12/03/25 02:38:13.58 tm6Qcp/A0
――ちひろの顔を覗き込む桂馬。
「わかった・・・やってみる」
「・・・・」
「ちょっと、二人とも何やってんのよ?」
「京、ゴメン、後で説明する」
――寺田家の玄関。
「ハクア、行くぞ。ちひろと一緒に移動する。あと、頼みがある」
――舞島海浜公園あかね丸のマストに座る灯。
「桂木よ・・・遅過ぎはしないか・・・?」
――歩美の家の前。
「歩美はまだ帰ってないようだな・・・」
「ああ・・・一体何をしたのよ、ちひろ。桂木の攻略、振り出しじゃない」
「でもこれで、歩美のココロから私は消え去ったわ」
「えっ!?」
「歩美が私に気を遣っているように見えたし。だけど今じゃ、私と桂木の関係は完全にオシマイ。後は、桂木と歩美次第ね」
「それじゃ、ちひろは三角関係を解消するために全部バラしたの?」
「私があんた達の目的をバラさなかったから、桂木は解っていたみたいだけどね。歩美は大丈夫だよ。一度好きになったものを簡単には嫌いにはならないから。
桂木がウソを吐かなければ、歩美はきっと桂木を許すよ・・・」
「それよりも、教えてくれない? 何で桂木は、私とデートをしたの?」
「えっ?」
「私はあんた達の正体を気にしてないけど、桂木は歩美を狙ってたじゃない?だったら何で桂木は、私とデートしたのよ? 時間の無駄なのに」
「う・・・それは・・・」
――帰ってきた歩美に気付くハクアとちひろ。
「!! 歩美が帰ってきたわ」
――家路につく歩美。
『長いこと、なんか変だと思ったんだよなあ・・・桂木がそんなにちゃんとした奴じゃないって知っていたのに。だけど・・・知らなかった。桂木が見た目ほど悪い奴じゃないって・・・」
――固まる歩美、ちひろ、ハクア。
「待ってたよ。ボクのお姫様」
――馬術服を纏い白馬に跨がった桂馬と、呆気にとられる三人。
『か、桂木!? あんた、バカじゃないの?正直言って、ちょっとでも良い奴だと思ったことを弁解したい・・・』
『なんでそこまでやるのよ? なんで事態を悪くするのよ!?』
「現実とは一体何か・・・? ボクは理想のセカイに住んでいる。ボクは歩美の前でニセモノの人格を見せたりしない。だからこそ、ボクは謝らない!!
本当のボク自身・・・それを歩美に見せたいんだ!!歩美、一緒に行こう!!」
――跳ねる馬から落ちる桂馬。
「うおっ! ちくしょう!!」