12/01/22 20:51:27.75 HKhNZkJl
>>804
新宿ちかくに住んでゐた少年時代、
昭和二十年二月二十五日の大雪の記憶は、空襲とともによみがへります。
四十年ぶりの大雪だつた三日前の雪が山ほどのこつてゐる上に
朝から粉雪ちらつき、午すぎから本式に降りつもりはじめたところで、
二時半ごろからB29數編隊の波状攻撃がはじまりました。
砲聲殷々、硝子戸をゆすぶり、遠く近く爆音しきりで非常におそろしかつた。
庭の防空壕はつもつた雪でかまくらのやうになり、
壕中は上からツララ、下から霜柱といふありさま。
戸をあけて外をうかがふと、雪とともに黒いものがはらはらと落ちてきました。
市ヶ谷附近の火事の灰でした。
二階の物干しから神田方面と思はれるあたりに立ちのぼる黒煙が
降りしきる雪を透かして見えたのがなんとも不気味な光景でした。
消防ポンプが通れるやう往來の雪かきすべしといふ警察の指示で
父が大雪のなか作業にかりだされ、見おくつたのをおぼえてゐます。
ちなみにこの日、中央気象台も被災しました。