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サンフレッチェ広島の選手達が、クラブワールドカップに出場すべく出発した。
天国と地獄の差を選手達は味わった。
「こんな嬉しいことは生涯味わえない」
さもありなん、サッカー専用スタジアムが無いためビッグアーチを背負って、
広島から横浜まで何日間かかるかも判らぬまま
徒歩旅行を決行しようとしていた矢先、列車に乗れようとは。
広島駅を出発しない前に、早くも選手達は天国を見た。
どうして出発の時刻を知っていたのだろうか。見送りの市民で駅は埋まっていたのである。
列車に乗り込むと、窓から陣中見舞いの金一封、菓子、果物が差し入れられた。
発車のベル。その時、人垣をかき分けて一人の老婆が、監督森保一の手に小さい紙包みを押し込んだ。
「森保さん、汽車賃も無い聞いて心配しとったのに……よかったのう、よかったのう……
これはわしのほんの気持ちじゃが、笑わんでとってくんさい ……」
半身を窓から乗り出して森保はその包みを受け取った。
「何かしらんが、有り難く貰っておくけんのう」
列車が走り始めた。森保は小さな包みを開けてみた。
大きい握り飯が三個、それに梅干しが三つ添えてあった。白石は、列車が岡山駅に着くまで涙が止まらなかった……