろ、その場所が見える―
「……いるし」
思わず呟いて、それでも彼は道のはじに立っている編みがさの坊主に向かって歩き続けた。
何を言ったものかと思いながら近づくと、言葉を考え付く前に桂がこちらを見た。
銀時が近くにやってくるまでそのまま待ち、声の届く位置に来たところで口を開いた。
「……どうした。こんな時間に散歩か」
「そういうテメーは、こんな時間まで托鉢の坊主かよ」
言おうと考えかけたことをすべて忘れながら銀時は言った。何事もノリがあればいけるもんだと思う。
「怪我治りきってねぇのに、何やってんだ。さっき俺、真選組のやつらと会ったぜ?」
「ふむ」
桂は一度周囲を見渡してから編みがさをかぶり直した。溜息をついて、少し気を抜きながら銀時の方に一瞥くれる。そしてすぐ視線をそらしてしまった。
こいつ最近、俺にかまわなくなったもんな……
前はしつこいほど勧誘しに来ていたくせに。
案の定、桂はサバサバした様子で彼に言った
「では忠告通り帰ることにしよう。さらばだ銀時」
「……送る」
自分でも驚くほど、素直に言葉が出てきた。
「ん?」
すぐに彼に背を向けたため聞こえなかったのか、桂が足を止めて振り向いた。
もう一度、言ってやる。
「送る。家まで」
桂が黙ってしまった。
「……」
銀時も黙った。
「……」
というか、彼にはもう何を言っていいかわからなくなった。素直に心配だからと言えばよかったか。
さすがにそれはなめられていると思われるか? 変に思われんじゃねーの? あれ? 俺もう信用なかったりしねーよな……?
286:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:15:27.54 oFHGZVWt0
内心冷や汗をかきながら言葉を待っていると、桂がどこか力を抜いた表情で言う。
「お前、時間はあるのか」
「……え? あ、まぁうん。別に用事もねーし」
新八と神楽が既に万屋に戻っているような気がしていたが、それはすぐに頭の隅に追いやった。心の中で一度だけ詫びる。
すまん。明日は相手してやるから。
「なら、少し飲まないか」
「へ?」
「エリザベスが無事の帰還を祝ってくれてな。何やらいい酒をくれたのだ」
「……俺は、かまわねーけど」
お前それでいいのか? え、もしかして俺いろんな意味で誘われてんの?
仮にも自分を襲おうとした人間相手にすることじゃねーだろそれ。こいつ何考えてんの?
銀時の内心の焦りなど、彼の表情には全く現れていなかった。桂の考えが、銀時にはまったくわからない。
「ではいこう。少し入り組んだ道を通るから、しっかりついてくるのだぞ」
桂はきびきびと移動を始めてしまった。仕方なくついていく銀時を時々振り返って確認しながら足早に歩いて行く。
完全に動きは元に戻っていた。一週間前と少し前は脚がろくに動かない状態で、あげくにあちらこちらに怪我をおったまま完治していない人間とは思えない動きである。
が、桂はやはり無理をしていたらしく、彼の家に着くころにはかなり息を切らせていた。
少しだけおかしそうに笑いながら、彼は言う。
「半ば寝たきりで一週間も過ごしていたからな……体力を取り戻すのも一苦労だ。お前はもう完治したのか?」
「まさか。けどもう包帯ぐるぐる巻くようなこともねーな」
「そうか」
言って家の中に彼を案内する。とりあえず手近な和室に通されたが、銀時が今日は月が出ていたことを思い出し、結局縁側で晩酌することになった。
少し涼しい風のふく縁側で銀時がぼんやり月を見ていると、杯を二つと、日本酒の一升瓶を持って桂が部屋から出てきた。着替えていつもの衣になっている。
そういえば、こいつもそんなに着物のバリエーションがない気がする。同じもの四着とかなんかな、やっぱ。妙な着替えはいっぱい持ってるみたいだが。
出された酒は確かに旨いものだった。かといって土方のように泥酔するほど飲もうとは思わなかったが。もちろんここが桂の家であり、供されているのが彼の酒だという遠慮もあるが、泥酔する理由はないはずだった。
……いや、そうでもないか。
自分が泥酔したくなる理由となりかねない男が、彼の横で同じ酒を飲んでいる。
夜空には少し欠けはじめた月が輝いていた。時刻はもう夜をすぎ、深夜に向かうだろうか。あの二人には悪いことをしたと思うが、電話をするのもなんとなく避けてしまった。結局、明日になってから二人にしかられればすむと割り切ってしまう。
そして今、悩める男は悩みの原因と向き合っている。
本当の意味では向き合っておらず、隣に並んでいるだけなのだが。
その隣を見る。
桂は縁側に姿勢正しく座りながら気品のあるしぐさでお猪口を傾けた。
喉を鳴らして、ほう、と感嘆のため息をもらす。嫌味なほど絵になっているそれをぼんやりと眺めながら、銀時は胡坐かいて背中を丸めたまま自分の盃を傾けた。
ほんとにまぁ、隙のない……。少しはくだけないもんかね。
「銀時」
と、ふいに桂の唇が動いた。
「どした」
ぼんやりしたまま答えると、桂がどこか抑えた声音で再び唇を動かした。
「あの日……」
どきりというよりもグサリと胸に何か刺された彼に、和装のよく似合う貴公子は、月を見上げたままやわらかい風に黒髪をなびかせてしばらくだまった。おかげで、違う意味でもなにか気持ちが揺らぐ。胸が痛くてそういう気分にならないだけましだったが。
そんな彼につゆほど気づいた様子も見せず、桂は続けた。
「お前が俺を助けてくれたときに、高杉の奴も生きていたのか?」
……そうきたか。
287:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:16:39.34 58eq/Zox0
自爆の小説って、自作なの?
どっかからのパクリ?
288:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:17:39.33 JPrs1SDe0
ある意味、再び傷口をえぐられたような感覚を味わいながら銀時はゆっくり返答した。
「……ああ。まぁ、ありえねぇぐれーぼろぼろだったけどな。キセルふかしてガンつけて、俺らより先に逃げてったよ」
結局、この男がいつまでもあの野郎を気にしているらしいことが腹立たしい。高杉のことが、そして何よりあれほど苦しめられてなお野郎のことを気にかけている桂自身が。
なんだかまた、薄暗いどろどろとした感情が胸の中で膨れはじめたような気がする。
「生きてて欲しかったのか?」
銀時が憎々しげに吐き出したその言葉に、桂が笑った。
え、笑っ……?
「ならば、いい……」
怒気をはらんだ声音で、彼はもう感情を隠さなかった。
「今度相対するときは、俺がこの手で必ず葬ってやる……その時は、手を出すなよ銀時」
あれ? こいつもしかして怒ってる?
どう好意的に見てもそうとしか思えない顔つきだった。
「そもそもあの館で最初に人斬りなぞと会わずあやつに会えていれば……捕まる前にぶった斬ってやれたものを」
「……ははは」
銀時は思わず肩の力を抜きながら笑った。桂にはあいつに対する執着心はあっても、考えていた方向とベクトルが違うらしい。
ややおいてから、銀時は鼻で笑った。
「馬鹿言うな、俺がたたっ斬っといてやるから譲っとけよ。大体オメーよぉ、あの野郎にまともに勝ったこともねーんじゃねーか?」
「稽古の時は防具が邪魔でやりにくかっただけだ。実践では負けんぞ」
「いや、どうかねぇ。あいつ、ちっとも腕さびついてなかったよ。もっかいやったら、またとっ捕まるんじゃねーの?」
「……次は、もうない」
「あん?」
「俺たちにはもうどちらが斬り伏せるか、それしかなかろう。会えば必ず敵対し、斬り合うことになる。そんなことはわかりきっている。……いや、喧嘩を売った春雨に捕まることはあるかもしれんな。いずれにせよ、次は決着をつける時だろうと俺は思う」
覚悟のようなものを感じさせる声音だった。庭を見つめる視線も、まっすぐ前だけを見ている。そのくせどこかはかなく危ういような、矛盾した感覚を覚えさせられた。
「……おいおい。前みたいな自爆はもうやめろよ? すげぇ気負いまくってんじゃねぇか」
酔っているとしても、あまり過激なことを言われると少し怖くなる。そう、この男には前科があるからだ。桂が高杉に捕まって即座に自爆覚悟で爆弾を使った時に、いやというほどの驚きと恐怖を味わったものだ。
あの時の感覚だけは、もう味わいたくない。
つかなんだそりゃ。こだわりと執着のベクトルが違っても、特攻されたら何の意味もねーよ。
「……」
銀時の言葉に、桂は応えることなく黙ってしまった。どこか思いつめた表情で盃を傾けている。
何だよ、その顔。
冗談じゃない。お前に死なれてたまるか。
銀時は再び口を開く。こんどは、確固たる意志を持って。
「ヅラぁ」
「ヅラじゃない、桂だ」
「やめてくれよ、そういうの」
押し殺した声音で横の男にそう言うと、彼はこちらを向いた。やや驚いたような顔つきで。
「……あいつをたたっ斬るのはかまわねーよ。俺だってぶちのめしてやりてーけど、別に譲ってやるし。……けどな、あん時みてーに特攻してもかまわねぇって思ってるんだったら、あいつに関わるのは絶対にやめてくれ。俺はオメーに、死なれたくねぇ」
「銀時……」
「……嫌なんだよ、そればっかは」
視線をそらさずにはいられず、銀時は真正面を向いて、手もとの盃を見下ろしながら続けた。
「てめーが攘夷活動やっていようが、妙なバイトしていようが、仲間と馬鹿やってようがかまわねーからよ……」
勝手なことだとわかりつつ、それを口にする。
「俺の目の届かねぇところに、手の届かねぇところに行っちまうのは、やめてくれ……」
最後には、思っていたよりも情けない声が自分の口からこぼれ出ていることに気づいた。高杉の笑い声が聞こえてきそうな気がするほど。
てめーで見捨てたくせになぁ?
そのとおり。だから勝手は自覚している。それでも言わずにはいられなかった。
289:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:19:05.66 0xKFzhtV0
「……」
桂は黙って銀時を見つめていた。言葉の意味をとらえかねているのか、言葉について考えていてくれるのか、視線だけを感じながらも銀時には当然判断できなかった。
そうして、どれだけ時間が経ったかわからない。
ただ、月は天頂部分までにも移動していなかったから、実際はさほどたっていなかったのかも知れない。
不意に、桂が立ち上がった。
思わずそちらを見上げると、彼は日本酒に蓋をして彼に言った。
「そろそろ冷え込んできた。中に入らぬか」
その顔は、柔らかい彩りを得た、やさしい笑みだった。
さほど酔っていたとも思わない。
どちらが先だったのかもわからない。
どちらからともなく寄り添い合った。
それだけだった。
いや、それだけではなかった。
お互いに言いたいことを少しだけ言い、聞きたいことを少しだけ聞いてみた。
「高杉は俺に指一本触れておらんよ」
それが気になっていたのか、と桂はどこか苦笑気味に言う。
「俺があいつ本人に捕まった、あの時まで……あいつは俺に触れもしなかった」
……そっか。
銀時は小さく返答した。それが見苦しい嫉妬だとでも思ったのか、安堵しつつも気まずそうな顔をしている。
「俺が好きか?」
銀時のようにばつの悪そうな回りくどい質問はしなかった。だから素直に聞いてみた。
だがそのごく単純な質問に、彼を抱き寄せる男は言葉を詰まらせた。
「……まぁ、その……うん」
「ならばそれほどでもないということか」
それであれだけのことをしてくれるのだから、お前はよっぽど嫉妬深いということだ。
「ちがっ……いや、そのな? ……ああ、もう……」
むずがゆそうなその反応に、苦笑する。
だが。
銀時が意を決して桂の耳元にその言葉をささやくまで、そう長くはかからなかった。
290:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:19:51.24 I8IcVj6R0
>>287
>>10
291:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:20:04.60 7PXVqS400
辰馬はすでに酔いつぶれていた。豪快にいびきをかきながら自分の横で眠っていた。
辰馬を酔いつぶした男は、自分の前で柱に寄りかかっていたが、意識だけはあるようだった。部屋に残っているのは自分と辰馬と高杉だけで、あとはみなうまく自室に引き下がらせた。
辰馬はそのつぶれ様から、起き上がらせることはあきらめていた。体格的にも一人で担ぐのは大変だったし、自分も飲んでいたこの状態ではまず担ぐことはできないだろうと思った。
辰馬には誰かが脱ぎ散らかしたらしい着物をかけて布団代わりにしてやった。それから向き直ると、高杉はまだ動けそうではあった。だから声をかけた。
「立てるか? 無理なら何かかけるものをとってこようか」
「……いや。部屋に戻る……」
反応も返答もどこか鈍かったが、そう言いながら高杉は腰を上げようとした。そしてそのまま軽く足を滑らせた。
がつん、といい音がした。
「……ってぇ」
柱に後頭部をぶつけた高杉が顔をしかめ、思わず苦笑しながらそれに手を伸ばした。
「しっかりしろ。肩を貸すから」
高杉はあっさり自分の手をとった。珍しく素直なその姿に、よほど酔っているのかと呆れながらもその身体を支えてやった。
廊下をゆっくり歩きながらふと夜空を見上げれば、少しだけ欠けた月が昇っている。
「……銀時はどーした……あの野郎は」
「外の空気を吸ってくると出たままだが……まぁ心配はいるまい」
「別に心配なんざしちゃいねぇ……あいつが途中で逃げやがったせいで、俺が辰馬と飲み比べる羽目になっちまったんだぜ……」
「おかげでそのざまか。だがあれは挑発に乗ったお前が悪い」
ふいに高杉が押し黙った。
「……? どうした」
「……辰馬の奴……変じゃなかったか?」
その言葉に振り返ってみるが、思い当たるようなことはなかった。
「そうか? いつも通りのはしゃぎようだったと思うが」
「……そう、見えたか」
「どうした高杉。何か気になることでもあるのか?」
結局高杉は、それに返答しなかった。
酔いのまわっている相手に対していろいろと考えさせるのも悪かろうと、それ以上は何も言わなかった。
そしてちょうどその時に廊下を突き当たり、高杉の部屋の横まで来た。障子をあけてやりながら、肩を貸している男に言った。
「ついたぞ」
「……」
「どうした?」
顔を覗きこむと、無表情のまま高杉が見つめ返してきた。いぶかしがって声をかけようとした瞬間、その男はこちらに体重をかけてきた。
とっさに支えようと軽く踏ん張った足が、唐突に払われた。驚きながらなすすべもなく、二人で畳の上に倒れこんだ。
身体を打ったが、わずかに顔をしかめただけだった。ただひたすら驚いていた。
「……高杉?」
開かれたままの障子の間から差し込まれる月明かりの下で、視線がぶつかった。
ひどくうつろな表情だった。
ぞっとして何かを言おうとした瞬間、言葉ごと彼にのみこまれた。
それはついばむような口づけだった気がする。
そのあとどんなことをされたのか、細かいところまでは覚えていない。
ただ、何を言っても高杉がやめようとしなかったことは覚えている。口づけだけではなく、脱がせようとするのも、肌に直接触れるのも。
やめろ、おい、よせ、高杉。
嫌悪よりも驚愕が勝っていた。この男がこんな真似をするとは思ってもいなかった。泥酔して理性がとんだかと思い、どうにか抜けだそうと抵抗していたが、不意にその行為が生々しくなった。
深く口づけされた。舌が口腔を蹂躙し、唾液を吸い上げられた。下腹部に添えられた手が、腰ひもを解いて衣服の中にすべりこんできた。
身震いした。
この行為には意志がある。
292:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:21:26.29 9giAEnQR0
敏感な部分に手が触れて、思わず悲鳴のようなものを飲み込んだ。
その時、おぞけが走って思いきり拒絶した理由は、純粋な嫌悪からだった。
仲間内でそういう関係になることはさほど珍しくもなかった。戦場は、血の気の多い男たちばかりだった。戦国時代でもよくあったことだが、女の代わりはやはり戦場には必要不可欠だったのだろうと思う。
仲間たちからさり気なく誘われたことも少なくはない。線が細い男はたいてい誘われやすかったが、自分に対しての誘惑が本当にさり気なくだったのは、常に自分の近くに白い夜叉や黒い獣、陽気な戦士がいたからかもしれない。
彼らはひたすら戦いだけを求めていた。支え合う意思はあっても、まったく方向が違ったのだ。
そして自分もそうだった。
戦に殉じ、信念に殉じて戦いぬく仲間であり同志。その関係がずっと続くのだと漠然と思っていた。
今思い返せば、その関係を壊したくないという意志があったのかもしれない。
がむしゃらに抵抗すると、高杉はすぐさま自分の上からはじかれることになった。
痛打された顔を押さえながら高杉は茫然としていた。妙だった。どこか理性的に触れてきたはずの彼が、自分が何をしたのか唐突に理解したような顔だった。
そうして、どのくらいの間、見つめあっていたかわからない。
「……酔い、覚ましてくらぁ」
ふらつきながらも立ち上がり、その男は自室を出ていった。
手ひどく殴って蹴り飛ばしてしまったが、それを成した手足は震えていた。
あとで謝る気にすら、なれなかった。
酔っていただと? あれだけ意志を感じさせたのに? 冷静に俺を見下ろしながら、自分のモノにしようとしていたのに?
それはおぞましさではなかった。
圧倒的な不信と、徐々に色濃く胸の内に広がる不安だった。
何が原因でこんなことになったのかわからなかった。あり得ないと思った。
高杉は、俺に懸想するような男ではない。
それともその考え方が間違っていたのだろうか。
何かが違う。何かがずれている。
追いかけはしなかった。
追いかける前に、着衣を直したちょうどその時、銀時が通りかかったから。
「あん? ……そこにいんの、ヅラか。お前、高杉の部屋で何やってんの」
気だるそうに月明かりの下で銀時は自分を見た。
どこかまだ気分がすぐれないという顔つきだった。
「……高杉がつぶれかかってたので、わざわざ部屋まで運んでやったのだが」
「そなの?」
銀時を見て、妙に落ち着きを取り戻していく自分がいた。いつも通りの銀時の様子に、安堵さえ覚える。
先ほどのことは、忘れた方がいいのかもしれない。
苦い記憶にはなりそうだったか。
平静を保ちながら言う。
「ああ。何やら酔いを覚ますと言って、結局出て行ってしまったんだ」
「あいつ俺とさっきすれ違ってったぞ……足取りもおぼつかねーのに、どーこ行く気なんだろね」
足取りがおぼつかないのに放置したらしかった。
肩の力を抜きながら廊下に出ていくと銀時が肩をすくめた。
「放っといてほしそうな感じだったし……まぁ大丈夫でしょ」
子どもじゃないんだからさ。
ああ、いつも通りだ。何も不安がることはない。
そう思った矢先、銀時が表情を急に引き締めた。
「正直、どうなんだろうとは思うけど。あいつは察しもいいし頭も悪くないし……自分で出てったんなら一人で整理つけさせてやる方がいいんじゃねーかな……」
誰かに頼るの、絶対好きじゃないだろうしな。
「……それは」
どういうことだ?
と、聞いていたら。もしかしたら高杉のあとを追っていたのかもしれない。
事情を把握していたら、自分も別の行動をとっていただろう。
だがその時はなぜかそれを尋ねたくなかったのだ。
293:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:22:52.68 dzHQ8UTB0
不安が再び胸の中に広がっていって、漠然とした恐怖すら覚えていたから。
何かが失われるような感覚が広がってしまって。
「ヅラ?」
しばらく呆けていたらしく、気付けば銀時が自分の前にいた。
眉をひそめ、少し不安そうな顔をしていた。
「……いや、何でもない」
思わず首を横に振る。
「お前も部屋戻って寝といたら? 皆のかーちゃんみたいな世話焼きしなくていいってホント」
「大丈夫だ。だが確かに片づけは明日にしておこう」
その時は到底、何かできる気分ではなかった。部屋に帰って休みながら考えてみた方がいいと思った。
「……だから、そうやって率先しなくていいっつのに。お前他人の世話ばっか焼きすぎなんですー。たまには誰かに任せて自分は楽したらどうよ」
「そうか。ならお前も手伝え。どうせ手が足りんし、明日はほとんどの奴らが二日酔いだ」
「ちょ、んなのやだよ俺!」
文句を言って焦る銀時に不安を和らげられながら、その日は大人しく自室に帰った。
それだけだった。
たったそれだけのことだった。あの夜のことは。
……それからすぐ後だった。
坂本辰馬が戦争を抜けたのは。
この戦争の意味を辰馬はよく知っている。理解した上で、こいつはそれを自分のためにも他の人間のためにもならないものだと考えている。
実際にそれは正しい。
だが……間違っている。
当人にとっての必要性というものがあるのだ。
「あきらめろ辰馬」
強い奴は、有能なやつは皆、似ている。
強い芯を持っているから逆になかなか折れない。自分の信念を捻じ曲げない。
自分の信念を、捨てることもあきらめることもしない。
「それもテメーの言うところの時勢の一つだぜ」
「あっはっはっはっはー、確かにそうじゃ! ……ま、簡単にゃあきらめられんがの」
「どいつもこいつも、戦場で死ぬとは限らねぇさ」
そうあった方がいいのかもしれないが。
「おんしゃこれからどうするんじゃ」
唐突に辰馬が立ちあがった。話はもう終わりということだろう。
「俺は俺のやりたいようにやるだけだ」
俺も決めた。これはお前のおかげだ。
あの日の宴のあとで、決めた。
もう違えない。自分の道は自分で敷く。
不敵に笑っただろう自分に、辰馬は笑い返した。いつもの陽気な笑顔だった。
「もう他には何も言わん。達者でいとうせ」
「そうかい。ま、テメーも達者でな」
差し出された大きな手を、笑いながら軽くはじいてやった。
握るつもりもなかったらしく、それだけで満足げに辰馬はその場を離れていった。
294:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:24:10.39 1kIc54UK0
眠りの浅さに嫌気がさした。
「またか……」
高杉は口元を歪めながらつぶやいた。
同じような夢は今までもよく見ている。久しぶりにあの男が出てきたことには驚いた。
それにしても、どうも調子が悪い。怪我を負った頃から、ちょっとしたことだけですぐに目を覚まさせてくれるいやな身体だ。
だからなおさら怪我の治りが遅い。そんな悪循環を繰り返し、一時は睡眠薬の服用も考えたのだが他の傷薬を調合されていたので許可されなかったしひどく止められた。
そもそも昔はもう少し治りが良かったと思うのだが。
うつぶせの体勢のまま横になっていたが、彼は唐突に起き上がった。
背中の大傷が痛むが無視する。痛みは頭から切り離せばいい。その程度は我慢できる。
だが治りが悪いために座りながら寄りかかれないというのは、なかなかつらいものだった。こればかりは熱の蓄積と傷の悪化が避けられないのでどうしようもない。
こんなことならあの時かばったりしなければよかったのだ。
だが。
やっちまったもんはしかたねーよな……。
思わず笑う。
自分でもあの時の行動はよくわからない。桂が爆弾を転がした瞬間、勝手に身体が動いていた。
あの時は確実に、桂をかばっていた。
そのくせ、炎の中で意識をなくした桂を再び見たときは、殺意がわいていた。
だからそのまま放置して一人死なせてやろうかと思い、一度は見捨てた。
比較的近くにいた万斉の息を確認して隠し通路に落とし、不意に桂に振り向いた。
昔と中途半端に変わらない男が、倒れていた。
どうせなら確実に殺せる方法をとれよ、馬鹿が。
無意識とはいえせっかくかばったのに、ここで死なれるのはなおのこと癪にさわった。
その判断はおそらく一瞬のことだった。迷いも何もなく、その男に近づいた。
もう少し、てめーも付き合え。
このくだらねぇ世界に付き合え。
俺が壊す世界を見届けろ。邪魔するなら邪魔しにこい。投げ出してんじゃねーよ、こんなところで。
桂を担ぎあげ、すぐに移動を開始した。危ないところで館を出た。
全身が痛んだ。だが無視した。意識したら下手をすると歩けなくなるとわかっていた。
館に再び戻ろうとしている男が自分に気づいて足を止めた。そいつに桂を放り投げるように落とした。驚いたようなそいつの顔も一興だった。
そして二人と別れた。
紅桜の時といい、どうもあいつらは敵に回すと面倒くさい。
だがそれを面白がっている自分もいる。
窓の外を見れば、少し欠けた月が夜空に輝いていた。
畳の上に腰をおろし、高杉は三味線に手を伸ばした。
295:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:26:24.79 kK59O7rc0
何か、違和感があった。
河上万斉は痛みを堪えながら身を起こし、枕元のサングラスをいつものようにかけた。同時に扉をたたく音が聞こえ、返事を待たずに中に人が入ってくる。
それは能面のように無表情な男だった。
「おや、起きておいででしたか」
言いながら彼は手に持っていた盆を近くの机に置く。盆の中身は水の入ったコップといくつかの錠剤だった。怪我の治療薬だが、基本的には痛み止めが主である。
「今し方。何か用でござるか」
「いえ、ご様子を伺いがてら、お薬を届けにきただけですよ。明日からまた例の交渉任務をなされるということですが……そのお怪我で本当に?」
「日常生活が可能な程度には回復しているでござる。無理をしなければ問題もない」
仮に何かの戦闘に巻き込まれたら、あっさり死ぬかもしれないだろうが。
「ならばよいのですが」
そっけないが、どこか安心したような声音である。だがこの武市にとっては、彼の計画通りに事が運べばたとえ万斉が死のうが問題はないのだ。案じているのは彼の身の上ではなく、あくまで鬼兵隊の予定の進行である。
それは構わないのだが。
ふと、万斉は気にかけていたことを尋ねた。
「参謀。晋助は、あの時桂を助けたでござるか?」
さすがに率直すぎたのか、武市の反応はやや遅かった。万斉が自分に尋ねたことばの意味をいろいろと考えたらしい。
「……? なぜそんなことを」
「いや、少し気に掛かることがあってな」
大したことではないでござる、と口早に告げると、その男は少しだけ思い返すようなしぐさをしてから答えた。
「助けるどころか、本当に何もされていませんでしたよ」
「……何も?」
ええ、と小さくうなずいて武市は続ける。
「私もお願いしませんでしたから、御覧になっていただけですよ。もっとも、それだけで桂さんを精神的に乱すことができると踏んでいたわけです。実際、そのとおりになりましたし」
「そうでござるか」
「はい。ただ、しばらくの間部下を払っていたときもあったと報告は受けています。その間に何かされたのかもしれませんが、はっきりとは」
武市の言葉は信じられなくもなかったが、おそらく何もしていないのではないかと万斉は思った。
……そう、高杉の意図は、もっと違うところにあるような。
しかし、と武市はどこか残念そうな声音で再び口を開いた。
「桂小太郎は本当に強い精神力で。二日もすれば確実に陥落させられると思っていたのですが……」
ため息混じりに武市は淡々と続ける。
「念を入れて晋助さんにご足労願ったのに、みごとに逃げられてしまいました。まったく大した方です」
「……」
彼は、武市にそれ以上の追及はしなかった。
その後はいくつか次の計画の話を彼と交わし、武市は部屋を出ていった。
しばらくの間万斉は、自分の質問に対する武市の返答内容について考え込んでいた。
やはり解せなかった。
彼は寝台から起き上がると窓に向かった。
カーテンのない窓は、月明かりの夜空を美しく映し出している。
月夜に窓を開け放つと、風に乗ってわずかに三味線の音が聞こえた。
その音色は万斉をしても、ひどく読み取りづらいものだった。
聞き取りづらいのは奏でている人物との距離があるためだろう、当たり前のことだ。それでも彼は、音色さえあればまず奏者の感情や意志を読み取れないことはないのだが。
万斉はため息を吐いた。
確かに武市は嗜好の問題こそあれど、狡猾に合理的に行動する男だ。その男が二日で陥落させると言っていた以上、精神的に強かろうとそれも計算のうえであったはず。
宿敵の前で凌辱される屈辱など、考えただけでも反吐が出るが、果たしてそれは、あの桂に対して本当に効果的だったのだろうか。
296:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:28:30.08 kunmg5iv0
確かに高杉は宴に招かれた。だが興が乗らねばあの男は本当に何もしない。そもそも、あのような場に好んで出向く人間ではないはずだった。だからこそ、万斉がその話を聞いた時から感じていた違和感だったのだ。
昔の仲間が、紅桜の一件で完全に敵対したという桂が捕らえられたから興が乗った。それはありえるかもしれなかった。だが、本当に興が乗っただけで三日も休まずに眠らずに、桂がいたぶられる様を見ていただと?
……ありえない。
常のあの男なら、せいぜい顔を出して口を出して嘲笑って終わりだろう。武市に呼ばれたなど、口実に過ぎないように万斉は感じていた。
だから。
……高杉は本当は、桂を助けたかったのではないだろうか。
捕らえられてしまったあの男のために、傍にいてやったのではないだろうか。
高杉があの場にいれば、桂は常に高杉を意識するだろう。ひどい苦痛と屈辱を受けても、憎むべき対象がそこにいれば、意識の奥底で踏み留まることも可能かもしれない。だとしたらその行為は、安らぎや癒しとは真逆の、だがまごうことなく救いの手となる。
……高杉はそのことをわかっていて、その身に桂の敵意と嫌悪と侮蔑を浴びながら、自分なりのやり方で助けていたのではないだろうか。
そこまで考えたところで、万斉は深く息を吐き出した。
……すべて推測に過ぎんな。
月を見上げながら、自嘲の笑みを浮かべる。彼の視線の先、雲がかかって先ほどとは異なる風情を見せ始めた朧月は、流れてくる三味線の調べのように輪郭を現さない。
もちろん万斉は、それを高杉に確かめる気は毛頭なかった。この藪を突けば蛇どころか鬼を出しかねない。分かり切った危険をおかす趣味など、彼にはない。
いずれにせよ、あれだけひねくれた男に聞いたところで本音を語るとは思えなかった。特に過去の同志の話などは。
彼は苦笑した。
高杉の歌はノれないのではなく、ノりにくい。わかっていて彼を挑発しているのか……案外、当人は気付いていないかもしれない。
その音色もまた、人を魅了する類のものなのだ。
時折寂しげにも聞こえる弦の音は、長い間独奏を続け、やがて夜空に消えて行った。
297:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:30:30.01 ecBlqKOs0
「綺麗アルー」
万華鏡を月明かりや外灯で覗きながら神楽がはしゃいでいる。それなりに高い和食の店だったが、開店記念とかで神楽に小さな万華鏡をくれたりもした。
それはお子様扱いなのかもしれなかったが、女性にだけです、と言いながら店員が神楽に手渡していたので、彼女は喜んで新八に見せびらかしたていた。
「よかったねぇ、神楽ちゃん」
新八は楽しそうな神楽を見ながらその後ろをのんびり歩いた。
食事を終えたあとはお代わり自由のスープで閉店間際までねばってしまった。それでも咎められなかったしお土産までくれた、かなり良心的な店だった。
店では二人でどうでもいいことを話した。たまに銀時が話題になった。なんとなく、今日は銀時は帰ってこないだろうと二人は予想していた。
だから神楽と新八は一緒に駅に向かっている。お妙には職場を通じてすでに連絡してあるから、帰るだけで良い。
「んー……」
いつの間にか不満げにくるくると万華鏡を回し始めた神楽に新八が気付く。
「あれ、どしたの神楽ちゃん」
「さっき見た模様が、定春の顔そっくりだったネ。もう一回あの模様見たいアル」
唇をとがらせながらつぶやく神楽に、新八は穏やかに笑った。
「あはは、そんな模様あったの? でも無理だよ。同じ模様にはならないと思うよ」
「そうアルか? 残念ネ……じゃ、今度は新八のアホヅラ模様出すアル」
「いや、それこそ無理だろ」
冷静に突っ込みつつも、新八は苦笑する。
妙に穏やかな気分だった。
回ってしまえば万華鏡の中にある飾りが場所を変え、彩りを変え、その模様は確実に形を変える。一度変わってしまった万華鏡の模様は奇跡でもなければ全く同じ模様にはならないだろう。似たような模様は望めたとしても、何かが違いどこかが違う。
一度変わってしまったら、同じ形には二度と戻らない。
だからこそ、その模様はそれぞれが美しい。
そして美しい一瞬が連なって回り続けるのだ。
その輝きで見る者を魅了し続けながら、決して止まることなく、形を変えていくつもの模様を描きながら。
月明かりの下で、神楽の手の中で。
その小さな万華鏡はとめどなく回り続けた。
298:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:39:27.20 ErqUH+Hq0
幕府が国を天人達に明け渡してから、行動に重要な根拠を失った攘夷派はがくんと減っていった。
明確に朝敵とされ、天人ばかりか同じ国のものに追われる理不尽さ。
戦も小競り合いのようなものばかりになり、明らかに事態は桂達を残して勝手に収束に向かっている。
しかし、桂にはそれが無為なことだとは思えなかった。
妥協だけで事態が上手くいくとはどうしても思えなかったからだ。
だが、去っていく者達の気持ちもわからなくはなかった。
戦っていても、守ろうとしているものにさえ疎ましがられる。
その中で意志を貫くのは、つらい。
だから、去る者を追う気には、まして責める気にはならなかった。
銀時が去っていっても。
それは久しぶりに規模の大きな戦いだった。
過去の大戦には比べるレベルではないが、それでも多くのものを切り、多くの同志も失った。
最後は乱戦になり、仲間は散り散りになった。
桂も気がつけば一人になっていた。
戦場となった平原から、少し離れた山というほどでもない小高い森の中、最後の追っ手を待ち伏せて
切り捨て、周囲を見渡す。
残暑が去り、鬱蒼と茂った背の高い雑草も少し色が落ち始めている。
と、その草がかすかに揺れるのを感じた。
咄嗟に刀に手をかけ、すぐ離す。敵としては気配が小さすぎたからだ。
草を揺らしながら、ひょっこりと土に汚れた顔をした少女が顔を出した。
みるみる表情が変わる。
こんなところに人がいたことより、その情景に驚いたのだろう。
桂の足元では、牛の顔をした天人が胴を真っ二つに裂かれて絶命している。
「驚かせてすまない。ここは戦の近くで危険だ。
まだ天人がいるかもしれんし、間違って切られる可能性もある。
すぐに家に帰れ」
硬直してる少女に話しかけると、少女はびく、と体を震わせた。
見開かれた眼は恐怖に染まっている。
守ろうとしているものから向けられる負の感情は、堪える。
「怖いものを見せて悪かった、すぐにここを・・・」
できるだけ怖がらせないよう、再度穏かに話しかけた桂の言葉が止まる。
気配がする。大きく、荒い足取りが3人。いや、4人か。
おそらく敵のものだ。
厳しい表情で、桂は少女を見た。この距離では、この少女はおそらく見つかるだろう。
背が高く伸びた草木が災いして、姿を捉える前に気配を隠すすべもない少女は草ごと薙ぎ払われるのだろう。
桂は一瞬目を閉じた。
「そこに隠れていろ!」
向かってくる気配のほうに、わざと音を立てて草を掻き分けながら走る。
自分達を疎ましがり、恐れるのは抗うすべを持たないこと無かれ主義の者達の都合だ。
しかし、彼らも含めてこの国を守りたいと思うのは、意志という自分の都合なのだ。
草を掻き分け、一気に距離を詰めた。上から振り下ろされる斬撃を鞘で流す。
距離が近過ぎる為、ここで争うのは不味い。
そこにいた4人が間違いなく異形の姿をした天人であることを瞬時に認め、横に飛んで左端にいた
嘴のある天人の脇を走り抜ける。その際に相手の手首を切り裂いた。
絶叫と怒号が響き、そろって後を追ってくる。
天人由来の電信機器で連絡を取り合っているようだ。
追っ手が左右から次々に湧いて、桂はそれを避け、小山の裏側の岩場のほうに走った。
(おかしい・・・。追いつけないのは兎も角、なぜ深追いしてこない。
まるで、どこかに誘導しているような)
不安が過ぎるが、かといって多勢に無勢な上、少女のいる場所から離れなければいけない事情がある桂に
選択の余地はなかった。
しかし、幾多の戦闘や危機を乗り越えてきた桂の直感は正しかった。
そう、桂は罠に嵌められていたのだ。
299:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:42:42.32 mcY7jNhQ0
走った先に、岩場に沿うようにして天人が持ち込んだ自由に形を変えて固められる石、
「こんくりーと」でできた建物が建っていた。
待ち伏せを警戒したが、生き物の気配は感じられない。
廃墟というにはあまりに新しすぎるし、今回の戦の拠点にしては少し離れすぎている。
無関係なものだろうか。
後方から、まだ遠いが数十の追っ手の気配を感じる。
ここならとりあえず岩場より身は隠せるし、隙を見て逃げればいい。
何か天人がここでたくらんでいることがあるなら、その尻尾を捕まえることができたら役に立つかもしれない。
桂は裏の開いていた窓から中へ滑り込んだ。
日が落ちたせいで中は薄暗く、しんと静まり返っている。
入った部屋は何かの倉庫のようで、ほこりっぽくいくつもの箱が積みあがっている。
ここから機を見て脱出するために部屋の配置や構造は知っておかねばならない。
桂は音を立てずに扉を開けて廊下に出た。やはり、人の気配はない。
階段を上ろうとして、何か物音を感じた。
水音のようなそれは、地下から聞こえるようだ。
地下は必然的に逃げ出しにくくなる。
逡巡したが、外にいた敵の気配がまだ近づいてこないため、確認だけすることにした。
足早に階段を下り、下りてすぐの音の漏れる扉をそっと開いた。
隙間から中を覗き込もうとしたとき。
中からいきなり扉を開けられた。
とっさに飛びずさろうとした桂の足首に何かが巻きつき、強い力で引っ張られる。
釣り上げられた魚のように、細い体は簡単に宙を舞った。
宙吊りにされ、見上げた足首にはムチのようなものが絡まっている。
繋がっている先を追い、桂は絶句した。
巨大な蛸のような、幾本も触手を伸ばした軟体生物が、金色に光る目で桂をねめまわしていた。
背筋を生理的な嫌悪が襲い、桂は足首に絡みつく触手を断ち切ろうと腰の刀に手を伸ばした。
途端、発射されれたようなスピードで幾本も触手が桂に襲い掛かってくる。
しかし、桂の剣のほうが早かった。
足首の触手を断ち切り、落下しながら返す刀で向かってくる触手を切り落とす。
くるりと身軽に空中で回転し、着地した。
床が、ずぬりと揺れた。
はっと見下ろす。
そこには夥しい数の触手が積み重なり、絡み合っていた。
身を翻す間もなく、桂は無数の触手の群れに絡みつかれていた。
「この・・・ッ、離せ!」
必死に刀を振るうが、振るう腕にも重く触手が纏わりつき、身動きが取れない。
むしろ、動けば動くほどきつく絡み付いてくるようだ。
触手はピンクがかった焦げ茶色をして、ぬらぬらと黄色っぽい粘液に塗れていた。
それが無数に絡み付いてくるのだから、桂の衣装もじっとりと湿ってくる。
むき出しの顔にも擦り付けるように触手が伸びてきて、桂は首を限界まで捻って避けようとしたが、
避けた側からも触手が伸びてくる。
滑らかな白い頬に、生臭く粘り気のある粘液が塗りたくられ、気持ちの悪さに桂は顔を歪めた。
これが見た目通り触手であるなら、おそらく餌を捕らえるためのものだろう。
こんな気味の悪い生物の餌食になるなどごめんだ。好機があるとすれば捕食のときだろう。
例え死んだとしても、こいつも道連れにする。
桂はどうにかして腕を動かし、両手で刀を支えた。
決して目から力を失わない桂を見つめる金色の目が、くるりと動き、絡みつき自由を奪っていた触手が、
一斉に体を這いずり始めた。
ある意志を持って。
器用にぱちん、ぱちんと音を立てて胸元を覆っていた簡易式の鎧が外される。
食べにくいからか、と思った瞬間、ずるっと一本の触手が着物の襟元から胸に侵入してきた。
「・・?!」
ぬるぬると粘液を分泌しながら、触手は桂の胸元を這いずり、乳首のところでふいに動きを止めた。
そのまま小さな乳首を囲むように触手が絡みつき、愛撫するように締め上げる。
捻られる刺激を感じ、桂は驚愕の目で触手を見やった。
捕食のために必要な行為とは思えない。これではまるで・・・・
「なっ」
動きやすさを考え、桂は袴ではなくズボンのような下穿きを履いていたが、その中にも触手が入ってきた。それも4本も。
太ももに絡みつくように粘液を擦り付けながら脚を伝い降りていくもの。 そのうちの後ろから侵入してきた一本が、股間の間に侵入しようと固く閉じられた脚の隙間をこじ開けようとする。
300:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:43:51.72 hAwgoYIy0
桂はふんばって耐えようとしたが、外から桂に絡み付いている触手たちが両足に巻きつき、
力ずくで脚を開かされた。
開けられた狭間に、ぬるぬるとした触手が勢いよく入ってくる。
「・・・んッ」
後ろから性器を持ち上げるようにされ、息が漏れた。
更にもう一本、後ろから少し細い触手が桂の褌の隙間から潜り込んできた。
「な、何を」
そのまま触手は尻の穴をぞろりとなぞっていく。
皺の隙間に塗りこめるように、どろりと大量の分泌物を零された。
気持ちの悪さに固く引き締まって震える穴を宥めるように、円を書く仕草で触手はそこを撫で回した。
ぞくぞくと寒気を感じ、桂は震えた。
これではまるで性行為のようだ。
ふいに桂の頭に銀時の声が過ぎる。
「お前、きつきつで慣らすのも大変だけど、苦労する甲斐あるすげーイイ体してるよな」
あの時は、行為の最中でろくに反論もできなかったが、後で殴りつけてやった。
「なんで怒るかね、ほめてんのに。・・・ッテ、別に愚弄とかじゃねーって。
もうこの体に突っ込めるのが一生俺だけだったらいいのにって思ってさ。
魔性みてえだもん。なんか人間じゃなくてもメロメロになりそうな
・・・・って痛ェって」
銀時のことを思い出すと、そんな状況でないとわかっていても胸が痛んだ。
銀時が出て行ったことを、理由も考えて理解しているつもりだ。
だが、受け入れられてはいない。
意識が逸れたのを見抜いていたのか、わずかに力が抜けたせいか。
尻の穴を弄っていた細い触手が、大量の粘液の力を借りて中にずるっと挿入ってきた。
「うぐっ」
狭い穴の中に押し入るように、触手はその身を捻らせながら侵入しようとしてくる。
桂はそこを固く締めて耐えた。
こんな生き物に好きにされるなど死んでもごめんだ。
触手は先端をどうにかもぐりこませたものの、脚を震わせながら必死に抗う桂の抵抗で先に進めない。
しばらくぐりぐりと強引に侵入しようとしていたが、やがてふと動きを止めた。
諦めたのか、思っているとやがて触手はぷるぷると身を震わせ、ごぽりとその細い管から大量の粘液を吐き出した。
「なっ」
固く閉じている桂の中には注ぎ込めず、粘液の殆どは触手と入り口の隙間から零れだす。
それを待っていたように、いくつもの細い触手がそこに群がってきた。
「や、嫌だ、やめろ!」
言葉が通じないとか、考える前に桂は叫んでいた。
穴の淵の皺をひとつひとつ伸ばすように、細い触手達が我先にとそこを押し広げようとする。
腿の内側の筋肉が張り詰め、震えた。
先ほどから、桂は何か違和感を感じていた。
頭の芯が少しずつ熱を帯び、少し気を抜くと体の力が抜けそうだ。
(これは・・・なんだ)
息が荒くなっていき、頬が赤くなっているのが自分でも分かる。
まるで、行為の最中のような。
(馬鹿な、こんなことくらいで・・・。何か変な薬でも盛られたわけでも・・!)
思い立って、見下ろすと胸を嬲っていた触手は更にぬるぬると白く滑らかな肌に粘液を擦り付けている。
先ほど尻の穴に撒かれた粘液が、何だか熱い。
(まさか・・・・この粘液に何か・・)
桂が呆然としている間に、緩んでいた褌は既に触手に解かれ、晒された穴に群がる触手は更に数を増した。
桂は固く目を瞑り、ともすれば力が抜けそうな体を必死に支えて踏ん張る。
目を閉じていたせいで、桂は気がつかなかった。
一回り大きい触手が、先端を花のようにぱっくりと広げ蛇のような動きで、半ば勃ち上がって震えている
桂の性器に近づいているのを。
301:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:44:52.84 KmGKaeKG0
這い寄ってきた触手は、広げた先端で桂の性器の先端に噛み付いた。
「ああっ」
不意打ちの強烈な刺激に、桂は身をのけぞらせて声を上げてしまう。
同時に、必死に閉じていた後ろの穴がわずかに緩んだ。
その機を逃さず、群がっていた細い触手達が粘着質な音を立てて中にもぐりこむ。
「やッ・・・あうっ」
桂は一生懸命力を入れようとするが、中に入った触手に穴を内側から広げるように引っ張ってこじ開けられた。
前で桂の性器を咥えた触手も、うねうねとそこに絡みつき、絞り上げる。
「嫌・・・気持ち、わるいッ・・」
嘘だった。既に快感を覚えこまされた体は刺激に反応し、受け入れ始めている。 それが桂には許せなかった。
(こんなものに嬲られて・・・反応するなど) 悔しさに涙が滲む。
「離せっこの・・・むぐっ」
熱くなっていく体を、薄れ掛けていく意識を鼓舞しようと桂は殊更に声を張り上げ、拒絶する。
その大きく広げられた口に、一際太くグロテスクな触手が侵入してきた。
「んぐッ・・・ウ・・・んううッ」
噛み切りたかったが、顎が外れるほどの大きさでいっぱいに広げられているため、力が出し切れない。
そのまま身震いをさせて触手は桂の口に放った。
喉の奥まで生臭い粘液で満たされ、咽たため鼻からもとろりと零れる。
舌に血液に似た、生臭く酢っぱい味がする。
吐き出したくても、出すこともできず、桂は呻いた。唇の端から、とろりと粘液が零れる。
下肢の陵辱も続いていた。
ちゅるちゅると吸い上げるように性器の先端を吸われ、耐えられない刺激にそこは張り詰めている。
息苦しさと快楽で潤んだ視界に、大人の腕ほどの太さの触手が映った。
その大きさに目を見開く。
その触手は殊更に見せ付けるように桂の目前を過ぎ、ゆっくり下に向かう。
(な、なにを・・・)
意識がそちらに向かった瞬間、四肢に巻きつき自由を奪っていた触手がぐん、と桂の体を引き上げ、
そのまま宙吊りにされた。
「んんッ!・・・が、がはっ」
勢いよく口内を犯していた触手が抜け落ち、一気に入ってきた空気に桂は咳き込んだ。
目を開くと、手足を纏めて上にされ、屠殺場の豚のような体制で吊るされていた。
すぐ側に、金の目が光っている。
桂は、これまでの陵辱の間も刀を落としていなかった。
距離が縮んだのを利用し、せめて一太刀、と重くまとわりつく触手の下で刀を握りなおす。
桂の意識がそちらに向かっているのを、触手は見逃さなかった。
細い触手がいくつも入り、こじ開けられ、迎え入れるように広げられていた下の口に、
先ほどの太い触手がいきなり突き入れられた。
「あああッ!」
尋常でない太さのものを突きこまれ、桂の体はびくびくと仰け反った。
硬直した拍子に、これまで必死に握り締めていた刀を落としてしまう。
「しまっ・・・・・ああうッ!」
許容以上の大きさに、入り口は限界まで広げられていた。
そこを労わるはずもなく、触手は性器を模した動きで桂を激しく突いた。
「ヒッ・・・あぐッ・・・・んあアッ」
宙吊りにされた細い肢体が、突き入れられるままにがくがくと揺れる。
あまりの太さに腰骨と内臓が擦れて感じたこともない痛みが走った。
「いたい、いやあっ・・・ひうっ」
歯を食いしばって耐えようとしても、衝撃に耐えられず、悲鳴交じりの喘ぎが零れる。
狭いそこを押し広げられる痛みは確かにあるのに、粘液に犯された頭は次第にそれを快楽に変換していった。
体内の力が緩み、触手はうねうねと性器ではありえない動きをさせて、桂の内部を犯す。
まだ誰も入ったことのないほど奥の処女地にまで入られ、桂は身悶えた。
押し入られる苦しさに、空気を求めて大きく開いた口を、また別の触手が犯す。
もう何が快感かもわからなくなっていく。
震えながら弾けた桂の精液を求めるように、また増えた触手が舐め取っていく。
下に挿入れていた太い触手は、ごぼごぼと絶えず粘液を吐き出しながらも一向に去っていかない。
302:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:45:56.39 XFkHKT3s0
どれだけそのまま全身を犯されていたのだろうか。
もう思考がまとまらない桂にはどれほどの時間が経ったのかわからなかった。
一晩中続いていたように感じていたが、おそらく数時間だったのだろう。
「おお、よくやったなタマ。美人党首様を一本釣りか」
「こりゃすごい。トロトロにとろけているじゃないか。
タマがここまでやっているのは初めて見たぞ。
よほどイイのか」
「こんな罠に引っかかってくれるとはな。これは大分楽しめそうだ」
開かれたままの戸の向こうから、乱暴な足取りで何人もの天人が入ってきた。
吊り上げられたまま執拗に揺さぶられながら、桂は熱に浮かされた意識の中、
まだこの陵辱が終わらないことを知った。
雪がひらひらと降っていた。
まるで花びらのように、折り重なって全てをお前の色に染める。
とても寒かった。
お前が出て行くのを、気配で感じていた。
何か言いたかった。言わなければならないこともあった。
でも、体が凍りついたように動かなかった。
横たわったまま固まっている背に、視線を感じて、しばらく。
気配がゆっくり去っていく。
これが最後。
ぶるぶると震える己の体だけが、ひどく正直だった。
いかないでくれなどと、とても言えない。
銀時。
「おら、いつまで寝てんだ、よ」
罵声と共に冷たい水をかけられ、意識を引き戻された。
流れ込んでくる水の隙間から開いた目に、むき出しの自分の足が映り、桂は顔を歪めた。
過去の残滓を拭い、思い出したくもない陵辱の記憶が戻ってくる。
天人を避け、忍び込んだ家の地下で、天人の飼っているらしい異形の生物に体中を嬲られたこと。
気味の悪い触手で散々貫かれ、あろうことか反応し快楽を感じたこと。
全て葬り去ってしまいたい記憶だが、未だ状況は継続中だった。
桂にとって最悪な形で。
「散々楽しんだみてえじゃねえか、桂小太郎」
足を撫でられる。途端ぞわっとおぞましさから来る寒気と・・・刺激を感じた。
(なんだこれは・・・体が・・おかしい)
桂の体は未だ触手の吐き出す体液の催淫効果に侵されていた。
本人が望まざるにかかわらず、僅かな刺激も快感に変換されていく。
「こうして間近で見ると、綺麗な顔をしてるな」
ずぶ濡れで冷たい床に転がされている桂の傍らに膝をつき、牛のような角のある天人が
桂の細い頤を毛むじゃくらの手で掴み、上げさせる。
喉を指が掠める刺激にすら、熱い吐息が漏れてしまいそうになるが、どうにか理性を
かき寄せて目の前の天人をきつく睨み付けた。
「おお、おっかない顔をする。美人が睨むと怖い怖い」
桂の虚勢を鼻で笑い、揶揄しながら天人が生ぬるい息を吐きかける。
周りを囲む天人たちもそろって哄笑した。
桂は目の端で数を数える。5、6、7人。数が多い。
刀はあの気味の悪い生物に嬲られたときに落としてしまった。
この人数を相手に、戦うのはおろか隙をついて逃げるにしても分が悪すぎる。
更に悪いことに、天人を睨みつけるために顔を少し上げることすらひどく体が重く感じた。
あの液体には、何か体を動かなくさせる作用があったのかもしれない。
捕食のための道具なら、獲物を動けなくさせるものなのだろう。
桂の逡巡を無視して、天人はにやついた顔をより近づけてきた。
「タマには随分かわいがられたみたいじゃないか。
あんたは随分ヨがっていたから、引き離すのが可哀想だったなあ。
タマもめずらしく、とても寂しがっていたよ」
303:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:51:23.42 pNJXnVBF0
タマというのがあの生物の名前なのだろう。可愛いのは名前だけだ、と桂は心の中で吐き捨てる。
「代わりにアンタは俺達が可愛がってやるよ」
べろりと、厚い舌が桂の頬を舐め上げた。今度は純粋な嫌悪で、桂の背に悪寒が走る。
「触るな!下衆が!」
「まだ動けるかい、活きがいいねえ」
牛のような天人は、緩慢に身を捩ってもがく桂を肩から抱きすくめた。
触手に嬲られた際に着物はほとんど脱げてしまって、かろうじて帯で止まっている状態だった。
その大きく開かれた胸元を、大きな毛だらけの手に撫でさすられる。
「やめろ、離せ!」
「随分滑らかな肌だ、こんなに手触りのいい体はまだヤったことがないな」
「本当か?どれ」
横から別の天人が、太ももに手を差し入れてきた。
「すべすべして気持ちいいな」
「やめろ・・・ッ!嫌だ!」
「ん?どうした党首サマよ。何か当たるなあ」
股間に手が這いより、勃ちあがり始めている桂の性器を軽くつつく。直接の刺激に、どうにか声は耐えたものの、反射的に桂の体はびくっと震えた。
「おいおい、もう興奮してるのか?」
「盛りでもついてるんじゃないか?」
「嫌だとか言っておいて、勃ててるのか。大した淫乱だな」
天人たちが口々に桂を揶揄する。 常であれば切り殺してやりたいほどの羞恥を感じていたが、ろくに動かせない体は彼らの手中にあり、
声を耐えているため言葉で反論することも叶わない。
「こんな淫乱な党首様に突っ込んでやらないのは酷だろう」
「じゃあ、俺が最初にいかせてもらうぜ」
桂を拘束していた腕が離れる。密着する体温すら刺激に取っていた体は、詰めていた息を吐いて力を少し抜いた。
すでに桂の意識は飛びかけていて、言葉の意味を理解できなかったのだ。
腕を離した天人は、そのまますんなりと伸びた桂の白く細い足を乱暴に掴みあげる。
「・・なッ!」
くるりと体を回転され、桂は目を見開いた。目の前に、興奮に目を血走らせた獣の顔がある。
「ほっそい足してんなあ、これで走れるのか」
天人はもう一方の足も掴んで持ち上げ、Vの形に大きく広げさせた。
「はなせ!」
あまりの体勢に、桂は必死に上体を起こして抵抗する。
「まあまあ、そうがっつかなくても逃げねえよ」
後ろから猪に似た天人が桂のむき出しの肩を、両手で掴んで固定した。どうあがいても、逃げられない。
絶望が桂の胸を満たした。
「しっかり反応してるじゃないか」
白い足を限界まで開かせて、天人は哂った。
性器の間近に顔があるため、喋るたびに吐き出される息が震える性器に掛かり、もどかしい刺激に体が揺れる。
「ここも、いい感じにほぐれてんな。挿入れてくれって言ってるぜ」
いきなり蕾に指を突き入れられた。乱暴な行為にも溶け切った体は浅ましく反応し、桂の性器が張り詰める。
「おい、早くしろよ、後がつかえてんだぜ」
桂を犯す天人の後ろから局部を覗き込んでいる天人が、苛立ったように言う。
「悪い悪い。つい楽しくてな。早速味見をさせてもらうさ」
「生で大丈夫か?俺たちには大した効果はないとはいえ、タマの粘液が残ってるだろ」
「かまわんだろ。少し体が鈍るだけで、こいつを逃がすようなことはない。
潤滑剤になるし、何より生でないと楽しめないしな」
牛のような天人は、笑いながらそう返すと、手早く泥に汚れたズボンのチャックを下ろした。
待ちきれないようにぶるんと飛び出してきた巨大な性器に、桂は絶句する。
「いやだ・・・やめろ、そんなもの、入れるな・・ッ」
必死に頭を振って拒否する桂に、取り囲んでいた天人たちの笑い声が強くなった。
「随分煽ってくれるな、お前は天性の淫売だよ」
「あッ」
後ろから桂を押さえつけていた天人が、耳の中に舌を差込みながらささやく。
その刺激に思わず仰け反り、意識の反れた途端、蕾に焼けるような熱いものが押し当てられた。
「いやっ・・・・んああああッ!」
ずん、と半ばまで一息に押し込まれる。
ぎちぎちに嵌められ、広げられた入り口が痛む。
しかし、それを補って余りある快感に桂は喘いだ。
「あうッ・・・ひ、ふぅッ」
中をかき回され、桂は何度も声を上げさせられた。羞恥は感じるのに、体が熱くて、息を、声を止められなかった。
304:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:53:03.61 +f+BjnPC0
自分の状況を否定するようにゆるゆると首を振ると、その白い首筋を背後の天人に甘噛みされる。
更に、むき出しの胸で固く芯を持って立ち上がっていた乳首をつままれ、針で突付かれたような鋭い刺激に
また喘ぐ。
どこにも意識の逃げ場がない。
「これは・・・かなり具合がいいな。絞り上げられてるみたいだ」
「おい、早くしろって」
「しかしタマの粘液の効果もあるとしても敏感すぎないか」
「こんなエロい体が男を知らないはずがないだろ。可愛がられ慣れているんだろう」
「随分開発されてんな」
半ばまで挿しこまれた凶器は、桂の内部を楽しむように緩く動かされる。
緩慢な刺激に散々触手に嬲られた体は暴走し、ぎこちなく細い腰が揺らめく。
もっと奥まで入れて欲しいと言うように。
「おいおい、もっと犯して欲しいってよ」
「娼婦顔負けだ」
その様を天人に口々にからかわれ、まだ僅かに残っていた桂の矜持は焼けるように痛んだ。
「悪い悪い、今奥まで入れてやるからな」
ズプッと濡れた音を立てて、天人の醜悪な肉棒が桂の白い尻に根元まで突き入れられた。
「はうッ」
ずんと脳天まで響く刺激に呻きながらも、桂の体は吸いつくように凶器を飲み込んだ。
そのまま一気に引き抜かれ、また突き込まれる。
身悶えながら桂は突かれる度に仰け反り、よがった。
「くぅうッ・・・・こいつすげぇっ」
「ふ・・・ううぅッ」
5回ほど抜き差しをしたところで、天人が大きく唸り、身震いしながら桂の中に放つ。体内にぶちまけれた異形の者の熱に、桂は絶え入るような声を出した。快楽のためか最後の理性か、一滴透明な涙が頬を伝う。
ずるりと引き抜かれたものが、どろりと白く糸を引いた。
「はえーよ」
「煩い、お前だってそうもたないぞ。こいつ喘ぐたびにきゅっきゅって締めてきて・・」
「早くどけって、次は俺だ」
桂は天人に次々と犯された。
何本もの性器で代わる代わる貫かれたそこは赤く腫れ上がり、吐き出された白濁を
絶えず零しながら震えていた。
入り口は開いたままになり、呼吸に合わせて物欲しげに小さく開閉していて、
陵辱を拒むどころか迎え入れているようですらあった。
「入れやすくなったのはいいけどよ・・・ちゃんと締めろよ、オラッ」
「あゥッ」
腰をつかんで引き上げられ、足が胸につくほど折り曲げられると、真上から天人が乱暴に突きこんでくる。
内臓が押しつぶされて苦しい体勢だが、その苦しさにすら感じてしまい、桂は喘いだ。
7人いた天人は皆順番に桂を犯し、それでも足りないのか2週目になっている。
いつ果てるともない陵辱に、桂は既に何度も意識を飛ばしていた。
その度に、気絶した体では具合が悪いと無理やり意識を引きずり戻された。
終わらない快楽に脳を犯され、桂の目は次第に焦点を失っていく。
精神が限界まで追い詰められて、逃避のためかあるはずもない幻影を見た。
「・・銀、時・・・ああっ」
「おい、こいつ男の名前呼んでるぜ」
「すました顔して男を散々くわえ込んでたんだろうな」
意識があれば、舌を噛み切りたいほど屈辱であろう、天人の揶揄の声も聞こえなかった。
「ぎんとき・・・ん、あッ・・・・・・・もっと」
意識が朦朧とした桂の目には、自分を犯す醜悪な天人が一番逢いたい男に見えていた。
自ら甘えるように摺り寄り、細い足を天人の腰に絡みつける。
「おっ、大サービスだな」
「!・・・おいおい、中までまた良くなったぜこいつ。
どういう体してんだ・・・くっ」
銀時に抱かれている。
そう認識している桂の体は、それまで以上に解れ、もっと欲しいというように挿入れられた性器に絡みついた。
その刺激に耐え切れず、天人が再度吐き出す。
「っつ」
「あああッ」
中に出される感覚に、桂は身悶えて極まった声を上げた。
305:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:54:39.92 c33ObDFA0
「・・・ハッ、こりゃすげえ拾いモンだ」
荒く息を吐き、すぐに回復したものを埋め込んだまま、このままもう一度と桂の足を
抱え直した天人の肩を別の天人が掴んだ。
「おい、お前ばかりやるな!か、代われよ!」
「待てよ、もう一回くらい・・・」
「俺はさっきから待ってるんだ」
天人たちが桂を犯す順番を争っている間も、桂は小刻みに息を吐きながら、
未だ夢の世界にいた。
(去ってなどいなかったのだな、銀時)
銀時が桂の背を撫で、髪に顔を埋める。
いつも情事のあとはそうしてくれた。
くすぐったくて、幸せな時間。
(銀時)
「どけよ、俺が・・・ッ」
桂の足の間にいる男を突き飛ばし、サイのように鼻に角のある天人が、
鼻息も荒く桂に圧し掛かってきた。
その太い首に、するりと桂の白い腕が回される。
「銀時・・・もうどこにもいかないでくれ・・・・」
ずっと言えなかった言葉と一緒に、透明な涙が桂の白いもので汚された頬に流れた。
「へっ、飛んでやがる」
サイのような天人は、桂の下肢を限界まで開くと一気に根元まで挿入した。
「あ――ッ」
「うおっ、こりゃイイ!」
甲高い声を上げて、桂は銀時だと思っている相手を受け入れる。
縋りつくように首にぎゅっとしがみついた。
気分よくされるがままにしながら、天人は桂の骨ばった肩にむしゃぶりつき、
派手に音を立てながら何度も突き入れた。
その度桂は腰を捻らせて嬌声を上げる。
その様子を視姦しながら、天人達は顔を見合わせた。
「なあ、こいつどうせ突き出しても、俺たちには金一封くらいだろ?」
「だよなあ、官吏に楽しませるのもしゃくだしな」
「せっかくだからこいつここで飼うっていうのはどうだ?」
「いつでもヤれるようにか?いいな、こんな具合のいい便所を使い捨てるのはちょっと勿体ねえ」
「しかし居ないときはどうする?繋いでおいても逃げるんじゃないか」
「いねえ間はタマに面倒見させとけばいいだろ」
「死んだら上に持ってけばいいな、報奨金かわんねえし」
桂を性の道具として飼うという提案に、全員が頷いた。
そんな話も聞こえず、天人に体中を嘗め回されながら桂はまだ幻影を見ていた。
「ぎんとき・・・あアッ、や・・・はあッ」
(お前はいつまで捨てられた男にしがみ付いてんだ?)
突然、冷たい声が頭に響き、桂は目を見開いた。
銀時が去っていった日。
桂は1日中、縁側に座って外を眺めていた。
昔のどうでもいいことが、妙に鮮明に頭につ次々に浮かび、消えていった。
目の端で高杉を見たように思うが、はっきりしない。
毒舌家の高杉が、腑抜けのようになっている自分に何も言わないとは考えにくかったから、
あれも過去の幻だったのかもしれない。
その後の慌しい数日間は、いつも通りに振舞えていたと思う。
銀時の離脱に動揺する志士達を叱咤しまとめる必要があったからだ。
自分が代表なのだから、こういうときこそしっかりしなければ、という使命感と、
やることがあるという責任がどうにか体を動かしてくれた。
高杉は何も言わなかったが、時々何とも形容しがたい目で俺を見ていた。
一月経ち、それまで拠点にしていた古い空き家を離れることになった。
荷物をまとめ、痕跡が残っていないか家中を確認している時、ふと足が止まる。
想いとは不思議なもので、離れがたいと思ったのは銀時と何度も抱き合った部屋でなく、
銀時が去っていった縁側だった。
306:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 21:58:26.16 vkdROrg/0
そこにしゃがみこんで、板目を撫でる。 ここを最後に銀時が歩いたのだろう。
不意に、古びて黒光りする床板に、雫が落ちてきた。
雨かと外を見るが、雲ひとつない青空で、自分の目から零れていると知った。
銀時が去ってから、一度も泣いたりしなかったのに。
「お前はいつまで捨てられた男にしがみ付いてんだ?」
ふいに、後ろから声を掛けられた。 振り返ると、袋に入れた荷物を片手に下げた高杉が、俺を見下ろしていた。
「高杉・・・」
「そうやってしがみ付いても、銀時は帰ってこねぇし、お前はどんどん弱くなるだけだぜ」
「・・しがみ付いてなどいない」
「そんだけ依存しといて、よく言うぜ」
さっさと立てよ、と言うとこちらの返事も待たずに高杉は後ろに屈んできて、 腕を取られて引き上げられた。
「出てくんのが遅い党首サマを皆外で待ってんだ。無理でもしゃんとしたフリをしろ」
掴まれたところが、妙に痛かったのを覚えている
高杉は嫌いだ。
いつも、全てを見透かすように、本当のことを言うから。
頭に響く声と共に、昔のことが一気に押し寄せて、それに意識を洗い流されるように
桂は我に返った。
仲間の血に汚れた、おぞましい天人が自分の上で呻きながら腰を振っている。
冷や水を浴びせられたように頭の芯が冷える。
「や・・やめろ、どけ!」
「おい、急に暴れだしたぞ!そっち抑えろ!」
「離せ!」
掠れていたが、かまわずに声を張り上げ桂は圧し掛かっていた天人を突き飛ばし、もがいた。
周りを囲んで順番を待っていた天人達が慌ててその体を押さえつける。
体の自由はまだ利かなかったが、桂は天人の手を振り解こうと闇雲に暴れた。
「おい、仕方ねえ、手足折っちまえ」
「いっそ切っちまうか?もったいねえけど」
天人3人がかりで押さえつけられ、床に磔にされる。 細い腕を取られて捻られ、みしりと嫌な音がした。
「せっかく従順になってたから、あっちこっち使おうと思ってたんだけどな」
「本当に勿体無い」
「まったくだ、その無駄に細ェ腕にも色々使い道あんだから壊されちゃ困る」
ふいに聞き覚えのある声が響いて、桂は弾かれたように顔を上げた。
その体の横に、胴から分断された天人の躯が音を立てて落ちる。
「だ、誰だ?!」
「な、お前どこから――ッ」
「答える必要はねえなあ」
桂もまた、驚愕の顔で見ていた。
戦闘中はぐれたきりなのに、どうしてこんなところにいる?
「・・高杉」
戦闘はあっという間だった。
桂を介して触手の粘液にやられていたこともあってか、動きの鈍い天人達は高杉の敵ではなかった。
桂がどうにか体を起こして、未だ事態を飲み込めず見ているうちに、高杉はあっさりと最後の天人を
袈裟切りにすると、かちんと音を立てて刀を鞘に収める。
無表情に桂を振り返ると、切り伏せた天人の服を引きちぎり、大股で桂のほうに歩いてきた。
「高杉・・・どうしてここが・・・いや、すまない、助かった」
全裸で、先ほどまで天人に輪姦されていた、穢れ切った体を見られるのは辛く、
できるだけ体を縮めようとしている桂を、フンと鼻で笑うと、高杉はその正面に乱暴に座り込んだ。
「顔上げろ」
顔を伏せている桂にそういうと、桂が躊躇っている間に乱暴に顎をとり、顔を上げさせる。ぐいぐいと、布で顔を拭われ、更に閉じていた足を引かれて開かされ、下肢をやはり乱暴に拭われた。
咄嗟に抵抗したが、力も入らず、まったく取り合ってもらえない。
散々擦られて腫れ上がり、男の種を零している場所もすべて見られただろう。
羞恥に俯く桂に、高杉は自分の着ていた隊服を着せ、適当に前を留めた。
天人に掴まれた指跡の残る白い腕を、引き上げて桂を立たせる。
足腰がまったく据わらず、立たされても崩れ落ちそうになる体を、腕を肩の上に通して背負った。
「た、高杉」
「出るぞ、話は後だ」
307:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:01:06.60 vkdROrg/0
外へ出ると、そこは既に真の闇になっていた。
高杉は、あらかじめ調べていたのか迷わず裏に回ると、置いてあった灯油のドラム缶を
蓋を外して建物の中に蹴りこみ、マッチを流れ出た油に放る。 火の道が走り、ごうっと音を立てて建物の奥から火の色が見えた。
「行くぞ」
背中の桂を抱え直し、高杉は山道を下っていく。
しばらく経って振り返ると、来た方向に橙色の火柱が見えた。
追っ手は気配一つなく、山には虫の声がするばかりだ。
ひどく疲れていたが、桂は気になっていたことを高杉に尋ねた。
「どうして、俺があそこにいるのがわかった」
「・・・子供が」
「え?」
「お前、子供助けただろう。そいつがお前がこっちのほうに逃げたっつってた。
怖ぇんだろうに、俺見てガタガタ震えながら、お前が天人に追われてるから
助けてくれってよ。こっちつったって山は広いからな。大分手間取った」
まあ、方向や大体の場所が特定できただけマシか、と高杉は続ける。 子供。山の中で桂に会い、ひどく怯えていたあの少女だろうか。
あんなものを見せたのに、あの子は更に怖い思いをしてまで、自分を助けてくれと告げたのか。
偉そうに、まるで自分だけが背負い込んだようなことを思って、 自分は何と思い上がっていたのだろう。
たまらなくなり、桂は高杉の肩に顔を伏せた。
高杉の背が一瞬強張り、すぐ元に戻る。
「・・・・・すまん」
「・・・んだよ、素直すぎて気持ち悪ぃ」
高杉の背からは、普段あまりしない汗のにおいがした。 靴は泥だらけで、ズボンの裾が破れている。
いつも飄々として、洒落者のように格好をつけているくせに。 山の中を、方向だけで探すのはどれほどのことだろうか。
高杉の言葉はいつも通り悪かったけれど、いつもより少し甘い響きを持って桂の胸に染みた。
いつも状況を正しく捉えてきついところを抉る。
それは、ずっと桂を見ていなければわからないことだ。
浅はかで、いつも後悔ばかりしている。
そんな俺を、お前はずっと見てくれていたのか。
銀時を忘れることは、生涯ないと思う。自分は割り切りが下手だ。
けれど、この先どんなことがあったとしても、この時背に揺られながら聞いた、
高杉の早い心臓の音を忘れることもまた、決してないと思う。
例え道が別れる日が来ても。
308:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:07:19.35 Zp9eBFIb0
さらさら さらさら
背中を向ける桂の中途半端な長さの髪の毛が、風に嬲られて流れている。
なんで風で舞う髪がこんな規則的に流れるんだ。まるで風に梳られている
ように見える。
自分の好き勝手な方向に動くものとは違い、髪の毛までお行儀いいのか
こいつは。
何となくむかついて、さらさら流れる髪を引っ張ってやった。
ずっと銀時を空気みたいに放置して、何やら書き物をしていた桂が眉間に
皺を寄せて振り向く。
「なんだ貴様は。邪魔をするなら帰れ」
「いや、統率のとれたヅラだなあと思って」
「ヅラじゃない」
桂は仏頂面で銀時の手を邪険に振り払った。
「銀さんいい子で待ってるんだけど、客ほっぽりだして、いつまでたっても茶
菓子のひとつも出てきやしねーし」
「誰が待っていろといった。勝手に上がりこんだくせに」
「追い出さなかったんだから、まんざらでもないだろ」
「面倒だからだ。大体、俺は万屋に行くときはちゃんと手土産を持参している
ぞ。手ぶらで押しかけておいて図々しい」
「いやほら、それはあれだから。銀さん自体が手土産みたいなもんだから」
「こんな死んだ魚の目の男などいらん。天パがうつるわ」
「お前自分がキューティクルだと思って調子にのってるだろ。パーマの失敗で髪質変わっちまえ」
「パーマ以前にお前の存在が何かの失敗だ」
既に書き物の続きは諦めたらしく、桂は銀時に向き直るといつものように終わりのない応酬をする。
人のコンプレックスを小馬鹿にした態度が憎らしい。
何かしら失敗をあげつらってやろうとまじまじと見る。
しかし。
(神様とかいるんなら、こいつは絶対贔屓して作ったよな)
至近距離で睨み合う桂の顔は、飽きるほど見慣れた銀時にとっても十分きれいだと思えるもので。
「・・・お前はあれだ、ダイエットのやりすぎて骨皮になってるじゃねえか。ス○オがトリビアの影ナレ
やってるのにあやかろうと・・・」
ついまじまじと見とれてしまったのをごまかすために、目をそらしてたまたま目線の先にあった桂の
手首を取った。途端にぎょっとする。
「お前・・・また痩せてないか?」
もともと桂は華奢な男ではあったが、それはきちんと筋肉がついた伸びやかな細さだった。
今つかんでいる手首は、かつて記憶にあるものより一回り細い。
「・・・気のせいだ」
桂は銀時の視線から逃れるように視線を落とし、つかまれていた手首をすっと抜く。
それを追いかけて、銀時は今度はしっかりと桂の手首を掴まえ直した。
309:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:08:37.49 2Ea/uJop0
「銀時、離せ」
「何があった」
「何もない」
視線を逸らしたまま、桂は短く言い捨て、銀時の手を振りとこうとするが、力は銀時のほうが上だ。
「・・・・高杉か」
「!」
「やっぱりそうか」
反射的に顔を上げてしまった桂は、鎌をかけられてたのだと知り、銀時の手から逃れようと更に暴れた。
身をよじって離れようとするのを許さず、銀時は細い体に圧し掛かる。
「何された?」
「銀時!重い!のけ!」
無駄だとわかっていても諦めきれないのだろう、桂はなおも銀時をはね退けようともがいた。
しかし、両腕をまとめて掴まれて畳に縫いとめられ、腰の上に乗られた状態では徒労に終わる。
「何されたか言えよ」
「・・・・・・」
力で敵わないならせめて口だけでも割るものか、とでも思っているのだろう。
桂は固く口を引き結んでそっぽを向いた。
そんなことをすれば、却って相手はどれほどの隠し事なのか気になるということなどわかっていない。
「・・ま、いいや。体に訊くし」
桂が非難の眼差しを向けるより速く、銀時の手がきっちりと合わされていた桂の着物の袷を一気に割った。
「へぇ・・・こりゃまた随分ご無体されたようで」
羞恥に震える桂をねじ伏せながら、銀時は白い肌に残された痕跡を揶揄した。
執拗に付けられた赤い鬱血や歯型まで残る噛み傷。
そして変色して紫と黄色のにじんだ模様になっている暴行の痕。
おそらく、合意ではないのだろう。
この乱暴の証拠を見るまでもなく、数ヶ月前決定的な決裂をした高杉を、頭の固い桂が
諾々と受け入れるのは考えにくい。
もともと桂は高杉には甘いところがあるが、それで信念を曲げるような男ではない。
「無理やりレイプされて、ショックで飯も喉を通らなくなったわけ?
信頼してた男に何度も裏切られちゃ、食欲の薄いお前にはきつかったのか?」
「・・もういいだろう、離せ」
裏切り、という言葉だけでも今も重いのだろう。桂は沈痛な表情になって目を伏せた。
鈍すぎる、そして甘すぎる男だ。
それがあそこまで高杉を暴走させ、またあまたの人を惹きつけ、銀時をここまでやきもきさせる。
本人だけが、それを知らない。
「・・・まだだ」
桂がいぶかしげな表情で顔を上げた。
「ちゃんと全身確かめてやる」
さっき文句もつけられずきれいだと思った桂の顔が、悲しげに歪んだ。
310:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:09:49.29 XFkHKT3s0
あきらめたように抵抗をやめた桂の手首を、それでも念のため解いた半幅帯で縛りあげた。
羞恥のためか、時々震える体を舐めるようにじっくり確かめ、傷つけられた場所をあげつらう。
そのたびに桂は苦しい顔をして、否定するように首を振った。
上から華奢な桂の体の線に沿って手を下ろし、長い足を胸に付くまで持ち上げたときは、
固く閉じていた目を開き、小さな声で許しを乞いた。
普段にはない弱弱しさは、逆に男の嗜虐心をそそる。
桂はまったく無自覚だろうが、それが却ってたちが悪い。
白く細く伸びた足を撫で、太ももから浮かぶ青い血管を指でなぞり、足の付け根を覗き込んだ。
「やっぱ突っ込まれたのか。まだ裂けてる」
「銀時、もう・・・やめてくれ」
震える声を無視し、固く窄まった穴を指でさぐる。触れると怯えるようにきゅっと縮んだ。
もともとの色の白さもあってか色素も沈着していない、薄赤い桂の秘部は痛々しく幾筋か裂傷が走っている。
先にここを侵略した男がつけたものだろう。
「かーいそうにな」
「うっ」
そこに無理に指を突き入れると、桂が呻いた。
裂けた傷口が傷むのか、排泄器官に押し入られる圧迫のためか、またはその両方か。
「痛いか?」
わざわざ桂の顔を覗き込んで聞く。
銀時を見返した黒い瞳は空ろで、目じりが潤んでいた。
「お前、わざとじゃないのはわかってるけど、わからないのもいい加減性質が悪ィな。
色っぽい顔しやがって」
「・・何を言っている」
「自分がどう見られてるか、自覚してなかったのか?
高杉なんて隠してもいなかったぜ。
気が付いてないのはお前だけだ」
「・・・お前は」
「あ?」
「お前は、なんなんだ・・・。こんなこと、どうして・・・」
括られた腕で顔を覆い、桂はすすり泣いた。
「・・だから、気が付かないのお前だけだって。
あんだけ必死こいてお前を探し回ってさ、重症負ってむきになって、かっこ悪いったらねえよ。
なのに当人は全然警戒心もねえし。あげく、余所の男に突っ込まれるし」
「なにを・・言ってるのかわからん・・・ッ」
「俺はもう言わねーぞ。ヒントは十分あげましたー。後は自分で考えろ」
腰を引き上げるようにして、高く上げさせた。
引きずられ畳を滑る桂が制止の声を上げたが無視し、銀時は桂の秘穴に舌を差し入れた。
311:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:11:41.42 xnWZQOxS0
「ひっ」
生温かくやわらかくぬめる未知のものに、恥ずかしい場所を舐められて、桂は悲鳴を上げた。
しかし銀時は頓着することなく、指を使って穴を押し広げ、奥に舌を入れてくる。
背筋が泡立つような感触に、桂はびくびくと震えた。
抱え上げられた足をじたばたさせ、銀時の舌をそこから外そうともがくが、
腰をもう一方の手でがっちりと捕まえられて足が動くだけだ。
「銀時ッ、気持ち悪い・・・いやだ!」
「そのうちによくなるって、多分」
「多分ってなんだ!いいから、もうやめ・・ッ」
たっぷりと唾液で塗らされたそこに、銀時は性器を模して指を突き入れた。
桂の息がつまる。
尚も嫌だというのを押さえつけ、挿入する指を増やした。
「いたっ・・」
「あ、裂けちまったな。まあ仕方ないか、ケガ直ってなかったもんね」
「わかっているならやめ・・・っ」
「いやいやいやもう無理だから。男と車は急には止まらないから」
体内に入れられた指を、穴を広げるように開かれ、桂は圧迫感に喘いだ。
まだ日が残るため部屋は明るく、目前に晒された桂の中は、赤く色づいてゆっくりうねっている。
(ここに入れたら、すげーキモチイイだろうな・・・)
まとわりつく感触を想像しながらも、桂を苛む手を休めることなく、目的のために秘部をこね回す。
指が3本入るようになったところで、銀時は自分のパンツの前を寛げた。
銀時の性器は、桂の悶える様と、時折漏らす呻きともつかない喘ぎ声といった媚態で、
もうしまっておけないくらいになっていた。
思いついて桂の性器を見ると、経験の薄さを示すようにまだきれいな色をしているそれが、
少しだが勃ち上がってきていた。
「へえ、お前気持ちよくなってきたの」
「そんなわけあるか!・・・ヒッ」
泣き声で叫ぶ桂の、揺れる性器をいきなり握りこむ。
「ちゃんと感じてんじゃん。嘘はよくないよ、小太郎君」
「離せ馬鹿・・・ッ、あ、ああっ」
桂がつかまれた手を外そうと縛られた手で抵抗するのを、半勃ちの性器を擦り上げてやる。
もともと性に対してさほど免疫のない桂は、他人の手の感触に過剰なほど反応した。
白い顎をのけぞらせ、髪を振り乱す。
敏感な反応が楽しくなり、銀時は更に乱暴に桂の性器を擦り、先端に爪を立てた。
「いや・・ああああッ」
途端、桂の性器が震え、あっけなく精を漏らす。
腰を抱え上げられた体勢だったため、自分の精液をまともに顔にかける状況になった。
「おー、セルフ顔射かヅラ。エロいな」
乱暴にイかされた桂は、状況は把握できないのか、荒い息を吐きながら呆然と銀時を見ている。
白い精に汚されながらも無防備な表情は銀時の欲をそそった。
「気持ちよかっただろ?今度はこっちを気持ちよくしてくれ、な」
放心状態の桂の返事を待たず、銀時は先ほど解した桂の秘部に張り詰めた自身の性器を宛がった。
かつて乱暴された記憶があるだけに、桂の体は反射的に固まる。
その細い腰を抱え、銀時は体重をかけてその体に圧し掛かった。
312:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:12:52.67 FUoQB8wb0
「銀時、頼む、やめてくれ・・・っ!」
「きっついけどまーなんとかなるだろ。出るとこなら入るはずだ物理的に。根拠はねーけど」
「ふざけるな、やめ、――――――ッ!!」
根拠のない言葉をつぶやき、固く窄まった穴を無理に押し広げて侵入してきた銀時に、
桂は声にならない悲鳴をあげて仰け反った。
がくんと脚が引きつり、ひゅっ、と息の抜ける音がする。
貫かれた衝撃で息も絶え絶えな桂の中はひどく狭く、押し入った銀時も先端を固く
食い締められているようで動かしづらい。
もともと傷ついていた秘部は、裂けてはいないがひび割れて血が滲んでいた。
「おい、ヅラ、もうちっと緩めろ。動かせねえじゃねえか」
「あ・・・あぅ、嫌、もう・・・抜いて、いたい・・・・」
半ば恐慌状態の桂は、銀時の勝手な言い分など理解していない。
焦点の合わない目で、ゆるゆると頭を振りながら、やめてくれと繰り返すばかりだ。
哀れを誘う状況だが、銀時はむしろその稚さに自身の欲望がより滾るのを感じた。
「悪いな、ヅラ」
「え・・・?」
突然の謝罪が飲み込めない桂が、銀時を見上げる。
長いまつげについた小さな涙の粒が、表情と相俟って幼い子供のようだ。
それを泣かせることに暗い喜びを感じながら、銀時は押しつぶすように押し付けていた腰を外し、
あぐらをかく姿勢になった。
まだ桂の中をろくに味わっていない銀時の性器は、黒く張り詰めて先端から汁を零している。
銀時は乱暴に両手で桂の細い腰をがっちり掴むと、体ごと自分の起立した性器に叩きつけた。
「ひああああっ」
銀時の腰に跨らされた状態で、乱暴に竿の半ばまでを挿入され、桂は髪を振り乱して悲鳴を上げた。痛みに震える体を抱きしめ、銀時は桂の尻を鷲?んで広げさせ、更に奥まで挿入した。そのまま、桂ごと揺さぶる。
「あっ、痛ッ・・・うぐっ」
ズンズンと衝撃が腰から背骨を通って脳にまで響いているようで、深く貫かれるごとに桂は声をあげた。
好き勝手に揺さぶられながら、狭い内部を銀時が遡ってくるのを感じ、何とも云い難い震えに襲われる。
「あ、だいぶよくなってきた。お前の中、きゅうきゅう搾ってきてきもちいい・・」
銀時は桂を突き上げながら、揺れる髪を掻き分け肩口に顔を埋めた。
汗とほのかな香のような香りがする。
桂に香を焚き染めるような趣味はなかったから、これは桂の匂いなんだろうか。
「いい匂い・・・」
肩口から項まで舐め上げると、桂の肩がびくっと震えた。
「そろそろ本格的に動くぞ」
「ちょ、待て貴様ッ!・・・アアッ」
桂の返答はもとより聞く気などない銀時は、桂の尻を掴んだまま桂の内部を性器で探り始めた。
向かい合って密着した状態で揺さぶられているせいで、桂の性器も銀時の腹に擦られて
またゆるく立ち上がり始めている。
痛みに慣れてきた体は、内臓を擦られる刺激を次第に快楽と捕らえてきていた。
入り口に近い腹側の粘膜を擦られると、銀時の腰をまたいで伸ばされた白い脚ががくがくと暴れる。
銀時の下生えが穴の淵にふれるほど根元まで押し込められて、桂は途切れ途切れに喘ぎを漏らす。
「あっ・・・・だめだ、こんなッ」
銀時と、とても人に言えないような場所で交わっているという事実。
それは不思議なことに不快ではなかった。
そのことがより桂に羞恥を覚えさせる。
体の力が抜け、この行為に次第に快感を感じだした桂を、銀時は更に結合部からいやらしい液が
飛び散るほど乱暴に貫き始めた。
313:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:16:52.65 rt5cUwLU0
「はあうっ、んうっ、アッ・・・はっ」
「ヅラ、中で出すから」
「はッ、ば、馬鹿やめろ!」
縛られた腕で銀時の首を輪で通すようにしてしがみついていた桂が、不穏な言葉に目を向く。
銀時は白い首筋に噛み付くように口付けると、腰を限界まで突き上げた。
銀時よりはるかに軽い体は、おもちゃのように揺さぶられて銀時を最奥まで受け入れた。
「あひっ・・・・くッ、あああああっ!」
瀕死の鳥のようにびくびくとのけぞりながら、桂が達する。
銀時を根元までくわえ込んだ秘所が痙攣し、絞り上げるように締め付けた。
「ヅラ、お前、すげ・・・ッ」
銀時も胴振るいし、言葉どおり桂の中に放つ。
体の中いっぱいに熱いものを注がれる感触に桂は息を詰めて耐えた。
いつも体温も低く殆ど汗をかかない桂の体は、情交のせいでしっとりと汗ばみ、青白い肌は薄く色づいている。
荒い息を吐きながら、銀時は汗を舐めとるように桂の首を舐め上げた。
絶頂の間際に噛んだ首筋は歯型がついて薄く血が滲んでいる。肉食獣の捕食を思い出し、銀時は薄く笑った。
(ま、食っちゃったし)
その血も舐め、銀時は呼吸の収まらない桂に深く口付けた。
苦しいのだろう、首をねじって逃げようとするのを押さえつけ、舌を吸い上げる。
桂の唾液はなぜか甘い気がした。
「・・・はっ、ぎんとき、もうはなれろっ」
抗議の声で見下ろせば、まだ二人は交わったままだった。
絶頂を迎えたあとの秘部に、未だ固いままの銀時が嵌っているのが苦しいのだろう。
「へーへー」
「・・・アッ」
素直に聞いたふりをして、桂の中から一気に引き抜く。
排泄感に桂はまた小さく喘ぎを漏らした。
その力が抜けて閉じられない足の狭間から、銀時が吐き出したものがとろりと腿を伝う。
広げられていたせいで、急には閉じられない穴が、桂が息をつくたびに銀時の残滓をこぼした。
あまりに卑猥な光景を見やり、銀時はたちの悪い笑みを浮かべる。
「でも銀さんまだまだ元気だし、せっかくだから最後まで面倒みてくんない?」
「・・・・・は?」
やっと去っていった凶器に安堵していた桂が、ぽかんと見あげる。
それに笑ってみせ、銀時は濡れそぼる桂の秘所に、再度自身を押し込んだ。
「ふうぅッ!・・・・な、なにをっ」
「いやー、久しぶりだし、しかも生だし、お前エロいし、ついつい盛り上がっちゃってなあ。
とても一回じゃおさまんないみたいでさー」
「貴様の下半身事情など知らん!いい加減抜いて・・・はうっ」
口封じとばかりに、銀時が激しく突き上げてくる。
呼吸さえままならず、口を閉じられない桂は銀時の思うまま声を上げさせられた。
過ぎた行為に、桂の意識は途中から途切れ途切れになり、白く霞んできた。
飛びかけた意識の中、ぼんやりと、前に去っていった男の面影を思い出す。
あの時の高杉は、自分で壊したのに、まるで置いていかれた子供のような目をしていた。
(違う・・・ひとり取り残されていたのは、俺か)
桂はゆっくりと目を閉じ、そのまま失神するように眠りについた。
寝息を立てだした桂の顔は、ぐったりと疲弊していた。
押しとめられない欲望を好き勝手にぶつけた自覚はある。
銀時は、中途半端な長さの桂の髪を掬い、砂を手から零すように流す。
さらさら さらさら
やわらかく艶やかな手触りは気持ちよく、しなやかに指に沿うが、絡みつきもせずねじっても癖もつかない。
手を離したとたんさらりと、何事もなかったように元に戻る。
持ち主に似て薄情な髪だ。
桂が銀時に対して示す全幅の信頼。それが殆ど恋に近いものであることを銀時は知っている。
本人にはその自覚がないことも。知っていて、最後まで拒絶できないのを見越してそれに付け込んだのだから。
しかし、おそらく高杉に対しても最後は受け入れたのではないか、と銀時は思っている。
桂は恋愛の概念を理解できていないところがある。
「ひでえ男だな」
お前も俺も。
美しく流れる髪の毛を、飽きずに梳きながら銀時は一人呟いた。外はすっかり日が落ち、春はまだ遠い。しかし、日は次第に長くなっているのだ、そうと気が付かなくても。時を止めることはできない。そうして日々は変わっていくのだろう。
314:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:19:37.88 VvQ4XBxC0
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315:名無しさんの次レスにご期待下さい
12/05/09 22:20:02.41 8StxlERD0
――ヌヂュ!
「ん゛んっ!?」
――グッ、ググッ!!ズプズプ、ズッ、ヌプププゥゥッ!!!
「んぁ、あぅっ!?ぁ、ひあ、あっ、ああああああーーーっっ!!!」
――グチュン!!!
完全に沈んだ桂の腰。熱く張り詰めた剛直を飲み込んだ柔らかな尻たぶが、銀時の太腿と密着する。
一際高い嬌声で桂が吠えた。
自身の先端、緩んだ蛇口から出っ放しになっている薄まった白濁が、果たされた挿入に悦んで零すその蜜の量を増やす。
(っっ…ン!ふぁぁあっ!?…、…ぁ、あっ…ぅ、ぁあぁああっ……き、気持ちィィっ!気持ちイイ気持ちイイ気持ちイイっっ!!
銀時の…ふ、太くてっ、お尻、グチュって、ピッタリっ…は、挿入ってぇっ!!か、硬いの奥まで刺さってぇえっっ…!!
…あ、…ふはぁ、ン、…気持ちぃいっ…、…だ、駄目、駄目だ俺ぇっ……、こんなに気持ちぃオチンチン知らないッ…!お尻のウズウズ止まらないッ…!こ、こんなの感じ続けたらぁっ、…俺の身体っ、…頭っ、……おかしくなるううぅっ!!!)
あの茶器に口をつけた時より気が狂う程の熱に悩まされ、敏感に開いてしまっている身体。
どれ程水を取ろうと喉の乾きは癒えなかった。衣服が皮膚を擦れるだけで小さな電流がビリビリと走った。
奥まった部分がずっとずっとむず痒くて、欲しくて、熱い肉塊がメリメリと壁を割って中へ深くへ潜り込んでくる感触を心の底から渇望した。
「っひ、ひぁ、ンんっ…あっ、ああっ、ふぁあぁ、ぅうっ、…ヒ、あぁあっ…っく!!」
漸く叶った結合に過ぎる悦びを感じる桂。両目からボロボロと涙を零した。
泣きながら跨る銀時の腹に手を付いて、夢中になって腰を上下に激しく揺さぶり始める。
ユサユサ。ズッポズッポ。ヌプ、グリュグチュ。パンパン。
「ぁ、んぁ、ゃあ、あ、あぁっ!」
(やぁああああっ!こ、腰動くの、止まらないぃぃっ……!!)
暫くの間、途切れ途切れの喘ぎ声、擦れ合う粘膜とぶつかり合う肌の音、そして結合部から上がる透明な飛沫が、室内に流れる空気と2人の間を満たした。
っく、…ご、御免っ……!銀時、御免っ!!…あ、謝るから、もうっ……!!
「何が?」
薬に急かされた桂が一方的な腰の律動を開始して、どれだけが経っただろうか。
四半刻かも知れないし、もしかしたら5分と経っていなかったかも知れない。
そのどちらでも、桂にとっては永劫続くような長く耐え難い苦しみの時間に感じられた。
ッズッチュ!ズン、ズプッ、ズンッッ!!
(ひっう!!ぅあ、くぅうぅうっ…!?…どうして…っ、中っ、もうずっと擦れてっ…イイの、感じてるの、にっ…!!)
グチュッ!ズプ!ズププッ!!
(……っく、ぅあうっ、…イ、キたいのに、出したいのに、どうして、イけなッ…っあぁ!あ!ンひっ!!……っっ!?)
身も心もグチャグチャにする桂。背に流す漆黒の長髪を振り乱して、卑猥な上下運動を続ける。
端整な顔立ちは恍惚に染まる反面苦痛に歪められ、だらしなく開いた唇の隙間からは常に忙しない息遣いと喘ぎが発せられる。
「んぅ、…う、んふぅ…、う、あぁ…銀時ぃ…っ…」
確かに待ち望んだ行為に没頭しているのに。
必死に腰を揺らめかして、熱い雄の肉に腹の底を削られる快楽を感じているのに。
一向に兆しが訪れない、解放の瞬間。
これならば男を欲する飢餓感に身体を疼かせていた方が数倍もマシだったと、混濁する意識の中、桂は思った。
溜まるだけ溜まって体内をグルグルと巡るだけの放出されない熱と欲望は、ただ悪戯に身を苛むだけの毒で、拷問だった。
「ぁあ、…あ、うぅ…御免っ…銀時っ…御免、なさいっ…っ」
荒い呼吸の合間、桂が向き合う相手へ必死な声で告げた。
眉1つ動かさず。口1つ、手1つ出さずの状態に終始徹して自分を抱く銀時に、……否。
いつまでも頑なに態度を冷やしたまま一向に動こうとしない、自分を抱いてくれない銀時に、御免、御免なさいと、謝罪の言葉を紡いだ。